足のかかとが痛い                        井ノ方 学


かかとが痛くなるだけで、通常の動作ががぜん難しくなります。

足を地に付けるだけでも激痛が走るケースがありますが、程度の軽い痛みでもさらに強くなり長引きそうで不安になるものです。

 

このかかとの痛みはなんでしょうか? 何という傷害で、何が原因でしょうか

実はかかとの痛みには多くの疾患の可能性が考えられます。

小さい場所ですがいろいろな原因疾患があるのです。

 

細かい部位やどのような方に起こりやすいかも解説しますので、ご自身でも可能性を探ることができます。

何が痛みを引き起こしているかを判断できるようになると、不安が減って受診への心がまえができます。

 

 

1.かかとはトラブルが起こりやすい場所

立ったり歩いたり走る時に、足裏には全体重や衝撃がかかります。

その割合は、かかとに70%、それより足先の部分に30%が分散してかかります。

60kgの人であれば、ただ立っているだけで一つのかかとに21kgもの重量がかかり続けるのです。

 

かかとへの負荷は体重のみではありません。

体重×速度による地面からの衝撃もかかとが7割を受け止めているのです。

その面積はわずか5cm四方程度しかありません。

 

 

この小さな部位は、運動機能としても重要な役割を担っています。

足の動きで最も重要ともいえるアキレス腱の端に位置し、ふくらはぎの筋肉にもつながっています。

その他にも大きな神経や靭帯を伴い、動きや感覚のために大切な部位です。

足のバランスを取るうえでも非常に大きな機能を占めています。

 

ここにいろいろな理由で負担がかかるために、さまざまな傷害が発生します。

わずかな炎症でも不快な痛みとして感じられ、日常生活の妨げとなるのです。

 

 

2.かかとの痛みを引き起こす疾患

ひとことで“かかとの痛み”と言っても、痛い場所はさまざまです。場所ごとに考えられる傷害をお伝えします。

 

2-1.かかとの下(地面に接する部位)が痛い場合

■足底筋膜炎(そくていきんまくえん)

かかとのやや前のあたり、土踏まずに近い位置が痛む場合は足底筋膜炎の可能性があります(土踏まずが痛い場合も多いです)。

足底腱膜炎(そくていけんまくえん)と呼ぶこともあります。

同じ傷害です。

足底筋膜とは足底の皮膚の下にある膜状の腱のことで、かかとの大きな骨=踵骨(しゅうこつ)から足指まで繋がっています。

本来はたいへん丈夫な腱膜ですが、負担がかかり続けると炎症を発症しやすくなります。

 

 

スポーツ選手に多く、特に長距離走やかかとのステップを使うスポーツで目立ちます。

長時間の立ち仕事の人やランニングを始めたばかりなのにいきなり長い距離を走ろうとする人にも多い傷害です。

年齢的には40代以降。加齢とともに足底の筋肉が衰え、アーチが落ちてくることも原因と考えられます。

扁平足の人も注意してください。

 

よくある症状としては、

・朝起きた直後の数歩がとても痛いがそのうち軽くなる

・長時間座ったあとに、歩き出すと痛む

・かかとの骨の前方内側を押すととても痛いところがある などです。

 

運動量を減らしたり、安静にしておくと1ヶ月から3年以内に自然治癒するケースがほとんどです。

 

セルフケアとしては、

・足裏やふくらはぎ膝周辺、太もも等の下半身をよくストレッチし柔軟性を向上させる

・土踏まずをキープするための足裏の運動を行う

・足裏を保護するためにテーピング、よくフィットしたシューズやかかとを保護するクッション、インソールを使用する

などです。第3章でテーピングの方法をご紹介しています。

 

足底筋膜炎を放置しておくと、踵骨棘に悪化する可能性があります。。

 

 

■踵骨棘(しゅうこつきょく)

足底筋膜炎が長引くと、筋膜がついている部分が前に引っ張られる時間も長くなっています。

そうするとその部分の骨が増長し、まるでトゲのように前に出っ張ってきます。

 

踵骨棘

かかと付近にある前に尖った骨が踵骨棘です

こうなるとさらに痛みを感じるケースがあります。

踵骨棘じたいは痛みを発生させるわけではなく、足底筋膜炎の程度が重くなっていることの目安となります。

 

足底筋膜炎と診断されたら軽視せずに対策をとってください。

原因の一つに、実は踵骨棘が起こりやすい人は、足をつくときに内側に捩じれてしまう人が多いとのことです。

 

 

いずれも右足。

足底筋膜炎や踵骨棘の人は、過回内の可能性があります。ごくわずかな回内は正常範囲です

 

インソールの専門店では下記のように述べています。

踵骨棘で悩んで居る方の足のバランスを診るとほぼ共通して、踵が内側に捻れやすい動きをしているようである。出典:アスケル東京

 

踵骨棘の対処には、足のバランスをとるためのインソールやシューズ、痛みを緩和するクッションなどの使用で歩きながら改善することに一定の効果があるようです。

根本的な解決のためには、装具と併せて内側に捻ってしまう足の使い方を意識的に改善しながら行うことをおすすめします。

 

 

■踵骨下滑液包炎(しゅうこつかかつえきほうえん)・しょう液性粘液嚢(ねんえきのう)炎

踵骨の下の滑液包の炎症です。

滑液包は中に滑液という液体が入っている袋で全身に点在しています。

皮膚、筋肉、腱、靭帯などと骨がこすれる部分にあり、クッションの役割を果たしているのです。

 

この滑液包がなんらかの原因で炎症を起こして痛みを生じるのが“滑液包炎”です。

踵骨の下側で起きるのが“踵骨下滑液包炎”や“しょう液性粘液嚢炎”と言われる傷害です。

 

 

滑液包炎の原因は様々だったりわからないこともあります。

踵骨棘はひとつの目安ですが、両足に踵骨棘があるのにも関わらず、痛みが片足にしか出ていないこともあります。

滑液包のある部分を保護することで、痛みを感じにくくなります。

 

 

ヒールパッドを使うことで、痛みが和らぐことが多いようです

 

 

整形外科では痛み止めやアイシング、冷湿布、保護具などが処方されるようです。

頻発する場合は、歩き方の修正や足の衝撃を緩和する方法をとってください。

 

※厳密には踵骨下には滑液包はなく、あるのが軟部組織内のしょう液性粘液嚢といわれるものです。

メカニズムが滑液包と似ているので、便宜的に踵骨下滑液包炎といわれることが多いようです。

 

 

■踵部脂肪褥(しょうぶしぼうじょく)

かかと下の肉が失われて皮の下にすぐ骨があるような感じがするのが“踵部脂肪褥”です。

ご存知の通りかかとには厚い肉のかたまりがあります。

そのほとんどは脂肪体という脂肪の固まりでクッションの役割を果たします。

 

踵部脂肪褥はこのクッションが左右に広がってしまったり、柔軟性が失われたり、ぶつけるなどした時に潰れたままになっている状態です。

クッションがないので歩く際にかかとを着いたときに痛みます。

かかと中央のとんがった部分の痛みを感じ、その痛みによりかかとから着地できないので、足裏全体でペタペタ歩きをするようになります。

中年以降の方に多い症状です。

 

対処としてはインソールで脂肪体を中央に寄せたり、テーピングで固定する方法があります。

急性症ではなるべく安静になさっていてください。

分散してしまった脂肪体を寄せ集めることで痛みを緩和できます

 

 

■ファットパッド症候群

かかと全体が痛くて、足をついて歩けないような場合はファットパッド症候群の可能性を疑います。

若い人やスポーツ初心者に多いのが特徴です。

踵部脂肪褥に似ていますがかかとが柔らかいままで、全体的な痛みを感じる点が異なります。

 

足底筋膜炎にも似ていますが、そちらはかかとのやや前側からじんわりした痛みで始まるケースが多いです。

ファットパッド症候群の場合は、足がつけないような痛みに早い段階でなります。

シューズを衝撃吸収性が弱いものに代えた時にも起こる可能性があります。

 

 

■踵骨疲労骨折

ここではスポーツマンに多い踵の疲労骨折について解説します。

最初はじんわりした痛みから、日が経つごとに徐々に痛くなり、最終的にはかかとを地に着けるのも困難になる…。

こういう時は踵骨疲労骨折も疑います。

 

疲労骨折

疲労骨折は他の骨折と違って発生直後はレントゲンでも骨が折れた様子がわかりにくいです。

ですので整形外科でも疲労骨折の可能性が高いと想定して治療を開始します。

 

セルフでできる対応としては、まず練習量を減らして安静にするということです。

かかとに負担をかけない範囲で、他のトレーニングを行うようにしてください(水泳など)。

安静にしていれば必ず回復し、痛みが減っていきます。ギプスなどで固定する必要はありません。

 

 

疲労骨折は時間が経ってようやく骨折であることがはっきりします

痛みが治まりだしたら徐々に練習量を増やしていきます。

ジェルパッドなどの活用も有効的です。

10日?数週間するとレントゲンで白い線が映るようになります。

この時に初めて診察が確定的なものになります。

 

かかとにあまりに体重をかけすぎるような走り方を見直すのも方法のひとつです。

 

 

■浮腫

骨髄浮腫(こつずいふしゅ)は骨髄のなかにむくみができる状態で、MRIによって診察されます。

安静によって改善すると考えられます。

固有筋浮腫(こゆうきんふしゅ)はかかとの筋肉のむくみです。

 

 

2-2.かかとの後ろ側が痛い場合

■踵骨後部滑液包炎(しゅうこつこうぶかつえきほうえん)&アキレス腱皮下滑液包炎(あきれすけんひかかつえきほうえん)

前項でお話しした滑液包炎はかかとの後ろ側に起こるケースのほうが多いです。

 

 

アキレス腱付着部周辺の負荷の高い使われ方や刺激が主な原因と考えられます。

前項でご説明した通り、渇液包が潰れて機能しなくなることで、スレなどの刺激が発生して痛みが起こるのです。

一般的には、数時間から数日かけて痛みが発生していきます。

赤く腫れていたり押すと痛みを感じるのでそれとわかるでしょう。

 

しかしながら酷使や外傷(ケガ)以外にも滑液包炎になる可能性のある疾患があるのです。

痛風、偽痛風、関節リウマチ、感染症(特に黄色ブドウ球菌によるもの)などがそれです。

 

ジンとしたり違和感を感じる等してから数時間で急激に痛みが強くなる場合はその可能性も考えましょう。

このような急性滑液包炎を繰り返すと、痛みが常に続いたり頻繁に再発する慢性渇液包炎になる可能性が高くなります。

酷使による渇液包炎の場合は、痛み止めやアイシング、冷湿布、保護具などで様子をみることになります。

 

 

■踵骨骨端症(しゅうこつこったんしょう)・シーバー病・セーバー病

スポーツをする小学生くらいのお子さんに多い傷害です。

高校生以上でもジャンプ動作の多いスポーツやランニングなどでもかかとに負担がかかり続けると痛みを発症します。

 

踵骨骨端症

骨端がさらに割れるケースもあります

子どもの頃はまだ軟骨のように柔らかい骨が多く、踵骨もその一つです。

分離しているのが普通なのです(15歳過ぎから一つに固まってきます)。

ここに痛みが発生するのが踵骨骨端症です。

 

数日安静にし、スパイクなど硬い靴を履いた時に痛みを感じるようであれば、クッション性の良いシューズにします。

もしくはかかとを保護するヒールパッドを使用してください。

 

刺激が加わらないようにしていると徐々に痛みが引きますので、様子を見ながら元にもどしていきます。

練習前にウオーミングアップやストレッチをよく行うようにしてください。

 

 

2-3.かかと後ろ側上部&アキレス腱下部が痛い場合

■アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎

かかと上部の痛みだと思っていたら、アキレス腱の炎症だった…。

これが“アキレス腱炎”です。

アキレス腱の周囲にまで腫れや痛みがあるのが“アキレス腱周囲炎”で、こちらの方が多いです。

明らかに腫れや赤みがあります。

 

酷使や打撲などでアキレス腱に小さい損傷が発生している状態です(Grade Ⅰ)。

 

これより症状が重篤化すると部分断裂や断裂ということになります。

 

アキレス腱炎程度でしたら、痛みがなくなるまで練習を控えたり、アイシング、テーピング&サポーター固定を行ったり、かかとを保護するジェルパッドやインソールを使用します。

 

 

2-4.上記以外のかかと痛を引き起こす傷害

■坐骨神経痛

坐骨神経はお尻の深層部から足先まで通る長い神経です。お尻や太ももにジンジンとする痺れや痛みを引き起こすことが多いのですが、これがかかとに出ることがあります。

 

■トリガーポイント

かかとから離れた部分に筋肉のコリや炎症が起きていて、それが離れたかかとに痛みとなって出る場合があります。

足部から腰まで広範囲にコリや炎症を探してみてください。

 

■外傷(打撲、擦り傷、切り傷)

外部からの刺激がかかとの痛みを引き起こします。

かかとの痛みでもっとも多いのは“打撲”と言われています。

心当たりがある場合がほとんどで、アイシングを行い、患部を保護し安静にすることで回復します。

 

■靴ずれ

靴を買い替えたり、合わない靴を履いた時に靴ずれが起きやすいです。

絆創膏等で保護し、表皮が再生すると治るケースが多いです。

 

■角質層のひび割れ

水分や油分不足でかかとの皮が硬くなり、ひび割れを起こします。

潤いを与えるクリームや角質を削るグッズなどがあります。

 

 

3.かかと痛の治療方法

このようにかかとの痛みには様々な傷害があります。

特に腱や筋膜の腫れや炎症が多いのでなかなか判断が難しいものです。

足底筋膜炎だと思ったら、踵骨下滑液包炎だったということもあります。

 

レントゲンではっきりわかるものは骨の異変くらいですので、それもやむを得ません。

厳密な診断を受けるためには、エコーやMRIなどさまざまな検査を行ったり、かかとの痛みに詳しい整形外科を受診することとなります。

 

しかしながら、多くのかかとの痛みは対処がほぼ同様です。

病名に関わらずやれることはそう大差ありません。

ですので厳密な病名にこだわることよりも、お医者さんの診断に従い、適切な対処を行って1~2週間様子を見ることが得策です。

治療の方法は概ね以下の通りになります。

・急性期はアイシング

・痛み止めの服用やシップの使用

・負荷を避けるための保護

・固定が必要な疾患の場合はテーピングやサポーターの使用

・安静にしたり練習量を減らす。かかとに負荷の少ない練習に変える

・ジェルパッドやかかと安定板、インソールの使用

 

 

運動などの心当たりがないのに、違和感やジンジンとした痛みが出て、1日程度で急激な痛みに変わるような時は、一般的なかかとの痛みではありません。

痛風や感染症の可能性がありますので内科の受診も検討します。

 

 

4.かかと痛の原因となるもの

痛みが治まり、以前と同様の生活や練習ができるようになっても、再発する可能性があるのがかかと痛です。

以下の原因を見直してみましょう。

 

■立ち方や歩き方、走り方が悪い

正常な姿勢以外ではカラダのどこかに負担をかけることになります。

人によってはヒザやスネに痛みが生じます。かかとが痛い人はかかとに負荷がかかり続ける結果、何がしかの傷害が発生しています。

 

膝の回内回外

シンスプリントの全原因・常にベストな状態で走るために

足の裏全体がうまくつかえていないと扁平足や浮き指になります。

足裏のアーチを作り足底の筋肉や筋膜がじゅうぶんに使えるようにしましょう。

 

 

また、かかとの負担を減らすためには脚部全体の滑らかな運動連鎖が必要です。

足部、足首、ふくらはぎ、ヒザ、太もも、お尻、股関節という部位の滑らかな動きで、足全体で衝撃を受け止めることです。

パワーやスピードもその方が有効活用されます。

まずは自分の走り方をチェックしてみましょう。

 

姿勢や脚の付き方が悪いとかかとだけでなく様々な部位に影響を及ぼす可能性があります

 

■拘縮した筋肉

足裏からふくらはぎ、太ももなど下半身の筋肉が硬く、うまく使えていないと力が発揮できないばかりか、衝撃吸収ができないことになります。

日頃からストレッチを行いよく柔らかくしておきましょう。

練習前には動的ストレッチを、練習後にはクールダウンをしてください。

 

 

■靴が合っていない

靴の衝撃吸収性が弱く、かかとに負担をかけ続けている可能性があります。

女性ではハイヒールを控えたり、男性でも革靴でもなるべくクッションのあるものにするなどで対応できます。

また靴の中でかかとがグラグラ動かないようなものを選ぶことも大切です。

 

■練習強度や環境の変化

急に激しい練習を行うと痛める可能性が高まります。

また走路の変更等もかかとに加わる衝撃が強まる可能性があります。

できるだけ様子を見ながら徐々に変えられるといいのですが、難しい場合はシューズの変更やインソール、ジェルパッドの使用を検討してください。

 

 

かかとの痛みについて、代表的な傷害と対処法について解説致しました。

さほど深刻でない場合は、適切なケアで早めに回復することができます。

しかしながら、根本的な対処をしないと再発したり慢性化する恐れがあります。

お悩みの方はこれを機会にぜひ原因の見直しを行って、いつまでも競技や生活が楽しめるようになさってください。

 

 

 

 

かかとが痛い!

①踵骨後部滑液包炎

 踵骨後部滑液包炎(踵の後ろが痛む病気です)

アキレス腱と、踵骨の間にあるクッションの役割をする滑液包の炎症です。

 

【原因】

足首を頻繁に動かすことで炎症を起こした状態がこの「踵骨後部滑液包炎」です。

この疾患を診断するには、エコー検査が有効です。

 

 

 

②アキレス腱皮下滑液包炎

「アキレス腱皮下滑液包炎」とは、アキレス腱の踵骨に付く付近に炎症を生じて、痛みが出る疾患のことをいいます。

アキレス腱そのものが腫れてしまうのではありません。

もともと、アキレス腱と皮膚、そして踵骨の間には、滑液包という摩擦防止のクッション材のようなものが存在して、それが何らかの原因で炎症を起こしてしまいます。

 

 

【原因】

踵を圧迫するような靴をはいていると、踵骨隆起の部分と靴の間で摩擦が起こり、滑液包炎をおこします。

また、土踏まずが高い傾向にあると踵骨も高くなり、滑液包炎をおこしやすい傾向にあると考えられます。

 

 

 

③アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎

踵周辺の痛みから少し場所はずれますが、アキレス腱は踵の後部に付着していますので、運動などの後に、痛みが生じて当初踵周辺だと思っていた痛みが、実はアキレス腱の痛みであったという場合があります。

 

 

また、アキレス腱全体が腫れてしまった場合を「アキレス腱周囲炎」といいます。

 

 

 

④踵骨下滑液包炎(しょうこつかかつえきほうえん)

【原因】

踵骨の底にはクッションの役割をするやわらかい組織がありますが、裸足で踵に衝撃が加わり続けるとか、靴の底で踵に衝撃がかかり続けることで炎症を起こしてしまうことがあります。

踵をついたときに痛みがあるとき、「踵骨下滑液包炎」である場合があります。

 

 

踵骨には足底腱膜が付いています。

足底腱膜の繰り返す牽引力などにより、踵の底では反応性の骨の増殖が見られるようになります。

これを「踵骨棘(しょうこつきょく)」といいます。

 

この踵骨棘があるからといって、必ずしも踵の痛みの原因になるわけではありません。

しかし、それだけ踵の底に刺激が加わっているのだということがわかります。

その刺激を吸収し、緩衝材の役割を果たしているのが「しょう液性粘液嚢」とよばれる組織です。

 

 

この「しょう液性粘液嚢」は踵の底周辺に存在しています。

本来、踵骨下滑液包と呼ばれる組織は存在しませんが、踵の底にあるクッションの役割をする軟部組織が繰り返す刺激によっては、炎症を起こしてしまいます。

これが踵の裏の痛みの原因であると考えられます。

 

 

【治療】

 

踵の骨の衝撃を和らげたり、負担のかかる部分の圧を軽減するために足底板に穴を開けたものを使ったりします。

 

 

⑤踵骨疲労骨折

踵の骨でも疲労骨折をおこすことがあります。

歩行時に体重をかけると痛み、ひどい場合は、踵に体重をかけることすらできない場合があります。

 

 

踵の骨は丈夫な骨で高い所から落ちたりしない限りふつうは折れませんが、いわば、金属疲労の様に継続してストレスがかかり続けることによって、徐々に弱くなり折れてしまいます。

 

 

⑥踵部脂肪褥(しょうぶしぼうじょく)&Fat pad syndrome

骨や腱以外の踵部の脂肪体が原因で生じる疾患です。

 

脂肪組織の変化によって生じる疾患は大きく分けて2つあります。

 

1つ目は「踵部脂肪褥(しょうぶしぼうじょく)」という疾患で、2つ目は「Fat pad syndrome」です。

 

踵に圧がかかっている状態では、踵部脂肪体は衝撃吸収に働いています。

また、足底全体にスムーズに体重移動ができるように足底の力学的安定性にも関与しています。

以上のように、踵部脂肪体は繰り返される衝撃という機械的刺激を受け続けます。

その結果、踵部脂肪褥やFat pad syndromeのような疾患が発生することになります。

 

 

 

 

床からの衝撃を受けた脂肪体の状態を表しています。

繰り返し衝撃がかかり続けると、脂肪組織の力学的な安定性が損なわれてきて、軟らかい脂肪体と比較的硬い踵骨との間で不安定性が生じ、剪断力が発生してこういった症状が出るのではないかと考えられています。

 

踵に中・高度のインパクトがかかる運動を始めたばかりの初心者の方に多くみられる症候群であると言われています。