市販されている一般的なアレルギーや、不眠の薬は安全だろうと思うでしょう。しかし、最近の研究で恐ろしい健康リスクがまとめられています。なんと一般的な抗コリン作用※のある薬に、認知症との関連性がある可能性が高いということです。
これらの薬には、ベナドリル(アレルギー緩和薬、睡眠導入剤)、ドラマミン(吐き気止め、めまい止め)、アドヴィルPM(解熱鎮痛剤)、ユニソム(睡眠改善薬)、パキシル(抗うつ剤)やデメロール(鎮痛剤)が含まれます。
※抗コリン作用
アセチルコリンがアセチルコリン受容体に結合するのを阻害する作用のこと。胃腸薬などの抗コリン薬の主な作用である。便秘、口の渇き、胃部不快感等といった神経症状の副作用は代表的な症状の例である。認知機能の低下も生じうる。
認知症との関係性があるという薬の証拠
研究者が抗コリン薬と認知能力低下の関係を発見したのはこれが最初ではありません。しかし「JAMA神経学」で発表されたこの最新の研究は特別です。MRIとPET画像スキャンを使って、研究者は抗コリン薬を飲んでいる人が脳の低い代謝と高い萎縮を経験していることを見せました。被験者たちは、記憶テストにおいても低い結果が出ました。
2015年、ワシントン州立大学の研究者たちは特定の睡眠薬と花粉症の薬の慢性的な使用が人の認知症のリスクを上げることを発見しました。研究では、これらの薬を三年以上使用している人にその傾向がみられたということです。(それ以上の期間継続して、あるいは断続的に使用した場合の認知症との影響は、将来のさらなる研究が待たれます)
その他の抗コリン薬では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や喘息のような呼吸器系疾患を治療するのに使われる、チオトロピウムを含む薬(→アトロベント、スピリーバなど)があります。また、パキシル(抗うつ剤)や、過活動膀胱のためのソリフェナシンを含む薬(→ベシケア)も、抗コリン作用のある薬になります。
アレルギーや不眠症の自然な治療法
処方箋や市販薬に頼らずに、アレルギーや不眠症を治すことは可能です。ここにいくつかの方法を紹介しておきます。
◆ アレルギー
・アレルギーに効くエッセンシャルオイルはどれかを知りましょう。ペパーミントオイルは特に弛緩剤として働き、咳を起こす収縮を抑制する功けいれん作用があります。
・ブタクサアレルギーがある場合は、メロン、バナナ、キュウリ、ヒマワリの種、エキナシア、カモミールが体内でアレルギー反応を誘発することがあるので、それらを食べるのは控えてください。
・チキン、ビーフ、豚、羊、魚の骨からとった骨スープは呼吸器系疾患を和らげます。骨スープはまた、体内の炎症を沈めて免疫力を強化します。
◆ 不眠症
・副作用の少ない自然な睡眠治療法として、カノコソウ根を試してみてくだい。
・室温を15~21℃に設定してください。これが体内の温度計を下げて、自然な眠りへと導いてくれます。
・メラトニンを豊富に含む、眠りを誘う食品〈バナナ、チェリー、ショウガ、大根など〉を夜食として食べましょう。
医師と相談せずに薬は勝手にやめるべきではありませんが、あなたの飲んでいる薬が認知症と関連の疑われる抗コリン作用のある薬かどうか、一度話し合ってみる価値はあります。
もしそうなら、副作用の少ない他の選択肢についても尋ねてください。
~日本での抗コリン作用のある医薬品例~
散瞳薬、鎮痙薬、消化性潰瘍治療薬、気管支拡張薬、パーキンソン治療薬、統合失調症治療薬の副作用である錐体外路症状(EPS)の予防など、さまざまな疾患に使用されています。
ただし、これらがすべて認知症との関連性があるかどうかは分からないので、心配な場合はかかりつけの医師に各自お尋ねください。
【散瞳薬】
• 日点アトロピン点眼液1%(アトロピン硫酸塩水和物)
• サイプレジン1%点眼液(シクロペントラート塩酸塩)
• ミドリンM点眼液0.4%(トロピカミド)
• ミドリンP点眼液(トロピカミド+フェニレフリン塩酸塩)
【胃腸薬】
• ロートエキス
• ブスコパン錠(ブチルスコポラミン臭化物)
• プロ・バンサイン(プロパンテリン臭化物)
【消化性潰瘍治療薬(胃酸分泌抑制のみ)】
• ガストロゼピン(ピレンゼピン塩酸塩無水物)
【気管支拡張薬】
• アトロベント(イプラトロピウム臭化物水和物)
• テルシガン(臭化オキシトロピウム)
• スピリーバ(臭化チオトロピウム水和物)
【パーキンソン病治療薬、統合失調症治療薬の副作用(EPS)抑制】
• アーテン(トリヘキシフェニジル塩酸塩)
• アキネトン(ビペリデン)
• トリモール(ピロヘプチン塩酸塩)
• ペントナ(マザチコール塩酸塩水和物)
【過活動膀胱(OAB)の治療薬】
・ベシケア(ソリフェナシン)
・バップフォー(プロピベリン)
・デトルシトール
・ポラキス
【多汗症治療薬】
・プロ・バンサイン