塩麹や醤油麹も良さはありますが、この醤(ひしお)は簡単にペーストにも出来て、まろやかで甘味がある分食べ易いのが特徴の発酵調味料です。
発酵食品とは簡単にいうと微生物の働きによって作られる食べ物のことです。
発酵食品の中でも麹菌を使った醸造物は「酵素の宝庫」と言われているのをご存知ですか。
発酵糸状菌の中でも麹菌は「酵素の宝庫」といわれるように多種類の酵素を生産し、麹菌酵素のなかには、現在知られている酵素のほとんどの種類が含まれていると推測されている。
麹を使った発酵食品は私たちの身体に様々な良い効果を引き起こしてくれることは間違いありませんね。
マクロビオティックにおいても分解して広がる陰性さを持つ発酵という作用は、身体の中で食物を消化吸収しやすい状態にしてくれる優れた働きがあります。
味噌や醤油などの麹と塩を使った発酵食品は、蒸したり煮たりした食材を長期熟成する過程でより陽性に変化し、私たちの身体を芯から温めてくれます。
麹を使ったものでも清酒は酵母によって糖化が進みアルコール発酵して、酢はさらに酢酸発酵してより陰性になり、身体を冷やす原因になるので摂り過ぎには注意が必要です。
このように発酵の過程や調理方法によっても陰陽が転じていきますが、これからの芽吹きの季節には木のエネルギーである肝・胆嚢系を養うための食薬としても発酵食品を摂ることは大変お勧めです。
日本に暮らす私たちには当たり前に身近にある麹を使った醸造発酵食品。
味噌や醤油、清酒、味醂、酢、甘酒・・など色々ありますね。
これらは全て日本にしか生息していない有用な微生物である「麹菌」によって作られた日本独自の発酵文化の賜物といえる伝統調味料です。
麹菌は2006年に日本を代表する「国菌」に認定されていますね。
食べ物以外にも医薬品や環境浄化などの分野でも、安全で応用性が高くあらゆる分野で発酵産業を支えている麹菌。
古来よりこれら「発酵食品を食べること」は、健康維持に欠かせないものとして日常生活の中で確固たる地位を占めていました。
それは米食文化や発酵の歴史と共に日本が長寿大国に導かれてきたことを見れば、一目瞭然ですね。
しかしながら近年の食文化の変化により、発酵食品や米を食べる生活が一転し、お米はパンやパスタに変わり肉食や油を大量に使ったおかず、白砂糖や人工添加物たっぷりの洋菓子などの食の欧米化。
味噌汁を毎日飲む習慣のない方がとても多いという、日本食とはかけ離れた現実がそこにあります。
日本に暮らす私たちだからこそ麹を使った発酵食品を身近に感じてほしい!
では麹菌による発酵食品はどのように身体に良いなどの利点があるのか見ていきましょう。
身体の中に消化吸収されやすい
麹菌やその他の微生物、酵素の働きで食品が分解されて発酵が進みます。
分解された状態である発酵食品は、食べ物がより身体に負担のかからないかたちで私たちの胃や腸で消化・吸収されやすいのです。
また体内の消化酵素も無駄に使わないで済むという大きな利点があります。
善玉菌や酵素の宝庫である
酵素や善玉菌は発酵することでどんどん増殖していきます。
糖や食物繊維を含め、死菌も生菌も腸内細菌のエサになりますので胃腸の働きを助けたり腸内環境を整えてくれます。
結果、腸内酵素が増えたり免疫機能を向上させる効果が格段にアップします。
栄養価が飛躍的に高まる
発酵することで味や香りが変わるだけでなく、微生物によって作られた食物酵素の働きにより栄養素を強化したり、ビタミンやアミノ酸などの人間が生きるのに必要な、もとの食材にはない栄養素を新しく作り出しています。
またこれらの栄養素による補酵素の働きで体内酵素を活性化し働きを高めることが出来ます。
豊富なうま味成分が美味しさを引き出す
発酵食品はそれぞれ独特の深い味わいや風味などを持っています。
発酵することで生まれる天然酵母のパンや醤油・味噌などの味わいも、私たちは口にすると美味しいと感じさせてくれますよね。
これらはでんぷんやたんぱく質が分解されて糖やアミノ酸になり、甘味やうま味成分がたっぷりと含まれた食品へと変化していくからです。
腐らずに長期保存性が高まる
食料の貧しい時代にも貴重な保存栄養源としての役割を果たしてきた発酵食品は、食物についた発酵菌がどんどん増殖することにより腐敗菌を寄せ付けないという優れた特徴があります。
よっていつまでも腐らずに美味しく食べられるのです。
ただしこれら効能の恩恵を受けるには、”天然で余計なものがない本物の発酵食品”であることは言うまでもありませんね。
醤(ひしお)を作ろう!
醤(ひしお)は、塩麹や醤油麹のようにかき混ぜるだけで簡単で手軽に、しかもどなたにも失敗がなく作ることが出来ます。
塩麹や醤油麹も良さはありますが、この醤(ひしお)はまろやかで甘味がある分食べ易いのが特徴です。
そのまま食べても美味しいのですが、ペーストにしてソースとして、上澄み液は濃厚な醤油としてご使用いただけます。
醤油麹や塩麹などよりも塩分濃度が低いので、減塩されている方にもお勧めです。
さらに常温保存出来ますので、継ぎ足しすればぬか床のように長期保存でき、目に見える場所に置いておけば作ったのを忘れることもなく、麹の調味料を使ってみたい初心者の方には大変お勧めな調味料です。
醤(ひしお)とは
近年新たなブームになりつつある醤(ひしお)とは、蒸した大豆と炒った小麦に、種麹を蒔いて菌を繁殖させた大豆麹・麦麹を原料に、醤油と水を混ぜ合わせてつくる発酵調味料です。
ペーストや液体状の、好気性細菌の働きで発酵させた調味料の全般のことを指すこともあります。
使う食材により魚醤、肉醤、穀醤、など細かく分類されます。
魚醤のナンプラーなどはタイ料理でもお馴染みですね。
味噌はもともと「未醤」であり→「味醤」→「味曽」→「味噌」と変化し現代に至っています。
一般的な塩麹や醤油麹の原料は白米麹になりますので、同じ発酵食品でも麹の種類が違う分味も出来上がりも異なります。
醤(ひしお)は現在の味噌と醤油の原形と言われていますが、味噌とも醤油とまた違った独特の風味・香り・まろやかさがあり、単純に混ぜ合わせただけでは作れない深い味わいが美味しさの秘密ではないでしょうか。
醤油も熟成された伝統発酵調味料であるので、さらに麹を加えて作るこの醤(ひしお)はどんなに身体にとって素晴らしいものなのか、想像がつきますよね。
■材料
ひしおの糀・・・270g
醤油 ・・・250cc
水 ・・・250cc
昆布 ・・・小1枚
※醤づくりにはよく活用される「ひしおの糀」は豆・麦麹がミックスされているので大変便利です。
市販の豆麹と麦麹を半量づつの分量でも代用できます。
■作り方
1、ガラス瓶などの容器を用意し、煮沸して殺菌しておく。
2、全ての材料を容器に入れて混ぜ合わせる。
最初は色が濃く発酵とともに色・粒の状態が変化していきます。
3、麹のつぶが柔らかくなれば食べられます。
ここからさらに発酵させていくとペースト状になっていきます。
ご飯にたっぷりとのせて食べても美味しいですよ。
食べごろ
・常温で保存して、出来れば毎日1回スプーンでかき混ぜて発酵を促してください。
かき混ぜるのが面倒な方はある程度熟成したら冷蔵庫で保管しても。
・暖かければ4日程で麹が柔らかくなりますので調味料として使用できます。
10日もすれば発酵分解が進んで、まろやかで美味しく食べられます。
さらに熟成させていくと甘味とうま味が多くなりもっと美味しくなっていきますよ。
・継ぎ足せばぬか床のように一生使えます。
使い切る場合は、何カ月かするとアルコール発酵が進んできますので、美味しい熟成したピークで冷蔵庫に保管することをお勧めします。
・さらに味を濃くしたい場合は醤油を足して発酵させるか、料理で味を濃くしたい場合は醤油や味噌をあとで足すと良いです。
使う料理によってフードプロセッサーなどで完全にペーストにすれば、ドレッシングやソースなどにも重宝します。
簡単5分レシピ
醤(ひしお)活用法。こんがり香ばしい!『焼き油揚げと醤の照り焼き』の作り方
おつまみやおやつ、おかずにもなっちゃう!とんかつ食べてるみたい!
とにかく簡単でとっても美味しいですよ。甘酒との相性はバツグンですね。
■材料
油揚げ・・・1枚
甘酒・・・適量
醤(ひしお)・・・適用
■作り方
1、油揚げを熱湯で油抜きしておく。油揚げはふっくらと厚みのあるものが美味しいですよ。
2、食べやすいサイズにカット。
3、焼き網やトースターなどで両面をカリッと焼く。
4、甘酒をぬり、たっぷりと醤調味料をのせて出来上がり。
甘酒と醤を混ぜて、醤甘酒ペーストにしても美味しいですよ。色々と活用して。