体内に蓄積された放射性物質を解毒してくれる成分は、おもにミネラルと水溶性食物繊維です。
ミネラルと水溶性食物繊維の両方を豊富に含む食材は、ずばり「海藻」です。海藻は「解毒の王様」と呼ばれています。さらに、日本人は遺伝的に海藻類を分解する腸内細菌を保持しています。
水溶性食物繊維は放射性物質を捕まえて排出させる職人のひとつです。昆布やワカメなどに含まれるアルギン酸ナトリウムやフコイダンの水溶性食物繊維は解毒作用が特に飛びぬけています。
アルギン酸ナトリウムは体内(腸)の放射性ストロンチウム90を捕まえ、無毒化させた後、体外へ排泄させます。カナダやイギリスの最新の研究では、アルギン酸ナトリウムはラジウムにも吸着し、解毒することがわかっています。
また、興味深いことに、海藻類の色の種類によって、解毒する放射性物質が異なることがわかっています。
褐色の海藻類には、昆布、ワカメ、ひじき、もずくなどがあります(ゆでると緑色になりますが、海の中では褐色です)。これらはストロンチウム90を優先的に吸着します。
緑色の海藻類の青海苔やアオサはセシウム137を優先的に吸着します。
赤色の海藻ダルスはいまでは稀になってしまいましたが、古くから食用として利用されていました。プルトニウム239を優先的に吸着します。
先述したフコイダンについてですが、ロシアではこれを解毒に使う研究がされてきました。結果、がん細胞を自殺させるアポトーシスに効果があることなどわかっています。
さて、海藻を食べるにも、海藻自体が汚染されているのではないかと心配になる方もおられるでしょう。確かに、放射能汚染水が流れ出た沖合や海域では、海藻が汚染されていることは当然ありえます。
しかし、海藻は回遊魚のように、基本的に長い距離を移動していく生き物ではありません。汚染の心配の少ない沖合での海藻を選び、検査の結果で異常がなければさほど心配することはないでしょう。大事なことは、頭ごなしに避けることよりもまずは栄養補給を優先すること、そして良いものや安全なものを見極める情報を持つことです。
せっかくの良い食材を逃す方がデメリットが高いといえるかもしれません。ここは皆さんの方で判断してください。ちなみに、効果があるからといって食べ過ぎる必要はなく、少量でも「習慣化」することが何よりも大切です。