ストレスは私たちが想像する以上にホルモンバランスを崩します。
脳が強いストレスを感じると、性ホルモンの分泌は後回しにし、命に関わるほうの指令を優先するからです。
私たちの文明社会では利便性が高く物質的に豊かではありますが、反面、過剰なストレスにおいて精神面が不安定となっている人が多いとされています。
一方、伝統社会や未開社会では、(私はいくつかの世界の民族をまわりましたが)地味で不便な生活をしていますが、ストレスはほとんどなく、心の豊かさというものを強く感じます。
ストレス対抗のメカニズムは脳からはじまり、「視床下部→脳下垂体→副腎」間の相互作用によってコントロールされており、この仕組みをHPA軸といいます。
脳は強いストレスを感じると、このHPA軸を介して、副腎皮質でグルココルチコイドというホルモンを生産しまする。
このグルココルチコイドの中でも、最も生理作用が強いもコルチゾールという抗ストレスホルモンは、男性ホルモンであるテストステロンや、女性ホルモンであるエストロゲン・プロゲステロンなどの性ホルモン(生殖ホルモン)の分泌を抑えることがわかっています。
これは、各種ホルモンの原料は同じコレステロールであるため、一方に使われ続ければ、当然、他方の生合成にも影響が出ることを意味しています。
また、HPA軸の視床下部から下垂体に働くCRFという副腎皮質を刺激するホルモンが、生殖ホルモンを刺激するホルモンの分泌を抑制するからです。
さらに、フィードバック機構によっても、抗ストレスホルモンは生殖ホルモンを抑制します。
また、ストレスが大きくかかることによって、活性酸素が発生し、この酸化によって男性の精子や女性の卵子を老化させてしまうのです。
副腎はいろいろなホルモンを分泌する内分泌器官であり、あらゆるストレスに対して対処していく臓器のため、副腎疲労症候群が認められると、栄養療法として、ビタミンCやマグネシウム、ビタミンB群などが投与されます。
もちろんこうした栄養補給は必要なのですが、その前に少し考えてみてください。もし皆さんの体が疲れ果てて家に帰ったとき、まずしたいことといえば体をゆっくり休めることではないでしょうか。
内臓も同じで、栄養補給も何も、まずはゆっくり休みたいはずです。
その環境が継続してまっては、どんなに栄養補給しても、いたちごっこかもしれません。
まずはその環境から休ませることを内臓は望んでいるはずです。
状況にもよりますが、栄養補給はその後です。
そして、大元の原因であるストレス環境から回避させることです。
いくら栄養補給しても、まずしっかりと休ませること、そしてストレス環境からできるだけ回避できる方法や、ものの考え方などを取り入れることも大切なはずです。
以上のように、ストレスが持続的になっていると、知らないうちに私たちのホルモンバランスを崩してしまうのです。
栄養補給も大事ですが、まずはこうした環境から回避することも大事なのです。