日本の大規模コホート研究の一つ、JACC研究で、「日本人のビタミンD摂取量と脳卒中や冠状動脈性心疾患の死亡リスクが逆相関する」という発表がありました(Sheerah HA et al;Stroke.2018 Jan 8)。
このコホート研究では、40?79歳の健康な日本人 58,646人(男性23,099人、女性35,547人)を対象に、食事内容からビタミンD摂取量を計算し、1989年から2009年までの期間の前向き研究を行ったものです。
結果、ビタミンDの摂取は、脳卒中のなかでも特に脳実質内出血による死亡リスクと逆相関したことがわかりました。
つまり、ビタミンDは脳卒中を予防できる可能性があるということです。
実際に、脳卒中リスクが高い人(または脳卒中患者)は血中のビタミンDレベルが低いことが多いというような報告は欧米をはじめ、各国が発表していました。
ビタミンD欠乏は、脳卒中をはじめ心血管疾患の危険因子として最近では提唱されはじめています。
ビタミンDは、神経栄養因子(BDNF)の活性化や神経細胞死の抑制など神経の保護効果や、抗血栓作用があるという臨床報告があります
(Curr Vasc Pharmacol. 2014 Jan;12(1):117-24)。
こうした背景の中で、今回のこの日本の大規模研究でも同様な結果が得られたことは、とても信頼性の高いものとなります。
しかも、1日に440 IU以上の摂取量は110 IU以下の摂取と比較した時、ハザード比が脳卒中で0.70、脳実質内出血で0.66でした。
最高ランク440 IUの摂取でこれだけのハザード比があったのならば、私が個人的に推奨している2000IU~最大4000IU (日光浴+食事で満たす)であれば、もっと良好な結果を得られるかもしれません。
ただし、この量は同時にマグネシウム350~400mg/日の摂取もしなければなりません。
ビタミンDはその代謝において十分なマグネシウム量を必要とします。
ビタミンDは脳卒中予防や抗血栓作用があり、現代人の多くが欠乏してしまっている栄養素の一つです。
ぜひ意識して、日光浴や食事から摂取してもらいたいものです。