ビタミンB1(=チアミン)は日本人に最も不足しやすいビタミンといわれています。
ビタミンB1欠乏といえば脚気(=アジアに多い)やウェルニッケ脳症(=欧米に多い)があげられますが、これは過去の病気とされてきました。
しかし、このような明らかな欠乏症はなくても、慢性的な疲労に悩まされる潜在的なビタミン欠乏症は医療現場では多くみられるようです。
ビタミンB1欠乏は、昔は飢餓による栄養失調や精製白米などが原因でしたが、今では飽食時代における偏食や糖質摂取過多、アルコール摂取過多などが上げられます。
ビタミンB1は糖質のエネルギー代謝時に主に使用されます。
また、神経の働きにも重要で、中枢神経(脳・脊髄)や末梢神経(体の末梢部)の作用を保持するのに役立っています。
筋肉が正常に機能するのにもB1は必要であり、欠乏すると筋力が低下することがあります。
さて、ビタミンB1は水溶性のため、大量に摂取しても排出されやすい栄養素です。
そのため、より加工度が低く、素材を重視した、あまり手のくわえていない調理が肝になります。
また、甘いもの好きは要注意で、過剰な精製糖質の摂取により、解糖系エネルギーが亢進してしまい、多くのB1が消耗され、枯渇する可能性があるのです。
ここで、ビタミンB1の摂取方法のポイントをまとめておきましょう。
ビタミンB1のようなビタミンB群は、単体でとらえるのではなく、B群として複合的にとらえる必要があります。
つまりB群はチームであり、体内ではこれらが相互的に影響し合っています。
そのため、B1の摂取において、他のB群が不足してしまうと、その吸収も損なわれてしまうのです。
特にB1の吸収には葉酸が必要であり、続いてB12も必要です。
また吸収機構を考慮すればナトリウムが必要になります。
減塩ではなく、減精製塩・増自然塩が大切です。
慢性的にビタミンB1不足が続くと、エネルギー代謝においてミトコンドリアのマトリックスに運ばれたピルビン酸がアセチルCoAに変換するのが低下してしまい、その結果ピルビン酸からその先の反応が進まず、エネルギー不足になり疲れやすい体質に変わっていってしまいます。
筋肉での消費率も高いためB1欠乏では運動の持続性がなくなったり、筋肉が減ってくると血糖値を上昇しやすい体質にもなります。
ちなみに、B1の多い食品は動物性では豚肉、レバー、カツオ、うなぎなど、植物性では大豆、小豆、昆布、海苔などです。