カフェインは基本的に体内で分泌されるCYP1A2という分解酵素によって分解されますが、日々大量な摂取をしていると、その代謝能には限界があり、排泄されずに残留したカフェインはあらゆる組織に届いてしまいます。
また、この分解酵素の遺伝子についても、代謝能は人によってさまざまであり、活性が弱い人もいるのです。
私たちの体は常に情報伝達によって、活動や代謝が正常に働きます。
情報伝達は神経を介したり、脳だけからではなく、臓器間でも行われています。その仕事をしているのが、血液に流れているホルモンです。
私たちは強いストレスを受けると、副腎からアドレナリンが分泌されます。アドレナリンは血液に放出され、脂肪組織まで届くと、その受容体に結合し、ストレスに対抗するための闘争(または逃走)用のエネルギーを供給するように指示します。
この受容体はアドレナリンが届くとすぐに、大量のcAMP(サイクリックAMP)という情報伝達物質を自分の細胞内にばらまきます。
cAMPは各組織にエネルギーを届けるため、細胞内の中性脂肪を分解する酵素を刺激していきます。
こうして脂肪細胞内の中性脂肪から分解された遊離脂肪酸は血流にのって、脳や筋肉に運ばれ、ストレス対応に使われるのです。
ここで、本来ならば、役目を終えたcAMPはホスホジエステラーゼ(PDE)という酵素によって消失されます。
ところが、カフェインが細胞内にあると、このPDE酵素が阻害され働かなくなってしまうのです。
そうすると、どうなるでしょう。
カフェインによってPDEの作用が阻害されてしまうと、cAMPは残留してしまいます。
大量のcAMPが残ると、過剰な遊離脂肪酸を血流に放出したままになってしまいます。
筋肉や脳でこの過剰な遊離脂肪酸の消費が追いつかないと、悪玉の脂肪になって、そのまま全身を巡ってしまうのです。
この遊離脂肪酸は肝臓に届けばそのまま脂肪肝になり、運悪く動脈壁にくっつけば動脈硬化の材料になってしまう可能性があります。
(しかし、実際にカフェインが本当に脂肪肝をもたらすかの証拠は薄いかもしれない。中にはそういう人もいるかもしれないという程度だ。)
いずれにしても、カフェインは血中に遊離脂肪酸を高め、アドレナリン分泌を必要以上に促進してしまいます。
朝から自然とカフェイン食品に手が伸びる人は、実は代謝障害や低血糖に対処するためにアドレナリンに頼っているだけということもあるかもしれません。