なぜ病気があるのか          生物史から、自然の摂理を読み解く


なぜ病気があるのか?~「進化医学」の視点から考える

 

「医学」が、病気とは何か?どのように病気になるか?という「what」「how」を追求する学問とすると、なぜ病気にかかるのか?

なぜ病気というものがあるのか?という「why」を、生物の歴史の中から解き明かすことで、その病気そのものの進化学的意味を問い直すのが「進化医学」と呼ばれる新しい学問です。

 

今回は、この「進化医学」の視点から、38億年の生命進化、5億年の脊椎動物の進化の中でヒトの病気とはどういう意味を持つのか?考えてみます。

取り上げるのは、もっとも一般的な病気のひとつ「風邪」、その風邪に伴う症状「発熱」です。

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■風邪の症状は身体の防御反応

風邪はライノウイルスなどの「風邪ウイルス」が喉や鼻の細胞に侵入(感染)・増殖することによって起こります。風邪を起こすウィルスは多く存在しますが、身体の中で起こっていることは基本的に同じです。

 

実は、風邪というのは固有の病名ではなく、呼吸に関係する喉や鼻を中心に起こるさまざまな症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳、喉の痛み、疾、発熱、倦怠感、頭痛、下痢、嘔吐、食欲不振など)を示す「風邪症候群」といわれる状態をまとめた呼び方です。

こうした症状は、それらのほとんどが、ウイルスに対して引き起こされる身体の防御反応が「症状」となって現れたもので、ウイルスが持つ化学的毒性によって身体が異変を起こしているわけではありません。

 

■発熱と倦怠感

風邪の全身症状の典型が「発熱」です。それに伴って「倦怠感」を感じたり、食欲不振に陥ったりします。

ヒトの身体には設定体温を保つしくみを持っていて、平常時は36~37度で保たれています。風邪をひいて発熱したときには寒気を感じ、たとえ37度の体温があっても身体は寒いときと同じ反応を示します。これは、風邪ウイルスに感染した結果、設定体温が(例えば)39度に変更になるためで、身体は体温が37度では寒いと感じ、設定体温の39度に達してはじめて寒気を感じない状態になります。

 

身体の中でも比較的温度が低い(33~34度)喉や鼻に風邪ウィルスは感染します。逆に高い温度に弱いウィルスはそれ以上高温になっている身体の奥深くには入っていけません。したがって、風邪の時に体温が上がるのは、結果的に喉や鼻の温度も高くなり、ウィルスの増殖を抑えることになります。つまり、風邪をひくと身体が設定体温を上げるのは、進化の過程で獲得した、ウィルスと戦うための生存に有利な性質なのです。

 

ただし、体温が上がってもウィルスの増殖が低下するだけで、ウィルスが体内から消失するわけではありません。最終的には、リンパ球などの免疫細胞の働きにより、ウィルスを処理しますが、実は、さまざまな免疫細胞の働きも、体温が高いほうが速やかに進むことがわかってきています。

 

また、発熱などと同時に見られる風邪の典型的な症状のひとつの「倦怠感」も、ヒトに安静を強いることでそのエネルギーを発熱や防御反応に振り向けることができることから、生存に「有利」な性質だと考えられます。

こにように「発熱」や「倦怠感」は、ヒトにとって必要な症状なのです。

 

■不快感は身体のシグナル

医学や薬が登場するはるか以前から、脊椎動物はウィルスと共存してきました。様々なウィルスや細菌の感染を受けながらも絶滅せずに今日に至っているのは、ウィルスや細菌感染に対抗するしくみを進化させてきたからに他なりません。

逆にいうと、繰り返し起こった世界的な感染症の流行を乗り越えて生き残ってきたヒトの子孫である私たちは、感染症に対する強い抵抗性を持っていると考えられます。つまり、病原生物との戦いに生き残る性質を持つことで進化してきたのが、今生きている私たちなのです。

 

実際、ヒトは、ウィルスや細菌の感染に対抗するためのかなり良くできたしくみ(免疫システム)を進化させてきました。これまでみてきた通り、「発熱」は体内にウィルスや細菌が侵入しているという警報であるとともに、ウィルスの増殖を抑制し、免疫系の細胞を活性化する働きを持ちます。

また、発熱による「倦怠感」は、休息をとりなさいという身体からの指令の現れでヒトにとって必要な症状です。

 

もちろん、「発熱」や「倦怠感」などの症状を、不快と感じる人が多くいることも確かです。しかし、こらの「不快感」は、身体がウィルスや細菌に正常に反応して、身体を元の状態に戻そうとしていることの現れであり、この不快感に身を任せることが病気からの自然治癒を促すことになるのです。

そう考えると、この不快感は必ずしも嫌悪すべきもの、排除すべきものではない事に気づきます。

 

同時に、これまでのように「薬」に頼ってそれを解消しようとすることが、どれだけ不自然なことにも気づきます。

まず、自然な身体の反応に身を任せてみる。その経過を見て必要があれば薬を併用する。そう考えておいた方が良さそうです。

 








          たきがみ博士の想い

 

誰でも、自分の中に伝統がある。自分が経験したすべての過去の累積、それが”いま”のわたし。

過去とは思いだすこと、現在(いま)は過去の必然、そして、未来は想い、選択すること。

いまは、変えられない。

しかし、人には明日があり、未来がある。明日は、こうありたいと想いを持つことができる。

 

すてきな明日に向かって、”これからへの想い”を具体化するJourney、しっかり楽しみたいと思います。

そして、”いま、ここ”を丁寧に活きる。

みずからの人生の軌跡を、すてきな笑顔でみつめるために。

 

旬(ときめき)亭 亭主 たきがみ博士
  たきがみ博士


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