ぜんそくは従来、気道が狭くなったり、過敏になることが原因で起こると考えられてきました。
しかし最近は、もともとの原因は気道の炎症とされています。
気道の炎症を繰り返すことで、ちょっとしたことで過敏になり、咳や痰が出やすくなります。
また、気管支壁も厚くなり、気道が狭まりやすくなるのです。
ぜんそくの患者さんの気道には、肥満細胞や好酸球・リンパ球といった、炎症に関係する細胞などがたくさんみられます。
肥満細胞がぜんそくとどういう関係があるのと思われるかもしれません。
私たちのからだにアレルギー物質などの異物が入ると、免疫の働きによってさまざまな抗体がつくられますが、肥満細胞の表面にはIgE抗体がつくられます。
このIgE抗体の働きによって、ヒスタミンなどの物質が放出され、気道の収縮を引き起こします。
また、気道の粘膜にはさまざまな生理活性物質がつくられ、炎症を起こし、過敏になります。
その結果、咳や喘鳴、呼吸困難などが起こりやすくなるのです。
原因が慢性的な炎症にあることから、ぜんそくは生活習慣病と同様に、慢性疾患のひとつとされています。
治療法も、従来は発作が起きたときに緩和する対症療法が中心でした。
しかし現在では、気道の炎症を改善し、発作を予防する(予防的治療)方向へと大きく転換しています。
それだけに、薬による治療に加えて、生活習慣の改善も重視されています。
ぜんそくの発作を予防するには、医師まかせにするのではなく、日常生活における自己管理も欠かせません。
1.気道の状態を知っておく
息を勢いよく吐き出したときに息が流れる速さを測定する機器(ピークフローメーター)で、気道の狭まり程度を知ることができます。
大人のぜんそくでは、症状が自然に改善され、治ったようにみえることがあります。
ところが実際には気道が狭くなっていて、気付かずにいるといきなり激しい発作に見舞われかねません。
気道の状態を知ることは、こうした発作の予防に役立ちます。
毎日の測定値などを記録し、診断時に医師に見せるようにしましょう)。
2.アレルゲンを減らす
アレルギー性ぜんそくでは、原因物質をできるだけ減らす心がけが大切です。
ハウスダストやダニの糞などが原因の場合には、室内の掃除を徹底して行いましょう。
たばこは、煙などが発作を誘発するだけでなく、気道を狭める原因ともなるので、禁煙するようにしましょう。
3.風邪に気を付ける
大人の場合、風邪をきっかけにぜんそくが発症することも少なくありません。
風邪をひかないように心がけると同時に、市販の風邪薬や解熱鎮痛薬を安易に使わないようにしましょう。
4.気候の変化に注意する
ぜんそくの発作は、気候が不安定な時期に起こりやすい傾向がみられます。
とくに前線の通過などで気温が急に下がったときは要注意です。
5.激しい運動を控える
運動が、ぜんそく発作の引き金となることもあります。
運動を行うときは事前に医師に相談し、どの程度の運動ならよいかを知っておきましょう。
6.ストレスをためない
大人のぜんそくでは、ストレスが誘因となって発作を起こすこともあります。
積極的に気分転換を図り、睡眠を十分にとって、ストレスをためないように心がけることも大切です。