ごめんなさい・許して・愛してる・ありがとう


すてきに活きるこころのおきどころ


     

     所詮、人生は心一つの置きどころ。

 

     人間の心で行う思い方、考え方が、人生の一切を良くもし、悪くもする、というのが人生支配の根本原則である。

 

     思い方や考え方が積極的であれば、積極的なものが出来、消極的なら消極的なものが出来る。

 

     何事においても、そのときの心の状態が、成功を生み、また失敗に追いやる。

 

                                             『運命を拓く』(中村天風)

 


 

「仕事をする」のは、生活の糧のために仕事をするのか、何か大切な役割のための仕事なのかで動機が全く違ってきます。

 

もし、今の仕事に満足していなければ、その仕事を「人生」というもっと大きな流れの中で、自分にとってどのような意味があるのかを俯瞰して見てみるのです。

 

これまでとは違ったものが見えてくるはずです。

 

病気も同じことです。

 

成し遂げたいことがあるから病気を治したいのか、ただ病気を治したいから治療をするのかで、回復の程度もスピードも異なります。

 

病気は、「自分が本来あるべき人生からズレているんだよ」と知らせてくれるサインであって、敵や怖いものだと感じる必要はありません。

 

病気からヒントを得て、考え方をシフトしてみることで、体調だけでなく、人生にも変化が起きるのです。

 

 


 

 

自分には自分に与えられた道がある

 

天与の尊い道がある

 

どんな道かは知らないが

 

他の人には歩めない

 

自分だけしか歩めない

 

二度と歩めぬかけがえのないこの道

 

広いときもある

 

狭いときもある

 

のぼりもあれば、くだりもある

 

坦々としたときもあれば

 

かきわけかきわけ汗するときもある

 

この道が果たしてよいのか悪いのか

 

思案にあまるときもあろう

 

なぐさめを求めたくなるときもあろう

 

しかし、所詮はこの道しかないのではないか

 

あきらめろと言うのではない

 

いま立っているこの道

 

いま歩んでいるこの道

 

とにかくこの道を休まず歩むことである

 

自分だけしか歩めない大事な道ではないか

 

自分だけに与えられている

 

かけがえのないこの道ではないか

 

他人の道に心を奪われ

 

思案にくれて立ちすくんでいても

 

道は少しもひらけない

 

道をひらくためには

 

まず歩まねばならぬ

 

心を定め、懸命に歩まねばならぬ

 

それがたとえ遠い道のように思えても

 

休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる

 

深い喜びも生まれてくる

 

 



こころ豊かなライフスタイル        


◇「愛」  人間が人間らしく生きていく 

  多様性を認め合い、そのことを楽しめる、自分という個を尊ぶことができる社会

 

  愛とは、相手を大切にする心の働きであり、相手を認める心です。 

  人間が社会の中で人間らしく生きていくための心の働き、生命をいつくしむ共生の心、それが愛。  

  共に生きるという本能からくる直感的な愛が自己責任という確かな生き方に裏付けられて、

  はじめて人間が人間らしく生きていくことができる。 

 

 

 

◇「夢」  活き活きとした自分を実現する、愛という価値で夢を満たしていく、そんな自分でありたい 

  活き活きとした活力ある、みずみずしい愛のある人間関係が息づく、絆のなかに生きているという実感のある社会

   

  明るい未来を描けること、それが夢。

  今日よりも明日が良くなるという実感を持てることが、活き活きとした活力の源になります。   

 

 

 

◇「絆」  みずみずしい愛にあふれた人と人の関係を実現する 

  すべての生命体と共生をはかり、繊細な生態系にいかされていることを自覚できる社会

 

  相手を大切にし、認め、活かすような関係、そこには人間としての豊かな心の働きがあります。   

  そして、その絆の中でこそ個人が輝きます。 

  絆は社会を共に創り出すという共創の機能そのものです。 

 

 

 

そのために、

 

 ・楽をするから楽しむへ 

  お金で得られる楽に代わって、自分の時間を上手に使って得られる充実感を楽しむ。 

  

 

 ・量の消費から質の追求へ 

  生活のさまざまな面で高質化が進む、本物が使われる時代、本物には社会に対する考えの主張があります。   

  相手を大切にする心が形になった本物のある暮らしが始まる。 

 

 

 ・生態系と共生する 

  自然を身近に感じ、生命を大切にするくらしが始まる。 

  自然のすばらしさを感じ、自然を活かす行動、自然のリズム・ゆったりとした時の流れに身体が共鳴する。   

 

 

 ・創造する喜び 

  ものづくりのあるくらしは、物事を知り、協力し、ものを循環させる。

  創造する喜びのあるくらしは、自分らしさを生み出す。 

 

 

 ・人と人の絆を実感する 

  個人がそれぞれの時間や能力を生かして、役割を果し、楽しみながらたすけあいのあるくらしを実現する。   

 

 

 ・稼ぐから、仕事をする、生活をするへ 

  仕事とはどれだけ自分を豊かにできたかである。 

 

 

 ・未来を見つめる心を形にする 

  環境と生命を育む、子どもを育む、自分を育む、文化を育む。 

  自分の行動が具体的な形になっていくことを実感する喜び。 

 

 

 ・愛を実践する 

  個人が中心でありながら、人と人が良い関係を築く、人を認め、受け入れ、個人を活かすくらしが

  こころ豊かな生活につながる。 


 



成功の心理学
                成功の心理学

◇すてきに活きるためには、 

  ・人生にはタイムアウトがないし、選手交代もない。時計は一瞬の滞りもなく、時を刻んでいる。 

  ・すてきに活きるとは、生まれ持った才能や潜在能力を活かし、伸ばすこと。 

  ・すてきに活きるとは、自分自身を、高い自己評価をもてる人間に完成させるという夢を実現する

   こと。 

  ・すてきに活きるとは、他人のために自分自身を惜しげもなく、捧げること。 

  ・すてきに活きるとは、自分が自分自身であることを喜べること。 

  ・すてきに活きるとは、長い間に形成されてきた習慣である。 

  ・すてきに活きるとは、無条件の愛情であり、考え方であり、生き方である。 

 

  ★すてきに活きるか否かを決定づけるのは、持って生まれた能力ではない、心構えである 

   

 

◇私に他人の気持ちを知る能力を授けたまえ 

  ・すてきに活きるためには、自分をよく知ることから始めなければならない。 

  ・自分を知り、自分の能力を信じ、自分に対して誠実であり、向上心をわすれないこと。 

  ・世の中で何が起こり、自分に何が求められているか、自分には多くの可能性があり、自分の能力を活かす方法を探す。 

  ・人間は一人ひとり違っているのが当たり前。 

  ・敵意、怒り、憂鬱、孤独、不安などの感情を持たないで、対立したり、敵意や怒りを感じたら、立ち止まって大きく深呼吸し、

   自分をリラックスさせた状態においておくこと。 

 

  ★自分自身を愛し、その愛を人々に分け与えよう。あなたが感じているすべての愛を、いますぐに 

   

 

◇自分を愛することができなくて、他人を愛することができようか 

  ・どんな時代に生きようと、私はほかの誰かであるより、自分でありたい。 

   すてきに活きる人は、自分には生きる価値があるという強い自信を持っている。 

  ・すてきに活きる人は、過去に何度失敗していようが、それは問題でないことを知っている。 

   自分を周囲の他人と較べるのではなく、しっかりと自分を見つめ、成功体験を積み重ね、自信を築くことに注力する。 

  ・完璧な人間など存在しない、みずからの個性を認識し、自分が置かれている状況をありのままに受け入れること。 

  ・自分を卑下することなく、自分の個性を発掘し、認識し、磨くこと。 

  ・お世辞や祝福には、間違った謙遜をしないで、ありのままの自分を認めてもらったことを喜び、ありがとうと応じること。 

  ・未完成で、変化しつつ成長する価値ある人間として、あるがままの自分を受け容れること。 

   

  ★すてきに活きていないひとは、伝統的なスタイルで暮らしている。いつか私は - - -という言葉がどこにもない国で。 

    すてきに活きるひとは、今日という日は二度とこないという気持ちで生きている。 

    将来でもなく、過去でもなく、いまを 

 

 

◇人生とは、自分ひとりで成し遂げなければならない大事業 

  ・すてきに活きるひとは、起こるがままに任せるのではなく、事が起こるようにする。 

  ・自分の選んだ行動の結果としていまの自分がある。 

  ・やらなければならないことはない、何事も私が決めるのである。 

  ・自分の行為に対する賞賛も批判も、すべて私が受ける。 

  ・私は自分の人生の運転席に座っている。 

  ・人生において、何が起こるかは大して重要なことではない。 

   重要なのは、その出来事を自分がどう受け止めるかなのである。 

   

  ★私たちは、つねづねこうなりたいと望んでいるものになれる 

 

 

◇すてきに活きるひとが絶えず考えるのは、願望であって、けっして限界ではない 

  ・願望とは、いまいる場所と活きたい場所を結びつける感情である。 

  ・人間が本当に求めているものは、安全などではない。 

   目標に向かって努力し、苦闘することであり、それこそが価値あることなのだ。 

  ・すてきに活きるひとは、考える焦点を問題に絞るのではなく、解決に意識を絞り込む。 

  ・恐怖にとりつかれたひとは、自分で決断できなくなり、積極的に行動しようとする姿勢も失われる。 

   恐怖に圧倒されまいと反抗的になったり、過剰に防衛したりして能力を活かすことができない。 

  ・疑いと恐れを克服することは、失敗を超越すること。 

   それらが克服されたとき、人間の思いは強力なパワーに満ち溢れる。 

  ・すてきに活きるためには、気力、集中力、忍耐力が求められる。 

  ・自分への期待感を持つこと。 

  ・恐怖と願望は最高の刺激剤であるが、恐怖は破壊的な働きをし、願望は目標達成、幸福へとつなげる。 

   

  ★ものごとは、たいてい思い通りになる。 

    なぜなら、自分の星占いを自分への大いなる期待からつくりだしているから 

 

 

◇身体は、こころの中に秘めていることを必ず具現する 

  ・すてきに活きることを期待しないものは、すてきに活きることはできない。 

  ・楽観、熱中、信念、期待、これらは、自分が自分に期待すること。 

   

  ★あなたの楽観イメージは、すてきに活きる自動操縦装置 

 

 

◇ひとは、そうみられたいと思っている人物像になっていく 

  ・子どものころから、思考と経験、屈辱と喝采、失敗と成功を繰り返しながら生きている。 

   ひとは、自分はこういう人間だという事実にそって振舞うわけではなく、自分はこういう人間なのだと考える自分のイメージに

   従って振舞う。 

  ・自己イメージは人間のタイプと可能性を決定づける。私たちは、自分で描いたこころの中の自画像にコントロールされている。 

  ・自分が変わっていくのがわかる。成長し、目標を定め、すてきに活きようとしている自分がよく見える。 

  ・自己イメージは、いままでに経験してきたすべての物事に対する感情、喜び、恐怖、怒り、悲しみなどがすべて含まれ、できている。 

  ・すてきに生きるひとは、自己イメージの中に自分が理想とする人物を想像し、思い描く。 

 

  ★わたしは繭から飛び出して、月に足跡を残すだろう。 

    わたしがずっと願っていることは、そういうひとになること。それはわたししだい 

 

 

◇目的地を持たない船に、追い風は吹かない 

  ・すてきに活きるひとは、自分がいまどこに向かっているかを知っている。 

  ・ひとは、自分の存在価値を確信しているときは、どんな飢餓や拷問にも耐えていける。 

  ・すてきに活きるひとは、目標が自分の人生の中に溶け込んだとき、目標達成はほとんど時間の問題となることを知っている。 

   

  ★人生で起こるあらゆることは、自分で引き起こしたこと。 

    誰かのせいにはできない、自分のとらえ方しだいなのだ 

 

 

◇習慣は害のない思考ともいえるが、うつろいやすく、存在感のない行為でもある。 

  しかし、実践(訓練)を積むことによって、一生を左右するほどの強い意思に変えられる。 

  ・すてきに活きるひとは、けっして引き下がらない、けっしてあきらめない。 

  ・すてきに活きるひとは、たとえ挫折したとしても自分で立ち上がり、失敗の原因を探り出し、はじめからやり直し、

   すてきに活きることを習慣にしている。 

   

  ★その日その日をすてきに活きるには、目標を持ち日々を過ごすこと。 

    あなたのすべてのエネルギーを、あなたの目標へ、理想像へ向かって、注いでいくのだ 

 

 

◇ひとは自然がつくりだした生命の泉だ。あなたも自然の一部であり、わたしもそうだ 

  ・すてきに活きるひとは、豊かな人生観を持っている。個人の枠を超えて、人生の意味を探し求めている。 

  ・すてきに活きるひとは、”いま”を活きる。すてきに活きるひとは、過去に生きようとはしない。 

   間違いを繰り返さず、幸福だった思い出を反芻しながら、過去から学ぶ。 

  ・すてきに活きるひとは、肉体は滅びる運命にあることを理解している。だから、美しく年をとっていくことができる。 

  ・すてきに活きるひとは、 

     聞く時間をつくる      : 来年の春は、鳥の声が聞かれなくなるかもしれないと思うから 

     子どものために時間をつくる : 子どもたちは、もうすぐ弓に番(つが)えた矢のように、自分のもとから飛び出してしまうから 

     家族のために時間をつくる  : 家族は、一番大切な身近な存在だから 

     読書の時間をつくる     : 本は、知識を授けてくれるから 

     働く時間をつくる      : 山に登らなければ、眺望は楽しめないから 

     健康づくりの時間をつくる  : 健康は、病気になるまでその存在に気付かず、失ってはじめて大切さがわかるものだと

                      知っているから 

  ・豊かな人生観を持つことは、生命体の傷つきやすい脆さや、生態系の微妙なバランスを理解することだ。 

  ・すてきに活きているひとは言う、「私はいまという瞬間を生きている。できるかぎり楽しみ、皆と一緒に過ごし、何かをやり、

   私の幸福を分け与えたい」 

   

  ★思いつく + 信じる、 具象化する + 自分のものにする、 想像する + 具体的になぞる 

 

 

◇どういうふうに歩き、話し、聞き、そして見るかが、あなた自身をつくる 

  ・すてきに活きるひとは、部屋に入ったとき、最初に目につくひとのこと、力強い自己表現の生きたお手本だ。 

  ・すてきに活きるひとは、自然にふるまっている姿に親しみがある。 

  ・ひとは、他人にどう映っているかを基準にして行動するのではなく、自分にどう感じられるかを基準に行動する。 

   

  ★人生の目標を達成しようとするとき、限界がたった一つある。それは、自分が決めた限界だ 

 



これから、これから!


 

誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか。

 

働き方、学び方、結婚、子育て、人生のすべてが変わる。

 

目前に迫る長寿社会を楽しむバイブル。

 

世界で活躍するビジネス思想家が示す、新しい人生のビジョン。

 

               みんなが足並みをそろえて教育、勤労、引退という

                  3つのステージを生きた時代は終わった。

 

 


人生前半の仕事が10万時間、後半の自由な時間が10万時間。高齢化により、どっと多くの日本人が人生後半に突入している。

 

古代インドの人生訓として「四住期」という教えがある。人生を4つの期間に分けて、それぞれの期間における理想的な過ごし方を説くものだ。

 

(1)学生期:良き師を得て勉学に勤しむ時期

(2)家住期:家庭にあって子をもうけ、一家を営む時期

(3)林住期:森林に隠棲して静かに瞑想・修行する時期

(4)遊行期:一定の居宅をあえて持たず、諸国を放浪・遊行する時期

 

今と比べれば平均寿命が著しく短かった古代インドにあって、子どもを一人前に育てた後、林住期や遊行期まで命が持ちこたえることは稀だった。だから、多くの古代インド人にとっては、四住期は厳しい現実とかけ離れた夢、理想だった。

 

 

さて、古代インドから時空を飛び越えた現代日本。平均寿命は著しく延びた。欧州では1910年に、そして日本では1947年に平均寿命が50歳を超えた。そして、周知の通り日本人の平均寿命は、2012年時点で男性79.9歳、女性86.4歳にまで延びている。

 

平均寿命を単純に比較すれば、平均的な日本人にとって、古代インド人から見れば夢のまた夢だった学生期、家住期、林住期、遊行期のすべての時期を過ごすことが可能となっているのである。

 

 

四住期を現代日本にあてはめて年齢的に区分してみると、おおむね次のようになるだろう。

 

(1)学生期:25歳くらいまで

(2)家住期:50歳くらいまで(65歳が定年)

(3)林住期:75歳くらいまで

(4)遊行期:それ以降

 

さて、1日の労働や通勤に費やす労働関連時間として9 時間、そして睡眠、食事、お風呂に入るなどの生活時間を9 時間と仮定してみよう。ここで、引き上げられつつある退職年齢の65歳で線を引いてみる。

 

家住期の就業中の「労働関連時間」=9時間×250日(年間労働日数)×43年(22歳で大学を卒業してから65歳で退職するまでの43年)=9万6750時間。

 

定年後の林住期、遊行期の「自由な時間」=15時間(生活時間を9時間とし、1日15時間を自由に活動できるとする)×365日×15~21年(65歳から男性80歳・女性86歳までの15~21年間)=8万2100~11万5000時間。

 

すると、どちらも10万時間前後となる。現在働いている読者の皆さんは、今までに長いこと働いてきた方が多いと思われる。その労働時間に匹敵するか、それ以上に長い自由時間が定年後にあるという現実を予見して、何を思うだろうか。

 

今後日本の総人口は減りながらも65歳以上の高齢者は増えてゆく。

すなわち、高齢化率は上昇を続け、2013年にはすでに4人に1人が、そして2035年には3人に1人が65歳以上となる。さらに2060年には2.5人に1人が65歳以上となってゆく。

 

さて人生前半の10万時間はとかく忙しい。

人は、人生前半の10万時間で、どっぷりと近代資本主義と市場に参加する。差別化の効いた能力や資格をテコにしつつ毎日午前9時から午後5時の貴重な時間をブチ抜きで働く。ローンを組んで家を買い、税金を払い、寸暇を惜しんで遊び、飲み、食べ、消費財、耐久消費財の購入に所得を割り振る。

産業社会の生産活動やイノベーション活動に貢献し、所得を得て家計を豊かにし、イノベーションの成果を生活に導入する。

 

ここで注意したいのは、「近代資本主義や市場競争は、人生前半の10万時間に焦点を置いている」という点だ。

近代資本主義や市場競争は、それに耐えうる人には「豊かさ」を、それに耐えられない人には冷酷な「排除」をもたらしている。

 

例えば子供の貧困問題。

毎年10万人近くの高校生が中退し、若年出産などを経て貧困のスパイラルに落ちてゆくという社会的な排除がある。

貧困家庭に育つ→高等教育を受ける機会が激減→不安定雇用にしか就けない→貧困層から抜けることができない、というように社会的な排除がスパイラル化している。

由々しき問題だ。

 

 

人生後半の10万時間に焦点を置く原理や道標になるような「~主義」があるのだろうか。

答えは「暗中模索かつ実験途上」となろう。人生後半の10万時間については、前述したように、人類史的にほとんど未踏の領域なのだ。

 

ただし、確実なことが1つだけある。人生前半の10万時間をターゲットにしてきた近代資本主義や市場競争の行動様式では、まったく立ち行かなくなるということだ。

 

要は定年後の10万時間の使い方そのものが、人類史的に未開拓なテーマであり、実は日本は、その実験の最先端にいる。定年後の10万時間は、光り輝く黄金にもなれば、鉛にもなるのである。

 

近代資本主義や市場競争は、金銭欲、物欲、消費欲、食欲、性欲などの欲望を刺激してやまない。

仏教のほうでは、これらの欲求の充足を求めてやまない自我を「小我」と呼ぶが、人生前半の10万時間では「小我」がどうしても勝ってしまう。

 

 

人生後半の10万時間では、「小我」を超え、自他の区別を超えてゆく「大我」に移行してゆく格好の時期でもあろう。

人生後半の10万時間では、多くの人にとってソーシャルな価値は3つに集約できるだろう。

(1)健康を維持・増進するケア

(2)自分の利益だけでなく他者のことを気にかけるケア

(3)自分が関わるコミュニティーへのケアである。

 

健康を得てはじめて人生後半の10万時間は生き生きとしてくる。

つまり慢性疾患に足を絡めとられないように、健康を増進し疾病予防に努めることが肝要だ。

 

人生前半の10万時間では、厳しい競争にさらされてサバイブするのか、いかに自分が得る利益を最大化するのかに関心が向かってしまう。

 

でも後半の10万時間は、むしろ、排除されている人々や利他を気にかけ、労働市場、製品市場、資本市場などお金との交換にとらわれない「場」としてのコミュニティーにおける活動が大切になってくる。

 

人生後半の10万時間に対応し、構想するのは、65歳を迎えたその時では遅すぎる。人生前半の10万時間のうちから長期的に準備しておくべきだろう。

つまり、ケアシフトは、人生後半の10万時間のみならず、人生前半の10万時間にも影響を与えるのである。

 

そんな中で、65歳を迎えるまでに、定年後の10万時間を光り輝くゴールデン・エイジにするために、自分と社会をゆるく小さく結ぶソーシャル起業を勧める。

 

いずれ手中にする10万時間の自由な時間の一部をソーシャルな仕事でクリエイティブに使うというシナリオだ。

 

シニア層は、長年の勤労義務から解放されつつあり、自由の自由たるゆえんの自問自答に熱心であり、環境、教育、雇用、貧困、格差、健康、福祉、人権、エネルギーに関わる社会問題にも敏感だ。

 

そして、現代日本の「豊かな」人々には、古代インドより、はるかに学びの自由度がある。

 

そこで人生をリセットし、人生後半の10万時間で新たなチャレンジに取り組んだり、近代資本主義や市場競争主義が生んできた「排除」に対して、問題解決行動を起こしたりすることができるのである。

 

人は、意識を変性させマインドフルになって、新たな文脈つまり世界にコネクトすることにより、新しい物語を紡ぐようになる。

コネクトし、橋渡しする両極、つまり、世界と自分が再帰的に変容してゆくのである。この過程では、自己変容と世界変容が相互交流し、再帰的に動いてゆく。

 

もとより、人はすぐれて自己組織的で複雑適応的な生きものだ。

ちょっとしたシステム思考、デザイン思考、マネジメント思考の方法を体得すれば、だれもが新しい物語、つまり、自己と世界の変容の只中に自分を置くことができるようになる。

 

人は、世界をケアすることによって自分をケアする。