リーキーガット症候群                  トンプソン 真理子


今日、日本人のなんと約70%が、程度の差こそあれ、このリーキーガットだと言われています。 リーキーガット(以下LGS)が、あらゆる慢性病の原因であるらしいと分かってきたのは実は結構最近のことです。

 

直訳すれば「漏れている腸」、これは腸の粘膜が何らかの原因で炎症を起こし、体を守ってくれている腸の壁が大きな穴だらけになって、本来通すべきでない大きな分子の食べ物や病原体、有毒物質が体内の血中に漏れ出してしまっている状態を言います。 

 

悪い食事内容や生活習慣のせいで消化がちゃんと出来ていないと、未消化の食べ物分子にバクテリアが作用して、有毒物質やガスを発生させます。こうしてできた体内毒素がまた腸に悪さをして、粘膜をどんどん浸食します。

これがリーキーガットの基本的なメカニズムです。そのほかにも、以下のような要因で起こる場合があります。

 

 

・アルコール・カフェインの摂取 (炎症物質)

・寄生虫やバクテリア (汚染された食べ物や水から)

・添加物 (着色料、保存料、香料など)

・酵素の不足 (セリアック病や乳糖不耐症などによる)

・精製された炭水化物・砂糖の摂り過ぎ

・ホルモン剤 (経口避妊ピルなど)

・カビや菌の毒 (古い穀物、果物、精製炭水化物からの)

・フリーラジカル 

・環境や歯の治療からの有毒物質にさらされること 

・ストレス

 

特に、以下の薬を常用している場合にLGSになりやすいです:

 

・解熱鎮痛薬 (非ステロイド系、抗炎症系のアスピリンやイブプロフェンなど)

・制酸薬

・ステロイド(プレドニゾンやハイドロコーティゾン[かゆみ止め軟膏]のようなコルチコステロイド剤)

・抗生物質 (腸管内に悪玉菌の繁殖を促進してしまう)

 

これらの薬の常用は、体の自然治癒能力を極端に弱らせてしまうため、体のセーフティーネットである腸粘膜をビリビリにしてしまいます。 そうなると有毒物質や病原体、食べ物分子がどっと血液に流れ込んでくるので、体はビックリしてこれらの異分子に対して抗体を作って反撃を始めます。 これがいわゆる自己免疫疾患です。

 

 

▶ リーキーガットになるとどうなる?

 

LGSは自分の健康な細胞を異分子としてやっつけるという自己免疫疾患に発展します。分かっているだけでも80もの自己免疫疾患があります(全身性紅斑性狼瘡、リウマチ性関節炎、クローン病、糖尿病など)。  腸とこの自己免疫疾患の関係を分かっている医師もだいぶ増えてきました。 研究では、ヒトの免疫活動の3分の2が腸で行われていることが分かっています。

アレルギーは元々この無害な食べ物の未消化のたんぱく質に対して抗体を作ることで起こります。 この抗体は体のあちこちの細胞に入り込み、その食べ物をまた食べた時に炎症反応を引き起こします。 炎症が関節に起こればリウマチに、脳に起これば筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群など)に、血管に起これば血管炎(血管の炎症)に、抗体が腸壁自体をやっつけると大腸炎やクローン病になります。 肺にくれば、その問題の食べ物を摂るたびに遅発型の喘息が起こることになります。

 

 

その他のLGS関連の症状:

 

・肌疾患 (アトピー、乾癬など)

・膵機能不全

・カンジダ症 (カンジダ菌の繁殖)

・化学物質過敏症

・慢性疲労

・頭痛

・物忘れ、集中力の低下

・かゆみ

・過敏性腸症候群(IBS)

・炎症性腸疾患(IBD)

 

LGSは子供の認知機能障害関連、特に自閉症にも関係があるようです。 自閉症の子の中には、MMRワクチン(はしか、おたふく風邪、風疹の3種混合の予防接種)をした時に腸に炎症が起こったりします。このために小麦のグルテンや牛乳のカゼインのようなたんぱく質が血中に流れ込んでしまい、これらの食べ物を食べるとアレルギー反応が出ます。

 

 

~リーキーガットはどうやって治したらいい? ~

 

▶ LGSはどう肝臓に影響するか

一旦毒素が血流に乗ると、最初にたどり着くところは肝臓です。 肝臓はこの毒素のために余計に働かないといけなくなります。そしてその毒素は、また体内の血流に戻されるか肝臓に留まるか、のどちらかになります。 毒素がまた腸に戻ってくると、腸壁はもっと炎症を起こしてもっと穴だらけになります。 この過程を『腸肝再循環』といいます。 

まとめると、毒素は 肝臓➡胆汁➡腸➡血流➡肝臓 でまた振出しに戻る、といった行程をたどります。 

 

LGSによって引き起こされた食品アレルギーは炎症を起こし、それが漏れをさらにひどくします。 このように、一旦リーキーガットになってしまうと、何か策を講じない限り悪循環に陥りやすいということです。

 

 

▶ LGSかどうかは どうやって診断される

あなたの症状がLGSによって引き起こされたものであるかどうかをみるためには、”腸透過性テスト”というのを行います。 この検査では、二つの糖分子(マンニトールとラクツロース)が腸の粘膜を通り抜けるどうかを調べます。

 

追記:日本ではアレルギーの検査として使用されている特異的IgE MAST33項目検査というのがリーキーガット症候群の検査の代用になります。ただ、リーキーガット症候群を真剣に学んだ医者でないと「あ、異常ないですね」で終わる場合が多いです。

残念…。(医師:石川眞樹夫氏談)

 

 

▶ では、どうやって治すの?

LGSの予防や治療には、毒素を減らすことが不可欠です。 汚染された環境から入ってくる外界からの毒素もあれば、消化がちゃんと出来てなくて発生する体内毒素もあります。 

消化を良くするには: 

 

・よく噛むこと、 

・食事の際に飲み物を飲み過ぎないこと、 

・食べ物の組み合わせを考えること

 (果物は単独で食べる、たんぱく質の食べ物と糖質の高い炭水化物を一緒に摂らないなど) 

・ストレスを減らす、 

・加工食品を避ける  

・ドカ食いしない

 

 

定期的なお通じがあることも非常に大事です。未消化の食べ物が長時間腸壁に触れていることでLGSは悪化します。 長く留まれば留まるだけ、免疫反応を起こす物質が増えるということです。 その物質が肝臓に送られると、免疫・解毒反応はさらに大きくなり、被害が大きくなります。

ちなみに、「リーキーガット」という医学的な病名はまだありませんし、この症状にはこれ、という確立した治療法もありません。 ですから症状を医者に言っても、その各症状に対する薬や手術といった対症療法に終始するだけでしょう。

 

 

▶ LGSを治す過程:

 

・腸透過性の検査

・カンジダ菌の繁殖を抑えるような食事 (低炭水化物でカフェイン・甘味料・乳製品・発酵食品を避ける)

・解熱頭痛薬、抗生物質、胃の制酸薬を避けるか極力減らす。

・毒素をなるべく取り入れないような生活(有機食品を食べるなど)

 

症状が落ち着いてきたら、1~2日はジャガイモ、スープ、ゆで野菜などの柔らかい食事から始めてください。 

焦らずゆっくりと、水もたっぷり飲みましょう。