腸および腸内細菌の状態が人の健康にとって最も大事         本間真二郎


腸内細菌のほとんどは大腸におり、主要な栄養源は糖質であり、タンパク質や脂質ではない。ゆえに極端な糖質制限をしてはいけないということです(とくに日本人は・・・)。

特に肉、乳製品、牛乳など動物性食品では、大腸の腸内細菌の栄養にはなりません。

単糖類も多糖類も炭水化物もすべて糖質とひとまとめにして悪者のように誘導されていますが、制限したほうが良いものとしてはいけないものがあるのです。

 

①単糖類や二糖類(砂糖などの甘いもの)は小腸上部までにあっという間に吸収され、腸内細菌の栄養にはならない、一方で血糖値を急速に上げる作用が強く健康障害の主因です。

 

②オリゴ糖は腸内細菌、特に乳酸菌を増やすため腸にとっても良く作用します。しかし、オリゴ糖は大腸上部までに利用されてしまうものが多いです。

 

③多糖類(いわゆるデンプン)はゆっくりと吸収され、大腸下部まで届き、腸内細菌の主要な栄養源になります。特に消化の悪い未精製な穀物(米、イモ、豆)が腸にとって最もよい栄養源なのです。

 

ただし、精製度の高い(GI値の高い)多糖類(白米など)を大量に取ると、①と同様に糖質の害が大きくなるのは言うまでもありません。食事の原則は少食(腹八分)、一物全体なのです。

 

④食物繊維は水溶性と不溶性がありますが、いずれも人には消化できず栄養にはなりません。水溶性の食物繊維は、腸内細菌は消化でき栄養源になります。人が利用できないので大腸にまでたくさん届きます。不溶性の食物繊維は腸内細菌も栄養としては利用できませんが、糖の吸収を遅くし、便のかさを増し、腸を刺激するなど腸などにとってはよく作用します。

 

糖質を制限すると、とりあえずのダイエット(体重を落とす)になり、また、一部の人は一見調子が良くなる人がいます。

とくに、乳児湿疹、アトピーなどのアレルギー、自己免疫疾患(膠原病)、うつ、がん、糖尿病などの生活習慣病の一部などでよく見られます。これらは、まぎれもない事実です。

しかし、だからといって糖質を極端に制限することを良しとするのは、極めて短絡的な見方で、一見良いように見えるだけであり、万人に勧める食事法ではないのです。

すべてにはカラクリがあるのです。また、形だけのマクロビ食で元気がなくなる人がいることにも、やはりカラクリがあります。

 

いつも強調しますが腸および腸内細菌の状態が人の健康にとって最も大事です。

糖質制限食はこの腸内細菌をまったく無視した食事法だということです。

 

腸内細菌を無視しても、とりあえずは健康そうに生活することはできます。

しかし、健康にとって最も大事な腸内細菌をないがしろにすることは、その後どのような影響が出るでしょうか。

 

とりあえず、見た目だけ良いということが現代社会のあらゆるところに見られます。

例えば、化学肥料と農薬を使えば、農作物は一見とても良く育ちますが、土の中の微生物は大きくバランスを崩していきます。

本来は野菜に養分を供給しているのは土の中の微生物なのですが、土の中の微生物がダメージを受けても、毎年(初めから分解されている)化学肥料をやり続ける限りは、とりあえず見た目だけは立派に育った野菜を収穫することができます(現代農法)。

しかし、このような農法で作られた野菜の栄養価や病気に対する抵抗性、環境に対する影響はどうでしょうか。

 

これとまったく同じことを人で行っているのが糖質制限食になります。

糖質制限食(ケトン食、低インスリン、ロカボ、MEC食なども同様)が最新の理論を駆使したあたかも素晴らしい健康法であるという情報が氾濫しており、実際に実践している人や指導をしている人がとても多い状態です。

推奨している意見も含め網羅的に情報を検討しましたが、糖質制限食は、ごく一部の非常に限られた人以外、とくに日本人には全くお勧めできない食事法になります。

 

 

腸内細菌と心の関係  

腸の状態が精神状態に影響するという考えは、決して新しいものではなく、100年以上前から言われています。

19~20世紀初頭では腸の老廃物や毒素が中毒を起こし、うつ、不安、精神病などを起こすと考え(いわゆる自家中毒)、下剤の投与や腹部手術まで行われることがありました。

 

しかし、腸と精神疾患との関連は、その後、否定的な報告が多くなされ、次第に、フロイトの心理神経症理論などに置き換えられていき、いったんは完全に下火になり、忘れ去られていました。

 

ごく最近になり、腸内細菌の働きや重要性が明らかになるにつれ、腸と心の関係が、精神医学の分野でも再び注目されてきています。

現在、腸内細菌と腸と脳の相関関係は「腸内細菌-腸-脳関係軸」といわれています。

 

まず、それぞれについて簡単に説明します。

腸と腸内細菌は明らかに密接に関係しており、腸の状態は腸内細菌に直接影響しますし、逆に、腸内細菌の状態は腸の状態を決めています。

 

腸と脳との関係は、便秘、腹痛、下痢などの腸の状態は脳(精神状態)にストレスになりますし、逆に、不安、焦り、プレッシャーなどの脳のストレスは便秘、腹痛、下痢などの消化器症状を引き起こします。

 

腸内細菌と脳も関係しており、腸内細菌の状態が脳内のセロトニン産生など精神安定に関与(後述)し、さらに腸内細菌はストレスがかかった時に対処するホルモン(抗ストレスホルモン)の分泌を調節し、ストレスを抑制します。逆に、脳のストレスは、交感神経刺激し、消化管機能および腸内細菌に悪影響を及ぼします。

 

このように、腸内細菌と腸と脳は互いに密接にコミュニケーションをしており、腸内細菌の状態が人の精神状態に明らかに影響しています。

 

また、腸内細菌は、脳の発達自体にも影響を与えていることが分かってきました。

例えば以下の報告がマウスを使った実験などで見られます。

・腸内細菌は初期の脳の発達自体に影響する

・成長初期の腸内細菌の状態により成人の脳の機能にも変化がみられる

・腸内細菌は、成長期だけでなく、成長後であっても脳への影響を持ち、宿主の行動も変化させる

 

腸内細菌を含め体内の常在菌のいないマウス(無菌マウス)を無菌室で飼育すると、様々な身体の奇形や生きるのに多くのカロリーが必要な事が分かっていますが、精神面でも以下の特徴がみられます。

・用心深さが減り、危険を伴う様な大胆な行動をとるようになる

・その一方で不安感の増強がみられる

・さらに詳しい解析では、脳の多くの部分、特にセロトニンに関係する部分に大きな変化がみられる

 

人でも腸の様々な病気(炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、過敏性腸症候群、リーキーガット症候群など)により不安障害、うつ症状、自閉症などが見られやすいことが以前から指摘されていました。

 

最近では、腸内細菌の状態が精神面に及ぼす影響に関してはトピックスの一つになっており、次々と新しい知見が報告されてきています。

代表的なものを挙げてみます。

・心の病気(うつ(気分障害)、統合失調症、アルコール依存症など)

・行動(前向きな気分、好奇心旺盛、社交的、衝動性など)

・気質(自制する、親に寄り添いたがる、母親に注意を向ける傾向など)

・人格、性格

・学習、記憶、認知能力

・睡眠障害

・ストレスを感じた時に出る抗ストレスホルモンの分泌コントロール

 

このように腸内細菌や腸の状態は脳の発達や心の状態に大きな影響を与えています。

 

腸内細菌が精神状態に与える影響のメカニズムは複雑であり、自分の意思とは関係なく私たちの身体を調節している3つの系(自律神経系、内分泌(ホルモン)系、免疫系)のいずれを介しても関与しています。

 

ここでは、多くの場合に指摘されているセロトニンによる関与を簡単に解説しておきます。

 

セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンと並んで、体内で特に重要な役割を果たしている3大神経伝達物質(神経間の連絡をしている重要な物質)の一つです。

 

セロトニンは小腸に90%、血小板に8%そして脳内に2%程の割合で存在しますが、それぞれの場所における役割は異なっています。

 

脳内のセロトニンは「幸せ物質」といわれ、「快楽物質」といわれるドーパミンによる依存や、「怒り物質」といわれるノルアドレナリンによる怒り・不安・恐怖などを制御し、ストレス下での精神・感情を安定に保つ作用が特に重要で、リラックスをもたらします。

 

一方、腸内のセロトニンは腸管のぜん動運動に作用し、消化を助ける整腸作用があります。

 

生物の発生的には小腸のような構造が先にあり、その機能を補足するために胃、肝臓、腎臓、大腸さらには大脳までもが後になってから付け加えられ発達してきたと考える人もいます。

 

以前に腸は第2の脳と書きました。確かに、神経細胞の数だけでみると脳(約150億個)の方が腸(約1億個)よりも圧倒的に多いのですが、発生的に、あるいは生存するという意味でみると、腸が第1の脳で、脳は補助的な脳なのかもしれません。

 

いずれにしても、脳も腸も神経伝達に関してはシステムを共有している(たたし同じ神経伝達物質を使っていますが機能は異なっています)ということです。

 

体内のセロトニンのほとんどは腸内で作られるのですが、このセロトニンが直接脳内に運ばれることはありません(脳には血液脳関門(BBB)という血液と脳組織との間の物質交換を強力に制限する仕組みがあり、セロトニンはこの関門を通過できないため)。

 

しかし、腸でセロトニンがつくられる途中でできる前駆物質(5-HTP)はBBBを通過でき、この5-HTPが多く存在する環境では脳内のセロトニンも多くつくられます。

 

よって、腸内細菌の状態が良好であれば、脳内のセロトニンも十分に産生され、精神の安定(さらには良好な睡眠)がもたらされると考えられています。

 

脳内でセロトニンがつくられるまでの流れをまとめます。

① 食べたもののたんぱく質が腸内で必須アミノ酸であるトリプトファンへと分解

②トリプトファンが5-HTPというセロトニンの前駆物質に合成されて脳内に運ばれる

③脳内で5-HTPからセロトニンが合成される

④さらに脳の松果体というところでセロトニンから睡眠物質メラトニンが合成される

 

この全ての過程で腸内細菌が重要な働きをしています。

腸内細菌が元気であれば、人が産生できない必須アミノ酸であるトリプトファンを産生してくれます。

 

また、腸内細菌はたんぱく質からトリプトファンへの分解を助けていますし、トリプトファンからセロトニンの合成には腸内細菌が産生するビタミンB6、ビタミンC、葉酸、鉄などが必要になります。

 

このように、脳の健全な発達、うつや統合失調症の予防、様々なストレスに対して動じない精神状態を維持するなど心の安定のためにも、何よりも腸内細菌を健全に保つ事が重要なのです。

 



糖質「制限」から糖質「選択」へ             トンプソン 真理子


私はもう「糖質制限」はしてないです。 

しかし、相変わらず小麦食品は摂っていないし、お菓子も食べていない。

その代わりに糖質として食べているのは、果物、根菜類、芋、ヨーグルトなどです。これらの食物繊維、ビタミン、生きた酵素、ミネラルなどをごっそりといただきたいからです。

つまり、良質の糖質を「選んで」食べているわけです。 

 

いろいろと勉強している時に、サツマイモ、カボチャ、スクワッシュ(これもカボチャっぽいやつ)はリーキーガットを癒す、また消化器系ガンを防ぐ食品ベスト5に入っているということで、まずあれっと思いました。糖質が高いから避けよと言われているのに、おかしいなと。 

その他、ベリー類は超抗酸化のスーパーフード、ヨーグルトは腸の善玉菌を増やして、お通じを良くする、パイナップルの消化酵素ブロメラインは強力な天然抗がん剤、バナナはこれまた栄養がぎっしり詰まったお手軽燃料。

これらを、糖質が入っているというだけで、みすみす食べないのは、もったいなすぎるのではないかと思いました。

 

それと同時に、カンジダダイエットについて勉強していて、自分もカンジダダイエットなるものを1週間ぐらいやってみたのですが・・あれは辛かった! 

糖質を含んだ食品を一切取らないのですが、気が狂いそうになりました。それで、こんな不自然な辛い食事が、人類の恒久的な正しい食事なわけないだろう^^; と思うに至りました。

 

それで、結局私がたどり着いたのが、「全体食ダイエット」です。

それって、何?!って思われるかもしれませんが、ただ単に、加工品を食べないで、丸ごとの食品(野菜、果物、魚、肉、卵、ナッツ、芋など)を食べるというだけです。

要は、自然にあるものをいただきましょう、と昔の人がやっていたようなことですね。

いろいろ寄り道して、やっと原点回帰してきた感じです。

これでいくと、小麦食品はまず人の手によって挽いた加工食品だし、米も、白米は不自然なので食べません。

(大きく見れば、穀類自体が人間の手による不自然な食品なのですが…)

 

果物は体にいいですが、果物を絞ったジュースなどの食物繊維を抜いた糖も、血糖値を急激に跳ね上げますから、避けます。

また、砂糖を使ったお菓子など、直接糖は言わずもがなです。

 

ここで、私のこの考えは今健康な人の病気予防食であって、すでにがんの人、糖尿病の人に当てはまるわけではありません。

それらの人は、今までの食事が悪すぎたために、これよりずっと厳しいケトジェニックダイエット並みの糖質制限をしていかないとがんや糖尿病をリバースすることは難しいのは確かです。

 

つまり、自然にあるものを食べていれば、まず間違いはないと思っています。(農薬とか品種改良の点は別にして)

それよりも恐ろしいのは、肉や卵は糖質がないからと言って、どのようにしてつくられたものかも気にせずに、そちらばかりをガンガン摂って野菜や果物を全く摂らないこと。

 

これで私が問題だなと思うのは、この食餌法が 

①野菜の食物繊維の効能を完全に無視していること、

②肉がどのようにしてつくられたかという観点も全く欠けていることです。

 

① 野菜や果物の食物繊維

食物繊維は体に吸収されないからヒトの体には無駄だ、という考え方がありますが、それは違います。

食物繊維は前から言われていますように、腸のお掃除にもなりますし、もう一つ大事なことは、腸内細菌、特に善玉菌たちのエサ(プレバイオティクス)になることです。

ですから、食物繊維は一つの必須栄養素と考えていいと思います。

 

② 肉の作り方

これは、牛乳や乳製品でも言えることですが、グラスフェッド牛(牧草を食べて育った牛)の肉や乳と、穀物牛の肉や乳では、成分が全然変わってきます。

グラスフェッド牛肉では炎症を抑えるオメガ3の割合が多いのに対して、穀物牛肉には、炎症を起こすオメガ6の割合が増えます。

またCLAというのは「共役リノール酸」のことですが、これは、不飽和脂肪酸の一種で食べ物の分解・燃焼をサポートし、痩せ作用、また抗がん作用も非常に高い成分です。

これも、グラスフェッド牛肉や牛乳には多く含まれます。

Dr. Axeが、グラスフェッド牛肉はがんを防ぐ食品!と言っていたのは、このことだったのだなと今再確認します。 

ですから、肉一つにしても、肉がガンを起こす、いや起こさないと論争するのは、ナンセンスなことが分かっていただけますでしょうか。

手に入りやすいかどうかは別として、肉は肉でも成分まで同じではないのです。

まあ、それ以前に穀物で育てられた商業牛は、抗生物質、ホルモン剤など打たれている可能性が大ですから、穀物食とも相まって牛自身が腸がリーキーガットになっていて、スタート地点から健康的な肉とは言えないでしょう。

 

その成分の違いは、グラスフェッドバター、グラスフェッド鶏の卵にまで言えます。

(平飼いの草・虫を食べている鶏の卵は、オメガ3の割合が高くオメガ6が低い)

 

私がいろいろと考えて最終的に思うことは、「自然に間違いはない」ということです。自然は、人間のこざかしい知恵よりもずっと偉大だ、ということに尽きます。

いただき物の柚子を、糖質が入っているからという理由で、全部捨てた人がいましたが、我々は、「木を見て森を見ず」にはならないように、凝り固まらないようくれぐれも気を付けたいものです。

 

人は今まで、健康や宗教上、精神的観点から、いろんなダイエット法をやってきました。

アトキンスダイエット、ベジタリアン、ヴィーガン、地中海式ダイエット、GAPSダイエット、パレオダイエット、ケトジェニックダイエット、ローフードダイエット、ペスカトリアン(動物性脂肪に魚だけ食べる)、フルータリアン(フルーツしか食べない)などなど・・。

 

しかし、それは人間の頭で分類してくくっているだけで、体はすでに何が健康に生きていくのに自分に必要かの答えを持っているはずです。

それを、宗教はまあさておき、主義とか信条でガチガチに縛るのもどうか、と思います。

私たちは健康に生きれたらそれでいいわけで、頭ではなく、腸が欲しがっているものを最優先すべきです。

ですから、宗教や政治的に、人間にはどの食餌法が正しい、これは間違っている、と相手を言い負かそうとすること自体が意味がないと思っていいでしょう。

 

食事はそもそも、その人の代謝能力、腸内細菌叢、今まで食べてきたもの、それによる現在の健康状態によって、食べるものの優先順位に差があるのは当然です。

 



糖質制限は新しい栄養学                  炭水化物は嗜好品


糖質制限は、一般的には、糖尿病の治療法、あるいはダイエット法として注目されています。  が、仕組みを知って私が強く感じたのは、「糖質制限は栄養学の新しい常識だ」ということです。

今までの栄養学は、カロリー計算に基づいています。1グラムあたり炭水化物4kcal、タンパク質4kcal、脂質9kcalというあれです。

脂質はもっともカロリーが大きく、ダイエットには脂っこいものは大敵とされています。

が、糖質制限をすれば誰でもわかるとおり、肉や揚げ物など、脂っこいものだけを食べても、まったくと言っていいほど太れません。

 

糖質制限をして実感するのは、「肉や脂質だけを食べて太るのは極めて困難」という明確な事実です。

可能性として考えられるのは、カロリーの算出方法に問題があるか、栄養学におけるカロリーの考え方がナンセンスか、どちらかです。

食物に含まれるカロリーの算出に使われているアトウォーター係数は、食物を空気中で燃やして得られた熱量と、同量の食物を食べて出た排泄物を燃やして得られた熱量の差から、食物から吸収した熱量を推定する方法です。

現在は消化吸収率を考慮した修正アトウォーター係数が広く使われているそうです。

 

一見すると、「空気中の燃焼」と「体内での代謝」を同列に考えていいものか疑問が浮かびますが、これはエネルギー保存の法則によって、説明できるようです。

カロリーの概念が妥当だとすれば、問題は栄養学の考え方にあります。

栄養学の問題点は、シンプルに言えば、「100エネルギーの食品を食べると、50エネルギーの食品を食べるよりも太る」と短絡的に考えてしまっている点にあるように思います。

 

言うまでもありませんが、カロリーが同等だったとしても、炭水化物とタンパク質と脂質では、体内での利用のされ方が違います。

エネルギー源となるものもあれば、体の構成要素になるものも、脂肪として蓄積されやすいものもあるわけです。

炭水化物(糖質)は、脳の活動に必須なブドウ糖を供給しますが、余った分は中性脂肪に変わります。つまり体重増加に繋がりやすい食物です。

 

一方でタンパク質は筋肉などの構成・維持に、脂質は細胞膜の構成・維持やエネルギー源に使われるので、消費されやすい食物です。

現在主流の栄養学では、このような代謝の仕組みを精密に考慮していません。でなければ、「脂質は高カロリーである。だから脂質を摂り過ぎると太る」などと、ナンセンスかつ明らかに事実に反する考え方をする理由はないはずです。同時に、栄養学では、食物が基礎代謝に及ぼす影響も考慮していないようです。

 

炭水化物(糖質)は血糖値を上昇させ、そのままでは人体の害になるため、インスリンの大量分泌を招きます。

インスリンは、ブドウ糖を中性脂肪に変えて血糖値を下げるだけでなく、すでに体内にある脂肪の代謝を抑制します。

食事ごとにインスリンが大量に追加分泌されていれば、基礎代謝がどんどん落ち、ちょっとやそっとの運動では痩せにくい体になります。

結果として、炭水化物を主食として食べるのであれば、痩せるためには食事の量を大きく減らす必要に迫られます(いわゆるカロリー制限食)。

加えて、インスリンによって落ち込んでいる基礎代謝を向上させるために、それなりの強度の運動も必要です。まるで、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものです。

 

ダイエットにまったく関心がなかった私が、糖質制限のおもしろさにのめり込んでいる理由は、このように、「常識だと思っていた栄養学が、実は間違っているようだ」と気づいたからです。

それまで体重の増加に悩んだ経験がなかったのに、30歳を過ぎてからは、30分以上のジョギングを週1〜2回やってもちっとも痩せない。極端に食べ過ぎている感覚もない。これはなにかおかしいぞ、と。

 

糖質制限の仕組みを知って、疑問が見事に氷解しました。とはいえ、「脂っこいものを食べると太る」という古くさい栄養学のおかしさに気づかないのも、当然と言えば当然かもしれません。脂を食べれば脂肪になる、というのは、感覚としては正しいように見えるからです。

が、これは実は、「人肉を食べるとその人の能力が手に入る」という理屈と大差ないわけです。

せめて、カロリー制限派の栄養士さんは、体重増加の中心的な原因が本当に脂質(あるいは高カロリー食)であるのか、検証する責任があると思います。

 

 

「朝食を抜くと力が出ない」のは日常的に炭水化物を食べ過ぎているから

「朝ご飯はしっかり食べなさい」と、子どもの頃、よく言われたものです。エネルギーを摂取しなければ、力が出ない、というのは、理屈としては当然のような気がするわけで、私もまったく疑問を抱かずに信じていました。

ところが、糖質制限が日常のものになり、タンパク質・脂質中心食にシフトしてからは、「朝食を抜くと力が出ない」のは、炭水化物中心食の弊害の一つだったんだな、と気づきます。

 

私はだいたい午前4時に起床し、ひと仕事してから、朝7時くらいに朝食を摂ります。基本は無糖ヨーグルトで、あとは子どもたちが食べきれなかった残飯をつまむ程度です。これで大抵は、11時頃まで空腹を感じません。ときには、13時まで仕事をしてしまうケースもあります。

もっともバリバリ仕事をする午前中の7〜9時間を、無糖ヨーグルト+αで過ごせてしまっているわけです。しかも、空腹を感じても、力が入らなくなる感覚を覚えることも、一切ありません。

いや、むしろ、お腹が減って力が入らなくなるのは、炭水化物中心食をしていた頃には、良くありました。

 

これは、簡単に説明がつきます。

人間にはもともと、糖新生と呼ばれる機能があり、脂質をエネルギー源にして、タンパク質から、人体の活動に必須な「糖」を生成することができます(糖新生を働かせて生活するのが糖質制限です)。

いつでも「糖」を直接的に摂取できるとは限らないため、体に蓄えてあるタンパク質から、活動に必須な「糖」を生成できる機能が備わっているわけです。

ところが、現代社会は、コンビニやスーパーに行けば、いつでも食料があふれているほど豊かになり、炭水化物を日常的に摂取できるようになりました。

 

炭水化物を食べることによって、外部から直接的に「糖」を摂取すれば、当然ながら、糖新生の出番がなくなります。人間、使わない機能は衰えていくわけで、これが日常化すれば、いざというときに、糖新生がうまく働きにくい。

朝食の米の「糖」が切れたからと言って、すぐに糖新生に切り替わってくれるわけではないんですね。

だって、すぐにまた昼食に、ラーメンやらチャーハンやらサンドイッチやらが体に入ってくる、と体は学習しているわけですから。

 

炭水化物中心食を止め、タンパク質・脂質中心食にシフトすれば、常に糖新生を働かせながら暮らすことになります。お腹が空いたからと言って、すぐさまエネルギー不足になることはありません。

だから炭水化物中心食はダメだ……と、言うつもりはありません。昔から「朝ご飯はしっかり食べなさい」というのには、それなりに理由があるのだ、ということなのだと思います。

 

 

糖質制限の効果1:脂肪の燃焼が促され、体重が減る

糖質制限の最もわかりやすいメリットは、ダイエット効果です。どれだけ糖質を減らすのかにもよりますが、1週間に1kgペースの減量は珍しくありません。

開始時の体重によっては、トータルで20kg、30kgの減量も容易で、適正体重に落ち着けることができます。

糖質制限は、一般的なダイエット法のように、体に負荷をかける心配がありません。

※例外は、いきなり極端な糖質制限を始めるケースです。糖質を主食にするように体が慣れているため、糖新生がうまく働かなかったり、腸内細菌のバランスが崩れたり、致命的ではないものの体調不良に陥る可能性があります。徐々に制限を進めていくのがおすすめです。

 

なぜなら、糖質制限のメカニズムは、脂肪の燃焼による減量だからです。

糖質制限では、エネルギーの摂取量を減らす必要はありません。糖質を減らした分、タンパク質や野菜を満足いくまで食べて問題ないのが一般的です。

糖質の摂取量が減ると、脂肪の代謝を抑制していたインスリンの追加分泌が減ります。なおかつ、脂肪をエネルギー源に機能する「糖新生」の積極活用によって基礎代謝が大幅に向上します。

たったこれだけなのですが、効果は非常に大きく、我が目を疑うほどのスピードで脂肪が燃焼され、健康的に痩せていきます。

 

私自身、それまで30分以上のランニングを週1〜2回していても痩せなかったものが、みるみる1ヶ月半で5kg減にたどり着いたので、とても驚きました。

糖質制限で減るのは、基本的に脂肪だけです。筋肉は、代謝によって日常的に入れ替わっている増減をのぞけば、減りません。

※もちろん、基礎代謝に見合った、しっかりした量・質の食事を摂取する前提です。タンパク質を食べず野菜ばかり食べているなどすれば、当然ながら筋肉量も減少するはずです。

脂肪とは、皮下脂肪だけではありません。内臓脂肪もあれば、筋肉内脂肪もあります。

 

私は、糖質制限を開始してしばらくして、人に会うと「顔つきがすっきりしましたね」と言われるようになりました。

内臓脂肪の減少は、ウエストのサイズが小さくなることで実感できます。私は、ウエスト82cmのズボンを履いていたものが、76cmのスキニージーンズまで履けるように変化しました(以前履けていたズボンが、再び履けるようになった)。

筋肉内脂肪の減少は、腕まわりがすっきり細くなることで実感できます(筋肉量の減少でないのは、体組成計で計測すればわかります)。

10年以上の付き合いがある美容師さんには、「寄金さん、身体が(引き締まって)薄くなってる!」と驚かれました。

栄養失調状態に陥ることなく、筋肉量を維持したまま、体脂肪率だけを落とせるので、不健康に痩せた印象を与えることがありません。

 

糖質制限の効果2:基礎代謝が大幅に向上する

糖質制限の最もわかりやすいメリットが「ダイエット効果」だとすれば、最も重要なメリットは「基礎代謝の向上」だと私は感じています。

基礎代謝とは、人間が生命を維持するために行っている活動のことで、たとえ寝ていてもエネルギーが消費されます。また、身体を動かせばその分エネルギーを消費するわけですが、基本的に基礎代謝が高いほど多くのエネルギーを必要とします。

すなわち、基礎代謝が高ければ、身体機能が活性化し、同じだけの食事をしても痩せやすくなるということです。また、別記事で取り上げますが、生活習慣病や慢性症状の改善にも繋がるケースがあります。

 

では、なぜ糖質の摂取量を減らすと、基礎代謝が大幅に向上するのでしょうか。

 

基礎代謝が向上する理由1

インスリンの追加分泌が減り、脂肪の代謝が抑制されなくなる

第一の理由は、インスリンです。

糖質が体内に入ると、血糖値が上がり、そのままでは悪影響となるので、インスリンが追加分泌されます。

このインスリンがくせ者で、ブドウ糖を中性脂肪に変えるだけでなく、すでに体内にある脂肪の代謝(中性脂肪の分解)を抑制してしまいます。冬眠準備のように、身体がエネルギー蓄積モードに変化するというわけです。

<インスリンは三重の肥満ホルモン>

◇インスリンは脂肪細胞内の中性脂肪分解を抑制する。

◇インスリンは血中の中性脂肪を分解し脂肪細胞内に蓄える。

◇インスリンは筋肉細胞に血糖を取り込ませるが、余剰の血糖は脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪として蓄える。

糖質制限をすれば、このインスリンの追加分泌が減ります。その分、脂肪のエネルギー利用が促進し、基礎代謝が向上します。

 

基礎代謝が向上する理由2

糖新生が活性化する

第二の理由は、糖新生です。

糖新生とは、脂肪をエネルギー源に、タンパク質からブドウ糖を合成する身体機能です。

人体は、糖質(体内でブドウ糖に変わる)の摂取が減ると、必要量を糖新生で賄います。おそらく睡眠中など、長時間食べ物を摂取しない状態のときも、働いていると思われます。

これも生命を維持するための活動です。糖新生が働く時間が長く、強度が大きいほど、基礎代謝が向上します。

 

糖質制限の効果3:間食など、際限がないような食欲が収まる

糖質制限を開始してしばらくすると、過剰な食欲が収まってくるケースが少なくありません。

私自身、三食の食事量を抑制できるようになり、なおかつ間食がなくなりました。

現在の感覚では、三食の食事量はそれほど重要ではありません。糖質の過剰摂取さえやめれば満腹になるまで食べても太らない、と経験則でわかってきているからです。

重要なのは、間食です。

私はライター、ブロガーという職業柄、デスクワークが多く、煮詰まるとチョコレートやアイスクリームなどを遠慮無しに食べていました。脳の疲れには甘いものがいい、と信じ込んでいたからです。

が、放っておくと、際限がないほど食べ続ける結果になります。これでは、インスリンの追加分泌が多過ぎて、いくら運動をしたところで、痩せるわけがありません(インスリンの追加分泌が少なければ、運動しなくても痩せます)。

今では「なんであんなに食べまくっていたのか」と不思議になってしまうのですが、この際限のないような食欲は、血糖値の上下動によって説明されるようです。

 

炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学~ (光文社新書)

このことから類推すると、糖質摂取者の体内では、糖質摂取直後に「何か」が上昇して精神的満足を生み出し、その後にその「何か」が低下した時に、精神的飢餓感が発生しているはずだ。それは何だろうか。

その「何か」とは血糖だろう。糖質摂取直後に起こる血糖の急激な上昇が、食後の陶酔感と幸福感をもたらし、その後に血糖値が低下し始めると、体は「血糖切れ」状態となる。すると、喫煙者がニコチン切れでタバコを欲するように、糖質摂取者は血糖切れでイライラし始め、糖質を食べたくなる。

夏井医師の仮説は非常に鋭利で、状況を完璧に説明している実感があります。たとえば、丼物を満腹になるまで食べたときの陶酔感には、一種独特の感覚があります。

 

また、薬物依存と嗜癖の研究者の著書に、

溺れる脳: 人はなぜ依存症になるのか

「炭水化物とコカインは脳の同じ部位を刺激してドーパミン放出量を高める」旨の記述があるそうです。

 

低血糖が飢餓感を生む

今考えればそれまでの食事があまりにもひどく、夕食にお菓子を食べたり、麺類、パン、まさに一日三食糖質漬けだったのですが、その頃はそれが問題だとは夢にも思わず、ただ仕事で疲れているからだろうと、夕方にチョコレートなどを食べてその場しのぎをしながら数年が過ぎました。去年からは低血糖が頻繁に起こるようになり、それまでは夕方だけだった症状が、朝食後三時間くらいでもおこるようになりました。

と、麺類やパン、甘いものばかりの生活を続け、機能性低血糖症になってしまったそうです。

 

機能性低血糖症とは、江部医師の解説によると、

機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。

易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。

実は私も、稀に仕事に熱中しすぎたときに、めまい、発汗、震え、心悸亢進、異常な空腹感という身体症状が現れるケースがありました(糖質制限をしている現在はまったく起きません)。

 

際限のないような間食(甘いものに対する異常な欲求)も、機能性低血糖症で説明できます。

すなわち、炭水化物(糖質)を食べると血糖値が上がり、体内でインスリンが追加分泌されます。この際に、うまく適正な血糖値にできれば問題は起きません。

が、糖質の過剰摂取を続けると、インスリン分泌機能が疲弊して異常をきたし、血糖値が下がりすぎてしまう体質になってしまうということのようです。

“めまい、発汗、震え、心悸亢進、異常な空腹感” とまではいかずとも、炭水化物を主食にし、なおかつ甘いものの間食を日々続けていれば、多かれ少なかれインスリン分泌機能が疲弊している人は少なくないはずです。

 

血糖値の上下動を少なくすれば食欲は収まる

冒頭でも触れましたが、糖質制限を始めると、実際に、際限のないような食欲が収まるケースが少なくありません。

そもそも食欲という概念が主観的であるため、なかなか定量的な研究は難しそうですが、今回紹介した「糖質には常習性がある」という仮説と、「軽微な機能性低血糖症がもたらす飢餓感」は、覚えておいて損はありません。

これらが原因であれば、糖質制限によって着実に改善できます。糖質の摂取が減れば、インスリンの分泌量が減る&血糖値の上下動が緩やかになるためです。

このように、糖質制限には過剰な食欲をおさめる効果があります。

 

糖質制限の効果4:糖質以外の食事を好きなだけ楽しめるようになる

糖質制限は、“制限” という表現から禁欲的な印象を与えます。

また、炭水化物(糖質)は、

1. 安価

2. 大量生産が可能

3. 満腹感を与えやすい

という性質を持ち、外食産業で積極的に供給されているため、糖質制限をすると食の選択肢が狭まるように感じます。

 

一方で、糖質以外の食生活に慣れてくると、食の楽しみが豊かになったように感じる人もいます。私もこちらのグループに属します。

なぜならば、インスリンの追加分泌さえ少なくなれば、(規格外の大食漢でない限り)満足いくまで食べても体重の増加にはつながらないからです。

遠慮することなく糖質以外の食事を楽しめるし、たまに口にするケーキやお菓子なども体重を気にせずに味わえます。

実際に私は、食事量の制限は一切していません。脂っこいものもよく食べます。

それでいて体重は、学生時代の水準である65kg前後のままです。

 

糖質制限を始めるまで、私が疑問を抱いていたのは、「なぜ私たちは、適正体重を維持するために、こんなにも苦労をしなければいけないのだろうか?」

という点でした。

私のケースでは、過剰に大食いしているつもりもなく、週に1〜2回程度のジョギングさえしていたのに、体重が増加を続けていました。

大食いの人が太る、運動不足の人が太る、というのならまだ納得できます。が、ふつうに生活をしていて肥満に一歩一歩近づいていってしまうというのは、何かが根本的に間違っているのではないかと、不思議でならなかったわけです。

 

実際、一般的な栄養学の考え方で適正体重を維持しようとすれば、禁欲的に食事量を減らし(カロリー制限)、かなりの強度の運動をする必要に迫られます。

これは、糖質制限の仕組みを理解すれば当然で、主食として大量に摂取している糖質は体内で脂肪に変わり、なおかつ血糖値を下げるために追加分泌されるインスリンが、脂肪の蓄積を促し、代謝を抑制してしまうからです。

糖質を主食にしている限り、適正体重を維持しようとすれば、食事の量そのものを大きく減らさなくてはいけません。

運動して基礎代謝を上げようとしても、インスリンが作用して代謝が抑制されているわけで、まるでブレーキとアクセルを同時に踏むようなものです。

好きでやるのならいいですが、そうでない人にとっては苦行でしかありません。この事実は、私自身、糖質制限を始めるまで嫌というほど実感してきました。

 

考え方はシンプルです。

米やパンや麺類中心の今までどおりの食生活を取って、食事量(カロリー)制限と、運動をするか。糖質を制限して、糖質以外を自由に食べるか。

自分に合っているほうを選んでください。

運動が大好きなら、糖質を主食にしてもあまり問題にはならないでしょう。

肉・魚・卵や、野菜(レストランのコース料理からパンまたはご飯とデザートを抜いたイメージ)が大好きな美食家であれば、むしろ糖質制限のほうが、量を気にしないで済む分、楽しみが広がるのではないでしょうか。

 

 

糖質制限の効果5:昼食後に眠くならない、二日酔いになりにくくなる

これは糖質制限の効果というよりも、炭水化物を食べないことによる間接的なメリットです。

特にデスクワークが多い方は日々実感していると思うのですが、昼食で満腹になると睡魔に襲われます。

ところが、昼食で炭水化物(ご飯、パン、麺類など)を抜くと、このどうにも耐えられない眠気がやってきません。たとえば、ローソンで『からあげクン』とサラダを買って、試してみてください。

 

極端に寝不足だったり、疲労していたりする場合はもちろん別ですが、通常であればバリバリ仕事をこなせてしまいます。

私は糖質制限をする前まで、在宅での仕事がメインであるのをいいことに、昼食後に30分ほど仮眠していました。あくびが止まらなくなり、どうにも仕事に集中できないからです。

が、昼食に炭水化物を食べなくなってからは、一切の仮眠をしなくなりました。

ふと気づくと夕方で、心地よい疲労感を覚える、といった具合です。

 

炭水化物を食べずにいると眠気がこない最大の理由は、おそらく血糖値の上下動が少なくなるからです。

発端は、『炭水化物が人類を滅ぼす』の著者・夏井睦医師のこちらの記述です。

それどころか、朝の目覚めが非常に爽やかなのだ。二日酔いしなくなったからだ。具体的に言えば、胃のムカツキと吐き気という、二日酔いの不快な消化器症状がないのである。酒量が過ぎれば、朝起きても「酒が残っている」症状はあるが、消化器症状は皆無なのだ。

 

私はアルコールに弱いので、飲酒の習慣がなかったのですが、これはおもしろそうだとさっそく晩酌を始めました。ちょうど、夕食に肉や野菜をつつきながら飲酒するのが、糖質制限にもなってベターです。すると、まさに夏井医師の言うとおりでした。

私はアルコールに弱い分、これだけ飲んだら二日酔いになるだろう、というラインが低いので、効果は本当によくわかりました。

ベロンベロンになって気分が高揚するまで飲んでも、頭痛になる(アセトアルデヒドが分解できていない)ことこそあれ、気持ち悪くならないんです。

消化器系の二日酔い症状は消滅してしまいました。

 

夏井医師の意見では、「定説に反して、炭水化物はタンパク質よりも消化に悪く、胃腸に負担をかけてしまう」からだとの理屈ですが、定かではありません。

なぜなら、野菜(食物繊維)も胃で消化できないので、この理屈で行けば胃腸に負担をかけるはずですが、野菜とともに飲酒をしても問題ないからです。

今のところ、私の経験上、明らかに問題があるとわかっているのは、ご飯と麺類です。

どちらにせよ、お酒を飲むときはご飯や麺類を避ければ、消化器系の二日酔い症状になりにくくなるのは事実で、糖質制限実践者からいくつもの報告が上がっているので、覚えておいて損はないでしょう。中でも、シメの雑炊やラーメンは天敵と言える存在です。

 

糖質制限の効果:その他、さまざまな効果

炭水化物・糖質中心の食事から、タンパク質・脂質・野菜中心の食事へシフトすると、全身の代謝が大幅に改善し、必要のない脂肪がすっきりと消えていきます。血糖値の上下動も少なくなります。

すると、思いもよらない形で、健康増進に寄与するケースがあります。

 

1. 冷え性が改善

私の場合はまず、冷え性がよくなりました。男性ながら、冬になるとかなり手足が冷たくなる体質で、妻に「かわいそうねぇ」と言われるほどでした。

それが、糖質制限をして、あらかたの脂肪が落ち、基礎代謝が目に見えて向上してくると、足の指先のしもやけは消え、手足の冷えがそれほど気にならなくなっていました。

来シーズンの冬がどうなるか、非常に楽しみです。

 

2. 花粉症が改善

続いて、花粉症。糖質制限だけが理由ではないかもしれません。

ただ、夏井睦医師によるアンケートでは、花粉症がある約500名のうち、約300名が軽症化した(または治った)と回答しているなど、糖質制限でアレルギーが軽症化した報告が少なからずあります。

糖質の過剰摂取 → 血糖値上昇 → インスリン大量追加分泌 → 反動で低血糖 → 血糖値を戻すための副腎皮質ホルモン分泌

という負のサイクルがあり、副腎皮質の酷使が大きな原因とされているようです。糖質制限をすれば、血糖値の上下動が極めて穏やかになるため、副腎皮質の負担が軽くなるというわけです。

 

肌つやが良くなった

仕事などで久しぶりに会った人に、肌つやがよくなったと驚かれるケースがあります(もちろん、顔の輪郭がすっきりした、体が薄くなった、と痩身効果も指摘されます)。

私は男性で身だしなみにそれほど気を遣わないこともあり、自分ではあまり実感がないのですが、確かにニキビや吹き出物などの肌トラブルは明らかに減りました。 

 

その他、いろいろな効果

以下、私自身が経験したものではないですが、

・高血圧が改善

・高脂血症が改善

・EDが改善

・うつ病が改善

・睡眠時無呼吸症候群が改善(気道の脂肪が減るため)

・不眠が改善

など、さまざまな報告が上がっています。

 

このように、一生の付き合いと思っていた慢性疾患が、改善するケースがあります。

実はこれらは体質ではなくて、糖質の過剰摂取による脂肪過多・血糖値変動による弊害である可能性があるわけです。

もちろん、疾患の原因はさまざまなので、効果があるかどうかは人それぞれです。

 

 

糖質制限の実践:まずは1食の制限から

糖尿病等の治療でなければ、急激に極端な糖質制限をするメリットは、ほとんどありません。逆に、

1. 我慢している感覚があると、習慣にできない可能性がある

2. 外部から大量の糖質を摂取していた状態をいきなり止めると、糖新生がうまく働かない可能性がある

3. 口臭や体臭からアセトン臭が出る可能性がある

という3つのデメリットが存在します。

 

ダイエット法でなく、食の常識を正しく学び直す手段

炭水化物・糖質を主食から外すのには、心理的な抵抗が強いのが一般的です。なぜなら、M・クーハー『溺れる脳』に記載されているとおり、炭水化物には依存性があるからです。

炭水化物を摂取すると、コカインと同様にドーパミンの放出量が増えます。つまり脳は、炭水化物を日常的に摂取することを幸せだと感じているのです。

通常の脳内物質の働きとは異なり、脳はこれに