お味噌の材料 (出来高約6キロ = 味噌汁 375杯分(味噌汁一杯16g) 仕込みの目安
お味噌の分量 出来高 約 6キロ
甘口 オススメ中辛 辛口
大豆 : 1100g 1300g 1500g
麹 : 2600g 2000g 1800g
塩 : 750g 800g 800g
準備する道具
・まぜる容器: 大きめの容器
・煮る道具: 大きめ鍋
・つぶす道具: ミキサーor ガラス瓶(ワイン等)
・熟成容器: プラ瓶or 木桶 or 陶器の瓶
・中蓋: 落とし布 or ラップ or 和紙
・重し: 2リットルペット(水入り) or 石、雑誌
このレシピはマルカワみそに代々伝わるレシピです。
市販のお味噌と比べると麹の割合が多く甘みが強いお味噌が出来上がります。
ご家庭での味噌作りで一番大切なのは『豆の炊き』でございます。
この豆の炊き具合によってお味噌の色合いや風味、香り、そして柔らかさも決まってしまうといっても過言ではありません。
そんな大切な大豆、どうせなら良質な大豆で味噌を仕込みたいですね。
手作り味噌における良い大豆とは
・大豆の粒が大粒であること
・よく水を吸う大豆であること
・煮あがりの食味が良い大豆であること(食べておいしい大豆であること)
この3点がポイントになります。
大豆の粒が大きくないと実入りが少なくなりますね。
また、大豆がよく水を吸わないと柔らかく煮ることは不可能です。
そして、なにより、食味の良い大豆でないと、味噌にしてもおいしくなりません。
まさに『素材に勝る技術なし』ですね♪
味噌作りの仕込みは一日だけでは終わりません。
二日間にわたってお味噌を仕込みます。味噌作りのスケジュール、工程は下記の通り。
味噌作り前日の作業
・大豆をよく洗う
・大豆の3倍量の水につける
・24時間以上水につける (8時開始、翌8時まで)
大豆に十分に水を含ませる必要があり、根気よく水が大豆に浸透するのを待たないといけません。
『根気よく待つ』これが味噌作りにおいて重要です。
味噌作り当日の作業
・大豆を煮てつぶす (8時開始、15時まで7時間)
・潰した大豆に塩と麹を混ぜ合わせる
・容器に入れて保管
美味しい味噌の作り方、手順紹介 それでは詳しくお味噌の作り方を確認していきましょう。
◇手作り味噌の大豆はよく洗う
大豆は大地の恵みの農産物なので、見た目はキレイに見えても汚れている場合があります。
お米を研ぐような要領で小量の水で豆と豆をこすり合わせるように洗っていきます。
目安は水がキレイになるまでです。
たいてい3~5回洗うと水が澄んでいきます。
そして、大豆の乾燥重量の3倍の水を用いて浸漬をします。 大豆一キロでしたら、水は約3リットル必要になりますね。
◇大豆を24時間水につける
約24時間ほど水につけます。
手作り味噌の当日、朝の8時に豆を焚きたいのでしたら、前日の8時には大豆の漬けまで終わっていなければなりません。
大豆には芯まで水を吸ってもらわないと、炊きあがりがよくありません。
◇浸漬具合で変わる大豆の大きさ
十分に水を吸った大豆は大きさ、艶ともに違います。基本的に生の大豆は硬いものです。
水によって柔らかく仕上げるので、十分な吸水が必要になります。
ただ見た目の大豆の大きさだけじゃ芯まで水が浸透したのかわかりません。そういう時には何個か大豆を割ってみましょう。
◇十分に吸水された大豆は鍋の水位もすりきれくらいが適量
前日作業で豆をつけ終わったら、水を替えて、鍋に大豆を入れていきます。
いよいよ味噌作りの当日作業にかかります。
その時に、鍋の水位ですが、十分に水をすった大豆で炊けば水の水位は『ひたひた』くらいでちょうどいい感じになります。
◇味噌の大豆を煮る時は大鍋か圧力鍋で煮上げる
大豆を圧力鍋か大鍋で煮上げていきます。
大豆の煮上がり時間
・スロークッカー 約7時間
・圧力鍋 約20分
圧力鍋だと容量が大きいものが少ないので、今回の分量だと小分けに4回くらい煮る必要があります。
・大鍋 3時間ほど
大鍋の場合、弱火でアクを取りながら煮上げていきます。
◇大豆の煮あがりは親指と小指でつぶれるくらい
炊きあがりました。
この時の豆がおいしいと、味噌もおいしくなります。
豆の煮あがりは、親指と小指でつぶれるくらいの硬さがちょうどいいです。
正確にはキッチンばかりで一粒に圧をかけて500グラム前後(450グラム~600グラムは許容範囲)でつぶれるくらいが理想的です。
よく、煮汁を足したりしなくていいのかと お問い合わせいただきますが、『豆の煮上がり』がキッチンばかりで一粒に圧をかけて500グラム前後で
仕上がっていれば、この時の硬さは理想的になっております。
この時に水分で調整するとカビが生えやすくなったり、塩分濃度が下がる恐れがあります。
そのため、豆の炊きで失敗しないように、前日作業から手を抜かないことが大事ですね。
◇豆は手で潰したり、ビンや機械で潰す
温かいうちに、大豆を潰していきます。
大豆を潰す時はビンでたたいたり、手で潰したりしていきます。豆の量が多ければ多いほど、大変な作業になります。
手で行う時は、火傷しないよう、煮上がり直後の大豆を少し冷やしてから行いましょう。
大豆が乾燥重量で5キロ以上ですと、機械を使ったり、大勢で仕込まれた方がいいかもしれません。
◇煮て潰した大豆と塩きり麹をまんべんなく混ぜ合わせる
大豆を潰したら、あとはもう一息です。
麹と塩を混ぜたもの(塩きり麹)に、大豆を混ぜ合わせていきます。
この時に、大豆と麹、塩をよく混ぜ合わせましょう。
この時の混ぜあわせた硬さは『耳たぶくらいのやわらかさ』や『小指がすんなり入るくらい』で仕上げましょう。
容器は6キロのお味噌を仕込むときには、『タライ』のような大きめの容器で仕込まれると混ぜ合わせる事が容易になります。
容器が小さめのしかない方は仕込みを分割しましょう。
◇手作り味噌を容器に移すために団子状にまとめる
混ぜ合わせた味噌を団子状にします。
理由は容器に空気を抜いて詰めるためです。
押しこみながら詰めていきます。
団子を投げ入れても問題ありません。
容器に詰め込みました。
容器は何でもいいのですが、マルカワみそでは木桶を使っています。
木桶には菌が住みつき、それにより出来上がった味噌の味、香りがまた変わってきます。
◇空気に触れないように落とし布やラップ、中蓋をする
空気に触れないように落とし布や落としラップをします。
今回は「越前和紙」を使いました。
和紙は味噌の水分を吸うので、カビが生えにくくなります。
中蓋を敷きます。
◇出来上がり重量の約2割~3割ほどの重さの重石を乗せます。
この時に、石でなく、ペットボトルや書籍などでも可能です。
なぜ重しをしないといけないのかといいますと、カビが生えやすくなるからです。
仕込んだ味噌表面にカビが生えやすいので、そこだけは何とかクリアしたいと思います。
仕込んだ新しい味噌の上に古味噌を乗せて味噌蓋にする方法を教えて頂きました。
そうして今使っている味噌で表面を覆ってしまえばもうカビなどに侵される心配は全くありません。
◇約10カ月~1年寝かしておいしいお味噌が出来上がります
常温で保管して約10カ月~1年間寝かしておくと、おいしいお味噌が出来上がります。
冬の時期に仕込んだお味噌は非常においしいですね。
24時間365日休まずに発酵してくださる麹菌に感謝しなければいけないですね。
みんなでつくろう、手前みそ!
昔はどこの家でもお味噌を手作りして、日本の郷土食文化の多様性を守っていました。そんな、日本の食を支える縁の下の力持ちであるお味噌の魅力を伝えるために、シンガー森ゆに&デザイナー小倉ヒラクでアニメを作りました。さらに注目のダンスユニットflep funce!振り付けの「みそダンス」まで登場。歌って踊って覚える味噌文化。このアニメを見たら最後、みそを作らずにはいられない!
みそ汁は、いわば肉汁。日本人のスタミナ源だよ
昔の人が「大豆は畑の肉」と言ったように、みそに含まれるたんぱく質は、米みそで10~13%、豆みそなら18%前後と豊富で、肉と比べてもひけをとりません。しかもみそには、生命を維持するために不可欠な必須アミノ酸8種がすべて含まれている。
つまり、みそ汁とは、まさに肉汁なんです。
うちの親父はすごいグルメだったんだけど、毎年、杜氏さんたちが地元に帰っちゃうと、北海道の日高から幅30cmもの、今なら値段がつかないようなものすごい昆布を2俵分も買ってきて、杜氏さんたちがみそを仕込んだ桶に縦に突き刺していく。40本くらいもあったかな。
それを杜氏さんたちが戻ってくるまで、そのままにしておくんですよ。
そうすると、みそは昆布のうまみを吸い、昆布はみそのうまみを吸い……。まぁ、役者がそろっているということ。
それで杜氏さんたちがまた戻って来るころ、昆布を全部引き上げちゃうんです。
べっこう色になったその昆布のみそ漬けをまな板の上にあげて、細かくきざんであったかいごはんの上にぶわーっとかけると、ホントにおいしくってね。
これだけで、もう何もいらない。私の家では、「乾板(かしいた)のみそ漬け」って呼んでいましたね。「乾板」って昆布の異名です。
小泉武夫
豆腐や油揚げを入れたお味噌汁、嫌いな人はいないですよね。私たち日本人にとって味噌汁とは国民的料理と言っても過言でないほど身近な料理です。毎日味噌汁を飲んでいるという人も少なくないでしょう。
毎日何気なく飲んでいる味噌汁は主に味噌からできています。この味噌は美容や病気の予防に効果絶大のスーパーフードということをご存知ですか。
味噌は体にいいとなんとなく知ってはいても、どんな風にいいのかよくわからないという人は味噌の威力を知るよい機会です。
味噌といえば、味噌汁はもちろん、肉や魚の味噌漬けや味噌を使った炒め物など様々な料理法があり、日本人の私たちにとてはとても身近な食品です。それに味噌が苦手な人、嫌いな人というのはあまり聞いたことがありません。
味噌は体にいいと昔から言われていますが、一体どのように体に良い影響を及ぼすのでしょうか。
今まで具体的に知らなかった人も味噌の成分について知ることで、今まで以上に積極的に味噌を摂取したくなるはずです。
味噌は大豆を発酵させて作られています。大豆といえば、体に良い食品の代表ですが、さらに発酵という過程で味噌の中には、発酵前には存在しなかった様々な成分が作られます。
発酵とは簡単にいえば、様々な微生物の働きによって、食品の中に栄養豊富な成分が作られる工程と考えていいと思います。
味噌に含まれる主な成分といえば、イソフラボンです。イソフラボンはとくに女性にとって美容に効果のある成分として随分前から注目されています。
味噌に含まれるその他の良質な成分にはタンパク質、イソフラボン、ビタミンE、トリプシンインヒビター、コリン、リノール酸、メラノイジン、ビタミンBなどがあります。
現代の女性は美しくなることに貪欲です。エステや運動、サプリなど様々な方法でより美しくなる努力をしています。しかし、味噌ならば毎日の食事に取り入れるだけで簡単に美容成分を摂取することができるので、見逃す手はありません。
味噌にはどのような美容効果があるのでしょうか。
美白化粧品の人気成分といえばアルブチンですが、味噌にはアルブチンと同等の美容効果があると言われているリノール酸が含まれています。
リノール酸にはシミやそばかすの原因となるメラニンの生成を抑制する働きがあるのです。リノール酸はオリーブオイルやグレープシードオイルなど良質なオイルに含まれることで知られています。
リノール酸には肌の保湿力を高めたり、抗炎症作用があると言われています。しかし、一方でアレルギーの悪化を引き起こすとも言われていますので、過剰な摂取はお勧めできません。
最近ではリノール酸の改良がすすめられ、肌のバリア機能を高めるだけではなく、メラニンのもととなる酵素チロシナーゼを破壊することでメラニンの抑制を防ぐことが可能になりました。
農林水産省食品総合研究所・食品機能部の津志田藤二郎氏の「豆類の健康機能」という研究に関する文献を見ると、味噌のアルコール抽出液に強いメラニン生産抑制作用が認められ、その作用は美白成分として知られているアルブチンに匹敵する程であった。
活性成分を同定したところ、これは遊離のリノール酸であった。
ビタミンは全般的に美容にいいと言われていますが、ビタミンEはとくにアンチエイジングビタミンと言われています。
細胞のまわりの不飽和脂肪酸が活性酸素が結びつくことにより細胞が酸化し、体の老化につながります。ビタミンEはこの細胞の参加を予防してくれる働きがあるのです。
同時にビタミンEは血管の健康を保ち、血液をスムーズに循環させる働きがあります。血管の流れがスムーズになることで冷え性や肩こりなどが改善されるだけではなく、動脈硬化などの重篤な病気も予防してくれます。
味噌に含まれるイソフラボンには女性ホルモンエストロゲンに似た働きをすると言われています。女性ホルモンが活性化することにより、美肌や美髪、バストアップなど女性らしい体つきになるための効果が沢山あります。
イソフラボン、リノール酸、ビタミンEの三つを同時に摂取することで美容効果、アンチエイジング効果がより一層高まることは間違いありません。
そして嬉しいことに味噌にはダイエット効果まであるのです。
味噌に含まれるコリンという成分は肝臓の機能を高めてくれる働きがあります。つまり、肝臓に脂肪が蓄えられるのを防いでくれるというわけです。
とくに中高年の方で脂肪が気になる人にはこのコリンがとても効果的です。
お味噌に含まれる『コリン』という成分には、肝臓に入ったアルコールが脂肪となって蓄積するのを防ぐ役割があります。
二日酔いの朝に熱い味噌汁を飲むのは、肝臓に残ったアルコールを早くに排出するためでもあるのです。
また大豆に含まれるサポニンは腸の中で活躍します。このサポニンは腸の働きを整え、脂肪の吸収を抑え、脂肪を効率よく燃焼してくれます。
最近は味噌汁ダイエットというのも流行っていて、一日3食味噌汁を取り入れることにより、主食を減らし減量につながるというものです。食事の最初に味噌汁を飲んで、ある程度お腹を一杯にしてから主食やおかずを食べることで食べ過ぎを防ぐことができます。
また味噌汁の具に野菜を多く入れることでビタミンの摂取や食物繊維の摂取が可能になります。
味噌に美容効果があると聞いて興味を持った方が多いと思いますが、実は味噌にはもっとすごい働きがあります。味噌汁を飲むことでガンを予防できるという研究結果があちこちで発表されているのです。
ガンといえば、日本人の死亡原因のトップに挙げられる病気ですが、味噌汁を飲んでガンを予防できるとは驚きです。
まずは中年女性の死亡原因のトップである乳がんに関して、味噌汁との驚くべき関係が国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの研究から証明されています。
大豆製品の摂取量からその後に発生した乳がんとの関連を調査したデータが発表されています。食べる量の一番少ない人を1として、それ以上食べる人が何倍乳がんになりやすいかを示しました。
たとえば1日3杯以上みそ汁を飲む人達で乳がんの発生率が0.6倍、つまり40%減少しているということになります。
これらの値は、乳がんに関連する他の因子(初潮年齢や妊娠回数など)の影響を取り除いて計算しています。
まり1日3杯以上の味噌汁を飲む人は、味噌汁をほとんど飲まない人に比べてガンになりにくいということになります。
味噌汁は大豆で作られていますので、全ての大豆製品に乳がんの発生率を低下させる働きがあるのかと言われると実はこんな発表があります。
「大豆、豆腐、油揚、納豆」では、はっきりとした関連が見られませんでしたが、「みそ汁」ではたくさん飲めば飲むほど乳がんになりにくい傾向が見られました。
乳がんの発生に関しては、味噌汁以外の大豆製品でははっきりと効果はわかりませんでしたが、味噌汁では発生率の低下が確認できたということになります。
もちろんその他の大豆製品も体にいいことには間違いありませんが、乳がんに関しては味噌汁以外では効果がないということになります。
なぜ味噌汁以外では効果がないのかという疑問が残りますが、おそらく味噌汁に含まれる具材の影響も少なからずあるのではないでしょうか。味噌汁の具材には多くの緑黄色野菜が選ばれることが多く、それが体にいい影響を及ぼすと考えらます。
先程、イソフラボンは女性ホルモンエストロゲンに似た作用があるという話をしましたが、この作用が乳がんにも効果があると考えられます。
乳がんの発生は長期間女性ホルモンにさらされることが主な原因と考えられていますが、全国健康保険協会のサイトではイソフラボンの二面性について説明しています。
閉経前でエストロゲンの分泌が多いときには、エストロゲンより先回りして、大豆イソフラボンが受容体に結合し、エストロゲンの働きを弱めます。
逆に、閉経後などエストロゲンの分泌が少なくなった場合は、大豆イソフラボンがエストロゲンと似た作用をして、低下したエストロゲンの働きを補うという、二面性があります。
つまりこの説明によると、イソフラボンは女性ホルモンの分泌を抑えることも、促すこともできるということになります。ですので、イソフラボンの摂取がすぐにガンの発生につながるというのは極端な考え方と言えるでしょう。
閉経後の人達に限ると、イソフラボンをたくさん食べれば食べるほど、乳がんなりにくい傾向がより顕著に見られました。
国立がんセンターの研究でも閉経後など女性ホルモンの分泌が著しく減少する時期にイソフラボンを摂取することで女性ホルモンを補い、乳がんになりにくくなる傾向があると述べています。
イソフラボンは摂取した人の状況に応じて女性ホルモンを抑制したり、補ったりとホルモン状態を整えてくれる働きがあるのです。
味噌には発がん性物質を抑制する働きがある
ここまで乳がんの話をしてきましたが、実は味噌には乳がん以外のガンの予防にも効果が認められているのです。石井味噌のホームページでは国立がんセンターの研究結果について記載されていました。
みそ汁をまったく飲まない人に比べ、みそ汁を毎日飲む人の胃がんによる死亡率は低く抑えられることを明らかにしたのです(図1-A)。同じ調査結果を喫煙習慣の有無で分けてみると、喫煙者は非喫煙者に比べ、明らかに胃がんによる死亡率が高いのですが、同じ喫煙者でも、みそ汁を毎日飲む入ではそのリスクが大幅に軽減されています。
この結果、タバコを毎日吸うがみそ汁を毎日飲む入の死亡率は、タバコを吸わないがみそ汁をまったく飲まない人よりも低くなっているのです。
これはあくまでも喫煙者の胃がんに関するデータですので、肺がんなどの発生に関しては味噌汁が効果があるとは言えませんので注意してください。
しかし、味噌汁に煙草による影響をなかったことにしてくれるほどの強い作用があるとすれば、侮れないですね。
トリプシンインヒビターはすい臓がんに効果的!
トリプシンとはすい臓から分泌されているタンパク質分解酵素の一つですが、トリプシンインヒビターにはこの酵素を不活化させてしまう作用があります。
そのためすい臓が肥大してしまうので、大豆製品を摂取するときはなるべく熱を加えてこのトリプシンインヒビターを壊す必要があります。
しかし、最近になってこのトリプシンインヒビターが糖尿病やすい臓ガンの予防になることがわかってきました。
糖分は摂り過ぎるとすい臓から多量のインスリンが分泌され、すい臓に負担がかかります。糖分の過剰摂取を続けるとすい臓に負担がかかり、糖尿病を発症してしまうのです。
それが適度なトリプシンインヒビターの摂取により、すい臓が肥大しインスリンの分泌量が増え、糖尿病を予防してくれます。
トリプシンインヒビターのほかにも味噌の色である褐色色素のメラノイジンと呼ばれる成分も糖尿病の予防に一役買っています。メラノイジンは食品を加熱した際にできる物質で、抗酸化作用のほかに血管を健康に保ったり、整腸作用があると言われています。
このメラノイジンには糖尿病を予防する効果があることが女子栄養大学の五明紀春教授による動物を使った実験で証明されています。
メラノイジンが糖分の消化吸収速度を遅くし、食後の血糖値の上昇を抑える働きがあることを明らかにしています。
また、メラノイジンは、たんぱく質の消化酵素であるトリプシンを阻害する働きがあることも知られており、これによってすい臓機能を促進し、血糖値を下げるインスリンの分泌を盛んにすることが予測されます。
トリプシンインヒビターに話は戻りますが、トリプシンインヒビターは糖尿病を防ぐだけでなく、すい臓の働きが活性化することですい臓ガンの予防も期待できるのです。
大豆由来のトリプシンインヒビターには、すい臓機能を高める働きのあることが予想され、糖尿病予防の面から研究が行われています。また、これには癌細胞増殖を抑制する働きも期待されています。
すい臓ガンは初期症状がほとんどなく、早期発見が難しいガンと言われていますので、予防対策を行うことはとても大切です。
味噌には放射線防御作用がある!
もう一つ広島大学渡辺敦光教授の味噌に関する興味深い発表がありますのでご紹介します。福島の原発事故は記憶に新しいですが、原発事故は起きなくとも、私たちは常に放射線にさらされていることをご存知ですか。
大量の放射線にさらされると遺伝子に傷がつき、ガンを発症する危険性が高くなります。渡辺教授の報告によると味噌を摂取することで放射線を体外に排出することができるのです。
長崎原爆の被爆医師(浦上第一病院)秋月辰一郎氏による、味噌を食べて原爆症にならなかったという報告にもとづき、私たちは動物にX線を外部照射することで味噌の影響を検討しました。
その結果、事前に味噌を与えたところX線による消化管の障害が抑制されましたが、照射後に味噌を与えてもその効果はありませんでした。
このことから病気が発症してからではなく、日常的に味噌を摂取することが好ましいということがわかりますね。
ガンは日本人の死亡率の原因のトップです。味噌には乳がんを予防するイソフラボンやすい臓がんを防ぐトリプシンインヒビターが含まれているんです。放射線には発がん性があるというけど、それも破壊してくれるとは味噌はなんとも頼もしい食品ですね。
味噌が糖尿病を予防するということをお話ししましたが、味噌はそのほかの生活習慣病に対しても効果があるのです。生活習慣病の多くが高血圧やコレステロールの上昇によって引き起こされますが、この二つの原因を抑制する働きが味噌にはあるのです。
県立愛媛大学辻教授の研究でも、味噌に含まれるレチノール酸や大豆レシチンには血圧の上昇やコレステロールの上昇を抑制する働きがあることを述べています。
「みその原料となる大豆には7つの有効成分があり、なかでも大豆油に含まれる不飽和酸であるリノール酸と大豆レシチンには血中コレステロールの上昇を抑える効果がある」という研究結果をまとめています。
「過去、欧米に比べて日本人に心臓病が少なかった理由の一つは、みそ汁を代表とする大豆食品を食べる食文化を継承してきたからだともいえる」と辻教授は記しています。
また石井味噌のホームページでもラットを使った実験で味噌が血圧の降下に影響を与えたことが証明されています。
みその抽出物を高血圧ラットに投与したわけです。一方に味噌の抽出物を投与し、もう一方には同じ量の水を投与しました。味噌抽出物を投与したラットは時間経過とともに、血圧の降下が認められました。
このように様々な研究や実験で味噌に含まれる成分が血圧やコレステロールの上昇を抑える効果があることが確認されています。生活習慣病は誰でもなりうる病気であり、発病すると普通の生活を送ることが困難になることもあります。
味噌を摂取するだけで予防できるものであれば、すぐにでも始めないともったいないですね。
血圧とコレステロールといえば生活習慣病の主な原因となります。それが味噌に含まれるレチノール酸や大豆レシチンによって上昇を抑えることができるなんてすごいですね。生活習慣病はすぐに命を落とすわけではないけれど、悪化すれば普通の生活を送ることが困難になってしまいますよ。
なんとなく体にいいと思っていた人も実は味噌にこんなに健康に良い効果があると知って驚いた方も少なくないと思います。今まであまり味噌汁を飲んでいなかった人も、これからは積極的に味噌汁を飲もうと心に決めたことでしょう。
そこで気になるのが、味噌汁に含まれる塩分です。
味噌汁は塩分が多く、塩分の摂り過ぎは体に良くないと思われがちですが、専門家によると1日3杯の味噌汁では塩分の摂り過ぎにはならないようです。
みそは塩分の多い調味料と思っている人がたくさんいますが、100g中の塩分含有量が多くても少なくても、みそ汁として摂取するときは、塩分濃度は1%くらいとなります。
仮にみそ汁1杯150mlを摂取したときの塩分摂取量は1.2g~1.5g前後で、他の食品の1回の摂取量と比較すると、みそ汁の塩分は必ずしも多くはありません。また、みそ汁を作るときに具をたっぷり入れるなどの工夫をすれば、汁の量を減らすことができ、塩分の摂取も少なくなります。
みそ健康づくり委員会のホームページでは具体的な塩分量などが記載してありますので参考になります。
また女子栄養大学の五明副学長の文献にも食塩の目標摂取量を1 日10 g 以下(厚労省)としているが、現在、日本人平均11~12 g であり、そのうち味噌食塩の寄与率は5%程度(0.5 g)と試算される。したがって、減塩のための味噌汁減量指導には実際的な意味はないと考えられる。
とあります。味噌汁の塩分はそこまで気にすることはないようです。むしろ、日ごろ口にするスナック菓子などの方がよっぽど塩分が多いように思います。
さらに女子栄養大学の五明副学長は出汁の効果についても解説しています。
大豆に含まれるゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインなどのイソフラボンは、女性ホルモン様作用を示すことから、骨密度の低くなる骨粗鬆症の予防が期待される。(中略)
骨粗鬆症の予防に、乳製品、豆腐などの大豆食品、野菜、海藻、小魚などカルシウムを含む食品が勧められる。特に、「骨粗鬆症の予防には、さまざまな食品をバランスよく摂れる味噌汁のある生活パターンが重要なポイント」とされる。
結論としましては、味噌汁は味噌だけでなく、出汁として使われる魚などの成分や具材として入れる緑黄色野菜などの効果も大きいということです。
味噌汁は作り方も簡単ですし、わざわざ買わなければならないものもありません。普段家にあるものを使って短時間で作れますので、これほど簡単で効果の高いレシピは他にはありません。
味噌汁は総合的にとても優れた料理ですので今まで洋食のレシピに偏りがちだった人もこれからは味噌汁を中心に和食に切り替えるといいですね。
味噌汁を飲むと塩分の摂り過ぎになるのではないかと思っていたけどそんなことはないと知って安心しました。改めて、やっぱり日本人には和食中心の食生活を送るべきだと思いましたよ。
味噌は私たちにとってあまりにも身近な食品すぎて、その効果について深く考えたことがなかったという人が大半だと思います。
知るほどに奥が深く、健康に有効な成分がこれでもかというぐらい詰め込まれていることに驚かされます。一時期の発酵食品ブームで発酵食品の効果についてなんとなくご存知の方も多いと思いますが、ブームが去った後でも引き続き摂取してほしいのが味噌です。
味噌には美肌やアンチエイジングを叶えてくれるイソフラボンやビタミンE、リノール酸が豊富に含まれています。またがんを予防してくれるトリプシンインヒビターやメラノイジン、生活習慣病を予防してくれるレチノール酸や大豆レシチンなども味噌の成分です。
気になる味噌の塩分に関しても1日3杯程度の摂取では問題がないことが専門家の研究により証明されています。
味噌汁がほかの大豆製品より優れているのは、味噌汁は魚で出汁をとったり、緑黄色野菜を具材として使うなど、栄養バランスがとれているからです。
せっかく日本人として生まれ、味噌というスーパーフードが身近にあるのですから、様々な病気の予防に最適な味噌汁を飲まないのはもったいないです。
一度は作ってみたい発酵食品の一つに味噌があります。でも、作るのに手間がかかるのでは?とか、大きな樽や貯蔵場所がいるのでは?と思っていませんか。
実は味噌は簡単に作れます。分量や塩加減も自由に調節可能。
しかもなんと!衣類圧縮袋でできるのです。
仕込むのは寒い今のうちがベスト。ぜひ寒仕込み味噌に挑戦してみてください。自分が作った味噌で、格別においしい味噌汁をいただきましょう。
味噌の基本をおさえよう
味噌は麹の種類や割合、塩の割合、仕込み時期、熟成期間などによって味も色合いも驚くほど変わりますが、まずは基本をマスターしましょう。
味噌は空気が入るとカビが生えやすくなります。そこでビニール袋と衣類圧縮袋を使ってカビを防ぎます。