活性酸素を消去する酵素SODは、ビタミンCより3,500倍も強力であると言われています(Colman J,2005)。
SOD酵素は赤ちゃんが生まれる前から子宮内でその生合成が始まるという点でも非常に重要です。
ある研究では、体内でSOD酵素を作ることができないようにした遺伝子ノックアウト・マウスは、わずか数日で大量のフリーラジカル損傷によって死亡したという報告をしています。
また、SODは、細胞一つにつき10,000回/日のフリーラジカルによる攻撃から守ってくれているという報告もあります。
なにかとビタミンC、ビタミンE、CoQ10、アスタキサンチン、βカロテンなど外部から摂取して得られる必須栄養素ばかりが昨今注目されていますが、私たちの生体で最も抗酸化力がありベースとなるものは、SOD、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼという活性酸素を消去する酵素群です。
SODは遺伝子の設計図であるDNAを保護し、私たちの免疫システムを全面的に支えています。
SODは最も抗酸化力(速度も)があり、他の抗酸化物質ではSODほどの抗酸化力に近づくことさえないと言われています。
(もちろん他の抗酸化物質を軽視しているわけではなく、それぞれに役割があります)
SODにはマンガン(Mn)、銅(Cu)・亜鉛(Zn)のようなミネラルに依存しています。
Cu,Zn-SOD酵素は主に細胞質に分布しており、ほぼすべての細胞に発現しますが、特に肝臓・腎臓・赤血球に多く存在します。
Mn-SOD酵素はミトコンドリアのマトリックスに局在しており、生命維持に必須であり、仮に欠損すると死亡します。
さて、スーパーオキシド(活性酸素の一つ)がSOD酵素により消去されると、過酸化水素に変換されます。
過酸化水素はやはり活性酸素の一種であり、酸化力は弱いものの、鉄や銅などの金属イオンと反応してヒドロキシラジカルを生成してしまいます。
そのため体内にはこの過酸化水素を消去する酵素があります。
その酵素とはカタラーゼであり、カタラーゼは補因子にヘムをもつため、鉄に強く依存します。また、マンガンも必要です。
細胞内で脂質過酸化が起きても、その連鎖反応を最終的にストップさせることができるのはグルタチオンという酵素のおかげなのですが、これを触媒するのがグルタチオンペルオキシダーゼです。
グルタチオンペルオキシダーゼはセレンに依存した酵素です。
過酸化水素の分解にも貢献します。グルタチオンという酵素は、酸化型となったビタミンCやEを還元する役割もします。
夏場は紫外線による皮膚での酸化ストレスが頻繁に起きますが、この活性酸素の誘導でメラニン細胞が発生します。
メラニン細胞そのものは紫外線から体を守る大切な働きがあり、このメラニンを産生するチロシナーゼという酵素は銅に依存します。
さらに、最近では皮膚の酸化ストレスでメタロチオネインというタンパク質が誘導されることがわかっています。
メタロチオネインは重金属に結合する解毒たんぱくとして有名ですが、抗酸化作用もあることがわかり、このメタロチオネインは特に亜鉛(や銅)で誘導されます。
以上のように、酸化ストレスから防御する仕組みはミネラルがそろった上で働きます。
飽食時代のミネラル欠乏は、摂取不足や吸収阻害などが原因で起きています。
今一度、SOD酵素の抗酸化力を見直し、それを活性化させるミネラルを日頃から意識して摂取したいものです。