起きようと思っても一日を過ごすのが憂鬱で起き上がれない、毎日何度もネガティブ思考になってしまううつ病かもしれない、そんな現代人が増えています。
シニア層はもちろん、若者は「未来に希望を見いだせない」と嘆き、「夢は?」と聞くと「特にない」と答える。
確かに今の日本には独身率の増加、パワハラ、雇用、原発や政治経済・国際社会に至るまで様々な問題がありますから、不安になるのは当然です。
その一方で、ポジティブな気持ちで毎日前向きに楽しく生活している人もいます。
同じ社会に生きているはずの両者の違いはいったいどこにあるのでしょうか。
約6年前、当時学生だった私は荒んだ食生活をしていました。焼きそば、コンビニのおにぎり、牛丼、回転ずし、スイーツ、チェーン店のバーガー。
ジャンクフードを毎日のように食べ、一人暮らしの食生活は散々でした。
ちょうど日本が就職氷河期と呼ばれていた時代だったその頃、思うようなビジョンも描けず、現実と理想のギャップに苦しんでいました。
一体将来どうなってしまうんだろう・・。明日への希望を見いだせずにいた私。言葉にできない不安感を感じながらの辛い就職活動。
氷河期の中、辛うじて就職した後もその心境は、一向に変わりませんでした。毎日仕事をやめたいと願う日々。その場限りのどんちゃん騒ぎや飲み会でしか紛らわすことができませんでした。
時には「何のために生きているんだろう?」と疑問に思うことすらありました。そのころの自分には心の余裕もなく「食生活を正そう」という発想はゼロに等しい状態でした。
腸をよくするとあらゆる不調がよくなり、さらにはダイエットにも効果があると、数々の著書を執筆された医学博士藤田紘一郎氏は唱えています。
彼の著書「すべては腸内細菌で決まる」の中で紹介されているある調査によると震災の時に心理的ストレスによって人々の悪玉菌の数が増えたというデータがあったそうです。
九州大学の須藤教授によると体が強いストレスを受けたとき、カテコラミンという物質が分泌されることによって悪玉菌が増えるということが確認されているということです。ストレス物質が過剰になったとき、幸福ホルモンともいわれるセロトニンやドーパミンの分泌が減ってしまうために「うつ状態」になりやすくなるのだというのです。
人間の自律神経には交感神経と副交感神経の二種類があります。仕事などでせっせと働いていると、交感神経が活発に。
人間関係でストレスを感じたり、何か嫌なことがあった時もまた、交感神経が活発になります。反対に、マッサージをしたり、好きな音楽を聴きながらヨガをしたり、ハーブティーを飲むなどしてリラックスしているとき、副交感神経が優位に立ちます。
医学博士である小林弘幸氏によると、腸は、交感神経が続くと正しく機能しなくなり、腸内環境が悪化してあらゆる慢性病の原因でもある便秘などを引きおこしやすくなると述べています。つまり毎日ストレスを感じている方は、必然的に腸の調子も悪くなるということなのです。
腸内環境が悪化するとあらゆる病気の原因になる。
アメリカの医学博士であるバーナード・ジェンセンによると、乱れた食生活によって腸に宿便がこびりつくと、腸内で腐敗が起き、悪玉菌が増えやすくなる、また腸内の血管を通じて有害物質が大量吸収され、それら血管が有毒物質を取り込み、血液とともに有害物質が流れることですべての臓器にまで悪影響を及ぼす、と述べています。また、それだけでなく人間に必要な栄養素を正常に吸収することが難しくなるとも述べているのです。
近年現代人にとって、もっとも身近な病である「がん」の多くも、腸内環境の悪化が原因だと指摘する声も少なくありません。
前項で記載したように、悪玉菌が増えるとあらゆる病気の原因となりますが、なんと悪玉菌から生成される発がん性物質もあるというのです。
ストレス、乱れた食生活によって悪玉菌が増えると「アミン」という腐敗物質が発生します。このアミンと亜硝酸塩が結合されるとニトロソアミンという発がん性物質に変異してしまいます。これは自然生成されるケースと、食物と結合して生成されるケースがあるというのです。
食物の場合は下記のような食品に含まれる物質が結合されることで発がん性物質が作られてしまいます。
・アミンが含まれる食べ物
・肉類、魚、タラコ・加工魚・加工肉類(ハム、ソーセージ類)
・亜硝酸が含まれる食べ物
・加工食品・加工肉全般
・漬物
・残留農薬のある野菜・食材
・添加物・発色剤
これ以外にも、下記のような生活は腸内環境を悪化させるといえます。
お肉中心の食生活
医学博士である、渡邊 昌氏は、大腸がんの場合動物性脂肪を大量に摂ると、それを分解するために胆のうから胆汁が分泌されますが、胆汁に含まれる胆汁酸の中には、発がん性物質もあり、これが大腸内にとどまると、大腸がんが発生しやすくなる。と、述べています。
肉類や高い脂質のものばかり食べると、大腸がんにとどまらずそのほかのがんにもなりやすいと指摘する専門家もいます。
喫煙習慣 大腸がんのリスク約7倍
喫煙が肺がんの原因になることは、喫煙者ですら周知の事実ですが、実は一見関係なさそうに見える大腸がんの誘発にもなる可能性が高いと医学博士の高山哲朗氏が述べています。同氏によると、「発がん性物質を取り込むため、吸わない人に比べると約7倍大腸がんになりやすい」とのことです。
砂糖の過剰摂取
砂糖は、あらゆる病気の原因、悪玉菌のエサになるといわれています。悪玉菌が増えることで腸内環境は悪化します。
乳製品
乳製品の害についてはIN YOUで何度も過去に取り上げてきましたが、乳糖不耐症の人が多いとされる日本人についても、乳製品が腸によい影響を及ぼすとは言い難いです。
牛乳をやめた瞬間不調が改善された、という声は私の周りでも非常に目立ちます。
乳糖を分解できない体質の場合、腸内で腐敗物質が生成され、その結果活性酸素、硫化酸素など有害物質が増えてこれが様々な疾患につながる可能性が高いと複数の専門家が述べています。
添加物・農薬・化学物質の取りすぎ
コンビニ、スーパーの市販弁当、デパ地下惣菜、加工食品、お菓子、清涼飲料水などに含まれる添加物や残留農薬入りの食物中心の食生活を送ると、腸内の善玉菌のバランスが乱れ、結果として腸内環境が悪くなるのでは、という指摘があります。
小麦粉類の食べ過ぎ
小麦粉は体質によってあう・合わないがありますが、グルテン不耐性の人は意外にも多いといいます。
食生活の欧米化が進み、パスタ、パンケーキ、パン中心の食生活を送る日本人も増えていますが、ジョコビッチの生まれ変わる食事という本によると、5人に1人くらいの割合で小麦に含まれる「グルテン不耐症」であるとされ、該当者はグルテンの消化が難しいという記載があります。
確かに現在出回る品種改良を重ねられた小麦は、水分で溶かすとわかる通り、ねっとりとこびりつく性質がありますので、小麦ばかり食べていてはドロドロの排水溝と同じように、私達の腸内にもこびりついてしまうことは、想像に難くありません。
腸内環境をよくして、幸せになれる物質:セロトニンを優位にする方法とは
その1 発酵食品をとる
味噌、納豆などの発酵食品は豊富な植物性乳酸菌を含み、善玉菌を増やすため、腸内環境改善の効果を期待できます。
その2 野菜、穀物、豆類、海藻などを積極的に食べる
マクロビオティックでも推奨されているように、なるべく毎日過ごしている土地にあったもの、旬のものを中心にとることが重要です。
特に野菜や穀物には食物繊維や、腸内のよい細菌を増やす効果があるものが多いので、色のついたものを中心にとるといいでしょう。
その3 食物繊維をとる
食物繊維、特に水溶性食物繊維は腸内環境の改善をするといわれています。
切り干し大根、納豆、ほしシイタケなどが代表例です。
その4 適度な水分補給を
過度な水分補給は体を陰性に傾け、冷えの原因になりますが、水分補給を怠ると、便秘になりやすくなります。
おすすめは白湯。朝に飲むコップ一杯の白湯習慣は便秘改善のほか、様々な美容、健康効果を期待できますよ。
「心と体は密接に関連しあっている」
精神的なストレスは腸の状態を悪化させ、また腸の状態が悪くなると幸せな気持ちになれる物質の分泌が減少し、うつ状態にもなりやすくなる。心と体がつながっている、とはよく言うものの、「その信ぴょう性は」と思っていた方もいたのでは
しかし実際に、不調は心と体の両方が関係しており、これは複数の専門家からも立証されていることだったのです。
まさにこの言葉のとおりの意味なのだということが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
健康的な生活を手に入れるためには、第一に毎日楽しく穏やかな気持ちで過ごすことと、そして腸をベストな状態に保ち続けることがきわめて重要なのです。