ビタミンKにはK1、K2、K3があります。私たちが食事から摂取するビタミンKの多くは植物性由来のビタミンK1です。なぜなら、動物性に含まれるのはK2の方ですが、含有量はそんなに多くないからです。
人の体の中ではK1・K2・K3の、どのビタミンKも重要ですが、最近特に注目されるようになったのはK2です。しかしそんなビタミンK2が現代人では慢性的に不足しているという指摘があります。
食事からビタミンK1を摂取すると、小腸で吸収される際にK3に変化し、各組織に移行します。各組織にある変換酵素によって最終的にK2にまで代謝されます。※ただし、K1すべてがK2まで変換されるわけではありません。
ビタミンK2はメナキノンと呼ばれます。メナキノン(MK)は実は種類がたくさんあります。たとえば、MK-1、MK-2、MK-3、MK-4、(中略)、MK-14などです。発酵食品に存在する発酵菌はMK-6~MK-14といった長鎖のものを産生します。ちなみに納豆菌が生成するのはMK-7です。
このようにビタミンK2(メナキノン)は種類がたくさんありますが、私たちの人体組織の中で多く存在するのはMK-4です。その理由は、たとえMK-1であろうとMK-7であろうとMK-12であろうと、摂取後は最終的にはMK-4にまで変換されるからです。さらに、ビタミンK1でも、先述のようにK3を経てビタミンK2(MK-4)にまで代謝されるからです。
ビタミンK2の主な作用は、出血時の血液凝固作用、そして骨の形成の、二つがあります。
骨の形成についてですが、ビタミンK2は、骨の石灰化(=新しい骨を作る)や骨にカルシウムをためる際に必要なタンパク質であるオステオカルシンに作用して骨形成の促進に働きます。しかし、ビタミンK2不足になると、骨粗しょう症になる可能性が高いことが指摘されています。それ以外でも、糖尿病の発症、腎障害、脳卒中促進、環境ホルモン作用が起きることが指摘されています。
つまり、ビタミンK2不足がこれらの疾患の隠れた原因となっているわけです。ではなぜビタミンK2が不足してしまうのでしょうか。
摂取不足も考えられますが、最近では、数種の薬(スタチンなど)や、水素添加された油、パーム油、コーン油などの数種の植物油がビタミンKを欠乏にさせている原因ではないかと指摘されているのです(Okuyama,2016)。これらがビタミンK2の作用を阻害し、組織内で不足させ、このような疾患を起こしているということです。外食や加工食品をよく食べる人は注意です。
現代人は特に上記の油の摂取量が多いため、当然考えられる話です。まずは、これらを普段の食事から回避していくことが肝心でしょう。そうしてはじめて、ビタミンK食品を意識して摂ることが必要になってきます。ビタミンK食品といえば、まず納豆、紫蘇、パセリ、海藻類、鶏皮などが挙げられます。これらはK1の場合が多いですが、体内でK2に変換されます。
まずはビタミンK2を阻害する薬や油を避け、上手に食事から摂取していくことが大切なのです。