油は、「細胞膜」の材料になります。そのため、質の良い油を摂れば良い細胞膜が作られ、質の悪い油では悪い細胞膜が作られてしまいます。
そのほか、ビタミンA、D、E、Kの輸送と吸収に関与したり、体を温める、脳の神経細胞の材料になたったり、ホルモンの原料にもなります。
質のよい油を摂取することは大切です。
外食、ファストフード、スナック菓子に使用されている油は、コストの関係で、安い油を使用していたり、油を何回も使いまわしていたり、日持ちさせるために精製加工された油を使ったり、ガンガン加熱して使ったりしているため、非常に品質が悪いことがほとんどだと考えられます。
これらには、質の悪い「トランス脂肪酸」が多く入っている可能性があります。
トランス脂肪酸は、自然界には存在しない油で、細胞の膜が劣化してしまい、ガンや心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、膠原病、アレルギーなど様々な病気の原因になります。
先進国では規制の対象になっていますが、日本ではまだまだ野放し状態です。
以下の油は避けましょう。
・加熱した油(酸化しているので、サビているものを食べている。)
・「食用精製加工油脂」と書かれているもの(トランス脂肪酸や添加物の温床。精製されているため、大切な栄養分も除去されている)。
・マーガリン、コーヒーフレッシュ(コーヒーに入れるミルク)、即席めん、アイスクリーム、菓子パン、チョコレート、ケーキ、スナック菓子など
では、どんな油を摂取すればよいのでしょうか?油の成分には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸にわけられます。
飽和脂肪酸は、肉の脂肪など動物性脂肪に多く、体内で固まりやすい、
不飽和脂肪酸は、植物性脂肪に多く、体内で固まりにくいと考えてみてください。
不飽和脂肪酸は、その構造からオメガ3系、オメガ6系、オメガ9系に分類されます。
このうちオメガ6は、摂りすぎている日本人は多いようです。摂りすぎると、逆に体に悪いです。(代表的な食用油にはオメガ6が多く含まれているようです。ゴマ油やグレープシードオイル、ベニバナ油、コーン油などです。)
オメガ9は、オリーブオイルなどに多く含まれます。
もっとも摂取不足になりやすいのはオメガ3です。オメガ3系は、血液中の脂質の濃度を下げる働きがあります。
その結果、以下のようなことが期待されます。
・動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞予防、高血圧予防
・リウマチなどの症状の緩和
・ガン対策
・腸内環境改善、便秘対策
・ダイエット
・脳の活性化、抗うつ作用
・アレルギー予防、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、花粉症などの予防
・生理痛の緩和
・美肌
・加齢性黄斑変性対策
また、脳・神経系や細胞膜は脂質からできているため、オメガ3系脂肪酸のような質の良い油を摂取することは、それらのアンチエイジングに必要ですし、質の良い細胞になるための補助になります。
オメガ3系脂肪酸は、青魚や、えごま油、しそ油、アマニ油、緑黄色野菜、玄米、豆類などから摂取できます。
しかし、オメガ3系の油を加熱すると、酸化してしまい体に悪い油になってしまうので逆効果です。
ですから、冷蔵保存して、生で食べることが大切です。例えば、えごま油やアマニ油などで自家製ドレッシングを作って食べたり、それらの油を納豆に混ぜて食べるなどをすることをお勧めしています。
大人で大さじ2杯、小児では年齢にもよりますが、量を調整して摂取したほうがよいです。
オメガ3系の油は積極的に摂取しましょう。
サラダ油は摂らないほうがいい!! サラダ油が認知症を加速する!
脳と体にいいお勧めの油とは 毎日のように摂る油!あなたはどんな油を使ってますか
油は体にとってとても大切なもの、もしサラダ油を使っている方は、やめたほうがいいかもしれません。
サラダ油が認知症を加速させるというのです。
私は脳科学専門医として、金沢大学大学院医学系研究科で脳の神経細胞に関する基礎研究を行っています。
それと併せて、金沢大学附属病院や市中病院などで脳の病気に苦しむ患者さんの診療も行っています。
40年ほど臨床医を続けてきて、ここ数年、実感していることがあります。
それは、症状が完成した認知症の患者さんだけではなく、その予備軍がものすごい勢いで増加しているということです。
なお本記事でいう「認知症」とは、世界的に最も患者数が多いアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)を念頭に置き、それを中心に述べていくことをご承知おきください。
アルツハイマー病の原因としては、ここ半世紀近くもの間、脳内に蓄積する「アミロイドβ」という物質の関与が強く疑われていました。
「タンパク質のゴミ」であるアミロイドβが脳内に蓄積し、老人斑(アミロイド斑)として沈着し、やがて神経細胞が死滅していくという「アミロイド仮説」が有力視されてきたのです。
しかし、10年ほど前から、アルツハイマー病の研究者の間では、「アミロイドβ犯人説」に疑いの声が高まってきました。
では、アルツハイマー病の根本原因とは、実際のところ、何なのでしょう
私は、「ヒドロキシノネナール」という毒性物質こそが、アルツハイマー病の原因物質であるという新説を立てています。
ヒドロキシノネナールと聞いても、みなさん、ピンとこないかもしれません。ヒドロキシノネナールの「ナール」というのは、「アルデヒド」の別名で、実は両者は同じものです。
アセトアルデヒドという言葉を聞いたことはありませんか。 これは二日酔いの原因物質です。
アセトアルデヒドであれば24時間以内に分解されて体外に排出されるので、さほど問題はありません。
しかし、ヒドロキシノネナールは体内に残り、少しずつ蓄積されていく非常に厄介な代物なのです。
認知症患者の脳では神経細胞が死んでいる
ヒドロキシノネナールは大事なキーワードです。覚えづらいので正確に暗記しなくても、「ヒドロちゃん」とでも呼んで記憶にとどめておいてください。
ヒドロちゃんは端的にいえば「毒」です。
サラダ油の主成分であるリノール酸が摂氏200度前後に加熱されると、ヒドロちゃんは急激に増えます。
これが体内に入ると、まるでドミノ倒しのように細胞膜のリン脂質を酸化し、ついには神経細胞だけではなくあらゆる臓器の細胞を死に追いやります。
そうなると脳の神経細胞は死んでしまい、最終的には「海馬」という「記憶の指令センター」が萎縮してしまいます。
海馬の萎縮は、認知症の大きな特徴です。
認知症の人の脳をMRIやCT検(断面像として描写)で調べると脳自体が萎縮していなくても、海馬は必ず小さくなって隙間が空いているのを確認することができます。
つまりサラダ油を取るという行為が体内(特に脳内)にヒドロちゃんを蓄積させ、熱ショックタンパク質70(脳の神経細胞の生存に必須のタンパク質)を酸化損傷させます。
その結果、神経細胞が死滅し、海馬が萎縮するという悪循環につながってしまうのです。
患者さんたちに強くお勧めしているのが脱・サラダ油 生活
そこで、私が診療において、患者さんたちに強くお勧めしているのが「脱・サラダ油」生活です。
具体的には、家にあるサラダ油は捨て去り、原材料ラベルにサラダ油を原料とする「植物油脂」「食用植物油」などと書かれている市販品は口にしない生活です。
サラダ油のみならず、それを原料に作られたマヨネーズやマーガリン、ドレッシングなども口にしないことです。
みなさん そんなの簡単!と思うかもしれませんね。 でも、いざ実践しようとすると、意外に難しいことに気づくはずです。
試しに、スーパーやコンビニで、惣菜や加工食品、スナック菓子やデザートなどを手に取ってみてください。
パッケージの裏の原材料表示を見てみましょう。
かなりの確率で「植物油脂」「食用植物油脂」という表記を目にするはずです。これらはサラダ油でできています。
意識して観察してみると、サラダ油を使った加工食品があまりにも多いので、きっとびっくりするでしょう。
加工食品に多い隠れ「サラダ油」に要注意!認知症のリスク有り
問題なのは「植物油脂」「食用植物油脂」「ショートニング」など、加工食品やスナック菓子などに紛れ込んでいるサラダ油です。
たとえば、コンビニやスーパーに並ぶパン、ポテトチップス、それに天ぷら、フライ、カツ、串揚げなどの惣菜……。また、冬にコンビニでおでんでも買うとしたら、がんもどき、さつま揚げはサラダ油で揚げられています。
では、自炊して家でカレーでも作ろうと思えば、市販のルウにはしっかり「植物油脂」が含まれています。
カレールウの原材料表示を見ると、だいたい最初に書かれているのが「植物油脂」「食用植物油脂」です(原材料の成分は、通常、多い順に表記されています)。マヨネーズも同様に、原材料に「食用植物油脂」「菜種油」などとあります。
インスタントラーメン、カップ麺も「ノンフライ麺」を除けば、サラダ油で揚げられています。
ほかにも、スーパーやコンビニで売られているケーキ、プリン、シュークリームなどには、高価なバターの代わりに、「植物油脂」がよく使われていますし、食パンや菓子パン、デニッシュ類の多くは生地を練りこむときにマーガリンが練りこまれています。
また、クッキー、ビスケット、パイには、さくさくとした食感を出すためにショートニングが使用されています。
デザートやパン類、デニッシュ類、洋菓子を買うのなら、原材料表示に「バター」と記載されているものを選ぶようにしましょう。
そんな「見えないサラダ油」を避けるには、自分の口に入れるものは自分で作るという基本方針でいくのが、健康を守るために非常に大事です。
手作りであればどんな油を使うのか、自分でセレクトできるからです。
脳と体にいいという理由で、私が積極的にお勧めする油は、次の5つです。
①ごま油(太白か低温焙煎)
②高級米油...揚げ物か炒め物に使用
③オリーブオイル...炒め物か加熱しないでそのまま使用
④えごま油
⑤亜麻仁油...酸化しやすいのでドレッシングなど生食で使用
酸化が進まないうちに開封後1~2ケ月以内に使いきれる分量を購入するようにする
価格は、
ごま油は1cc当たり2~3円
米油は、1cc当たり3~5円
オリーブオイルなら1cc当たり10円程度
えごま油、亜麻仁油は5~10円を目安とします。
品質のよい製品は、手間と時間をかけて低温圧搾して作られるため、大量生産はまずできません。すると価格は当然ながら高くなります。
また、使用量を考えて、酸化が進まないうちに開封後1~2カ月以内に使いきれる分量を購入します。
30~50歳代の食生活が予防の要
認知症を恐れるなら、有効な手立ては、サラダ油をきっぱりとやめてしまうことです。
もしあなたが30代、40代で「認知症なんて20年、30年先の遠い将来の話だし。私には関係ないね!」なんて考えているのであれば、その認識は直ちに改めてください。
認知症の代表格であるアルツハイマー病についていえば、発症は65歳以上の高齢者に多いのですが、発病は実は20年以上も前の40代から始まっています。
仮に、45歳で発病した場合、ゆっくりゆっくり進行し、65歳で何らかの症状が出て発症します。
その後、70歳くらいで正式に認知症と診断され、確定診断された患者の場合、その余命は平均するとおよそ10年なので、だいたい80歳で死を迎えることになります。
これが、最もポピュラーなアルツハイマー病の生活史となります。
つまり発病と発症の前、30~50代をどう生きるかによって、発症の時期を遅らせることができるか、できないかが決まるのです。
たとえば30代、40代前半から気をつけていれば認知症の”発病”を45歳から55歳に遅らせることができるでしょう。
では50代になって初めて気をつけだすのではもう遅いかといえば、そんなことはありません。
たとえ、50代ですでに”発病”していたとしても、”発病”を少なくとも5年は遅らせられると考えると、実際には70歳前後での発病となります。
みなさん 30代、40代は、認知症になるにはまだまだ若いとお思いですよね。でも、決して、心配しなくていいというわけではありません。
確かに先のことではありますが、サラダ油にまみれた生活を続けていれば、脳内にはヒドロキシノネナールの蓄積が進む一方です。
そして、真綿で首を絞めるように、神経細胞は時間をかけて1個ずつ確実に死滅していきます。
実は私は、若い世代や子どもたちにこそ、「脱・サラダ油」生活を実践してほしいと願っています。
ファストフードやスナック菓子、サラダ油で調理された料理を食べ続けていると、ヒドロキシノネナールは知らず知らずのうちに、少しずつ少しずつ体内に蓄積されていきます。
むしろ中高年よりも若い世代の方が「サラダ油」漬けの生活にどっぷりとはまり込んでいるため将来的に見た蓄積度合いは深刻かもしれません。
発症年齢に近い50代でも悲観する必要はない
そして 発症年齢に近い50代の方は「発症までもう時間がない、遅かった......」と悲観することはありません。
50代でもまだ認知症の魔の手から逃げ切れる可能性は十分にあります。
仮に”発病”していたとしても、”発症”するまでの年齢を遅らせ、できるだけ時間稼ぎをして、自身の健康寿命を平均寿命に少しでも近づけるように努めればいいのです。
認知症は最初は勘違い程度の物忘れやちょっとしたうっかりミスから始まって緩やかな長~い下り坂を下りていきます。
そして確定診断がつく頃には、まさに1年ごとに加速して転げ落ちるような状態.....
「あの人、誰だっけ?」「あれ、ここはどこだっけ?」となってしまいます。
だからこそ認知症は早期発見・早期治療が大事なわけです。
そもそもは発病しないことがいちばんですが、仮に”発病”していたとしても、”発症”をいかに遅らせ、健康寿命を引き延ばせるかが重要なのです。
私たち(動物)のエネルギー貯蔵庫のひとつは「中性脂肪」ですが、その脂肪酸組成はステアリン酸、パルミチン酸などの飽和脂肪酸が主であり約60%前後を占め、残りは一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)が約20%、多価不飽和脂肪酸(オメガ6、オメガ3)が約20%弱になります。
そして、動物の細胞膜は、中性脂肪から取り出された脂肪酸を原料としたリン脂質から形成されています。
これに対し植物は一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)や多価不飽和脂肪酸(オメガ6、オメガ3)のような不飽和脂肪酸を中心に多く組成されています。もちろん、ヤシなどのトロピカル系になると実や核には飽和脂肪酸が優勢ですね。
オメガ6・・・リノール酸、アラキドン酸、ドコサペンタエン酸(n-6)など。
オメガ3・・・α-リノレン酸、EPA、DHAなど。
そもそも、オメガ3の一つα-リノレン酸は植物が作る脂肪酸で、哺乳動物はこれをエサとして食物連鎖の中で摂取しています。このような多価不飽和脂肪酸は自然界にある食べ物において決して多くなく、同じように人体でも決して多いものではありませんが、微量ながらも脳、網膜などにとても重要な働きをしています。
α-リノレン酸は植物の葉や根に多い脂肪酸であり、この脂肪酸は光合成に必要です。海にいる植物プランクトンもこの脂肪酸を作ります。
α-リノレン酸は陸上では食物連鎖で動物に行き渡りますが、海の中でも植物プランクトンを動物プランクトンが食べ、次に魚が食べ、魚の腸内細菌によってEPAなどを作らせます。
そして、人体ではこのα-リノレン酸をEPA・DHAに変換する代謝酵素を持っています。EPA・DHAは脳・網膜・心臓の機能を保つために必要な脂肪酸であるために、仮にその摂取が少なくても、体内にある鎖長延長・不飽和化の酵素系はα-リノレン酸からEPA・DHAを作り出すことができます。ただし、直接摂取した方がいいことは言うまでもありません。ちなみにEPA・DHAからαリノレン酸への、逆の変換酵素も持っています。
この変換に、定まった変換率などは基本的にはありません。なぜなら、各種臓器や、貯蔵脂肪そしてリン脂質の脂肪酸組成の状況によってフィードバック制御機構が働き、状態を見ながら変換されるからです。この、鎖長延長・不飽和化の酵素系は興味深いことにα-リノレン酸系を優先しますので、リノール酸→アラキドン酸の代謝を結果抑えることができます。つまり、EPAはリノール酸からアラキドン酸がつくられるのを抑える、といえます。
オメガ3を欠乏させた食事を与え続けたネズミ実験では、欠乏症が見られます。ただし、急激な死に至ることまではありません。たとえオメガ3を一生摂取させなくとも、例えばネズミの脳にはある程度はDHAが残っています。しかし、先述のように欠乏症が現れます。
さて、これらのオメガ3は炭素の二重結合が多いため過酸化脂質を作りやすいイメージがありますが、それは酸素下のもとでの話です。酸素分圧の低い体内では抗酸化ビタミンや各種酵素により、過酸化の連鎖反応はストップでき、むしろ活性酸素の標的となり、最終的には消去させ、アルコールとしてエネルギーに利用されます。実際にネズミ実験では、酸化したオメガ3油を発がんネズミに与え続けたところ、がんが消えたという報告もあります。とはいえ、もちろん、通常は酸化されていない油を選ぶことは言うまでもありません。
オメガ6は植物の種子の部分に多く含まれます。オメガ6は炎症作用や生理生殖作用があります。これによって種を外敵から守ったり成長が促進されるのです。(ただし、えごまや亜麻仁などの例外もあります。また温度や気候によって組成が変わることがありますが、一概には言えません。例外がたくさんあります)。そして、葉や根とは違い、種子からはたくさんの油が搾れますので、食用油の多くがこの種子オイルなのです。
この種子から搾油した食用油(大豆油、コーン油など)を現代人は摂りすぎのため、できるだけ控えるようという勧告がされているのです。ただし、オメガ6も先述したとおり成長・生殖生理作用を保つ上で必須で、たとえばアラキドン酸がないと子どもが生まれません。よってアラキドン酸ほど大事な脂肪酸はありません。しかし、摂りすぎは慢性炎症の引き金になります。大切なことは搾油したものから摂取するのではなく、通常の食材の中から一物全体食としてとることです。
さて、飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸は貯蔵脂肪(中性脂肪)になりやすい成分ですが、オメガ6やオメガ3はどれだけ多く摂取しても貯蔵脂肪になりにくいという性質があります。これは性質と言うよりは体内で「調節機構」があるからです。
たとえば6割近くを占める大豆油を動物に与えても貯蔵脂肪のリノール酸は2割弱です。また、魚油をたくさん食べても細胞のリン脂質にはオメガ3を多く貯めることはしません。オメガ3が有り余った状態になると、鎖長を短くする酵素によりエネルギー源や熱源に使用されます。こういう理由からも貯蔵脂肪の中にはオメガ3は少量しか含まれていません。オメガ6/オメガ3比の中でオメガ3のシェアが増えるだけです。
脂肪酸の摂取と細胞リン脂質の脂肪酸組成の関係ですが、どんなにあらゆる脂肪酸を摂取しても、大きく変わるのは多価不飽和脂肪酸のオメガ6/オメガ3比であって、飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸がさほど大きく影響するということはありません。
また、体内の脂質代謝の流れにおいて、エネルギー収支の状況によっては、摂取した短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸などの飽和脂肪酸が不飽和化され、最終的に長鎖の不飽和脂肪酸に再合成されるという仕組みがあります。たまに長鎖の不飽和脂肪酸を悪玉に仕立て上げる人を見ますが、実際には体も必要があって合成させているのです。
さて、必須脂肪酸だから、毎日スプーン3杯取りましょうなどと言う馬鹿げたことを言う人がいますが、至ってナンセンスです。現代の食事では、通常は必須脂肪酸は足りています。しかし、問題はオメガ6の取りすぎが現代人に見られるためにオメガ3も積極的に取ろうということなのでしょうが、そもそもその前にオメガ6の摂取を控えることが先決です。
油については、むしろ飽和脂肪酸などの非必須の摂取の方が大切だったりします。
【良い油】
熱に強い油(飽和脂肪酸)
・ココナッツオイル(エクストラ・バージン)
・バター
・ギー(澄ましバター)
・ラード(豚脂)
・牛脂
中温までならOKの油
・クルミ油(オメガ3が豊富)
・アーモンドオイル
・その他のナッツ系オイル
・アボカドオイル
・オリーブオイル(エクストラ・バージン)
熱に弱い油(➡ドレッシングなどに最適)
・亜麻仁油(オメガ3が豊富)
・えごま油(オメガ3が亜麻仁油の次に豊富)
以上の油は、低温圧搾、オーガニック(有機)と書いているとなお良し!
ちなみに、揚げ物料理は、本当は体に良くないのでお勧めしません。
なぜなら、油が自然界でそれほど高温になることはあり得ない不自然なことで、元々良い作り方をされていない油が高温に熱せられてさらに酸化し、人の体に入るとさまざまな悪影響をもたらしていきます。
それが、揚げ物をできるだけ食べない方が良い理由です。 (特に外食の揚げ油は使い古された過酸化脂質の塊 )
【悪い油】
サラダ油、キャノーラ油(菜種油)、コーン油、大豆油、ピーナッツオイル(ピーナッツはナッツではなく豆類!)、
綿実油、ひまわり油、グレープシードオイル、サフラワー油(ベニバナ油)、パーム油、米ぬか油など
マーガリンとショートニングは言わずもがな!! (トランス脂肪酸の塊)
これらは、炎症を起こすオメガ6系の油というだけでなく、ヘキサンなどの化学溶剤で油を搾って、かなりの工程を経て加工・精製されていますので、家でそれを使った調理を避けるだけでなく、外でも摂らないように気を付けるべきです。
特に、アトピーなど皮膚疾患のある人、消化器系問題などリーキーガットだと思われる人は、これらを摂ると症状がさらに悪化します。
オメガ6:オメガ3の摂るべき割合は、2:1とも1:1とも言われていますが、オメガ6系油の溢れている今日、オメガ6は極力減らしてちょうどで、わざわざサプリなどで摂る必要もありません。
摂るべきは、オメガ3系油(の特にフィッシュオイル)です。
(フィッシュオイルの方が、植物系オメガ3よりも断然吸収が良く、体内での各場所の炎症を抑えてくれる)