食べもの健康法                         森下敬一



ピーマン


ピーマンが日本の食卓に完全に定着したのは昭和35年頃で、以来、どこの八百屋の店頭でも見られる。

それは大変に結構だが、最近では一年中並べられている。
これは完全な行き過ぎだ。
季節はずれのピーマンでは、薬効よりも害作用のほうが大きいと考えて、まず間違いない。
 
ベル形をし、果皮が厚く、辛味がなく特有の香りのあるこの食品を、ピーマンというのはフランス語の呼び方。
英語ならスィート・ペッパー(または単にペッパー)だ。
 
ともあれ、夏の健康に欠かせないビタミンAとかCが、他の野菜に比べるととびぬけて多いのだからありがたい。
A、Cとも体の抵抗力を強化して、夏ばての防止・回復に卓効をあらわす。
両者とも、細胞と細胞をしっかりとつなぎとめるニカワ質の生成に不可欠な成分なのだ。
 
ニカワ質が十分につくられれば、組織がたるんだり毒素に対する防衛力が弱くなる弊害などは避けられる。
 
熱い季節には食欲がなくなりがちで口当たりのいいさっぱりとした食物や冷たい飲み物を多くとるから、組織もたるみがちで、暑さ負けしやすい。
またそんな人は涼しい季節になって食が進むようになると、組織は膨張して肥満になりやすい。
 
だから、夏場は涼しく過ごすための工夫のほか、組織の抵抗力を維持・強化することも併せ行うことが重要である。
その際、ピーマンが大いに役立つのだ。
 
ピーマンは脂肪代謝をスムーズにする作用を持ち血液中に中性脂肪が過剰になったり、コレステロールが血管に沈着するのを防止するから、動脈硬化や高血圧に有効である。
 
それと同時に、物質代謝全般を活性化するので、糖尿病、肥満体の人も大いに活用するとよい。
また、神経細胞の抵抗性を高めるのでノイローゼの防止にも役立つ。
 
視力強化作用を持つのも、ピーマンの特性の一つ。
物質代謝が促されて、老廃物の排泄が進むと血液はきれいになる。
それにビタミンA効果がプラスされ、目の疲れが取れ、機能も回復されるのだ。同じ作用によって髪や爪の色艶もよくなる。
 
ピーマンには、カルシウム、鉄も含まれ、毛細血管を強くするビタミンPもある。
そのため、皮下出血や血行不順を防いで、紫班症などの皮膚障害を治す。
また、メラニン代謝を良くする作用もあり皮膚の抵抗性を強めるビタミンDも含まれるから、色黒、シミ、ソバカス、かぶれ、吹き出ものなどの美容障害に効く。
 
ピーマンは生のままサラダに加えても、独特のほろ苦さが味わえて楽しいが、油炒めにすれば薬効的にはより望ましい。

油(植物油)を用いると、ビタミンAの利用率が高まるのである。
なお、加熱すると軟らかくなり、カサも少なくなるから、摂取絶対量も多くなる。
これは他のビタミンにおいても同様で、結局は効率よく摂取できるのである。

 



キャベツ


原産地は地中海沿岸だから、はじめにキャベツの味に親しんだのはギリシア人たちであろう。それが北欧の国々に伝えられ、厳寒地でも栽培できる、しっかりと玉に巻く品種に改良された。
わが国でキャベツが一年中出回るようになったのは戦後になってからで、そのうちでも3~5月が旬の新キャベツは最も味がよい。
 
キャベツというと、最近は胃潰瘍に効くということで、大もてだ。
確かにビタミンA、B1、C、U、カルシウムなどの抗潰瘍成分がたっぷりと含まれている。
 
キャベツに含まれるカルシウムは、量的にも多くしかも吸収されやすい。
このカルシウムが、崩れた組織の補修をして潰瘍を治す。
同時に骨へのカルシウム補給を促すので、高齢者の骨折防止に役立つ。
また神経を落ち着かせてイライラを防止するから、寝つきの悪い人は利用するとよい。
さらに、高血圧の人の興奮性をおさえるのにも有効だ。
 
ビタミンUは抗潰瘍性ビタミンといわれているもので、キャベツにはたくさん含まれている。
そこで、キャベツの中のUを抽出して抗潰瘍薬にするという発想も当然生まれてくるわけだが、より自然により確実に潰瘍の根治をはかるためには、天然の食品であるキャベツをそのまま用いて、各種の成分を総合的に取るほうがよい。
ジューサーでキャベツ・ジュースにして利用する方法が最も効果的だ。
 
キャベツの中のビタミンCも、潰瘍に有効だ。
Cは、粘膜や内臓の出血傾向を防止する作用を持っているからだ。また、C欠乏では疲れやすくなり、睡眠障害を起こしやすいがキャベツの常食によってこれらも防止できる。
 
キャベツの美容効果もすばらしい。
クエン酸、コハク酸などの有機酸が新陳代謝を盛んにして、肝臓を強くする。
各種酵素は腸内の異常発酵を防止して胃腸を健全にする。
このため、整腸、浄血、貧血防止がはかられ、皮膚生理は正常化される。
キャベツを常食していると、シミや吹き出物が自然に治っていくというのも当然の話であろう。
 
料理のつけ合せにはキャベツの千切りが盛んに用いられる。
キャベツには蓚酸などのアク成分が少なく、適度の甘味(糖分)と辛味(硫黄化合物)が含まれ、繊維も比較的軟らかい・・・・ナマ食にはおあつらえ向きの特性を備えているからだ。
 
その千切りキャベツをパリッとさせるために、たいていは切ってから水に浸す方法がとられている。
確かに口当たりはよくなるけれど、水に溶けやすい成分が溶け出してしまうから、なるべくなら冷蔵庫に入れて適度に冷やす程度にとどめたい。
 
体の冷えやすい人は十分に加熱したものをとるようにしたい。
たとえ熱に壊されるビタミンがあったとしても、有効成分のすべてが失われてしまうわけではないし、加熱することによって、利用しやすくなる成分もある。
体の機能が減退して元気のない人には、加熱の薬効が有効である。その際は、煮汁も一緒に利用することが大切だ。

 


ほうれんそう


緑黄色野菜というと、大抵の人はほうれんそうを思い浮かべるほど、なじみの深い野菜だが、このペルシャ原産の青菜は、ほかの野菜とちょっと毛色が違っている。
 
即ち、リジン、トリプトファン、シスチンなどのアミノ酸が多いというように、蛋白質の組成が動物性蛋白質のそれに似かよっているのである。
勿論ほうれんそうは植物性食品だから、消化器官に余分な負担をかけて血液をひどく汚す、ということもない。
 
優秀な蛋白組成は有効に生かされる。
その結果、体蛋白の合成が促され、体力の増強が図られる。
ほうれんそうを食べて元気モリモリ、というポパイの話も、まんざらデタラメとばかりはいえないわけだ。
 
また、下垂体ホルモンの分泌を滑らかにする。
下垂体の働きが順調になると、内分泌機能全体のバランスが回復されるために、太りすぎの人は体を引き締め、やせすぎの人は健康的な肉付きの体になる。
 
勿論いまあげたような薬効は、たんぱく質だけがもたらしてくれる功績ではない。ほうれんそうに含まれたビタミン類、ミネラル類も大いに力となっている。
 
ほうれんそうが貧血、カゼに卓効をあらわすのも、それらの有効成分が総合的に働くためだ。
即ち豊富に含まれるビタミンCは、胃酸分泌を正常化させ、ビタミンAは粘膜の抵抗性を強化し、鉄、葉緑素、葉酸、ビタミンKなどは赤血球の造成を促す。
いずれも、貧血やカゼの防止に重要な条件ばかりだ。
 
貧血でも足のむくみやだるさはおこるが、脚気でもおきやすい。

ほうれん草にはビタミンB1も多く含まれるから、脚気にも有効である。
 
ビタミンAを豊富に含むほうれん草は、美容効果もきわめて大きい。皮膚の過敏症を直し、肌荒れやニキビを治し、肌のたるみを防止する。
 
また、とく主成分のピオチンがあって、脱毛や湿疹を治す効果を持っている。
ところで、ほうれん草は蓚酸(しゅうさん)を多く含んでいるので調理上、ちょっと注意が要る。
蓚酸は大量に摂るとカルシウムの吸収を悪くしたり結石症を起こしやすいから、ナマで大量に食べることはやめたい。
必ずゆでるか、油炒めして十分に加熱して用いれば、蓚酸はすっかり処理されるから、まったく心配はいらない。
特に油で調理すると、ビタミンAなどの脂溶性ビタミンの吸収が効果的に行われる。
 
繊維が軟らかいことに加えて、独特の甘味とヌメリがあることが、ほうれんそうの特有のうまさを生み出しているが、それが子供のほうれんそう嫌いを招いているのだから皮肉である。
無理に食べさせることはないけれど、みすみす捨て置くには惜しい薬効食品。
スープの実にする、ごまで和える、のりで巻く・・・など、おいしく食べられる工夫をして、活用したいものである。

 


にら


昔から、北海道や東北地方などでは、ニラを盛んに食べてきた。
それというのも、ニラには優れた保温作用があるからだ。
 
ニラを刻みこんだ味噌汁や雑炊をたびたび食べていると、耐寒力がうんと高まる。
それと同時に、冷え性、寝小便、神経症、シモヤケなど、冷えから来るいろいろな障害もすっかり治ってしまう。
 
そればかりかニラには、生殖腺の機能も盛んにする作用もあるので、性的能力も大いに増強される。
特に、男性の性機能の強化に役立つことから「起陽草」という別名もつけられているほど、精力減退や早漏などに卓効をあらわすのである。
 
このニラも、戦前は、東京の八百屋ではみられなかった。
寒冷地の人達に愛されたニラもその特有の臭気のために、都会人には敬遠されたわけだ。
 
しかし、この臭気成分には硫黄質が含まれているので、すぐれた殺菌・防腐作用を表す。
腸内に有害細菌が繁殖するのを防止するのである。
 
加えて、ニラの揮発成分は、胃壁を刺激して胃液分泌を促し、繊維は腸の働きを盛んにする。

このため、ニラは腹痛や下痢症に卓効を表す。
消化機能障害を根本的に直し、体力回復を促すのである。
 
ともあれ、食品公害時代に生きる現代日本人は胃腸機能が大きく狂わされているから、健胃・整腸効果の大きいニラを大いに利用すべきだ。
胃腸機能の失墜こそ、すべての慢性病の元凶なのである。
 
またニラには、カロチン、ビタミンB1、B2、Cなどが豊富に含まれているが、食べることによってビタミンB1の補給効果が飛躍的に大きくなるという特性を持っている。
熱によっても破壊されにくいビタミンCが、B1の吸収をよくする上に臭気成分である硫化アリルがB1と結合して、B1の吸収や体内保留を助けるからだ。
 
ビタミンB1を十分に補給することは、穀物中心食であるわれわれ日本人にとって、特に重要である。

澱粉質をスムーズに代謝して、エネルギーを効率よく生産するためにはB1が大量に必要だ。
白米や精白小麦製品を常食していると例外なくB1欠乏になるから、せいぜいニラを食べるべきだ。
 
ニラは懶人草(らんじんそう)ともいわれる。懶とは、なまける、めんどうくさがるの意。
一年中栽培できるし、摘めば次々と新芽が出てくるから、なまけ者がつくる野菜としてはもってこい、というわけである。
 
ニラは葉緑素や鉄もたっぷり含まれているから、貧血に有効で、鼻時の出やすい体質にも有効だ。
また不眠症の人はニラを枕元において匂いをかぐとよい、ニラをもんだ汁をつけると止血効果がある、痔にはニラを煎じた汁で患部を洗うと有効・・といった即効的効果もある。

 


ねぎ


駅の構内にある立ち食いそば屋のおやじさんがいうには、ねぎを入れる人と入れない人は半々ぐらいだそうだ。
 
食物の好き嫌いは微妙なもので、ねぎそのものは嫌いではないがそばに入れるのはいやという人もいるだろうし、衛生を考えての辞退かもしれない。
だから、いちがいにねぎを食べない人が多いとは言えないけれど、現代日本人の体質改善に大いに役立つ食品だから、極力食べたいもの。
 
ねぎには特有の辛味とツンと鼻にくる匂いがある。
それは硫化アリルが含まれるためで、この硫化アリルは、ビタミンB1効果を著しく高める作用を持っている。
 
まずB1と結合することによって、B1分解酵素であるアノイリナーゼの作用から、B1を守る。

その上、B1の吸収をよくし無駄なく利用されるようにする。
 
ビタミンB1不足になると、炭水化物の代謝が傷害されて乳酸などの中間代謝産物をはじめとした老廃物が組織に停滞してしまう。
その結果、疲れやすい、根気がない、イライラする、冷え性、寒がりなどのいろいろの障害が起こりやすくなる。
ビタミンB1効果を高めるねぎを大いに活用すれば、それらの障害を防止できるわけだ。
 
白米や白パンなどの精白食品や、食品添加物入り食品などを常食していると、間違いなくB1不足になる。
食品自体にB1が不足している上に腸内アノイリナーゼを大量発生させるからだ。
ねぎを積極的に摂取する必要があるゆえんである。
 
また、体を温める作用を持つのも、ねぎのすぐれた特性の一つ。

これは、ねぎの原産地がシベリアという極寒の地であることとも関連がある。大きな耐寒能力を蔵しているわけだ。
 
この体を温める作用は、内臓の働きを盛んにし血液循環をよくする効果となってあらわれるから基礎体力は増強され、スタミナも強化される。

また発作・利尿が促され、タンの排出も促進される・・という具合に、体内の余分な水分や蛋白性老廃物が速やかに排除されるので、血液はきれいになり、新陳代謝は盛んになる。
 
このため、ねぎを常食していると胃腸病、冷え性、むくみが治り、不感症や陰萎も解消し、結核や脱毛の防止に役立つ。

ねぎはなるべくナマか、ナマに近い状態で利用したほうがよい。
 
なお、次のような手当て法を知っておくと便利。

カゼの引きはじめで頭痛や鼻づまりのあるときは、ねぎの白い部位を細かくきざみ、味噌、少量のおろし生姜を加えて熱湯を注いでかき回し、熱いうちに中身ごと飲んで寝ると卓効がある。

シモヤケには、ねぎを煎じた汁に患部を浸すと有効。

また、ねぎの煎じ汁と塩を入れた薬湯は、リウマチの痛みを解消させる効果がある。

 


セロリ


精力減退が気になりだすと人はにわかに強精剤への関心を強める。需要があれが供給があるのが資本主義社会の法則だから、各種の強精剤が出回っている。
 
だが、効果のほどはピンからキリまであり、体質との関わりあいもあるから評判だけをうのみにすると、とんだワリを食うこともある。
本当に性的エネルギーの増強をはかりたかったら、次の2つのポイントをおさえてかからなければならない。
 
まず、内蔵機能の強化をはかり基礎体力の増強をはかる。
そして、神経的・ホルモン的に強精効果を表す薬効食品をとることである。
 
内臓の強化をはかるには、血液をきれいにすることが、不可欠で食生活を全面的に自然食の原則にかなったものにする以外に方法はない。
一方、強精効果を持つ食品は数々あるが、いつでも手に入れられるもので、女性にもことのほか有益な食品といえば、セロリにとどめをさす。
 
セロリを常食していると、いつか必ずオヤッと思うほど精力がついていることに気づくはず。
セロリは、カルシウム、ビタミンB1、B2、Cなどを比較的多く含んでいて、鎮静作用および健胃・整腸作用が著しく、特に神経性の下痢に卓効をあらわす。
この抗ストレス作用、自律神経・内分泌などの調節系のバランス回復作用が大きくものをいっているのであろう。
 
あの独特な薬臭から考えて、あるいは未知の有効成分が関与しているのかもしれない。

そうでなければ、女性を性的情熱家に変貌させるセロリの特異な効果の説明がつけられない。
 
そのほか、セロリは気管支や肺の機能を強め、疲労回復を促し、酒やタバコの毒を消す。
不眠症、生理不順、更年期障害を治す・・・・といった幅広い薬効を持っている
 
セロリといえばナマ食、ナマ食といえばサラダ、という図式を思い描く人は多いだろうが、いつもサラダでは芸がない。

セロリのスガスガしいおいしさを生かした色々な調理法を試したほうが飽きずに連食できる。
なるべくなら、より健康的な食べ方を工夫して、セロリの薬効を目いっぱい生かしたい。

例えば、生味噌をつけて食べたり、わかめとごま和えにしたり。
 
またサラダでもマヨネーズではなく、自然食品のごま油、レモン汁、自然塩のドレッシングを用いる・・といった具合だ。
 
夏場の熱い季節には、セロリ・ジュースも大いに結構。
ジューサーを用いると粗大な繊維が除かれて腸への刺激はおだやかとなり、有効成分は効率よく吸収される。
にんじん、リンゴを加えて味を調え作り立てを飲むこと。
肉食をする機会の多い人は、セロリ・ジュースに適当にワインを加えると肉食性老廃物の排泄が促進されるから、いっそう効果的だ。

 


パセリ


日本化した洋食の皿にはパセリが必ず添えられている。

だれの知恵によるのかわからないけれど、一応、論理的には筋が通っている。
肉食は、日本人で腸内で必ず腐敗作用を起こす。
その腐敗防止に、多少ともパセリが役立つ・・・という寸法である。
 
実際、古代ギリシアやローマではパセリは食中毒の予防に使われたという。
 
パセリには特有の強い香気がある。これはビネン、アピオールという精油成分でこの物質が含まれているために、パセリの葉には虫が付きにくい。
同じ原理でわれわれの腸内にも有害なバクテリアが繁殖しにくくなるのである。
 
加えて“みどり”のもとである葉緑素もたっぷり含まれている。

葉緑素は血液中の酸毒成分と直接結びついて、その解毒をはかる作用をもっている。
 
勿論、ステーキに付け合せのパセリというのではとても追いつかない。
そんな場合、別にパセリ・ジュースや青汁を作って、タップリとらなければならない。
一番いいのは血液を酸毒化する動物蛋白食品を食べないことである。
 
このごろではパセリは、大衆向きの刺し身のつまにも盛んに使われている。

そして、大抵は食べ残されている。
これはまことにもったいない話。
パセリはミネラル、ビタミンの割合が大変に高いものだからだ。

特にビタミンA、C、カルシウム、鉄が多い。
 
Aは粘膜の機能を強めて、病気に対する防衛力を高める。
そのため、パセリは眼病予防に卓効をあらわす。
 
Cは細胞と細胞をしっかりつなぎ止める為に欠かせない成分で組織を引き締める。

パセリが歯槽膿漏やシモヤケの防止に有効なのもそのためである。
 
カルシウムは神経細胞の過敏症を解消するから、パセリはイライラやノイローゼの防止に役立つ。
日本の土壌にはカルシウムが不足しており、必然的に日本人はカルシウム不足に陥りやすくなっている。
カルシウム含量の多い食品は、きわめて貴重な存在だ。
 
鉄は葉緑素と相まって質のしっかりした、酸素結合力の強い赤血球をつくる。
パセリは、脳への酸素補給を盛んにする健脳食品である。
 
また以上の有効成分が総合的に働いて、血管をしなやかにするためパセリは動脈硬化や脳卒中の防止にも役立つ。
料理のつけ合わせだけでなく、いろいろ工夫をこらして活用したいものだ。
 
パセリは地中海沿岸地方原産の植物なので、日本では冬は房州や暖かいところでつくられる。

しかし、夏の高温化では、葉の縮みがなくなってしまうので、長野県などの高冷地で栽培される。
自家栽培すれば一年中、好きなときに好きなだけ、最も新鮮な状態で利用できて重宝だろう。第一、化学肥料や農薬の害のないものが得られて理想的だ。

 


ふき


フキが八百屋の店先に出始めると、値段に恐れをなしながらも、手に取らずにはいられない・・・といった主婦がいた。
 
フキは、早春の香りを代表してくれる食品で、われわれの生理機能に季節のリズムを刻み、心身をフレッシュにしてくれる。そのことだけでもフキには十分な存在価値がある。
 
しかし薬効食品としてのフキの真価は、呼吸器系の機能を円滑にすることにある。
呼吸器に何かとトラブルの起こりやすい季節に、呼吸器に有効なフキが出回るというのはまさに大自然の妙と言えよう。
 
フキは、タンの切れをよくして、セキを止める作用を持っている。
ただ、フキと一口にいってもいろいろなタイプがあって、すべてに効くというわけではない。
フキが卓効をあらわすのは、タンが喉のおくにからまりついているために出るセキに対してである。
 
気管支の粘膜に炎症が起こると、粘液の分泌は異常に高まるもので、その分泌物がドロドロに固まりになったものがタンである。
炎症が起こった部位は、たいていはれて、熱を持つ。
その熱のために、タンは乾燥して、気管支壁にへばりついてしまう。
それを取り除こうとして、気管支の奥のほうから強く息を吐き出すような反作用が起こる。
これがセキだから気管支にへばりついているタンを除去してやればセキは止まるはずなのである。
 
フキは、気管支粘膜の炎症を治すとともに、正常成分の粘液の分泌を盛んにする。
そのため、乾いたタンは軟らげられて、自然に喉のほうへ運ばれて排出されるし、タンの生成を抑えられる。
 
こんなわけで、フキは呼吸器の弱い人によい食品ということで、民間療法では盛んに利用されてきたのである。
 
「フキの味噌汁を飲んでいると、不思議にスタミナがつく」

ということは、昔から知る人ぞ知る秘伝。
これは、未知の有効成分によるものかもしれないが、フキの呼吸器正常化作用と無関係ではなかろう。
呼吸活動は生命活動の中軸となっているもので、呼吸器が強化されるに伴い体の防衛力やスタミナは増強される。
しかも、整腸・浄血作用の著しい味噌を一緒に用いれば、フキの効用も倍化されるわけだ。
 
また、フキにはたくさんの繊維が含まれている。
これが腸の働きを盛んにするから便秘に卓効をあらわす。
春先は皮膚の働きが高まっているときだけに便秘は深刻な美容障害を引き起こしやすいから、大いにフキを活用するとよい。
 
フキはキク科の多年草。
雌雄異体で早春の土を破って顔を出すのがふきのとうだ。
これも、フキと同様にタン・セキに有効で、みそ和えにすると美味。
自生の「ヤマブキ」は、茎が細く、香りも強く味も良い。
皮付きのまま醤油で黒く煮詰めたキャラブキにすれば、味も薬効も最高だ。

 



大根


ナマでよし、乾燥させてよし、煮てよし、根も葉もすばらしい薬効を持っている大根は、大変に重宝な野菜である。
 
冬大根は、ふろふき、おでん、鍋物などにすると特別の味わいがあるけれど、薬効を得るには?ナマが一番?なのだ。
大根おろし、または漬物として用いるのが望ましい。
 
大根おろしは、腸内の異常発酵を防止する。
腸内に異常発酵が起こると、有害な毒素が発生する。
その毒素が血液中に入り全身を巡るようになると、組織に炎症が起こりやすくなる。
胃炎や肝炎が炎症であることはその文字からわかるだろうが、実がガンもレッキとした炎症。毒素の発生が著しくなると、
発ガンしやすくなるのである。
 
大根おろしが異常発酵を防止するのはジアスターゼ、アミラーゼなどの酵素および繊維が豊富に含まれているからだ。
酵素は消化液の分泌を調節して消化作用を円滑にし繊維は腸壁を刺激して、腸壁細胞の働きを活発化するとともに、蠕動運動を適正な状態にする。
 
このため、大根おろしを常用していると、胃炎、胃酸過多、便秘、下痢など胃腸病全般に大いに有効である。
特に、胃にもたれやすい天ぷらやモチなどを食べる時には、大根おろしをたっぷり添えたい。
 
大根おろしは、ぜひ皮付きで作りたい。
皮には、ビタミンPやカルシウムなどの有効成分が含まれているからだ。
ビタミンPは毛細血管強化作用を持つ。
皮付き大根おろしは、高血圧、糖尿病に有効で、脳出血の予防に役立つ。
皮付きのよいのは、何も大根だけに限った話ではない。
皮には、外界から内部を守るという特別な任務が負わされているために有効成分がより高密度に配置されているのだ。
 
大根おろし汁にはちみつを適宜加えて飲むと、セキ、声がれ、のどの痛み、二日酔いに効く。
大根の葉も大いに活用したい。
大根の葉と根に、しょうが、自然塩を加えた一夜漬けは、性ホルモンの分泌を促すので、精力増強に有効。
 
また、葉は植物油で炒めて食べていると、葉に含まれる葉緑素やビタミンAの効果が十分に生かされて、ニキビや吹き出ものを治し、目の充血や歯ぐきの出血を防止できる。
 
漬物は、塩漬けにしてその火のうちに食べたりする浅漬けの場合は大根おろしとほぼ同様の効能があると考えてよい。
昔ながらの方法で長期間漬け込んだタクアンは、脱水された上に、カドの取れた塩分が加わり、発酵によって生じた酵素が含まれるので、別の薬効が加わる。
 
それは一言でいうと体質を陽性化し体を引き締める作用だ。
寒さに弱い人、太り気味の人、虚弱体質の人、疲れやすい人はタクアンを積極的に摂りたい。

勿論、人工の甘味料や着色料などの使われていない本物のタクアンでなければ、ダメだ。

 


しそ


冷奴や、そうめんに添えられた青じそは、見るからに涼しげで、香気は日本食のよさをしみじみと味わわせてくれる。
 
しその種類は多いけれど、大別すると青紫蘇に代表される緑色種と、赤紫蘇に代表される紫色種がある。
普通、料理に用いられるのは青じそだ。
 
青じそ独特の香りを生み出している成分はペルリアルデヒドという物質。これは非常に強い防腐力を持っている。
元禄時代の農業書に「生魚に加えれば魚毒を殺す」と描かれているが、生魚に限らず魚類の中毒全般の防止効果がある。
 
一般的に、魚類は日本人の消化管ではスムーズに処理されるけれど、体質や体調、魚の鮮度や食べ方によって、有毒性の現れることもある。
だから、現代においては、魚類を食べる時には、せいぜいしそを活用することが望ましい。
 
もし?中毒らしいな??と思われるときは、しその葉をすりつぶしてガーゼでしぼりとった汁を、盃一杯くらい飲むとよい。

しそは民間療法では、昔から鎮静薬、発汗薬、咳止め薬として用いられてきた。
 
しその防腐性によって腸内の腐敗が防止されれば、血液が浄化されて、それらの薬効も生まれるわけである。
 
その整腸効果に合わせて葉緑素、ビタミンA、鉄を豊富に含むしそは、素晴らしい美容食でもある。
貧血を防止し、皮膚の新陳代謝を正常化するため、しそを常食していると、吹き出物やシミが治り、うるおいのあるきれいな肌になる。
また頭皮に対しても同様に効果的で、抜け毛やフケ症を防止する。
 
ちょっと変わった利用法は、ふりかけにすること。
青じそを強い日光に半日ほど当てたあと、陰干しにしてカラカラに乾燥させたものを、細かくもみ砕く。
これをご飯にかけたり、みそ汁に振り入れたりして食べる。

これを常食していると、健脳効果が得られるといわれている。
 
自家栽培できれば、何時も新鮮なしそが利用できて理想的だ。

しそは一度植えると、あとは毎年こぼれ落ちた実が発芽するから手間もかからない。

初秋に花穂が出て実を結ぶ。
この実が熟しきってしまわないうちに摘みとり、塩漬けにして蓄えておくと、そのまま箸休めにもなるし、大根や白菜の一夜漬けの香りづけにも使えて重宝だ。
 
しその実は七味とうがらしの一員で、その薬効は太鼓判が押されている。
精油成分やビタミンEなども含まれているから血液循環をよくする効果がある。
手足に冷えやすい人、シモヤケになりやすい人に有効だ。
 
赤じそは、梅干しの色付けには欠かせない。
赤じそに含まれるアントシアンという色素が、梅の酸に合うと、鮮やかな赤紅色を表す。
すべてのしそには共通して防腐・整腸作用が備わっている。
梅干しは、しそで色付けしたものはそれだけ薬効がすぐれているのだ。

 


にんじん


ニンジンのきれいなだいだい色は、主にビタミンAの源となるカロチンによるものである。
英語でニンジンをキャロットというのもカロチンに由来するものだ。

ビタミンAが豊富なので目の疲れを取り、目に力をつける。
また粘膜の抵抗性を増して、喘息や胃腸病の予防に役立つ。
さらに皮膚の生理を正常に保ち、皮膚病を起こしにくくし、なめらかできれいな肌をつくる。
 
ニンジンを常用していると、体力は確実に増強される。
だから虚弱体質の人、精力減退気味の人、母乳の出が悪い人、特に激しく疲労した場合などには、より積極的に利用すると
よい。
 
体力増強に著効をあらわすのは、ニンジンには必須アミノ酸がすべて含まれていて、そのうちでも日本人に不足がちな、リジン、スレオニンが、たくさん含まれていることも理由のひとつ。

それに、酵素の作用も加わると思われる。
 
ニンジンには、ビタミンCおよびカルシウムもかなり含まれている。

このため、ニンジんを常食していると、病気に対する抵抗力が増す。

組織に炎症が起こりにくくなって、糖尿病、気管支炎、ガンなど、すべての病気にかかりにくくなるのだ。
 
また、女性の生理機能の健全化効果も著しく、性ホルモン的作用もあるらしい。
特に、生理不順、のぼせ、寝汗などの更年期の不快な症状の解消に威力を表す。
 
加えて、すぐれた保温作用を持っていて、血液循環を良くし、冷え性、シモヤケを根治する。

寒さに当ると、顔が紫色になりやすいのは、皮膚血管の反応性が鈍っているためで、これの解消にも、ニンジンは有効だ、
 
さらに、ニンジンには副腎皮質ホルモンの分泌を盛んにする作用もある。

そのため、ストレスによる自律神経機能の失調も防止できるから、肌荒れや病的脱毛が防止でき、弾力のある若々しい肌をつくり、髪の色つやもよくする。
 
以上のような効果は、普通にニンジンを料理に使っておれば得られるものだけれど、体質にあった用い方をすれば、いっそう効果的だ。
すなわち、暑がりでのぼせやすい体質(陽性体質)の人は、ニンジンジュースとして活用するとよい。
このジュースは貧血、結石症にとくに有効だ。
一方、体が冷えやすい陰性体質の人は、じっくりと軟らかく煮込んで食べるのが望ましい。
 
それから、ニンジンは皮付きで用いるとともに、植物油と一緒にとる工夫をしたい。
ビタミンAは脂溶性ビタミンで、油に溶けて吸収されるからである。

 


ごぼう


シベリア、満州(中国東北部)、北ヨーロッパなどには、野生のごぼうがあるそうだが、栽培はされておらず、食べる習慣はまったくない。
中国では昔は食べたこともあるらしいが、現在では食べていない。
というわけで、世界広しといえども、ごぼうを食するのは日本だけなのだ。
 
それも、かなりの執着を持って食べられている。
蛋白偏重の現代栄養学の尺度によって、多くの食品がハネられ冷遇されている今日だが、主成分のイヌリンは栄養価値がない。ミネラル、ビタミンにも見るべきものはない
などといわれながらも、ごぼうは健全なのである。
 
香りと歯ごたえが日本人好みであること以上に、生理的に不可欠の要素を持っているせいであろう。
 
ごぼうの繊維は腸壁を刺激して、消化物の移動をスムーズにする。
穀物中心食であるわれわれ日本人の体には栄養成分の吸収効率を高める上でも、老廃物の排泄を促すためにも繊維分を十分にとらなければならないのだ。
とくに便秘気味の人にとっては、ごぼうの価値は大きい。
 
ごぼうには鉄分が多いから、貧血の防止に役立つ。
もっとも、最近めだって増えている貧血症は、ほとんどが高蛋白性の貧血である。
だから鉄分の補給だけではダメで、体蛋白から赤血球をつくる機能を改善しなければならない。
 
ごぼうの持つ酵素成分はすぐれて整腸作用を持っていて、造血力の回復にも威力をあらわすから、その点でも好都合
である。
 
この酵素成分による整腸作用は、カゼにも卓効をあらわす。
ごぼうをすりおろして熱湯を加え、はちみつで適当に甘味をつけたものを飲むのである。
すりおろし汁のカスを除いてストレートで飲めば、酵素が腸内の異常発酵を抑え、腸壁細胞を鎮静させるので、ひどい腹痛もケロリと治ってしまう。
 
また、すぐれた保温作用を持っているのも、ごぼうの特性の一つ。
ごぼうは土の中で育つ根菜である上に、寒地原産の植物であるため、耐寒作用が強く、体を温める効果を表す。
 
このため、ごぼうの常食は冷え性、神経症、肩こり、低血圧などにすばらしい効果を発揮する。
生理不順の人は、ごぼうを細かく刻んでガーゼの袋にいれ、それを1週間ほど浸した日本酒を、毎日盃一杯ずつ飲むとよい。
 
ごぼうは皮後と用いることが薬効の決め手だ。
最近は、きれいに洗ってほとんど皮がなくなってしまっているものや、キンピラ用にきざんで水にさらしたものが売られているけれど、これでは本当においしいごぼうは食べられない。味はともかくとして、薬効はほとんど期待できない。
なるべく泥つきのものを買って、表皮をいためないようにタワシで泥を落として使うようにしたい。

 


じゃがいも


フランス語では、じゃがいもはポンム・ド・テール、すなわち 大地のリンゴという素敵な名前で呼ばれている。
これはおそらく、薬効の類似性に着目してつけられたものだろう。じゃがいもも、リンゴもともに整腸作用が著しく、とくに肉毒の解消に威力を発揮するものだ。
 
すぐれた整腸作用をあらわすのは、ぺクチン質がたくさん含まれているため。
ペクチン質は、水を吸収して軟らかくふくれて刺激物から消化管を保護すると同時に、便の通過をよくする。
腸の働きを健全に保って、便秘も治すのである。
 
肉毒を消すのは、第一にカリウムが多く含まれるため。
すなわち過剰なナトリウムと一緒に肉食性の老廃物を体外に排泄することによって、血液の酸毒化を食いとめる。
そのため、血圧は下がり、それと同時に、脳卒中や心臓病になる危険性もそれだけ薄らぐ。
 
肉料理の付け合せにじゃがいもがよく用いられるのも肉食民族の生活の知恵だ。
したがって肉食をする場合は、せいぜいじゃがいもの薬効を生かすといいのだが、それよりもはるかにいいのは血液を汚す肉食を極力避けることであろう。
 
もっとも肉食と関係なく、適度にじゃがいもを活用しても確実な薬効はえられる。
たとえば白米や甘いものの過食によって太っていて、血圧も高いという人は、じゃがいもスープを作って、汁だけを飲んでカリウムの効用をちゃっかりちょうだいする、という手もある。
 
この場合、じゃがいもをよく水洗いし、皮つきのまま薄切りし、水を加えて弱火でじっくり煮込むと、カリウム分はほとんど汁の中に溶け出してしまう。
 
反対に、食が細い虚弱体質の人は汁も実も一緒にとる。
肝臓機能は強化され、アレルギー体質も治る。
とくに消化不良や下痢を起こしやすい子供の体質改善に有効だ。

じゃがいもは、主食代わりにもなる。
澱粉質が主体で、しかも糖分が少なく、各種のミネラルも結構含まれているからである。
 
しばしば冷害に見舞われる北海道では、昔は米はもちろんムギ、キビなど常食できるものがほとんどとれない時期もあったが、じゃがいもだけはよくとれた。
それも、過酷な条件下では澱粉質のうまいものができるものだから、天の摂理とは大したものである。
 
じゃがいもの特性で、特に注目したいのは、ビタミンCが意外に多く含まれている点だ。

オレンジ類には及ばないけれど、他の果物類よりは多い。
しかも熱に強いから、加熱食からC補給ができ、体を冷やしすぎる心配もない。
 
というより、じゃがいもは根菜類に属し、チロシナーゼという酵素も含まれ、血液循環をよくするので、適量を常食していると、体は温まり、寒さに強い体になる。
ただ発芽すると芽や皮に毒素(ソラニン)が生じるから芽をよくとり、皮も厚くむくこと。

 


山いも


正月の松の内に山いもをすりおろしたトロロを食べれば、中風にかからない? という俗説がある。
 
これは、モチの過食による害を避けるための知恵と考えられる。
モチは見かけよりもずっと実質的分量のあるもので、つい食べ過ぎてしまう。

これが連日ともなると、胃腸に大きな負担をかけ機能減退をおこして血液を汚し、腹部の動脈を圧迫して血圧も上昇する。
 
脳の血管が弱っている人では、脳卒中を起こしその後遺症である中風すなわち半身不随にもなりやすい。
そこで、とろろを食べ胃腸の負担を軽減せよというわけだ。
 
山いもはめざましい消化促進作用を持っている。
澱粉の消化酵素であるアミラーゼが4~5%と、大根おろしをしのぐほどの高い割合で含まれている。
 
しかも、山いもの澱粉自体も、大変に消化がよい。
普通の澱粉は加熱することによって消化しやすい状態に変わるのに山いもの場合は、ナマのときにすでにその消化しやすい状態になっているのである。
 
だから、山いもの消化酵素は、一緒に食べた他の食品や、すでにおなかの中に入っているものの消化を促すほうにふり向けられる。
したがって別に正月の胃もたれだけに限らず、幅広い効用を表す。

とくに胃腸病全般に有効で高血圧の予防に役立つ。
 
山いもを食べると性がつく、といわれる。
これも酵素作用と密接な関係がある。
山いもにはアミラーゼのほかにウレアーゼ、オキシターゼ、グルコンターゼなどの多彩な酵素が含まれている。
これらが腸内細菌の性状をよくするとともに腸粘膜の機能を高める。

こうして腸の生態系が健全になると、対蛋白の生合成の力は大いに高められる。
即ち、しっかりした質の体細胞がつくられるようになり、スタミナは増強されるのだ。
 
一般には、動物蛋白食品を食べると体のたんぱく質が十分に作られてスタミナがつく、というように誤って考えられている。
それは、消化の生理を正しくとらえていない、現代栄養学の考え方だ。
 
本当は我々の体を構成する蛋白質は、炭水化物を素材として生合成される。

その作業を順調にすすめられるかどうかは、腸内細菌の性状にかかっているのだ。
 
山いもの酵素は加熱すると効力を失うからトロロ汁を作るときは、煮汁は適当にさましてから加えるようにすること。
また、いかに山芋と一緒に食べるとはいえ、ご飯をろくにかまずに流しこむのは感心しない。
できるだけご飯にかけないで食べるようにしたい。
 
山芋のヌルヌルは、蛋白の一種であるブルプリンと、コンニャクの成分であるマンナンが結合したもので、すぐれた強壮効果を持っている。
このため常食していると、基礎体力が増強し、呼吸器障害、虚弱体質、ノイローゼ、精力減退などに卓効をあらわす。

 


たまねぎ


タマネギほど、世界中の人に使われ、しかも一年中食べられている食品も少ない。
それもそのはずで、たまねぎを用いると、特有のうまみが加わるために、たいていの料理は味がよくなってしまう。
味もさることながら、タマネギにはすぐれた薬効もある。
 
まず、たまねぎを生で食べているとてき面に精力がついてくる。

それはタマネギに含まれる硫化アリルという刺激成分によるもの。この硫化アリルが、ビタミンB1の吸収をよくし、新陳代謝を高めるのである。
 
われわれの体の組織は、新陳代謝することによって、若返りがはかられている。
その代謝活動がスムーズに行われていればスタミナもつき、疲労も早く回復するもので、そこではB1の需要が極めて大きいのである。
ところが、現代日本人は精白食品をたくさん摂っているために、深刻なB1欠乏に陥っている。
 
B1は自然の穀物や野菜の胚芽・表皮・アクなどのなかに含まれているからだ。
疲れやすくスタミナ切れをおこしやすいのも道理であろう。
 
硫化アリルは、アルコールの害を少なくする薬効もある。
硫化アリルがあると、アルコールは早く快適に回り、早くすっきりと覚めるのだ。
これには、保温作用も大いに関係している。
タマネギは、血液の流れを良くして体を温める働きを持っているのである。
そのほか、タマネギは肉毒を解消し、神経のイライラを鎮めるから、現代人の疲労回復食としてもってこいの食品だ。
 
今多くの人が悩まされているのは、肉体疲労より、むしろ精神疲労である。

また、心身いずれの疲労であれ根の深い疲労は、「アンモニア疲労?と呼ばれる動物蛋白食の多食を源に持っているのだ。
それは穀菜食民族である日本人が肉、卵、牛乳などを過食していると、生理機能が根底からぐらつく、ということを示している。
 
たまねぎには肉毒解消効果があるけれど、肉食をせずにたまねぎを活用すれば、より大きな薬効が得られるのである。
 
なお、神経を鎮静させる作用は、不眠症にも有効。
たまねぎを細かくきざんで皿に入れ、枕元におくと、刺激成分が自然に吸入されて心が安定化して、気持ちよく眠れるようになる。
 
また、たまねぎ特有の香気を発する成分も刺激成分と同様の硫化物で、駆虫効果をもっている。
もっとも人間の体質も変わり、最近では寄生虫症にかかる人はほとんどなくなってしまったが同様のからくりで香気成分はバクテリアやビールスに対しても有効と考えられる。
 
おなかをこわしやすい人、カゼを引きやすい人は、常食をこころがけるとよい。

たまねぎの表皮は独特な黄金色をしている。
この色素クエルセチンは血管を強化する作用をもっている。
だから表皮の煎汁は高血圧、動脈硬化に有効だ。



にんにく


にんにくは、精力をつける食品として、昔から有名である。
エジプトのピラミッドや、中国の万里の長城を築くためにかり出された奴隷たちには、エネルギー源として、沢山のにんにくが与えられたと言われている。
 
また、体に元気をみなぎらせて強い性衝動を生むからであろうか、禅寺内ににんにくを持ち込むことは、長い間禁止されてきた。
 
それから、中国や朝鮮半島の農民は驚くべきスタミナをもっているが、その秘訣はにんにくと無関係ではないようだ。
 
なぜ、にんにくはそれほどの偉力をあらわすのだろうか。
 
まず第一に、にんにくはすぐれた整腸作用を持っている。
にんにく特有のにおいを生み出すアリシンという物質は、ビタミンB1と結合するとアリチアミンとなる。
このアリチアミンが、消化機能を健全にし、頑固な便秘も解消させる。
 
このように腸の機能が整うと腸内で毒素も発生しなくなり、血液はきれいになって、疲労素の分解も早くなる。
このため、にんにくは強精のみならず万病の防止にも役立つというわけだ。
 
次に、にんにくは著しい保温作用を持っている。
ユリ科植物の球根であるにんにくは、体熱の発生を盛んにする。

しかも主成分であるアリインは抹消血管を拡張して、血液の循環をよくする。
それゆえ、全身の組織細胞の活動が活発になり、神経痛、リュウマチ、冷え性、シモヤケなど、冷えが大敵の障害に対しても卓効をあらわす。
 
さらに、にんにくは強肝・解毒作用を持っている。
有効成分であるスコルジニンは、肝臓の酵素活性を高めて、老廃物や体内に侵入した公害物質を速やかに排泄する。
だから、にんにくは、肝臓・腎臓を丈夫にする働きを介しても、慢性病にかかりにくい体をつくる。
 
にんにくは少量ずつ常食することが大切だ。
そうすれば、数々の薬効が得られるのに、一度に大量摂取すると、目を悪くしたり、潰瘍をおこす恐れもある。
また、ナマ食も刺激が強すぎるから、避けたほうが無難。
油炒め、蒸し焼き、はちみつ漬け、しょうゆ漬け、にんにく酒などととして利用するのが適切だ。
 
にんにくは美容効果も著しい。
解毒作用が大きいからすぐれた美肌効果をあらわすことは勿論のこと、肥満解消に役立つのだ。
 
ビタミンB1の吸収利用率を高めて、体内に停滞している食物の残りカスを追い出してくれる。
また、強力な殺菌作用をもっているのでにんにくを常用していると食中毒や伝染病の防止ができることも、ぜひ覚えておきたい。

 


しょうが


しょうがは常備薬として、いつも台所においておきたい。

突発的におこる体の変調を治すのに即効をあらわすからだ。
 
まず、カゼの場合。
本くず粉を水でといて火にかけ、透明でドロリとなったところで、古しょうがのおろし汁とはちみつを加える。
熱いうちにフーフー吹きながら飲むと、すぐに体が温まってきて、発汗が促される。温かくして、早めに床につけば、軽い風邪なら、これだけで治ってしまう。
 
また、夜のセキにも卓効がある。