夜中に何度もトイレに行きたくなって目が覚める、なんてことはありませんか。
頻尿に悩んでいても、なかなか人に相談するのは恥ずかしいと思って我慢しまう人もいると思います。
でも、実は頻尿が病気のサインを示している場合があるのです。今回は、頻尿の原因について解説していきます。
頻尿とは
人が一日に排尿する回数は個人差がありますが、日中に5回、夜間に0~1回が平均的といわれています。
ところが様々な原因で排尿回数が増えると、頻尿とよばれる状態になります。
頻尿は一日に8回以上の排尿と決められており、何度もトイレに行きたくなる症状があれば頻尿と考えてよいでしょう。
一回の排尿量が多いようであれば、多尿が疑われる場合もあります。
頻尿では排尿量が少ないことが多く、それにもかかわらず何度もトイレに行きたくなる場合は頻尿と考えます。
(頻尿の原因に多尿があるという考え方もあります)
頻尿の原因は
頻尿症状が苦痛の方には、何度もトイレに行かなければならないのを抑える薬が多く市販されています。
頻尿自体は市販薬を服用することで改善をはかることができますが、頻尿の背後に原因となる疾患が隠れている場合もあるので注意が必要です。
原因疾患として考えられるのは、以下の7つです。
・過活動膀胱(OAB)
・前立腺肥大症
・神経因性膀胱
・抗コリン薬
・膀胱結石
・膀胱炎
・膀胱異物
過活動膀胱(OAB)
過活動膀胱は、膀胱に尿が少し溜まっただけで尿を排出しなければならないという反射が起こり、膀胱が収縮してしまう状態をいいます。
高齢になればなるほど有病率が高く、原因の多くが加齢によるものです。
また、過活動膀胱の特徴として、頻尿の他に下の2つの症状があります。
Ⅰ. 尿意切迫感:急に尿意を催し、強くトイレに行きたく感じる。
Ⅱ.切迫性尿失禁:尿意を我慢しきれず、トイレに入る前に尿がでてしまう。
頻尿だけでなく、このような症状がみられれば過活動膀胱が疑われます。
ただし、膀胱炎や膀胱癌でも同じような症状を呈することがあるため、病院で検査してもらうことが大切です。
前立腺肥大症
頻尿のもう一つの原因である前立腺肥大症は、男性ホルモンが強い高齢男性に多い病気です。
基本的な症状としては、次のようなものがあります。
Ⅰ.残尿感
Ⅱ.夜間頻尿
Ⅲ.尿線途絶
もしかしたら病気かもしれないと疑い始める初期では、残尿感(排尿の後でも尿が残っている感じ)が少なく、排尿の勢い(最大尿流率)も大きいままです。
それが次第に、尿がなかなかでない状態へと変わっていき、最終的には尿閉状態になります。
そうなると腎臓や尿管への悪影響がでたり、尿路感染症にかかりやすくなったりするため、早期に治療を開始しなければなりません。
頻尿の原因は過活動膀胱と前立腺肥大症が多く、症状によって見分けることができます。
ただし、膀胱炎や膀胱結石、膀胱がんでも似たような症状がでることがあるため注意が必要です。
心配な症状がある場合は、泌尿器科で相談することをおすすめします。
頻尿の治療法と対策とは
頻尿でお困りの方は多いと思います。
市販のお薬を服用することで頻尿を抑えることはできても、確実に治せるとは限らないのが現実です。
そこでここでは、誰でもできる頻尿の解消法をご紹介していきたいと思います。
頻尿の原因
頻尿の解消法を考えたときに重要となるのは、頻尿の原因です。
原因別に頻尿を分類することで正しい解消法をえることができます。
Ⅰ. 膀胱容量の減少
Ⅱ. 尿排泄障害:前立腺肥大症など
Ⅲ. 過活動膀胱
Ⅳ. 膀胱粘膜の刺激:膀胱結石、膀胱炎、膀胱異物など
前立腺肥大症や膀胱炎の場合には、病院で抗アンドロゲン薬や抗菌薬を処方してもらうなど適切な治療を受ける必要がありますが、膀胱容量の減少や過活動膀胱が原因で頻尿となっている方は、自分で行える簡単な訓練方法があります。
膀胱訓練
膀胱容量の減少では、尿を貯留しておく膀胱の容積が小さいために、すぐに尿が溜まってしまいトイレに行きたくなります。
元々膀胱の容量が小さい方だけではなく、放射線治療や妊娠や腫瘍で膀胱が圧迫されている人にもみられます。
このような原因で頻尿になっている方には、膀胱訓練という方法が有効です。
膀胱訓練は病院でも実際に行われている治療法で、計画的に排尿を我慢することで膀胱に溜まる尿量を少しずつ増やすというものです。
膀胱容量を増やす膀胱訓練
計量カップに尿を採取し、排尿量を把握します。
成人の方で約300mlが通常の尿量なので、それよりも極端に少ない場合は、毎回尿量を把握し、トイレに行くのを我慢することで尿量を多くしていきます。
少なくとも3時間以上、トイレにいく間隔をあけることが望ましいです。
行動療法
急に強く尿意を催す(尿意切迫感)、頻尿、切迫性尿失禁(尿意を我慢できずトイレに行く前に尿が漏れてしまう)といった症状がある方は、過活動膀胱の可能性があります。
過活動膀胱の方が病院に受診すると抗コリン薬という薬が処方されることがありますが、基本的な治療は自分で行う行動療法です。
具体的には、上記の膀胱訓練に加え、飲水制限と骨盤低筋訓練を行います。
過活動膀胱の方の骨盤底筋訓練
骨盤底筋訓練は、尿漏れの方が行うトレーニングですが、過活動膀胱の方にも頻尿を抑制する効果があるといわれています。
骨盤底筋という陰部の筋肉を鍛えることにより、排尿間隔が長くなり、尿もれを予防できるのです。
具体的な方法は以下のとおりです。
1. 腹筋のポーズで仰向けに寝て、膝を軽く曲げ、脚を肩幅に開きます。
2. 陰部の筋肉を意識しながら、骨盤底筋を20秒程度締めます。
3.その後、一分程度身体をリラックスさせて休みます。
4.この運動を一セットとして、毎日10セットほど行います。
頻尿症状があっても、自分の訓練で手軽に治療できることがあります。
膀胱容量の減少が原因の方は膀胱訓練、過活動膀胱が原因の方は膀胱訓練に加えて飲水制限と骨盤底筋訓練が大切です。
トイレに行って用を足してもまたすぐに行きたくなる、このような症状で困っている人は少なくありません。
このように便所に行き尿をする回数が増えることを頻尿といいます。
頻尿には1回の尿の量も増加する多尿を伴う場合と、尿意(尿をしたくなる気持ち)はひんぱんに起こっても1回の尿量は少ない場合に区別されます。
頻尿とは
膀胱の容量はふつう200~300ccです。
約150ccたまると軽い尿意を、250ccたまると強い尿意を感じるようになります。
平均的な尿回数は、昼間は4~5回、夜間は0~2回前後です。
一日平均1,000~2,000ccの尿量がありますが、水を多量に飲めばそれほど尿の量も回数も増えてきます。
さらに老人になれば、腎臓の尿を濃くする力(尿濃縮力)が低下するので尿の回数は多くなりがちで、とくに夜間に尿に行く回数が増えてきます。
夜間に1~2回小便に起きるのは異常とは言えません。
いろいろな原因で尿の回数が増えてきた状態を頻尿といいますが、昼間に8回以上、夜間睡眠時に3回以上、合計で一日8~10回以上トイレに行く時は頻尿といえるでしょう。
頻尿は昼間や夜間を通して起こるのがふつうですが、昼間だけ起こる場合や夜間だけ起こり昼間はふつうの場合がしばしばあります。
頻尿の原因
頻尿の起こる原因としては膀胱や前立腺など泌尿器系の臓器に病気が存在して起こるものと、とくに原因がなく起こる頻尿とに区別できます。
尿の回数が多くなる時に、他の自覚症状を伴うかどうかが原因の手がかりになることがあります。
たとえば膀胱炎や前立腺炎では排尿時の痛みや不快感、残尿感を伴うようになります。
また膀胱炎や尿道炎では尿の検査で赤血球や白血球、細菌などが認められます。
前立腺炎(細菌性)では前立腺をマッサージすると白血球が混入するようになります。
このように尿の性質の変化から診断できるものは、診断も比較的容易です。
尿の回数だけでなく、1回の尿量も異常に増えている場合は多尿と呼ばれ、尿崩症や糖尿病、慢性腎不全などが疑われます。
中・高年の男性で尿が出るまでに時間がかかったり、尿が出てもチョロチョロとしか出てこない時には前立腺肥大症が考えられます。
前立腺肥大症では夜間に何回も小便に行きたくなります。
最も多いのは尿の回数は増えているものの、他の自覚症状はなく、尿量も何回もトイレに行くためにほとんど出ないか、出てもごく少量の場合です。
この場合、膀胱内の腫瘍などにより膀胱容量が減少してくる可能性や、子宮筋腫や卵巣腫瘍など膀胱周囲の臓器の異常により膀胱が圧迫された可能性を考える必要があります。
しかし頻尿の原因でしばしばみられるものは「神経性頻尿」と呼ばれるものです。
神経性頻尿とは
誰でも緊張すると尿意が起こってきますが、過度に尿意を気にするようになると、少し膀胱に尿が溜まっただけでも尿意を感じるようになってしまいます。
神経性頻尿は精神的ストレスや緊張のために何度もトイレに行きたくなった経験や、電車や車、学校などでトイレをがまんした経験をきかっけに、尿意に対する恐怖心が植え付けられてしまった結果、起こることが多いようです。
気にするとよけいに尿意を生じるという悪循環に陥ってしまい、日常生活にも支障を来すようになります。
神経性頻尿では尿意以外の自覚症状はなく、尿の性状もきれいでにごりは認められません。
比較的若い女性に多いため、腹部エコーで下腹部を調べますが卵巣や子宮に異常は認められません。
夜間睡眠時や何か他のことに集中している時には尿意は消えています。
女性で膀胱炎を起こした後に、神経性頻尿を発症することがあります。
頻尿の他に残尿感や排尿時の不快感・痛みなど膀胱炎とそっくりの症状が起こってきますが、尿を調べても膀胱炎の時のような尿の異常は認められません。
軽いものでは膀胱炎のときのように抗生剤の内服を行うと自然に良くなっていきます。
神経性頻尿の治療としては膀胱の過敏性をやわらげ、余分な収縮を抑える薬(抗コリン薬)が効果的です。
心因的な要素が強い時には抗不安薬、自律神経調整薬、抗うつ薬などが必要になることもあります。
過活動性膀胱とは
不意に強烈な尿意が特徴の「過活動性膀胱」が中高年世代にみられることがあります。
細菌の調査では40歳異常の12%、約800万人に何らかの症状があると推定されています。
高齢になるほど患者は多く(80歳代では40%近く)、女性より男性に多い傾向があります。
健康な人では膀胱に400-500ccの尿がたまると最大尿意を生じ、排尿のための筋肉収縮が起こる仕組みがありますが、過活動性膀胱ではたまった尿の量とは無関係に、勝手に筋肉が収縮し、予測のつかない尿意を引き起こしてきます。
突然トイレに行きたくなり、一刻もがまんできないというものから、一日に十回以上もトイレに行ったり、一晩に何回も目覚めることがあります。
こうなると心の健康への影響も深刻になります。
膀胱を支配する自律神経の障害や脳への近く伝達の異常などが原因として考えられています。
治療としては抗コリン薬などの薬物療法と定時的に排尿を行うなどの行動療法と組み合わせると効果的といわれています。