間欠的ファスティングとは、24~36時間のファスティング(断食)を間欠的に行うことで、基礎代謝を低下させることなくインスリン抵抗性を改善し、体重のセットポイントを低下させるというものです。
24時間の間欠的ファスティングの場合、前日の夕食を食べた後ファスティングに入り、次の日の朝食と昼食を抜いて夕食を摂るというパターンになります。
これを週3回、もしくは一日おきに行います。
24時間ファスティングが朝と昼を抜くのであれば、一日一食夜だけの場合の何が違うのかとお思いの方もいるでしょう。
実はこれ、似ているようで全く違うのです。
間欠的ファスティングの目的は、基礎代謝を低下させずにインスリン抵抗性を改善し、体重のセットポイントを低下させることでした。
これが一日一食だと何が問題になるかというと、一日トータルの総摂取カロリーが低下してしまうため、基礎代謝が低下してしまうのです。
そもそも人間の胃袋の大きさには限りがあり、また消化器官の消化能力にもまた、限界があります。
栄養学の祖である佐伯矩が行った実験によれば、同じ量で同じ総カロリーの食事を、一日一食で摂った場合と一日三食に分けて摂った場合では、一日三食に分けて摂った場合の方が明らかに栄養素の吸収効率が高かったことが示されました。
食事は食べたらすべて栄養として身になるわけではありません。
特にタンパク質の消化・吸収には個人差が大きく、一般的には一回の食事で20~30g程度までしか吸収できないとされています。
ガタイの良い男性ですら、35gを超えることは難しいとのこと。
ちなみにお肉には重量比で約20%のタンパク質を含みますから、一回の食事で吸収できるタンパク質は、お肉換算で100~150g程度ということになります。
ちなみにタンパク質の消化能力を知る血液検査項目として、ペプシノーゲンⅠ/Ⅱ比というものがあります。
ペプシノーゲンとは、タンパク質をペプチドという状態にまで消化する酵素のこと。
ペプシノーゲンⅠで70ng/dl以上、ペプシノーゲンⅠ/Ⅱ比で7.0以上が正常値です。
この数値が低いということは、胃でのタンパク質の消化能力が低下しているということ。
当クリニックの予防歯科精密検査では必須の検査項目ですが、これが正常値未満の人が、実に8割以上なのです。
それらの人はタンパク質の消化能力が低下しているため、さらに一日一食で栄養欠乏に陥りやすいことになります。
間欠的ファスティングでは、基礎代謝を低下させることや、栄養欠乏状態になることを防ぐため、ファスティングの人普通に食べる日を交互にします。
そして普通に食べる日では、栄養豊富な食べ物をお腹いっぱいしっかり摂るように指導しています。
これが非常に重要なのです。
一日一食を勧める人がいますけど、これは栄養学的には非常に危険です。
代謝の低下した老人であればまだしも、若い人であればなおのこと栄養欠乏に陥ってしまいます。
さらにはその一食ですら、腹7分目に減らせなんて言う人もいますけど、そんなことは言語道断であり、ぜったにやってはいけない危険な食事法であることを、良く知っていただきたいと思います。