アメリカでは現在、間欠的ファスティングやボーンブロススープが流行しています。
この背景には、アメリカで肥満が著しく増加し、社会問題となっていることがあります。
現在最も肥満の多い国はメキシコですが、アメリカもかなりひどい状況です。
間欠的ファスティングはダイエットの切り札として、インスリン抵抗性を改善するために提唱されるようになりました。
確かにインスリン抵抗性を改善させるのに、間欠的ファスティングは効果があります。
しかしながら、普段の食生活の方が100倍重要であり、糖質制限と間食の禁止、甘い物を一切排除することは、全てのダイエット成功にとって不可欠であると言えます。
日本ではアメリカほど肥満が社会問題にはなっていませんが、それでも肥満や糖尿病は年々増え続けています。
現在肥満や2型糖尿病に悩んでいる人にとっては、間欠的ファスティングは助けになるかもしれません。
でも多くの場合、日本人、特に日本の若い女性が間欠的ファスティングを行うと、体調を崩したり様々な問題を引き起こす恐れがありますので、推奨できません。
というのも、日本とアメリカ(およびヨーロッパ)では、栄養状態が違うからです。
まずアメリカやヨーロッパでは、鉄欠乏の人はほとんどいません。
というのも、アメリカやヨーロッパでは、小麦粉に鉄やビタミンB1、ナイアシンなどが添加されているから。
かつてはアメリカやヨーロッパでも鉄欠乏は多かったのですが、栄養強化小麦を用いるようになって、鉄欠乏は激減しました。
また、アメリカ人はお肉をよく食べます。
日本人の3倍も食べると言われているくらいですから、タンパク質欠乏もあまり見られません。
なのでアメリカでは栄養欠乏はあまり問題にはならず、糖代謝の問題だけを考えれば良いというわけです。
ところが日本では栄養欠乏(質的栄養欠乏)が非常に多く、特に女性で鉄欠乏とタンパク質欠乏が顕著です。
ファスティングは何も食べないわけですから、当然栄養欠乏の人は栄養欠乏が悪化します。
また鉄はミトコンドリアでの電子伝達系でエネルギー産生に不可欠なミネラルです。
赤血球の酸素運搬能と相まって、鉄欠乏はエネルギー代謝を著しく滞らせます。
その状態でファスティングを行うと、問題が起こるばかりか、大変危険でもあるのです。
栄養欠乏がある人は、何より栄養状態の改善が不可欠であり、また優先されるべきです。
僕は普段から十分な栄養摂取を心がけていますから、ファスティングを試してみることもできます。
でも、栄養欠乏の人は安易なファスティングはダメ、栄養欠乏の改善を優先させてくださいね。