金時人参(きんときにんじん)の旬がやってまいりました。
昔はニンジンといえば金時人参が主流だったのですが、現代では西洋人参ですね。
今では金時人参は年末やお正月のお料理の食材として利用されることが多いのですが、その栄養価を考えるとそれだけではもったいないです。
ニンジンの栄養といえば「βカロテン」です。
βカロテンは抗酸化力がとても強い栄養素であり、体内ではビタミンAに変換されてさまざまな生理活性作用があります。
金時人参はそれに加えて、「リコピン」がとても豊富なのです。
金時人参の色は西洋人参に比べると赤い色をしていますが、この色こそがリコピンなのです。
リコピンはカロテノイドの中でも最も抗酸化力が強く、さらにビタミンEよりも100倍以上も抗酸化力があると言われています。
美容やアンチエイジングには必須の栄養素と言えます。
リコピンと言えばトマトが有名ですが、冬に生のままトマトを積極的に食べることは体を冷やす原因の一つになりかねません。
そういう意味では、金時人参は土の中で育った野菜ですので、陰陽理論で考えれば体を冷やすことはなく、むしろ温めるように働きます。
冬にも安心してリコピンを摂取できるのは喜ばしいことです。
リコピンはカロテノイドの一種ですが、実は私たちの体のエネルギーを生産する「ミトコンドリア」と非常に相性が良いことが報告されています。
ミトコンドリアの酸化ストレスを軽減したり、機能性を高めたりします。
それは、もともとミトコンドリアは私たちの細胞内に共生する前までαプロテオバクテリアという光合成細菌から派生した細菌であるため、カロテノイドのような光合成色素を利用してきた歴史があるからです。
さらに、生命はこうした栄養素を光合成のためだけに利用するのではなく、進化の中で多岐にわたって利用してきています。
特にカロテノイドの中でもリコピンやアスタキサンチンによるミトコンドリアへの好影響は近年注目されています。
今が旬の金時人参を、少量で構いませんので、ぜひ食卓の材料に加えて習慣化してみるといいでしょう。
ちなみに、βカロテンもリコピンも特に皮に多く含まれますので、できるだけ皮を剥かずに調理してください。
おせち用としての食材だけではもったいないですよ~。