もともとは仏教用語で、「身」(今までの行為の結果=正報)と、「土」(身がよりどころにしている環境=依報)は切り離せない、という意味。
日本では、大正時代に石塚左玄が発足した「食養会」が「地元の旬の食品や伝統食が身体に良い。」という意味で、創作したと言われています。
私は、自分の生きる大地の恩恵を素直に受けましょう。
わざわざ遠く離れて、どんなところなのか分からない土地の食べ物ではなく、自分がいる場所のエネルギーをいただきましょうと捉えています。
夏の30度前後の炎天下ですくすく育つ、トマトやキュウリ、茄子、ゴーヤ、スイカにメロン。これらの夏に育つ食べ物は、なぜか食べると体を冷やしてくれます。
逆につーんと凍るような冬に育つのは、ごぼう、れんこん、にんじんや大根、白菜、、、そんな根菜類や冬の葉物野菜をいただくと、体がじんわり温まります。
今ほど物流が発達していなかった時代には季節の実りをその場でいただくのが当たり前の事だったとしても、簡単に遠くのものを手に取れる現在では、そうすることが、生活の知恵になっています。
これは、マクロビオテックに限ったことではなく、精進料理も和食も薬膳料理も、伝統的なフランス料理やイタリア料理にも言えることです。
日本で身土不二という言葉を初めて言葉にしたのは、大正時代。
春夏秋冬、冷房はなく、暖を火でとり、自然のままの気候で暮らし時代、農薬や化学肥料で作物の成長を大きくコントロールすることなく作物を育てた時代、必ず実がなるF1種ではなく、自家採種していた時代、暖房のついたビニールハウスや年中温度・湿度を管理できる、きのこ工場や食物工場のない時代、、、暑い夏も寒い冬も、一年中20度から27度(暖房の推奨温度20度、冷房の推奨温度27度)の空調が設定された快適な部屋で過ごすことが可能になった現代人にとって、身土不二、果たして良い選択なのでしょうか。
1年の間にも、1日の間にも、こんなにも変化があります。それが、四季がはっきりしていると言われる日本ですね。
でも、一年中約20度から27度の環境で一日の大半を過ごしていたら、これは、日本の気候と大きく違いうと思いませんか。
まるで日本に暮らしていないみたい。
今、あなたが過ごす環境は日本の季節とぴったり一致していますか。1日のうちほとんどは快適なのに、一歩外に出れば灼熱もしくは極寒な日もあるのではないでしょうか。
身体は春なのか、夏なのか、秋なのか、冬なのか。毎日毎日びっくりしているでしょう。体温調節をする自律神経は相当疲れていると思います。
そんな身体に「旬の食材がいいから!」と、暑くもない夏に生の夏野菜や果物。ましてや、キンキンに冷えたかき氷。
寒くもない冬に油ぎとぎと揚げ物や長く煮込んだ煮物。その上焼肉。
その眠気、やる気の低下、消化不良、肩こり。暑さ、寒さからきているのでしょうか。
「冷えは万病の元」と言うけれど、冷えは、血液の循環が滞っておこります。
暑さを感じていない身体に、身体を冷やす食材を入れたら、血液は流れにくくなります。寒さを感じていない身体に、身体を温める食材を入れたら、身体を冷やそうとします。どんなに自然と寄り添った生活をしていても、気温の変化が大きいほど、身体の負担も大きく、今の時期は、疲れが出やすいときです。
基本は以下の3点
①「少食」
消化にエネルギーを使いすぎないためです。
②「よく噛む」
運動の効果は、身体中に血液を行き渡らせることができること。噛めば噛むほど、全身に血液が流れ、運動と同じくらいの作用があるそうです。
③「おかず少なめ」
主食と副食のバランスが崩れると自律神経が失調しやすくなります。主食をを60〜70パーセンとした、おかず少なめの食事をおすすめします。
そして、選ぶ野菜は、年中季節外れの野菜を食べればいいのか。
それは、違います。
日本人のDNAには、四季おりおりの移ろいを感じるセンサーが備わっていて、その季節に合わせて身体も変化していきます。
そもそも、どんなに一日の大半を快適に過ごしても、夏は太陽のエネルギーが充満しているし、冬は骨の髄まで冷やすような寒さが存在します。
旬の食材は、一番エネルギーを蓄えています。だから、旬の野菜を
・夏も冬の調理法で取り入れる。
・冬も夏の調理法で取り入れる。
例えば、夏はサラダなどの生野菜ばかりでなく、煮込んだり、炒めたりする。冬には、煮物で食べるだけでなく、生や浅漬けにする。
どうしたら、身体が整うかは、千差万別です。毎日、色々な食材と、色々な料理と向き合ってみてください。
身体の不調、ストレス、冷え、鬱、自律神経失調症、アレルギー、腸疾患、不妊症、ガン、、、、医療の発達もさることながら、マクロビオティックや薬に頼らないお手当も着実に広がっています。
それでも増え続ける現代病。
それは、自然療法の情報の錯綜とともに、自分に必要なものを考えなくなったからではないでしょうか。
マクロビオティックは桜沢如一氏が広めた世界平和の思想です。
普段の食事を穀物菜食を中心とした伝統食にすることで、人間の判断力を高め、すべての人が思いやりに溢れた平和な世界を築こう。
という意図から、食べ物や生活法を説いた、哲学のようなものです。
でも、そもそも、その「判断」を放棄してしまっては、元も子もありません。心と身体で感じ、そして頭で考え、マクロビオティックを日々の生活に役立ててほしいと思います。