貧困層と富裕層の違いとは、富の多寡であると思われがちですが、これは一面を見ているだけに過ぎません。富の多寡はあくまで結果であって、原因ではないのです。
水や空気は低きに流れますが、富と情報は高きに流れるという性質を持っています。富裕層は富を持っているのみならず、情報もまた持っていて、これが富裕層を富裕層たるべき存在にしているのです。逆に言えば、貧困層の人はこのことが分からないからこそ、貧困層であり続けるのだとも言えます。
情報は思考を作り、思考は行動を作ります。貧困層と富裕層では行動が違いますが、この違いは知識の違いであり、思考の違いであるのです。貧困層は「富裕層は富裕層だけが手に入れられる情報や知識を持っている」と思いがちですが、そんなことはありません。単に富裕層は情報を大切にし、それを手に入れるためのお金や労力をいとわないのに対し、貧困層は情報の価値を理解できません。
富裕層の思考というのは端的に示せば、「論理的に考え、納得して行動する」というものです。これに対し貧困層の思考というのは、「感情的に考え、共感して行動する」というものです。この違いを理解することで、富裕層と貧困層の思考や行動がよく理解できます。
富裕層はお金を手に入れたとき、このお金を何に投資すれば、将来より大きなリターンが得られるかということを考えます。様々な選択肢の中から、最も合理的かつ確実性の高い投資を好みます。将来のリターンを得るために、目先の欲求を我慢することをいといません。
これに対し貧困層はお金を手に入れたら、真っ先に自分の欲求を満たすためにお金を使おうとします。将来に対する投資よりも、今の自分の感情を満たすことを優先します。その結果将来に問題が起こっても、それは自分以外の誰かのせいと考え、決して自分自身を反省したりしません。
富裕層は問題が起こった時、問題解決に長けていそうな人を選んでアドバイスを受けます。そのアドバイスに納得できれば、そのアドバイスに従います。一方で貧困層は問題が起こると、身近な人に相談し、共感してもらって不安を軽減してもらったり、同情してもらったりします。結果何一つ問題が解決していなくても、それは社会のせい、他人のせいであり、自分のせいではないのだからしょうがないと考えます。
貧困層が貧乏で、富裕層がお金持ちであるというのは単なる結果でしかなく、富裕層と貧困層を隔てる大きな違いはこのような思考の仕方なのです。だから貧困層の人は親から遺産を相続したり、宝くじが当たったりして大金を手にしても、すぐに使い切ってしまって富を維持することができません。一方で富裕層は一時的に富を失ったり破産したりしても、すぐに富を作り直すことができます。
人間にとって感情的思考は生まれながらに誰しもが持っているものなのですが、論理的思考は教育と訓練が必要なのです。だからこそ富裕層は一日にして富裕層になれるのではなく、また貧困層はなかなか貧困層から抜け出せないのです。もしあなたが貧困層で、貧困層から抜け出したいと願うなら、目先のお金の多寡よりも貧困層の思考から脱却し、富裕層の思考を得ることをまずは目指さねばならないのです。