認知症薬の多くはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬をもっている。
サリンや有機リンと呼ばれる物質は猛毒として有名だが、これもアセチルコリンエステラーゼ阻害性薬である。
もちろんこれはアリセプトとこれらが完全に同一ということではない。
簡単に言うと前者は可逆性物質であり後者は不可逆性物質であり、さらにいえばアリセプトとサリンの違いは、可逆性だけでなく立体異性体の混合物であることで説明される。ようするにやや改造を加えているということであり、だから完全には一致しないし危険性も異なる。
しかし基本的な機序が同じだと聞いた時に、一般人は一体何を想像するか?少々改造されたからそれを飲みたいと思うだろうか?おそらく事実を聞けば聞くほどにそれを飲みたいという人は減るだろう。だからこれが作られることには別の理由があるのである。つまり製薬会社はもともと、これに効果があるとか役に立つとかいうことを前提として、作っていないということだ。
それを端的に示すのがアリセプトにおける公式添付文書である。そこの最初には以下のように書いてある。
効能又は効果に関連する使用上の注意
1. アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること。
2. 本剤がアルツハイマー型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。
3. アルツハイマー型認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない。
そしてこの薬は専門的にいうと蛋白結合率が非常に高い。つまり他の薬との薬物相互作用を起こしやすい物質ということだ(ドネペジル蛋白結合率96%)。ということは複数の薬を飲んでいる人は、このアリセプトがいろんな意味で強く作用する場合がある。
そう、いろんな意味で。
つまりこのアリセプトを総評すると、認知症の定義さえはっきりしない中で、製薬会社でさえ効果がないことを認めており、治癒するどころか進行を抑制するという根拠さえなく、それでいて徹底的にマーケティングされ世の中に出回っているということである。
しかも蛋白結合率が高く相互作用により弊害が出やすい。これが西洋医学と製薬会社がもたらす薬の正体である。
*NPO法人 薬害研究センター 理事長、Tokyo DD Clinic 院長、NPO法人 薬害研究センター 理事長