もし、脳の健康を守り、アルツハイマー病も含め、痴呆症を予防することに興味をお持ちであれば、グルテンも含め、糖分 と炭水化物を控える、つまりキーとなる食餌戦略を支援する研究が続々と出てきています。
高血糖値は、脳に良くない
Neurology誌に掲載された最近の研究によると、慣習的に血糖値が高いと認知力に深刻な負の影響を及ぼすということで、これについて、研究者たちは、「学習に関与している脳の領域の構造変更に介在している可能性」があると考えています。
一方で、この調査の中で一番重要な側面の一つは、これらの負の影響が2型糖尿病でない人にさえ及んだことであり、これはつまり、例え「健康」であったとしても、一般的に「正常値」として考えられている値よりも血糖値を低く維持した方が、脳の健康には一番良いのかもしれないということです。研究者たちはここで以下のように述べています。
「(前述省略)高齢者層においては、正常範囲内であったとしてもグルコースレベルを戦略的に低くすることにより、認知力に有益な影響を与える場合もあります。」
これは、全く持って驚くことではありません。
なぜならば、また別の研究で、インスリン分泌不全がアルツハイマー病のリスクを30パーセントを高めることと関連していることが確認されているし、 総合的な痴呆や認知リスクについては、空腹時血清インスリン、インスリン抵抗、インスリン分泌不全、およびグルコース不耐性と関連していたからです。
一方で、新たな研究および昨年掲載された別の研究で、高血糖値は、原状がない場合であっても脳に有害である可能性を示唆しています。
インスリン抵抗性あるいは2型糖尿病につながる、同じ病理学的プロセスが脳でも同様に発生することが益々如実になってきました。
糖分や穀類に過度に依存するようになると、脳が常に高濃度のインスリンに圧倒され、最終的にインスリン信号伝達が阻害され、思考や記憶能力の支障につながり、場合によっては永続的な脳の損傷となってしまいます。
高炭水化物ダイエットは、認知症のリスクが89パーセント高くなる恐れがあります。
炭水化物と脳の研究の中で最も印象的な一つは、研究者が、食事で高炭水化物を摂取した人たちは、痴呆症のリスクが89パーセント高くなったことを明らかにしていいることです。
食事の脂肪摂取が高かった人については...このリスクは44パーセントまで低下しました。
Perlmutter博士は以下のように語っています。
「我々の生活における概念では、カロリーはカロリーであるのですが、少なくとも脳の健康と言う観点から、また、それ以外の身体も同様、健康面への影響の見地からすると、カロリーの源が何であるかが、非常に大きな違いとなる、ということです。
炭水化物のカロリーは、血中グルコースを上昇させ、人間生理学上大いに有害であり、体に良い脂肪由来のカロリーよりも、特に人の健康にとって有害です。
推奨されるのは、脂肪分が多く、炭水化物が少ない食餌で、これは、単純に人類が何百万年もの間食べてきたものでありますから、ちょっとした実績と言えます。
これが革新的な新ダイエットであるという概念は、文脈の中で捉える必要があります。
実際に、このダイエットは、皆さんが現在摂取しているものです。
これは、政府機関の推奨する、恐ろしく炭水化物が多く脂肪が少ないもので、かつてなかったほどの人間生理学上の大きな試練であり、また本当に、実に本当に厄介です。」
高炭水化物ダイエットがこれほどまでに有害である理由の一つに、フルクトースがあります。
私が 精製されたフルクトースの危険性に対する警告に情熱を注いでいることは既にご存知でしょう。
一日に25グラムを超えてフルクトースを定期的に摂取すると、認知症やアルツハイマー病のリスクを劇的に高めてしまうということについては、疑問の余地がありません。
フルクトースを摂り過ぎると、適正なインスリン値を調整する体の機能を必然的に台無しにしてしまうことになります。
研究では、フルクトースのシロップを摂取したマウスが、迷路から抜け出す通路を記憶するのに苦労するなど、認知機能に有意な障害が認められました。
これらのマウスは、緩慢で、脳のシナプス活動にも低下が認められました。
脳細胞間の信号はお互いに問題点があり、マウスが明晰に考えたり、6週前に学習したはずの経路を思い出すといった能力を損なっていました。
高炭水化物の更に別の成分もまた、同じくらい有害となる可能性があるのです。
グルテン感受性も脳に有害となる可能性がある
Perlmutter博士は、グルテンが免疫システムに影響を及ぼすふるまいのために、脳に影響を与えるものも含め、グルテン感受性がほとんどの慢性疾患に関与している点について強調しています。
残念なことに、医療関係者含め、大勢の人は、未だにセリアック症候群や消化器症状がなければ、グルテンは、公正明大であり、好きなだけ食べても大丈夫だと思い込んでいます。
主に小腸に影響を及ぼす免疫介在性グルテン感受性の極限状態である、末期のセリアック病は、、西洋文明人の推定1.8パーセントに影響しています。
しかし、セリアック病でなく、 グルテン感受性が高い 人は、実は全人口の30から40パーセント程度の可能性があり、マサチューセッツ総合病院のAlessio Fasano博士曰く、 実質的にすべての人 が何らかの影響を受けていることになるということです。
これは、人間が皆、グルテンに反応し、腸でゾヌリンと呼ばれるモノを生成するためです。
これらがプロラミンと呼ばれ、小麦、大麦およびライ麦に含まれるタンパク質で、腸の浸透性を良くし、本来なら排出されていたはずの未消化のタンパク質を血流に乗せタンパク質の消化を困難にします。
このようにして免疫系が増感され、炎症と自己免疫を促進されます。
Perlmutter博士によると、現在の疾患の負荷の多くは、人類の歴史の中で、免疫系がこれまで一度も晒されたことのないタンパク質がヒトの免疫系を汚染していることに起因しているからだそうです。
私は、現在米国で販売されているほとんどの加工食品にまん延している遺伝子組み換え(GE)穀物の開発がもうひとつの大きな要因だと確信しています。
これらの遺伝子組み換え穀物から育った作物はこれまで天然穀類や食品に存在したことのないタンパク質を作り出します。
そのため、遺伝子組み換え穀物は免疫系に対し、 二重に 邪魔をすることになります。
食品アレルギー が遺伝子組み換え穀物飼料の最も顕著な副作用の1つであることは明らかです。
Perlmutter医師は脳の健康におけるグルテンの役割について次のように説明しています。
「グルテン摂取の観点からみた場合、私たちはセリアック病が存在するという理解から始まり、これまで長い道のりを歩んできました。
そして今、最先端の研究者によると、セリアック病でなくともグルテン感受性の高い人も存在しており、これは人類の30%に影響する可能性があるということが分かります。
Marios Hadjivassiliou博士 [英国シェフィールドRoyal Hallamshire Hospital神経科の医学博士]は、時にグルテン感受性は基本的に腸管外の純粋な神経疾患であって、グルテン感受性を定義するにあたり腸の問題をとしてとらえる必要はないと語っています。
実際、うつ病、認知機能障害、発作、さらには頭痛などを含むさまざまな神経学的問題の原因としてグルテン感受性を明確に指している文献を良く目にします。」
脳は体に良い脂肪を必要としている
高炭水化物ダイエットが衰退する要因がもう一つあり、それは有益な脂肪をも減少させる傾向がある、ということです。
この対比は何十年にもわたり脂肪を目の敵にしてきた「公式の」食事ガイドラインによって裏付けられています。
Perlmutter博士によると、食事に対する脂肪恐怖症が「アルツハイマー病を含む、今日の最も一般的な変性疾患の拠りどころになっています。」
なぜでしょうか。
それは、食事中の脂肪を減らし、代わりにタンパク質をほぼ同量に保つと、健康に有害な炭水化物食品、主に穀物によってその穴埋めをすることになってしまうからです。
特に体と脳が最適に機能するために必要とする健康増進型の有益な脂肪には、生乳から作った有機バター、ギーと呼ばれている浄化された液状バター、有機の牧草を食べた牛乳から取れる生バター、有機バージンオリーブオイル、ココナッツオイル、ピーナッツやマカダミアなどのナッツ類、放し飼いの鶏から取れる玉子、アラスカ野生鮭、アボカドなどが例として挙げられます。
Ron Rosedale博士は、インスリン抵抗性と適度なタンパク質(そのため、高脂肪)と低炭水化物ダイエットの重要性についてまず指導してくれました。
低炭水化物ダイエットのほとんどの支持者は、たとえ奨励されていなくとも、高タンパク質な食事を受け入れており、タンパク質を炭水化物の代替物として推奨されていたか、あるいは今でも推奨されることがよくあります。
しかし、高脂肪かつ低炭水化物ダイエットは、高タンパクかつ低炭水化物の食事とは全く異なります。
これは、研究を実施しその結論を発表する際に、一般の人と研究者の両方に混乱をもたらす大きな原因となります。
Rosedale博士は、通常の成人に推奨される平均的なタンパク質の摂取量として、体脂肪を除いた体重1キロ当たりタンパク質1グラム、つまり、体脂肪を除いた体重1ポンド(453.5グラム)当たりタンパク質0.5グラムと考えています。
(一例としては、体脂肪量が20%だとすると、 除脂肪 量は、全体重の80%となります。)
ようするに、たいていの人は品質の低いタンパク質と炭水化物を摂取しており、体に良い脂肪が十分ではありません。
重要なことは、 高品質の 天然脂肪を十分な量、摂取することです。
Perlmutter博士は続けて言います。
「私たちが摂取する脂肪の品質 が間違いなく基本的要件です。
高脂肪な食事と言う場合、変性トランス脂肪を含むトゥインキーズが陳列してある食料雑貨品店の通路に置いてある食べ物について話している訳ではありませんし、これらの脂肪は明らかに水素化脂肪であり、寿命を縮めるものです。
これらの脂肪を摂取すると、脳障害、心臓病、糖尿病などのリスクが高くなります。
そうではなく、私たちは、200万年以上にわたって摂取してきた素晴らしい天然脂肪のことを取り上げているのです。」
より健康な脳の実現に向けた、局面の打開
認知症の最も一般的な型であるアルツハイマー病は、米国の死因の第6位となっています。
この致命的かつ進行性の疾患は脳細胞を破壊し、日常の生活や活動に支障をきたす重度の思考や行動の問題(攻撃、妄想、幻覚)を引き起こします。
現在、治療法がないために最も恐れられている病気の一つですが、予防として講じることのできるステップがあります。
脳は加齢に伴って収縮し、うまく動かなくなるように当然として「プログラム化」されているわけではありません。
運動、摂取する食べ物、摂取するサプリメント、他人と築く個人的な関係、感情状態、睡眠パターンなど、自身が参加しているすべての活動が その時々において自身の遺伝子発現に劇的に影響することが判明しています。
そして、代わりに、これは脳を含む身体の総合的な健康と病気のリスクに影響しています。
脳細胞のニューロン新生および再増殖を促進するためのライフスタイル上の戦略には、以下が含まれます。
これらの戦略はすべて、BDNF、または脳由来の神経栄養因子と呼ばれる特定の遺伝子経路を標的とし、MRIスキャンで示されるように脳細胞の増殖および連結を促進するものです。
そこで、アルツハイマー病を含む認知症のリスクを下げる最も簡単な方法を探している場合、この計画に従うと良いでしょう。
お気づきのように、この計画の大部分は、健康的ではない炭水化物を減らし、体に良い脂肪を増やすべく以下のように食事の内容を変更することを含みます。
砂糖や穀物を含む、(植物性でない)炭水化物の消費量を減らす。
健康的な脂肪の摂取を増やす。
オメガ3脂肪の摂取量を増やし、オメガ3脂肪とオメガ6脂肪のバランスをとるために、損傷したオメガ6脂肪(加工された植物油のことと考えて下さい)の摂取量を減らす。
オキアミ油にはアスタキサンチンが含まれているため、私はここでは魚油よりもオキアミ油を選びたいと思います。
このアスタキサンチンは脳の健康に特に有益です。
Perlmutter博士が説明したように、アスタキサンチンはフリーラジカルが脂肪に与えるダメージを低減する点こを非常に重要視しており、脳はその66から70%が脂肪です。
個人的には、アルツハイマー病を予防するために12 mgのアスタキサンチンを補うと良いとするのが紛うことなき証拠がある、と信じています。
運動。
身体活動は生化学的な変化をもたらし、身体だけでなく脳、特に記憶と学習に関連する領域を強化し更新します。
断続的な絶食を含めて、カロリー摂取を全体的に減らしましょう。