生活習慣病が脳に及ぼす影響について
◇糖尿病患者
アルツハイマー型認知症の発症リスクは4.6倍
◇高血圧患者
脳血管性認知症の発症リスクは3.4倍
特に肥満の人は大いに関係があります。
よって、現在持病がなくても肥満の人は、生活習慣病を指摘される前に、食事・運動・睡眠などを改めて肥満対策が必要になります。
この論文は、1992年~2007年(平均追跡期間9.1年)の間にBMIが記録されている40歳以上(平均年齢55歳)の195万8191人分のデータを分析しました。
追跡は、対象となった人の死亡、転院、あるいは認知症と最初に診断を受けるまでのいずれかとしました(既に認知症の記録がある人は除外)。
認知症は4万5507人が発症し、1000人年当たり2.4人でした。
これをBMI別に分析したところ、次の結果が得られました。
★BMIが20~25の範囲にある健康な体重の人と比べて、BMIが20以下のやせている人は認知症のリスクが34%高かった。
意外かもしれませんが、やせ過ぎも認知症の原因になるのです。
これは無理なダイエットを繰り返しているような人も多く、偏った食生活や過度な運動が身体に悪影響を与えていることも考えられるようです。
特にやせ過ぎの女性(BMI20以下)は、低栄養の人が多い傾向にあります。
よく「小食の方が長生き」と言われます。それは論文もありますし、間違いありません。
ですが、その「小食」というのはどれくらいが小食なのかを、数値ではっきと示したサイトがありません。
「腹八分目」とも言いますが、この表現も実は本人任せなんです。
「小食」「腹八分目」と言っても、基本的な栄養は必要です。
日本人の場合、特に20代女性の摂取カロリーは戦後の人たちよりも低いとされています。
脳にももちろん栄養が必要です。
栄養不足の脳は、退化して認知症になる可能性があります。
また、プロテインやサプリなどで栄養を補って、計算上十分な栄養を摂っているにはずなのに、食事からの栄養が不足だと、疲れやすかったり風邪をひきやすかったりもします。
ちなみに私も定期的に運動をして、以前は食事を腹八分目にしていましたが、たまにひどい風邪をひいていました。
ですが、意識的に食事量を増やしたところ、風邪をひかなくなりました。
私は定期的に運動をしているので、腹八分目ではガソリン不足だったと思います。
サプリやプロテインを主食や万能薬と勘違いしている人もいるようですが、それらはあくまで「補助食」の1つと考えるべきでしょう。
サプリやプロテインは噛む必要がないので、食事をする事に比べて身体のエネルギー(ATP)を作る唾液の分泌量が減りますし、また胃腸という筋肉(横紋筋)を使いません。
病気にならない事と、健康である事とは全然違います。
★BMIが40以上の肥満の人では健康な体重の人と比べて、認知症のリスクが29%も低かった。
一般的に言われている生活習慣病と認知症の関連とは、全く別の結論という事になります。
日本人は体質上、膵臓から分泌されるインスリン感受性が悪いのです。
インスリン感受性が高いほど、少ないインスリンで効率良く血糖を処理できるため、感受性の悪い日本人は糖尿病・メタボになりやすい民族です。
そのため日本のメタボ基準は、他国より厳しくなっています。
その代わりBMI40以上にまでなる人は、日本人の体質上ほとんどおりません。
そもそもそんなに肥満になったら、既に何らかの持病を持っているのは間違いありません。
日本人の場合は、むしろやせ体質の方に気をつけるべきです。
また生活習慣病でも認知症のリスクは統計的に示されているので、こちらも病状の進行を予防する必要があります。
いずれにしても、適切でバランスの良い栄養摂取、適度な運動、適切な睡眠を心がける必要があります。
特に「運動」に関しては足りない人が多いです。
そもそも「運動」とは日常活動以上のものも「運動」に含まれます。
運動嫌いな人は、できるだけウォーキングをしたり、エスカレーターを使わずに階段を使うようにしてください。
電車通勤の人は、隣の駅まで歩くのもいいですよ。
がんと認知症は別問題・・・ではなさそうです。 山中 圭子
がんを再発させないための菜食的食事制限とか、
がんを大きくさせたくないからと始めた糖質制限などの食事習慣が当たり前になり、
日常的に偏った栄養になり、ある意味栄養失調のようになっていることを無視して続けてしまうと、今度は認知症発病のリスクがとても大きくなるようです。
冷静に考えれば、慢性の栄養失調で、さらに血液の質や血流が悪くなるような状態が続けば、脳にも十分な栄養が届かず、その結果として認知症になっても不思議ではありません。
「がん治療のため」を意識した偏った食事制限や食事療法は、少なくとも、様々な治療で、病気と判定された大きながんの塊が体内から消えた時には、終えるべきものだと感じます。
がんができる恐怖心で極端な食事療法を続ければ、そのことで栄養失調という体内の悪環境を作り上げてしまうわけですから、がんにとっては、むしろ好ましい体内環境になります。
少なくとも、経過観察になったら、バランスが良い栄養、動くこと、生きることに過不足ない食事量を意識し、極端な食事療法からは卒業すべきではと感じています。