血液と温熱作用                         森下敬一


高温多湿の日本では、そこから来るうっとうしさや、さっぱりした氣分を味わう必要から外国人に比べて、入浴温度がかなり高くなっています。

このことは、一般的に言って、心臓や腎臓に負担をかけるものであることから、体をリラックスさせ、精神的緊張を取り去って、疲労を翌日に残さないようにするための入浴温度、入浴時間、入浴方法などについて、もう一度検討してみる必要があるようです。

 

<日本人はあつ湯好き>

日本人は大の入浴好き。

しかも外国人に比べてあつ湯好きである。

ふつう、外国人の入浴温度は、36~38度ぐらい。

これに比べて日本人は、41~43度、人によっては44度、45度の湯に好んで入る。

温泉場などでは、48度の超高温浴をする勇敢なご仁もあるほどで、江戸時代から明治初期にかけては、町の銭湯でもこの超高温浴ができるようになっていた。

 

なぜ、日本人はこのように高温度の湯に入るようになったのであろうか。

その理由としては、日本の氣候が世界的にも有数の高温多湿のため、そこからくるうっとうしさから開放されて、さっぱりした氣分を味わうため。

 

また日本の家屋は、夏の湿氣を防ぐために木造建築となっていて、冬期の暖房や保温が十分にいかない、そこで冷えた体を温めるため......などが考えられる。

 

いずれにしても、一般的に言って、高温浴は心臓や腎臓に負担をかけるものである、ということを承知しておきたい。

高温の湯では、入浴直後に鳥肌という現象が起きて、反射的に皮膚の血管が収縮する。

さらに水圧がかかって、血液の循環に抵抗が増し、その結果、血圧が高くなる。

だから、動脈硬化の進んでいる人や、高血圧の人には危険なわけだ。

また、健康な人でも高温浴後においては尿中に蛋白が出てくることもある。

これは一時的な腎臓障害を起こすためである。

 

もともと人間は恒温動物だから、体温を一定に保つために代謝作用の結果生じる熱を常時放散・処理していかなければならない。

体温の放散は、呼吸や大小便の排泄によってもおこなわれるが、いちばん重要な放熱器官は皮膚である。

 

皮膚は、輻射や伝導によって絶えず熱を放散しているもので皮膚血管の拡張によって皮膚温が上がれば、熱放散はますます増大する。

ところが、温浴では皮膚の囲りには体温より高い温水があり、汗の蒸発も起こらず、熱の放射も起こらない。

 

そのうえ、熱が体内に伝えられる。

体内の臓器組織における化学反応は、温度の上昇につれて速度を増すから、新陳代謝は、いよいよ促進される。

必然的に酸素消費量は増し、心臓は亢進状態となる。

同時に、腎臓も皮膚に歩調を合わせて、血流は著しく増大する。というわけで、心臓・腎臓の負担が増すのである。

 

体をリラックスさせ、精神的緊張を取り去って、疲労を翌日に残さないようにするという効果を最大限に得るためには、本人が快適と感じる入浴温度や入浴時間、さらにより効果的な入浴方法などを考える必要があろう。

 

まず初めに、入浴の温度についてみてみよう。

<入浴の温度と生体への影響>

「不感温度」と呼ばれるものがある。

摂氏34~36度で、主観的な感覚ではなく、客観的なものである。

つまり、この不感温度にあっては、生体の脈拍、呼吸数、血圧などにほとんど変化を生じることがない。

したがって、この範囲内での入浴は、体の代謝は高まることも、逆に低まることもない。

 

これに対して41度~42度以上の温浴では、徐々に交感神経の緊張が優位になり、皮膚血管は収縮し、脈拍・呼吸数は増加し、血圧は高くなる。

通常、微温浴といわれているのは、35~40度。

副交感神経の作用により興奮した神経は鎮められるので、神経衰弱、不眠症、神経病、リウマチなどによい。

とくに就眠前に比較的長時間入浴すると効果的だ。

温度が低くても長く湯につかっていれば、それだけ体に作用する熱の総量は多くなり、入浴後もポカポカした温かさが長持ちする。

 

この微温浴では、運動療法を併用することも可能。

すなわち、いわゆる運動浴ができる。

入浴中は浮力が作用する。肩まで湯につかると、水面上の頭部の重さは体重の約7パーセントとなり、体重はほぼ1/9となる。

このため、空氣中では重力に対抗するだけの力がないほど弱っている筋肉でも、浴水中では動かすことができる。

その上、運動マヒにつきものの痛みも温熱作用によって除かれるので、一層運動は楽になる。

血管は拡張し血流も盛んになるから、温浴中の運動は、萎縮した筋肉を回復させるには最適である。

なお、この運動浴は、故ルーズベルト大統領がこの方法によって小児マヒを治した事で有名だ。

 

これに対して、40~44度の高温浴は、生体に対して刺激・興奮性に作用する。

低血圧氣味で目覚めがスッキリとしない人が朝風呂として利用するにはもってこいだ。

入浴時間は、3~5分を2~3回反復する程度が適当であろう。

ただし虚弱体質や老人など、体の弱っている人には好ましくない入浴温度である。

45~48度は、超高温浴。これは、わが国独特のもので、古くから一種の強壮法としておこなわれてきた。

高温刺激による皮膚反応を利用するものである。

 

入浴後は、皮膚血管(毛細管)が拡張し皮膚は著しく紅潮するが、そればかりでなく、新たな血流ルートもつくられ、血行は著しく促進される。

 

これが体全体の血行を促し、同時に生体の改造をして全身を強壮にする、というもの。

だが、この超高温浴は、非常に刺激の強いものだから、それに耐えられるだけの体力および強靱な皮膚をもった者に限られる。

入浴によってわれわれの体に働く機械的な作用には、先述した浮力の他に水圧がある。

水圧の影響を最も受けるのは、呼吸器と循環器だ。

毛細血管は、壁の薄い静脈が圧縮され静脈血やリンパ液は四肢から心臓方向に押し返される。腹部圧迫のため横隔膜は、1センチ以上も持ち上げられ、その運動も制限される。

 

また胸囲も圧迫のため1~3センチ縮小する。

この結果、心臓は押し上げられ、静脈圧は高まり、心臓の拍出量も増大する。

従って、肺うっ血症、心筋障害、心臓弁膜症などのある人では、呼吸困難や狭心症発作をおこす危険もある。

 

また、血圧の高い人や心臓の弱い人は、冷えた体で急に湯舟に飛び込むのは避けなくてはならない。

湯舟に入る前に心臓に遠い手足から順に湯をかけたり、足だけ → 腰まで → 胸まで、と3段階ぐらいに分け、3分位ずつ湯をかけながら徐々に入浴するのが適当である。

 

<血液と温熱作用>

ここで、血液を始めとした循環器系に大きな影響を及ぼす温熱作用について述べよう。

まず、温浴により、毛細血管小動脈、静脈は拡張し、内臓血管は反射的に収縮する。

毛細間液および貯蔵血も皮膚血管内へ動員され、皮膚の血流量は増し、四肢の容積は増加する。

 

心臓は拍動数と拍出量を増し、循環血液量の増加に対処する。

 

だが、入浴温度が40度を越えると、かえって心拍出量は減少する。

血液成分は、蛋白に乏しい細胞間液の血管内流入が起こるので、希薄となる。

 

ただし、夏季の温浴は発汗を促すこともあり、その場合は逆に血液は濃縮される。

血液phは、僅かにアルカリ性方向に変化する。

これは呼吸が盛んになり、CO2が減少することなどと関係している。

 

血圧は、湯の温度が、39度以下の場合は下がり、浴後1~2時間は低下を続ける。

この低下の場合は、高血圧の人ほど著しい。

 

40度を越えると、入浴中に血圧は上昇し、入浴後一時上昇して、その後やや低下する。

したがって、血圧の高い人は、少しぬるめの湯に入るべきだ。

 

一方、低血圧の人は、入浴中に血圧はかえって正常にもどり氣分爽快となる。

温度や時間を適切にすれば、温浴は赤血球数の正常化をもたらしてくれるからキズの治りを早める効果もある。

止血して1日位たってからは、むしろ微温湯につける事で傷口の治りは早められる。

 

温浴に対して冷水浴というのがある。

これは温度33~35度ぐらいまでの冷水に入浴するものに10分間ほど入る。

冷水浴の効果は、低温度のため入浴によって皮膚の血管が縮んで、その後徐々に血管が拡張し、血管の循環がよくなり、全身の臓器が活発に働くようになるのである。

この冷水浴は、温浴と交互に繰り返すこと(温冷浴)によって効果をあげている。

 

<レペシンスカヤの重曹浴>

ソ連の細胞学者レペシンスカヤによって考えられたのが重曹浴である。

彼女は、現代人物学の「細胞は細胞分裂によってのみ細胞から生ずる」という鉄則を否定し、細胞は「生きている物質」から新生することを明らかにした人。

重曹浴も、この新しい考え方から導かれたものだ。

 

まずカエルやニワトリの卵を重曹水、塩酸液、水などにそれぞれ浸して、それらの孵(かえ)り具合を比較したところ、重曹水を使用したものは、他のものよりずっと成績がよく、発育も良好であった。

また、野菜の種子を重曹水に一晩つけてから蒔くと、発芽率はよくなる......という事実に着目した。

 

そして、その理由を次のように考えたのである。

即ち、「生きている物質」をある秩序を持って繋ぎとめるために、蛋白の膜(細胞膜)が存在する。

しかし、この「生きている物質」や「蛋白の膜」の代謝が鈍くなると、蛋白質分子の分散性が失われ、それらは大きな粒子に凝り固まってしまう。

 

これが老衰や死の原因だが、重曹を作用させると、蛋白質分子の分散性を保持したり、回復したりできる......と。

 

この原理を卵や種子から、さらに人間へと発展させ、自ら重曹浴に入り実験をおこなったのである。

 

水温35~36度の浴槽に、50~70グラムの重曹を入れ、週2回の割合で、約20分の入浴を15回繰り返した。

テスト中、体重や血液、尿などの検査を厳密に続けた結果、最も大きな変化としては、酸性の尿が中性に変わったことであった。

これは、重曹が、皮膚を通して体内に吸収され、吸収された重曹が体内の酸性物質を中和したためである。

そして、この重曹浴によって、体の組織脂肪は目に見えて減り、体調はよくなり、疲労も感じなくなり、氣分も爽快になったという。

これは、われら日本人がこよなく愛好する温泉の効用と酷似している。

 

温泉には、各種ミネラルが豊富に含まれている。

そしてそれらが健康増進や病氣の治療に有効な事を、われわれの先祖は経験を通して知っていたのである。

そして、日本各地にたくさんの湯治場がつくられた。

 

また草根木皮で薬湯をたて、自家製温泉として利用することもさかんにおこなわれた。

5月5日のショウブ湯、冬至のユズ湯などは、邪氣払いの行事として今に受けつがれている。

我々現代人も、こうした先輩たちの素晴らしい知恵に学び、身近にある薬草、野草を薬湯としても大いに活用したいものである。

 








          たきがみ博士の想い

 

誰でも、自分の中に伝統がある。自分が経験したすべての過去の累積、それが”いま”のわたし。

過去とは思いだすこと、現在(いま)は過去の必然、そして、未来は想い、選択すること。

いまは、変えられない。

しかし、人には明日があり、未来がある。明日は、こうありたいと想いを持つことができる。

 

すてきな明日に向かって、”これからへの想い”を具体化するJourney、しっかり楽しみたいと思います。

そして、”いま、ここ”を丁寧に活きる。

みずからの人生の軌跡を、すてきな笑顔でみつめるために。

 

旬(ときめき)亭 亭主 たきがみ博士
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☆他人に期待すれば不満になり、

  自分を信頼すれば自信になる 

☆人間関係とは、他人を通して自分自身

  との付き合い方を学ぶ機会なり 

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  自分らしさという魅力が生まれる 

☆最も空しい人生とは、

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