若者が自らの命を絶つほどに絶望し、事態が改善するという希望が持てなくなっているということは、非常に心が痛むばかりです。
我が子を自殺という形でなくしてしまう親の怒りや、そのような家族の数が増えていることを考えると二重の悲劇です。
このような自殺の事例の原因として疑わしいのが次の項目です。自殺の増加に抗うつ薬がどのように影響しているのだろうか。
抗うつ薬、統合失調症治療薬、ADD/ADHDの治療薬を処方される若者が増えているが自殺者数は減るどころか増える傾向にある。
2時間に1人の若者が自殺している
過去60年間で、15-24歳の若者の自殺率は、男子で4倍、女子で2倍となっています。
この年齢層の男子は、女子よりも自殺が成功する確率が4-5倍高くなります。しかし、女子の場合、未遂に終わることも多いです。
これは、自殺方法の選択に理由があります。
男子はより過激な方法(銃など)を選ぶのに対し、女子は成功率が低くなる方法(薬)を選ぶことが多いのです。
1981-2007年の間で、10-14歳の子供の自殺率は50%上昇しました。
若者の自殺では、銃の利用が顕著で、自殺成功例の45.9%が銃によるものです。自宅にある銃が子供達の命を奪っているのです。
大学キャンパスでの自殺も毎年1000件以上であると見積もられています。
American College Health Association(米国大学保健管理研究協会)によると、大学生の9.5%が自殺を真剣に考えたことがあり、1.5%が自殺未遂に至っています。
思春期の若者にとって、人間関係は自殺を考えるに至る大きな原因です。
性的なアイデンティティは若者にとって最も大きな問題となります。
10代の若者にとって、この件に関する周囲の反応は、大きな苦痛であり、不幸にしてゲイバッシングに発展してしまうと、自殺行為に追い込まれてしまう若者もいます。
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)と呼ばれる10代の若者は、ストレートの若者よりも自殺行為に及ぶ確率が高くなります。
30%以上のLGBTの若者が去年一度は自殺を試みたことがあると報告されています。
トランスジェンダーの若者の50%以上が20歳の誕生日を迎える前に少なくとも一度自殺未遂を起こしています。
性のアイデンティティに関する皆さんの意見や信条に関係なく、このようなグループに属する人々にさらなる社会的なサポートや共感が必要だと考えます。
研究者達が若者の自殺について研究を進めた結果、いくつかの大きな傾向があることがわかっています。
・自殺のほとんどの例が、学校から帰宅し、自宅で起こっている。
・高校生では、過去一年内に自殺未遂を起こした生徒がクラスに3人は存在する計算になる。
・5件中4件で事前に自殺に関する発言がある。
・自殺願望がある子供の多くがそのことを認めない。自傷行為などがあれば、注意する必要がある。
・10代の若者の自殺未遂の多くは、人間関係が原因となっている。
自殺行為は、周囲の人間の自分に対する行動や態度を変えたいがために絶望的な行動に出てしまった事の表れであることが多い。
・自殺未遂を繰り返す場合、ストレスに対処する手段として自殺行為に及んでいる場合がある。
その場合は、ストレスに対処する方法を一刻も早く見つけてあげる必要がある。
生物学的、情緒的、精神的、社会的要素が入り交じった10代の自殺の特徴
・電子機器の過剰な使用
テレビ、インターネット広告などは、健康を害し、情緒面にも影響を与える加工食品やジャンクフードを買うように子供達の気を引く
ために食品産業が使う強力なツールです。
他にも、子供達は、電磁場(EMF)に一日中さらされています。
例えば、携帯電話から発生する放射線に脳がさらされており、その影響はまだ解明されていません。
・未認可の精神疾患の薬を子供に使う例が増加している
うつ、不安、不眠症、不注意、内気、人見知りなどに、未認可の子供用の向精神薬が処方されています。
中でも多いのが抗うつ薬です。
・両親との関わりの低下
片親家庭が増えていたり、両親が共働きの家庭が増え、多くの子供が自宅で一人で(または友達と)過ごす時間が親と過ごす時間より
多い状況にあります。
アドバイスや対処法を示してくれる大人が周りにいないため、ストレスに適切に対処する方法を学ぶ機会が得られていません。
・環境や食品に含まれる有害物質が増えている
平均的なアメリカ人の体内には400-800の化学物質が蓄積されていると見積もられています。
空気中、水、食品に含まれる環境有害物質が、うつ、注意欠陥性障害、精神分裂病、ストレスに弱いなどの原因となっているのではないか
と考えられています。
・落ち込んだときはけ口がない
子供は、周りを見て学びます。悲しみ、恐れ、沈んだ気持ちを解放する方法を誰も教えなければ、うつや自殺のリスクが高くなります。
幼少期のストレスは、子供の健康面長期的な影響となり、その影響は心身に及びます。
・大地との接触が減っている
外出すると底がゴム製の靴を履くので、地球から得られるヒーリングエネルギーを遮ってしまいます。現在行われている面白い研究では、
大地と新しくつながる(裸足で歩く)こと(「アーシング」とも呼ばれます)で、心身にどれだけ深いヒーリング効果があるかを調べて
います。
21世紀の恐怖―ネットいじめの時代
ネットいじめは比較的新しいいじめのタイプで、メディアの注目を集めています。ネットいじめは次の様に定義されています。
「ネットいじめとは、10代の若者が、インターネットや、やり取りが可能なデジタル機器つまり携帯電話などを用いて、苦痛、脅迫、嫌がらせ、屈辱的な行為、辱めなどを受けることである。」
いじめをする側にとっては、ネットいじめの手段はあらゆるものがあり、いじめる側の思うがままです。
ネットいじめの被害者、加害者である子供達はどちらも死に至るケースが少なくありません。
最新の世界中の研究37本に関するレビューでは、いじめと自殺のリスクについて調べており、被害者の子供、 加害者、目撃者に至るまで自殺願望が高くなることがわかりました。
電子メディアの利用により、加害者は被害者との距離や匿名性を保ちながら、相手に、立ち直れない程のダメージを与えることが可能です。インターネットに情報を掲載してしまえば、加害者側が後で後悔しても完全に消すことはできません。
残念ながら、周りの人に自殺願望があるかどうかを知る完全な方法はありません。
それが我が子であってもです。自殺をする傾向にある若者にこれという特徴はありません。
しかし、気を付けたいサインはあります。疫学の研究で、自殺リスクと関連する事項を特定化しており、内容を知っておくことで、子供が自殺を実行するほど絶望してしまう前に気がつくことができるかもしれません。
American Association of Suicidology(米国自殺学会)やその他の組織によると、10代の自殺のリスク要因には次のようなものがあります。
・過去の自殺未遂
・自殺、死、死後の世界について、悲しさ、退屈、無力さ、寂しさ、その他の否定的な意味合いで話す
また、自殺の方法を考えている場合にはさらにリスクが高いと言える。
・精神的疾患がある(例:うつ、ドラッグ、飲酒、行動障害、異常行動、入院歴など)
・衝動性、興奮性、攻撃的行動、しばしば激しい怒りに襲われる
・飲酒、薬の過剰摂取
・家族や、友人などの親しい人の自殺
・大きなストレスとなる出来事(性のアイデンティティに関する悩み、望まない妊娠、親の死、精神的ショック、喪失に対する不安など)
・家庭内の不和、不安定
子供の自殺リスクを知るために気を付けておきたい項目をことにリスト化しました。
完全なリストではありませんが、どのような行動に気を配るべきかがわかると思います。
自殺を考えている子供に見られがちな行動は次のとおりです。
・悲しい、不安または「うつろ」な態度(例えば、自分を悪く言う、卑下する、否定するなど)
・睡眠時間が極端に長いまたは短い
・体重、食欲の増減や食事内容の変化
・身なりに気を遣わない
・死について話したり、いつも考えている(死についての詩を書くなど)
・学校の成績が下がる、学校に行かない、自分のまたは誰かの期待に応えられていないと感じている
・妄想、幻覚、突飛な考えなど精神病を思わせるような状態
・褒め言葉や、賞賛を受け入れない
・人との交流やスポーツなどを楽しいと思わない、興味がなくなった
・急激な人格の変化。臆病な子が反抗的になる、暴力的になったり、家出したりする
・落ち込んでいたかと思うと急に明るくなる
・友達、家族との関係の悪化。恋人との不仲、これまで親しかった人と距離を置く
・本人の性格と似つかわしくないやる気のなさ、問題行動
・どこも悪くなさそうなのに、腹痛や頭痛を訴える
・最後に、一番大事な、なんとなくおかしいという「勘」
子供が抗うつ剤の標的にされている―自殺率の増加の原因であるかもしれない危険な問題
抗うつ薬には、毎年2億3千万の処方箋が出されます。アメリカで一番多く処方される薬です。
アメリカでは、ドイツやオランダなどと比較すると 3倍以上の抗うつ剤が子供に処方されています。
うつを放置すると、自殺へと発展していく可能性があります。抗うつ剤は、果たして症状を和らげるのでしょうか。
いいえ、その効果はありません。
研究の結果、抗うつ剤には偽薬と同等、またはそれ以下の効果しかないことがわかっています。
2010年1月号のJAMA に掲載された研究によると、SSRI(Prozac、Paxil、Zoloftなどの有名な抗うつ剤)には、軽度から中度のうつへの効果を示すエビデンスが得られなかったと結論づけています。
SSRIの効果は33%で、効果は砂糖の錠剤と同じですが、暴力や自殺願望/行動など、副作用は重篤です。
2009年神経科学カンファレンスで発表された研究でも同様の報告がなされています。
抗うつ剤により、うつが症状が一時的な疾患と言うよりは、慢性化しはじめているようです。
うつ症状のある子供や思春期の若者に抗うつ剤を使うことは明らかに正しい答えではありません。それでは、いったい何が良いのでしょうか。
うつの原因ともなり得る否定的な感情をなくためには、感情解放テクニック(EFT)がお勧めです。
EFTは大人だけではなく、子供さんによくある様々な問題にも効果があります。
例えば、胃痛、おねしょ、ねんざ、恐怖症、人見知り、学習障害、多動、睡眠障害、ストレスの管理、うつなどです。
EFTを利用して「気持ちのお手入れ」をする方法を子供に教えれば、生涯役に立つことでしょう。問題が起こる前に始めるのがベストです。
子供の精神面の健康をはぐぐむための実践的な提案
・子供としっかり会話し、話を聞く時間を作る。
親の愛情を感じ取ることで、頼る人がいないと感じるか、希望を持てるかの差につながります。
・問題に対処するスキルを与えましょう。助けを求めても良いこと、むしろその方が望ましいと教えてください。
・適度に運動をさせること。定期的な運動は、うつに対抗できる隠された武器となります。
インスリンの濃度を正常化し、子供の脳内に分泌される「幸福ホルモン」の量を増加させます。
子供に(大人も)運動をさせると、精神面に素晴らしい効果があります。
テレビやコンピューターの前に座りっぱなしよりは大きな改善です。
・外に出て日光を浴びて遊ばせる。
適度に日光を浴びると体内でビタミンDが生成され、情緒面を安定させます。
ある研究では、体内ビタミンD濃度が低い人では、普通の人に比べて、うつの症状が出るリスクが11倍以上高いことがわかっています。
長時間遊びすぎて、ひどい日焼けをしないようにしましょう。
・子供の食事に含まれる、糖分、炭酸飲料、穀物、加工食品の量を制限しましょう。
これにより、インスリン濃度が正常化し、子供の肥満を防ぐことができます。
糖分は慢性炎症のものです。
免疫機能に障害を与え、脳にも悪影響を及ぼし、糖分の摂取はうつの直接の原因でもあります。
・子供の食事に、良質な動物性のオメガ-3脂肪酸を加えましょう。
クリルオイルがお勧めです。うつを予防するには最も重要な栄養素です。
DHAは、サーモンやクリルオイルに含まれるオメガ-3脂肪酸で、子供に不足しがちです。
DHAの濃度が低いとうつを起こしやすくなります。
・睡眠をしっかりとらせること。適切な就寝時間を決めてルールを守ること。
夜中まで友達にメールしたり、ゲームをしたりなど遅くまで起きていると、子供の情緒面に悪影響となり、全身の健康にも影響があります。
適度な休みが10代の若者をうつや自殺願望から守ります。
・精神的な探求につながる習慣や同等の効果が得られることをさせる。
このような要素を生活に取入れると、精神面が強化され、健康な思春期の成長が望めます。
研究によると、精神面の健康度が高い思春期の若者はうつになりにくく、リスクを伴う問題行動が少ないことがわかっています。