20年以上前からアミノ酸L-アルギニンが、心臓病患者または複数の心臓へのリスク要因が原因で心臓病に罹りやすい人のために、血管へのいくつものメリットがあることは知られています。
L-アルギニンは血をさらさらにし、心臓血管の全体的機能を促す主栄養素です。
L-アルギニンは「副必須」アミノ酸の中の1つと考えられています。
すなわち、体が十分な量を生産できないので食事で大部分摂らざるを得ないアミノ酸です。
しかし日々出てきている最新研究によるとこの小さい原動力となる栄養素が、心臓や血液だけではなく他にも多くの健康へのメリットがある重要な役割を果たしていることが明らかとなっています。
心臓血管へのメリットはL-アルギニンが老化を遅延させる可能性を含む健康によいこととなると、氷山の一角でしかない可能性があります。
この記事で私が言いたいことは現在までの多くの関連研究についてお伝えすることです。
これはしかし楽な取組ではありません。
150種類以上の病気に対して効能があることに関連してこのたった1種類のアミノ酸に関してだけでも800件以上の科学研究が公表されているからです。
その他の健康に関して詳しく見ていく前に、L-アルギニンについておさらいして心臓血管の健康に重要であることの理由について見ます。
1992年「年間分子賞」に出会う:一酸化窒素
L-アルギニン、自動車排ガス、ダイナマイト、ホタルに共通するものは何ですか
答えは一酸化窒素で、簡略表記はNOで1個の窒素原子と1個の酸素原子が結合したものです。
一酸化窒素はアミノ酸L-アルギニンをもとに特定の動物や植物の細胞で生産される反応性が高い溶解性ガスで、燃焼副産物であると同時に大気中の自然な化学反応の生産物でもあります。
一酸化窒素はダイナマイトの主要成分ニトログリセリンからも誘導することができます。
一酸化窒素はホタルの輝きでも一役買っています!
この分子は環境中に普遍的に存在するものですが、20年ほど前からようやく科学者がその健康のための重要性について発見し始めたばかりです。
一酸化窒素の生物学的その他の多くの役割は1992年にはScience誌によって「年間分子賞」と呼ばれ、さらに1998年には心臓血管系の信号発信分子としての発見が医学分野のノーベル賞授与へと続きます。
一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(N2O)または笑気ガス、すなわち歯科医が使用する麻酔ガスと混同しないでください。
こちらは窒素原子2個と酸素原子1個が結合したものです。
L-アルギニンに話しを戻しますと、L-アルギニンの健康へのメリットの大部分は体内の一酸化窒素の前駆物質であるといことに関連しています。
L-アルギニンは一酸化窒素生産用として内皮細胞(血管の内壁を構成する細胞)に供給される血管内壁に含まれる唯一の既知の栄養気質です。
血管はNOを合成するためにL-アルギニンが必要です。
一酸化窒素がこれほど大切な理由は
一酸化窒素は血をさらさらにし、最適な血圧を維持するためによいことが証明されています。
一酸化窒素は、血管の平滑筋にシグナルを送りリラックスさせ、血管を広げて血流を改善します。
こうして動脈には付着物が付きません。一酸化窒素が不足すると冠動脈疾患のリスクが高まります。
また、脳内や免疫系の信号発信分子としても機能しています。
血液がさらさらなら、ほぼどんな生理的プロセスもよりよく機能します。
血液がどろどろになってくると重要な細胞や栄養素がこれらを必要としている部位まで到達しなくなります。
これは事故現場に牽引車両を呼ぶようなもので、牽引車両が来なければ修理はできなくなります。
L-アルギニンが体内で果たす重要な役割
血をさらさらにするのと血管の弾力性をよくするのに加え、L-アルギニンには他の重要な生物学的役割もあります。
例えば、
有毒老廃物であるアンモニアの体外排出を助ける。
細胞は修復や損傷細胞の置換という正常なプロセスから常時窒素を放出しており、この窒素が水素と結合してアンモニアを生成します。
他の必須アミノ酸: クレアチン、L-プロリン、L-グルタミン酸塩などの体内生産を支援する。
クレアチンは筋肉のエネルギーと神経系の正常な機能に欠かせません。
L-プロリンはコラーゲン合成と傷の治癒に欠かせません。
L-グルタミン酸塩は興奮性神経伝達物質であり、脳の機能のなかでも左脳の機能(論理、推理、言語、コンピュータスキル、学習、記憶)に欠かせません。
男女ともに優れる性的機能を促進する。生殖器組織に微細循環が増加すると、同じ一酸化窒素の機序により、より強力に勃起し、性的な応答性を改善します。
内分泌効果がある。ヒト成長ホルモン(HGH)とプロクラチンという二つの重要なホルモンの放出を促進する。
L-アルギニンは心臓血管疾患を治癒できるか
L-アルギニンが健康によく、よくある病気の予防や、回復までどの程度可能にするのかについて各研究がどう見ているかを次にご説明します。
L-アルギニンが内皮細胞による十分な一酸化窒素の生成を促進し、血をさらさらにして心臓血管の健康によいことは研究で証明されました。
冠動脈の異常を防止するのに役立つことなら徹底研究の価値があります。
残念ながら一酸化窒素の信号機能は加齢にともない通常減衰していきます。
健康成人の場合、身体は1日に2~4グラムのL-アルギニンを生産します。
このアミノ酸を体がどれくらい必要とするかは、健康状態やその他後で述べる食事等各種要因によって異なります。
L-アルギニンを生産する身体の能力は30歳台からすでに減衰し始めます。
典型的な成人の場合50歳台に突入する頃までには幾分かは欠乏しており、食餌の重要性が増していきます。
女性の方が男性よりこの重要なアミノ酸を長年維持できる傾向があります。
下表に表されるように、どんな観点から見ても、心臓血管の健康のためにL-アルギニンのメリットを裏付ける科学研究は成熟しています。
血管をほぐし、血をさらさらにし、内皮機能を最適化
高脂血症
最適な血圧の維持
冠動脈バイパス手術後の早期回復
冠動脈疾患リスクの軽減
動脈硬化の予防
心臓まひ
心筋虚血
心筋虚血からの早期回復
心臓移植後の早期回復
肺高血圧/低酸素症
経口避妊薬の心臓へのリスク軽減
ニュースフラッシュ:L-アルギニンで性的満足
男性の心臓血管疾患患者の多くはED(勃起障害)を蒙っておりストレスが増し、生活の質の劣化を推進するのみです。
実際に男性心臓病患者の75%は勃起障害を蒙っています。
循環障害という1つの主要な基礎的要因について考えてみると、このことはよく理解できます。
心臓への血管が損傷すると心臓は十分な血を得られなくなります。
陰茎の血管に問題があれば勃起を維持できなくなります。
一酸化窒素濃度が性行為で主要な要因であることは理の当然であり、研究によって証明済みです。
実際これがED薬剤による勃起障害処置の方法です:
一酸化窒素の生成量を促し、血管をほぐすことで陰茎への血流を増やす。
しかしこうしたED薬剤に支払う価格はおびただしい数の潜在的な危険な副作用です。
これには心臓病、脳卒中、不妊症を含み、長い間健康で情感に満ちた生活には明確につながらない状態です。
L-アルギニンは一酸化窒素の作用をED薬剤と同様に増大させますが、危険な副作用はありません。
L-アルギニンが二つの天然物質と併用すると、特に効果的であることが科学研究によって実証されています:
L-アルギニンとピクノジェノールはEDの男性の性的機能を大幅に改善しました。
これはこちらの2003年の研究に基づいています。
L-アルギニンとヨヒンビンは性的興奮障害を持つ閉経後の女性について2002年のある研究で性的興奮を促進することが実証されました。
用量についてはパイロット研究がEuropean Urology誌に公表されており、これによるとL-アルギニン6グラムとヨヒンビン6 mgを混ぜた場合EDの男性の処置に成功しました。
L-アルギニンと勃起障害について包括的な研究一覧はGreenMedInfoのページをご参照ください。
一酸化窒素は女子の性的機能で一役買っていることも考えられています。
エストロゲンは女性の性的応答時に生殖器の血流制御に寄与しています(Musicki et al, 2009)。
エストロゲンが減少すると膣からのNOの信号発信制御に一役買っているようですが、そのメカニズムはまだあまりわかっていません。
L-アルギニンはメスラットの性的成熟のために必須であることは実証されました。
その他のメリット… A~Z
よい循環は体内のすべての組織や器官によって極めて重要であり、研究により、L-アルギニン関連のその他健康へのメリットが多く解明されていることは驚きには値しません。
ここには一覧できないほど多くの科学的研究が存在ます。
下表はその中の一部をハイライトしただけなので、網羅的なリストはGreenMedInfoの L-アルギニンページをご参照ください。
抹消血管疾患(PVD)/間欠性跛行 消化:NOは栄養素の搬送を改善し、胃酸生産能力も高めるようです。
老化の遅延:カロリーを制限することと合わせて、L-アルギニンはラットの寿命を倍加しました。
脳の健康:
L-グルタミン酸塩の増加は記憶力や学習能力を改善します。
クレアチンやL-プロリンの増加はCNS機能のために重要です。
またアルツハイマー病とALSの症状軽減にも役立ちます。
皮膚と頭髪:
L-プロリンはコラーゲンの合成を促し、これが健康が頭髪と皮膚を生み出すのに貢献し、皺を減らします。
また傷口の治癒を加速します。
免疫支持
腎臓支持
間質性膀胱炎:
痛みと緊急性の軽減
肝臓の支持
神経再生 運動に耐える力
インスリン耐性、2型糖尿病、肥満リスク軽減 ストレス、心配、コルチゾール濃度の軽減
骨減損の予防
鬱血性心不全
嚢胞性線維症
心臓発作中に脳を保護
悪液質
ガン治療に潜在的効果
胃潰瘍
L-アルギニン欠乏症ってあるんですか
すでに述べた通り、どれほどのL-アルギニンが適量であるかは、年齢や全体的健康状態、食餌など多くの要因によって異なります。
L-アルギニン欠乏に至ると考えられるその他の要因:
タンパク質をじゅうぶん摂らなかったり、その消化が不十分であったりすること
遺伝子的特質が原因で大量のL-アルギニンが必要であること
抗酸化物質が少なく、フリーラジカル濃度が高いこと
一酸化窒素はガスなのでNO濃度を上げるために錠剤を飲んで済むというわけにはいきません。
食事を通して摂取する原材料からこのガスを体が合成する機能に大きく依存しています。
じゅうぶんな高品質タンパク質、未加工食品を多く取り入れた食事、これらは抗酸化物質が豊富で役立ちます。
L-アルギニン欠乏だと疑われる場合、サプリでさらに保護することも考えられますが、最適にこれが得られる食餌を最初に探すほうが断然お勧めできます。
特に、L-アルギニンが最も多く含まれ得る食品 :
種(ゴマ、カボチャ、ヒマワリ)
海藻(スピルリナは抜群の摂取源)
ナッツ(クルミ、アーモンド、ピーナッツ)
ココナッツ
玉子や乳清