人間の体は太古からの進化の過程で、先輩である微生物を体内に取り入れ、仕事を「外注」することで免疫も消化も行なってきた。
人間の体の中にある細胞のうち、実に9割が微生物の細胞である。
その微生物の大半は腸内に住むが、皮膚や喉や鼻の中など至るところに住み着いている。
しかし近年はその微生物の環境が破壊されることで微生物のバランスが崩れ、様々な現代病の原因となってきている。
1.自閉症の原因として色々なものが疑われている。
破傷風菌類が腸内で繁殖することで、毒素を出してそれが脳に到達し、自閉症になるケースがあることが分かった。
原因の一つは抗生物質の使用である。
腸内の破傷風菌の繁殖を阻止する細菌類を抗生物質で殺してしまうことで、破傷風菌が繁殖する。
2.細菌は体調だけでなく、精神にまでも影響を与えることがある。
ラットがトキソプラズマに感染すると、恐怖心を失って振る舞いが変わり、猫の餌食になる。猫好きの人も猫にひっかかれることでトキソプラズマに感染し、性格が変わる。
男は陰気で疑い深く、女性は明るくおおらかになり、心が広く決断力のある自信家になる。
これは細菌が種を存続するために採る戦略と言える。
3.人の脳は乳幼児期に集中的に発達・形成される。
その時の腸内微生物の様相によって性格は影響される。
「3つ子の魂百までも」ということわざは、腸内細菌叢が、3歳までに80%が完成すると言われる脳の構造を決め、性格をも決めていることを示しているのではないだろうか。
乳幼児期の抗生物質の使用は危険を伴うということを理解しておいた方が良いだろう。
また、腸内細菌叢ではないが、予防接種も、ワクチンに含まれる水銀やアルミニウムが脳に損傷を与えることが疑われているから、慎重な判断が求められるだろう。
4.一方で「朱に交われば赤くなる」ということわざもある。
マイクロバイオーター(腸内微生物)が性格の形成に関与するなら、家庭や学校、サークルなどで同じ場所や同じ時間を共有すれば、マイクロバイオーターが多少なりとも交換される可能性がある。
それによって性格や嗜好が似てくることはあり得るだろう。
5.自閉症に関して、特に生後18か月以内に抗生物質の治療を受けるのは最大のリスクとなるようだ。
アレルギーに関しては、2歳になるまでに抗生物質の治療を受けた子供はのちに喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症を発症する率がそうでない子供と比べて2倍も高い。
抗生物質を多く与えられるほどアレルギーになりやすく、4クール以上の治療を受けたこどもは3倍もアレルギーを発症しやすくなる。
6.腸内細菌叢のバランスを崩す要因をまとめると、
1.抗生物質
2.帝王切開
3.粉ミルク
4.食物繊維の摂取不足
1~3は全て、正常な腸内にあるべき細菌を失わせる行為だ。
帝王切開は、無菌状態の赤ん坊が母親からの誕生日プレゼントである腸内細菌一式を受け取る機会を失わせ、粉ミルクはこれまた母乳に含まれる新生児の消化や免疫に必要な腸内細菌を受け取る機会を失わせる。
4は肥満の原因となる細菌群を繁殖させるとともに、その細菌が腸壁の隙間を拡げることで腸壁から分子量の大きいタンパク質などを通しやすくなり、2型糖尿病や心臓病を誘発し、うつ病や自閉症などの心の病も引き起こす。
「乳幼児期からの抗生物質の乱用」が「肥満」「がん」「生活習慣病」など「現代病」の主因になっているという「研究報告」は多い。
私たちの「エネルギー代謝」を「腸内細菌にアウトソーシング」している可能性があり「エネルギー代謝異常」を「糖質制限食」だけで「治せる」はずがないのだ。
「食物繊維」の「重要性」を軽視するような「食事法」は決して「マネ」することはいけない。
「ウンチの中身は『半分は水分』『残り半分が消化されなかった食物繊維と用済みの腸内細菌』だ」
「食物繊維は消化が悪い」から「野菜は少しでよい」というのは「間違い」であることに気づいていただかないと「誤った糖質制限」が広まってしまう。