☆魚を積極的に食べる(場合によってはサプリでω3を摂取)
☆非加熱調理ならシソ油・亜麻仁油を使う
☆加熱調理ならインチインカオイル・バター・ラード・牛脂を使う
☆上記以外の植物性油を避ける
☆エネルギー源ならば短鎖脂肪酸の多いバターやココナッツオイル(MCTオイル)を選ぶ
☆肉類やバターはなるべく飼料ではなく牧草で育てたものを選ぶ
☆肉類ならば羊や牛が好ましい
☆糖質を極力避けてインスリン分泌を抑える
脂肪と言うと肥満を連想する人も多いかもしれないが、脂肪は身体の構築や調整に必須の栄養素であり、優れたエネルギー源でもある。
一口に脂肪といっても色々な種類があるが、主な差異は不飽和度と長さである。
1.飽和脂肪酸:炭素の二重結合がなく、体内で合成可能、科学的に安定しているので酸化などの変質をしにくい
2.一価不飽和脂肪酸:炭素の二重結合が1つありω9系・ω7系と呼ばれ、飽和脂肪酸(ステアリン酸)から体内合成可能
3.多価不飽和脂肪酸:炭素の二重結合が2つ以上ありω3系・ω6系と呼ばれ、体内合成が不可能なので必ず食物から摂取しなければならない
必須脂肪酸
1.飽和脂肪酸:炭素の二重結合がなく、体内で合成可能、科学的に安定しているので酸化などの変質をしにくい
①短鎖脂肪酸:炭素数6以下:酪酸・酢酸プロピオン酸・ヘキサン酸・ブチル酸
●バター・チーズ・牛乳・酢
└腸内の善玉菌が水溶性食物繊維を食べる事でも産生される
└腸壁細胞のエネルギーとなることで、便通改善やCa・Fe・Mgなどの吸収率を上げる
└ケトン体産生を促進し(ケトン体自体が短鎖脂肪酸の一種)、交感神経を抑制する
└エネルギーの代謝量を増加させる
└ケトン体が脳のエネルギー源となる
②中鎖脂肪酸:炭素数7~12:ラウリン酸・オクタン酸・テカン酸・カプリル酸・カプリ酸
●ココナッツオイル・パームオイル・バター・牛乳
└消化されやすく、胆汁酸の力を借りなくても吸収される
└抗酸化力が強い、AGEsの産生も抑制する
└ケトン体の産生を促進しやすい
└中性脂肪の燃焼を促す
③長鎖脂肪酸:炭素数13以上:パルチミン酸・オレイン酸・リノレン酸・アラキジン酸・ステアリン酸・ミリスチン酸
●牛脂・豚脂・ラード・オリーブオイル・大豆油
└体内で固まり易く、脂肪の流動性が失われ易い
└糖質の摂取があるとケトン体になりづらい
2.一価不飽和脂肪酸:炭素の二重結合が一つ、体内合成可能、多価不飽和脂肪酸に比べると酸化しにくく熱にも強い
④ω9:オレイン酸
●オリーブ油・菜種油・アーモンド・鶏皮
└比較的熱に強く酸化しにくい為、加熱調理にも使える
└皮脂や血管の主な材料となる
└多価不飽和脂肪酸に比べると腸の働きを活性化させるが、短鎖・中鎖飽和脂肪酸ほどではない
└長鎖飽和脂肪酸のステアリン酸から体内合成可能
⑤ω7:パルミトレイン酸
●マカデミナッツ・馬油・くじら・牛肉
└効果はオレイン酸とほぼ同じだが、分子が小さい分脳内まで到達可能で、脳の血管を強化する
└長鎖飽和脂肪酸のパルチミン酸から体内合成可能
3.多価不飽和脂肪酸:炭素の二重結合が二つ以上、体内で合成できない(必須脂肪酸)、科学的に不安定で酸化など変質し易い
⑥ω3:α-リノレン酸、EPA、DHA
●青魚・くるみ・亜麻仁油・しそ油
└細胞膜・神経細胞・網膜・ホルモンなどの材料
└上記の為認知機能向上、目の機能上昇、抑うつ効果などがあげられる
└α‐リノレン酸<EPA<DHAの順で鎖長が長く、二重結合数が増える
└ω3内での変換は人体内でも可逆的に可能である
└EPAがARAと代謝経路を競合する為、ARA産生に対して抑制的に働く
└ARA過剰は悪性エイコサノイド(炎症促進物質)を産生を促進するので、アレルギー抑制、動脈硬化抑制効果などがあげられる
⑦ω6:リノール酸、γリノレン酸、アラキドン酸(ARA)
●コーン油・ひまわり油・菜種油・大豆油・サラダ油
└動物の成長・生殖生理を保つ役割がある
└細胞膜・神経細胞・ホルモンなどの材料
└リノール酸<γリノレン酸<ARAの順で鎖長が長く、二重結合数が増える
└ω6内での返還は人体内でも可逆的に可能である
└ARA過剰はアレルギー疾患や動脈硬化の一因となる
トランス脂肪酸:天然にも微量存在するが、工業的に水素を添加して作った製品には多量含まれる。
●マーガリン・ファットスプレッド・ショートニング
└心疾患への影響が指摘されているが、賛否両論ある。
└良性エイコサノイド産生を促進する酵素を抑制してしまう
ω6/ω3比、理想は1~4(8.8g/2.2g※成人男性)
牛肉:1.7、豚肉:22.76、鶏肉:19.22、ラム:1.65、チーズ:3.38、卵:8.9、豚レバー:4、牛レバー:8.14、
牛ホルモン:7、豚ホルモン:9.5
鯖:0.20、鯵:0.13、秋刀魚:0.14、鯛:0.31、鮪赤身:0.18、鮪トロ:0.10、サーモン:0.12
エイコサノイド(ホルモン様物質の総称)には良性のものと悪性のものがあり、良性のものは抗炎症性、血管拡張、血小板凝集抑制、免疫力増強、がん抑制、アレルギー症状寛解に作用するが、悪性のものはその逆に作用する。
ω3ω6両方からどちらのエイコサノイドも産生されるが、ω6から産生される悪性エイコサノイドの方がω3からのそれよりも作用が強い為、ω6/ω3比が大きくなると悪性方向に作用する。
ARAの産生を促す酵素の活性を抑制するのがEPAとグルコガン、逆に促進するのがインスリンである。
よく動物性脂肪がω6と言われるが、見て分かる通りバター・ラード・牛脂などは大半が飽和脂肪酸とオレイン酸であり、ω6は多くない。
逆にシソ油・亜麻仁油・インチインカオイル以外の植物性油がω6の供給源である。
オリーブオイルなど一価不飽和脂肪酸系は可もなく不可もなくであり、植物性油に比べれば良いが特に良い効果は期待できない。
つまり悪性エイコサノイドの働きを抑制する良い油の選び方は、
・魚を積極的に食べる(場合によってはサプリでω3を摂取)
・非加熱調理ならシソ油・亜麻仁油を使う
・加熱調理ならインチインカオイル・バター・ラード・牛脂を使う
・上記以外の植物性油を避ける
・エネルギー源ならば短鎖脂肪酸の多いバターやココナッツオイル(MCTオイル)を選ぶ
・肉類やバターはなるべく飼料ではなく牧草で育てたものを選ぶ
・肉類ならば羊や牛が好ましい
・糖質を極力避けてインスリン分泌を抑える
と言う答えになる。