「昔はこんなに◯◯ではなかったのに」とは、よく聞く言葉です。◯◯にはさまざまな言葉が当てはまります。
「太りやすい体」「疲れやすい体」「肌がボロボロ」「体がカタイ」「おやじくさい」「おばさんくさい」などなど。
では、今と昔の大きな違いはいったい何でしょう。
そう、加齢です。人間は誰もが老いていきます。これは残念ながら止める手段はありません。
年齢を重ねると見た目だけでなく、体の機能もゆるやかに低下します。
例えば血管は、老化とともに固く細くなり、脳の血流を維持するため血圧が上昇します。
また、内臓や血管の老朽化は代謝力などに大きく影響します。
その結果、10代の頃と同じように食事を摂ればカロリーオーバーで太るでしょうし、無防備に太陽に当たれば、なかなか消えないシミができてしまう。
いずれも血流や代謝の低下に起因しますから、つまり冷えとの関係も大きい。
心身に負担のかかる生活を続けていればさらに老化の進行を進める恐れもあります。
しかし、日常でのケアを心がければ、老化は止められなくとも健康を維持することは可能です。
湯たんぽで温めて、老いた内臓や血管をいたわり、元気づけて、代謝をサポートしましょう。
また、暖かさは心の緊張もゆるめるので精神的作用からも血流を促してくれます。
人間は緊張すると交感神経が優位になり、緊張が緩むと副交感神経が優位になります。
「長生きしなければ」、「健康でなければならない」、そのために「早寝早起きをしなければ」、「○○を食べなくてはいけない」などと心をしばられると、交感神経に支配され常に緊張状態になります。
結局、冷えを助長させますし、決して健康的な思考ではありません。
若く、元気でいたいのなら、ほどほどの気づかいといい加減さが大事。
毎日、カチカチな思考で心を冷やさず、時にはさぼったり、遊んだりしながら、マイペースに時間を過ごす。
そんな遊び心も、心身の冷えを防ぐキーワードです。
人は誰でも、誕生・成長・発達・成熟・老化を経て、最終的に死を向かえます。
全ての人間に共通の生物学的なプロセスです。
老化のスピードには個人差があり、遅らせることはできますが、若返ることはないと言われています。
体の成熟が終了した後におこる生理機能の衰退が老化であり、外界からの様々なストレスに対する適応能力の低下として認識されます。
時の流れるスピードは、誰にも同じですが、同じ日に生まれた人は同じスピードで加齢し、常に暦年齢は同じです。
しかし、成長のスピードに個人差があるように老化のスピードにも個人差があり、また組織や細胞の種類によってもそのスピードは違います。
個々の細胞のレベルでみると、老化は生まれた直後から始まるとも言えます。
若い頃なら、機能が低下した細胞は取り除かれて新しい細胞が補充され、組織としての機能を保つことにより老化を防ぎます。
しかし、年齢と共に細胞を取り替えるスピードが遅くなったり、取り替えることができなくなると組織の機能が低下し、徐々に老化が進行していきます。
なお、極めて稀ですが、特定の遺伝子に生まれつき異常があることにより、正常な人より早いスピードで老化してしまう病気もあります。
老化のスピードは生活環境によって変わります。
生きていることが環境への適応をベースにして成立っているからでしょうか。
私たちは生まれた直後から、温度・光・音など様々な環境にさらされながら、酸素を利用して食べ物を分解し、そこから得たエネルギーを利用して活動します。
同時に様々な老廃物が生まれ、糖化や酸化により、有害な物質も作られます。
食べ過ぎたり、糖質や酸素を必要以上に摂りすぎると糖化産物や活性酸素をたくさん発生して、老化を促進します。
糖質や酸素は細胞を構成する蛋白質や脂質、あるいは遺伝子を損傷して細胞の機能に影響を与え、老化のスピードを早めると言われています。
従って、一人一人の生活スタイルの違いにより早く老化する組織も異なり、低下する生理機能や老化のパターンが異なることになります。
老化の進み具合を評価するには、様々な指標を調べ、総合的に判断することが重要とされています。
老化は誰にもおとずれる生命現象であり、老化から逃れることはできません。
しかし、老化のスピードは環境要因により大きく影響を受けることから、自分の生活習慣などを見直すことが老化予防の第一歩になると言われています。