歩行には病気や不健康状態を予防、あるいは改善する効果があります。
とくに動脈硬化に関連する病気に対して、効果が期待されています。
日本では、40歳から79歳までの27738人を13年間追跡調査したところ、1日に1時間以上歩く群は、1日1時間未満しか歩かない群と比べて長生きでした。
高齢者が歩行困難になる理由は老化による筋力の低下です。
筋力は20~30歳をピークにして緩やかに低下し、60歳以降になると急激に低下します。
40歳前後から筋繊維の数が顕著に減って筋萎縮が生じるためと言われています。
筋力の低下は生活の充実度を左右します。
例えば、筋力が落ちて、歩く時に足がしっかり上がらない「すり足状態」になってしまうと小さな段差でつまづいて転倒するリスクが高くなります。
年齢によっては、転倒がきっかけで寝たきりになってしまう人も少なくありません。
歩行は、トイレに行ったり、買物に出かけたり、散歩をしたりとごく当たり前の事をおこなうための動作ですが、なくてはならない能力です。
いったん歩けなくなると、今までの生活に支障が起こり生活が一変します。
まず活動範囲が狭くなります。
家にいる時間が長くなり、閉じこもりがちになります。
徐々に筋力やバランス能力等の身体機能も衰えてきます。
精神的にも落ち込みがちとなり、生活の活力が低下していきますから、より一層活動範囲が狭まります。
このような悪循環が続くと、やがて要介護状態になります。
歩行能力は、特に高齢者にとっては、単なる移動手段の確保だけではありません。
家庭や社会での役割や生きがい等に大きな影響を与えます。
老化は足から始まります。
特に筋肉が減りやすい部位は下半身です。
20歳の筋肉量に比べて、50歳で約10%、80歳で約30%も減少します。
「老化は足から」と言われています。
若さを保つために、先ずは足を鍛えてまいりましょう。
ウォーキングやランニングのような持久的なトレーニングも必要ですが、すばやい動作を行なうには筋トレも必要です。
特に重要なのが「大腰筋」です。
大腰筋は股関節と骨盤をつなぐ筋肉で、歩行時に足を引き上げたり、階段の上り下りをしたり、日常動作で大きな役割を果たす筋肉です。
衰えると日常動作がうまくできなくなり、転倒等につながるリスクが高くなります。
筋トレを簡単に自宅で行なうには、椅子にすわっている状態で、膝を抱えるようにして太ももを上げる×10回(2~3セット)
ウォーキング時には、太ももを意識して上げる等の気軽な運動から始めてみましょう。
無理のない範囲で、気軽な運動習慣として、マイペースで取り組まれてみたら如何でしょうか。