インスリン抵抗性に関して、Dr Fungのインスリンそれ自体が原因とする説より、
それは結果であって本質は脂質がインスリンの働きをレセプターレベルでブロックし、ミトコンドリアレベルでランドルサイクルの機序により糖の燃焼をブロックし、
さらに遺伝子レベルに働きかけミトコンドリア自体の数の減少をもたらして代謝が低下するといった複数の要素に関与することが原因とする仮説にもとずくと、
脂質の割合がかなり低いVegan食がなぜ糖尿病に対して治療効果が高いかという説明において非常に整合性がとれます。
加工食品が大きな原因となっていることは間違いありませんが、その本質が栄養がないからとするより、加工食品に多く含まれる脂が原因とした方がより分かりやすいと思います。
糖尿病を治すためには細胞内にたまった余計な脂質をフラッシュアウトする必要があるという目的は同じであっても、そのために脂質代謝を亢進させ、脂質摂取量を増やすことは矛盾がありました。
しかし単純に脂質を減らすというのはとても分かりやすく、本質に迫る治療法になりえます。
あくまでも本質は脂質によって障害された糖の代謝の正常化ということになりますから、糖質を避けるだけでは対症療法にしかならなかったということになります。
脂質を減らし、糖質を増やすというアプローチでのリサーチが過去に何度も行われたにもかかわらず、
有効な成果は得られなかったという結果をもって、Dr Fungは低脂質は効果がないと結論づけていましたが、
ニールバーナード博士のリサーチ結果は含まれていませんでした。
(Diabetes codeで確認するかぎりは)
実際のところ、バーナード博士の低脂質は従来の低脂質よりずっと脂質量が低いものでした。
反対側から見れば、糖質制限で一定の効果がみられることも(対症療法的効果ですが)長期的に問題を生じてくる人が増えてくる理由も、LowT3症候群をおこす人がいることも、生理的インスリン抵抗性により血糖の乱高下がむしろおこしやすくなることもすべてがすっきりと説明できます。