癌や成人病の原因となる活性酸素
米ぬかを食べて得られる効果として、まず便秘の解消があります。これは、米ぬかに多く含まれる食物繊維の効用です。
そのほかにも、体内の脂質が酸化して老化するのを防ぐビタミンEや、体のだるさや神経のイライラを防ぐビタミンB1など、健康を保つために欠かせない各種栄養素が、米ぬかには豊富に含まれています。
また、近年、精製加工食品の普及により、私たちが食物から十分にとることがむずかしくなったマグネシウム、カリウム、などのミネラル類も、多く含まれています。
けれども、それ以上に注目に値するのは、活性酸素の消去力が非常に強いことです。
ガンを含むすべての成人病の原因は活性酸素に関係があるとの説が現在最も有力で、その研究が盛んです。
人間は血液を介して空気中の酸素を体のすみずみまで送り込み、食物からエネルギーを得て生命活動を維持しています。
そのさい、酸素のうちの少量が過激な活性酸素になり、体内の過酸化脂質を増加させたり、細胞を攻撃したり、遺伝子を傷つけたりするなどの悪さをします。
もちろん、人間はSOD(スーパーオキサイドジムスターゼ)という酵素を持っていて、活性酸素を消去していますから、普通に生活しているぶんには問題ありません。
しかし、栄養が不足したり、バランスの悪い食生活を続けたり、病気で体力が衰えたりするとSODの働きが弱まり、活性酸素が暴れだすことになります。
また、強いストレスが長く続くような場合も、SOD活性は低下します。
そこで、ガンなどの成人病を防ぐためには、体の中を活性酸素過剰にしないことが重要となります。
活性酸素消去力(抗ラジカル活性)が強いものとして近年注目を浴びているのは、各種ビタミンやβカロチン、フラボノイド、ナイアシンなど植物由来の物質です。
食物でいえば、緑黄色野菜やお茶類の活性酸素消去力が、とくに強力であるといわれてきました。
活性酸素の中でも最も強く発ガンにかかわっていると思われるリピッドラジカル(不飽和脂肪酸パーオキシラジカル)の消去力(抗リピッドラジカル活性)について測定してみた結果も、やはり緑の葉野菜が高い成績を示しました。
ニンジンの葉、アブラ菜、サラダ菜、シュンギクなどです。
ほかにサツマイモ、アズキ、緑豆、お茶なども高い抗リピッドラジカル活性を有しています。
そして、米ぬかで同じ実験をしてみたところ、米ぬかそのものが緑黄色野菜類に匹敵する抗リピッドラジカル活性を持っているというデータが出たのです。
さらに、米ぬかをフライパンで3~5分加熱処理する(炒る)と消去活性が高まり、それを水煮すると約3倍にも高まるという結果を得ています。
これは、緑黄色野菜をはるかにしのぐ活性酸素消去力です。
フライパンで炒ると、香ばしいにおいがして甘味も出ますので、食べやすく、調理にも用いやすくなります。
では、この活性酸素消去力の強い、いいかえれば抗ガン、成人病防止効果の高い炒りぬかを、どのように食生活にとり入れたら効果的なのでしょうか。
米ぬか健康法の食べ方
それを、弱火にかけたフライパンで約8分間炒ると、消去活性が高まり、香りや味が最もよい状態になります。
こげるとにがくなり、ぬかに含まれる脂肪が酸化してしまうので、炒りすぎないようにしてください。
これを、1日あたり大さじ一杯(約4g)を目安に摂取するとよいでしょう。
そのまま食べてもかまいませんが、みそ汁やおでんなどに水から入れて煮ると、さらに活性酸素消去力が高まるので効果的です。
また、米ぬかはそのつど炒って使うのが望ましいですが、炒った米ぬかを密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存すれば一週間くらいは日持ちします。
汁物に炒りぬかを入れても、まったく食感は変わりません。
それでいて味がよくなるのですから、やってみる価値はあります。
例えば、煮物、カレー、かやくごはんなど、なんにでも入れても良いでしょう。
パン生地にまぜ込んでも、香ばしくておいしいパンが焼き上がります。
分量としては、最初は小さじ一杯くらいから始め、気にならない程度に量をふやしていくとよいでしょう。
なお、ぬかは米のいちばん外側の果皮、種皮、糊粉層の部分にあたります。
最も栄養豊富な部分なのですが、表面であるだけに残留農薬の心配をする人もいると思います。
しかし残留農薬の大部分は、炒ればとんでしまいますし、さらに水煮すればほとんど残りませんので、安心してお召し上がりください。