竹塩は科学だ                          久慈 圭子


ミネラル不足を解決する生命の塩 - 竹塩

ミネラルは細胞を構成する成分で様々な酵素やビタミンの活性に関わり、 ホルモンの調節に至るまで生命の活動にとても広範囲かつ重要な役割を果たします。

また、 老廃物を排泄し解毒する新陳代謝がスムーズに行われるようにするため、 他のどんな栄養素よりも私たちの体の健康と疾病に直接影響を及ぼす要素です。

 

化学農法による土壌汚染は、 食品の深刻なミネラル不足を招き、またそれは現代のガン、 心血管疾患、糖尿などの生活習慣病を招くことになる主な原因となりました。

本書では、 ミネラルが私たちの体にどのような役割を果たすのかを探り、 そのミネラルを非常に豊富に含む物質として、 塩に注目しました。 そしてその理由と塩の特徴について調べました。

また、 塩を竹に入れて燃やしたあと高温で熔ようゆう融する竹塩の製造過程でミネラルの特性がどう変化するのかを実験を通して調べ、 竹塩

に関する様々な論文を通じて竹塩の効能と特徴を考察しました。

 

本書を通して、 竹塩に関するもっとも基本的な特性を把握し理解していただき、 学界では新しい視点から竹塩を調べ、 研究するきっかけになればというのが筆者のささやかな願いです。

さらに大きな願いがあるとすれば、 読者の方々がこの本を読んだあとに、 “薄味で食べるのが良い” という社会的病理現象を果敢に捨て、 “上質の塩でやや塩辛く食べる食習慣が良い” という考えを持つようになっていただければ、 と思っております。

 

そしてこのような考えが社会全体の共感帯として形成され、 人類のパラダイムのひとつになる日が、 一日でも早く訪れればと願っております。

 

 

ミネラルとは

ミネラルは人体の構成要素でありながら、 様々な生理機能を調節する栄養素です。 人体の構成において3.5~4%を占めるに過ぎませんが、 広範囲の生命現象にとても大きな影響を及ぼします。

 

人体や食品に含まれる酸素、 炭素、 窒素、 水素の4種類を主要元

 

塩は塩化ナトリウムではない

塩化ナトリウムは、 ナトリウムと塩素が結合した塩化物ですが、塩は塩化物以外にカリウム、 カルシウム、 マグネシウム、 鉄、 銅、マンガン、 亜鉛、 ケイ素、 硫黄など、 数十種類のミネラルが含まれています。

 

塩は人体と非常によく似たミネラルの組成比率を持っていて、 私たちが必要とする大部分の元素ほぼすべてが溶け込んでいます。

ナトリウムを自ら生産できない人体は、 これが無ければ栄養分や酸素を運んだり神経刺激を伝達することができず、 心臓を含めた筋肉を動かすことができません。

塩素が不足すると胃液がちゃんと生成されず、 食物中の脂肪を消化するのがとても難しくなります。

 

また、 様々な酵素を活性化するためには、 マンガンと亜鉛、 マグネシウムが必要で、 ナトリウムのバランスを維持するためにはカリウムが必ず必要です。

そして銅が無ければ血液の生成すら不可能で、カルシウム不足だと神経の伝達に異常を来たす場合があります。

このように塩は、 消化や様々な新陳代謝になくてはならない物質です。

塩の中の各種ミネラルが適切な化学反応を起こせず、 人体の新陳代謝がスムーズに行われなければ、 生命を維持することは不可能です。

つまり、 生命活動を可能にしてくれる物質がまさに塩であり、 私たちはたった数日でも塩を摂取しなければ、 生命に深刻な脅威をもたらす恐れがあります。

 

 

塩が高血圧の原因

“塩は高血圧の原因だ”と“塩有害論”を最初に提起したのは、1904年、 アムバートAmbardとブジャーBeaujardという学者だと言われています。

二人は患者らに塩を摂取させたあと血圧を測定し、 その結果高血圧患者の場合では、 塩分がほとんどない果物による食事で血圧が下がったという臨床結果を得ました。

それにより塩が血圧上昇を誘発すると発表したのです。

 

しかしこの実験は、 塩の種類によって人体に及ぼす影響が異なるという事実を把握していなかったので、 根本的に誤った結果しか得ることができませんでした。

純粋な塩化ナトリウムは、 血圧を上げる作用をもつアンジオテンシン変換酵素Angiotensin Converting Enzyme, ACEを活性化することで知られていますが、 ミネラルが豊富に含まれた塩は血圧に及ぼす影響が異なります。

 

韓国の木浦(モクポ)大学 ・天日塩生命科学研究所では、 塩に敏感なマウスを使用し、 国産天日塩と精製塩を与えながら収縮期と拡張期の血圧を観察する実験を行ったことがあります。

その結果、 収縮期と拡張期の血圧すべてにおいて、 天日塩を与えたマウスが精製塩を与えたマウスよりも血圧を低く維持していることがわかりました。

 

それは、 天日塩に含まれるマグネシウム、 カルシウム、 カリウムなどが、 血圧を上げる原因となる余分なナトリウムの排泄を促進していたからです。

 

アメリカのオレゴン州ポートランドにあるオレゴン健康科学大学の教授、 デイビッド・マッカローンDavid McCarron博士を中心とした研究陣が、 アメリカ人1万372名の食生活と健康状態を研究した結果を科学雑誌の 「サイエンス」 誌に発表しました。

それは、血圧が高い人は血圧が正常な人に比べて19.6%もカルシウムの摂取量が足りないという内容でした。

高血圧は食品の中に含まれている塩分を過剰に摂取したために起こるのではなく、 カルシウムの摂取量が足りないために起こるというものでした。

 

高血圧の専門医である柴田二郎氏は、 著書で塩と高血圧はまったく関係がないと主張しました。

「塩が高血圧を作ると主張する医者たちに聞いてみたいことがある。

どのような医学書を読んでみても、 低血圧の治療に塩を大量に長期投与すれば低血圧が治る、 という内容を見たことがない。

 

血圧が正常な人が塩の大量摂取により高血圧になるのであれば、 当然私たち々の体に血圧が無ければ、 栄養分の移動や老廃物の排泄は行われません。

塩や食べ物を食べて起こる一時的な血圧は、 栄養分を運ぶために作られるエネルギーの一種であり、 一定の役割が終われば、 正常な血圧に戻ります。

ミネラルが豊富な塩の作用が無ければ私たちは消化もできませんし、 栄養分を細胞の中へ移動させる手段を失ってしまいます。

 

それだけでなく、 減塩食によるミネラル不足が起これば様々な酵素をスムーズに生成できないので、 体内の解毒力と免疫力が落ちてしまいます。

逆にミネラルが豊富な塩は血液中の余分なナトリウムを排出し掃除してくれるので、 血液の流れを良くして高血圧の治療を助けてくれます。

塩化ナトリウムを摂取すると、 体液にナトリウムを抑制する拮作用や補完作用をするミネラルが無いため新陳代謝がスムーズに行われず、 むしろ人体のバランスが崩れてしまいます。

 

塩の種類を区分せずに行われた漠然とした実験結果をもって “塩は高血圧を誘発する” と考えるのは、 科学的な誤りが招いた現代版の迷信と言えます。

 

塩で人体のミネラル不足を補うのが望ましい

韓国では1963年に塩管理法を制定した際、 食品を製造、 加工したり、 料理を作る時に精製塩だけを使うよう規定され、 それ以降白い精製塩が普及し始めました。

天日塩が担っていた料理の塩加減を精製塩が代替することによって、 ほとんどの食堂と加工食品において精製塩が使用されることになりました。

この規定は約50年間、 国民の健康に悪影響を与えそのまま存続されて来ました。

ほとんどの食堂とすべての加工食品工場では、 食べ物の味付けをしたり食品を製造する時に使う食塩は、 すべて精製塩を使用しなければなりませんでした。

私たちは長い間、 ミネラルが完全に抜けた精製塩を口にしてきましたし、 さらに香味増進のため化学調味料を加えた味付塩を食べてきました。

特に妊婦の場合、 バランス良くミネラルが含まれている塩が特に必要であるにも関わらず、 その必要性を深く認識せずにミネラルが含まれてない塩を長い間口にしてきました。

ミネラル不足が骨と歯を弱くさせ、 歯の数が足りない欠損歯がある児童を増やし続けていますし、 代謝がスムーズになされず子供たちの健康に悪影響を及ぼしています。

日本の大阪大学の武者宗一郎教授は、 1979年に日本食用塩研究会を設立し研究結果を発表しました。

彼は “我々が食べる白い塩は、 人を殺す殺人塩” とまで言い、 加工塩の有害性を訴えました。

私たちは今まで精製塩と天日塩を同じ塩として錯覚していたのであり、 精製塩がもたらす健康上の弊害がまるですべての塩がそうであるかのよにう認識することにより、 国民の健康に多大な悪い結果を招くことになったのです。

 

日本栄養 ・食糧学会の井上五郎会長によると、 「‘現代は栄養過剰と栄養不足が共存する歴史上類を見ない時代である’としながら、 体格が大きく肥満した栄養過剰の状態と同時に、 ミネラルが不足して骨が折れる栄養不足の状態がともに現れている。

豊かな加工食品社会がこのような ‘栄養不均衡’ の子供たちを作り出しているのだ。」 と警告しています。

 

塩は単純に塩化ナトリウムではなく、 塩の種類によって人体に及ぼす影響がまったく異なるという事実を自覚しなければなりません。

食品にはミネラルが不足しており、 現代社会では多くの汚染物質が排出されているため、 私たちの体から失われるミネラルが増えています。

 

現代人のミネラル不足を解消できる良い方法は何でしょうか

ミネラルは脂肪、 タンパク質、 炭水化物、 ビタミンなどと適切な相互作用を起こしながら体に吸収されます。

時々飲むビタミンやミネラル製剤は人体への吸収率が落ち、 体を回復したり根本的に変えるには限界があります。

そのためミネラルを吸収するもっとも良い方法は、 食べ物とともにミネラルが豊富な塩で味付けをし、 まめに摂取することです。

ミネラルが豊富な塩は食品に不足しているミネラルを補い、 現代人のミネラル不足をかなりの割合で解消してくれるはずです

 

竹塩とは

竹塩は、 天日塩を真竹の節の中に詰め、 練りこんだ黄土で入り口をふさいだあと、 700~800℃ぐらいの松の薪の火であぶります。

灰と化した竹を取り出し黄土のふたを取り外したあと、 残った塩柱は粉砕して再び竹筒に詰めてあぶります。

この過程を8回繰り返します。

9回目は、 8回目にあぶった塩を松ヤニを使った1300℃以上の火で溶岩のように液状に溶かします。

 

この塩の溶液が冷めると石のような硬い塊になり、 それを機械で砕いて粒や粉末にして、 直接唾液で溶かして摂取したり食べ物に加えて天然塩として使用できる竹塩になります。

この方法は、 韓国の仁山 金一勲(キム・イルフン)1909~1992 先生が、 雑誌「大韓画報」 に1971年11月号から1972年7月号まで連載し竹塩製造法として公開しました。

そして1980年に先生の著書 「宇宙と神薬」 で再び公開したあと世間に広く知られるようになりました。

 

 

塩と竹塩の成分分析

成分分析の結果、 9回竹塩はカリウム、 リン、 鉄、 銅などのミネラル含有量が天日塩より比較的高く、 マグネシウムは9回目の熔融処理後、 急激に減少しました。

花火に使われる火薬にマグネシウムが含まれていますが、 マグネシウムは非常によく燃える金属ですので、 強い熱処理により大部分が消えてなくなってしまいました。

従って、 マグネシウムはとても重要なミネラルですが、 竹塩を通してマグネシウムを十分に摂取するのは難しいと考えられます。

マグネシウムは植物の葉緑素分子の構成成分であり、 野菜はマグネシウムの優れた供給源です。

食べ物をバランス良く食べると必要なマグネシウムを十分摂取できますし、 マグネシウム不足は簡単には生じません。

 

9回竹塩のカリウム含有量は12,280ppm、 8,870ppmなどで、 天日塩より倍以上量が増えましたが、 竹にもっともたくさん含まれているカリウムの成分が塩の中に合成されたと推定されます。

カリウムは、 抗高血圧性に関してたくさんの研究が行われています。

 

カリウムはナトリウムとは反対に、 ナトリウム‐カリウムポンプの活性化を助けて血管拡張を誘導し血圧を下げ、 なおかつカリウムの摂取が増えると腎臓の尿細管と集合管でナトリウムの再吸収を促進させるアルドステロンの分泌を減少させながら、 腎臓を通じたナトリウムの排泄が増加します。

竹塩でもっとも多く増加したリンは、 カルシウムの次に体内に多く存在するミネラルです。

人体の骨と歯を生成する主要成分で、 カルシウムとの相互作用で骨と歯を丈夫にします。

 

<表3-2>

分析:韓国セラミック技術院 単位 ppm,mg/kg

天日塩試料:仁川市甕津郡北島面矢島里 竹塩試料:三井竹塩(製造日2011.1.31)

成分       天日塩    竹塩(9回)

カリウムK     4087      8870

リンP       <1        449

カルシウムCa    2529      457

マグネシウムMg  21043       27

ケイ素Si      168        50

鉄Fe        14        100

アルミニウムAl    8        <1

銅Cu        <1        27

バリウムBa     <1        25

バナジウムV     5         3

マンガンMn    10         5

亜鉛Zn       9         15

チタンTi      <1         <1

ヒ素As       <1         1

ゲルマニウムGe   <1         <1

モリブデンMo    6         17

セレンSe      <1         14

白金Pt <1 3

硫黄S      14293        4895

ストロンチウムSr   82         36

ガリウムGa     <1          <1

ホウ素B      45          12

リチウムLi     5          3

コバルトCo    <1           <1

フッ素F      <1           <1

ヨウ素I     測定不可       測定不可

臭素Br     測定不可       測定不可

 

 

硫黄は人体組織にたくさん含まれているミネラルのひとつです。

細胞のタンパク質の構成成分で、 すべての細胞内に存在し組織の呼吸作用に寄与します。

また、 生物的酸化過程と還元作用に必ず必要なグルタチオンGlutathionの構成成分で、 重金属中毒に対して予防的な役割をし解毒過程に関与します。

 

竹塩に約14ppmほど検出されたセレンは、 抗酸化酵素の構成成分