夜間熱中症対策のポイントは、エアコンを上手に活用することです。
放射熱で暖まった部屋の温度を下げるには、どうしてもエアコンをつけっぱなしにせざるをえません。
熱中症死亡者の冷房の使用状況を調べると、9割以上が冷房の使用ナシでした。
エアコンつけっぱなしで熱中症対策
夜間熱中症予防を考えたら、エアコンはつけっぱなしで寝るのがベストです。
途中、室温が上がって暑さでおきてしまうタイマー設定よりも、冷房を一晩中つけっぱなしにしたほうが安全に眠ることができます。
そして、エアコンつけっぱなしの設定温度は28度がよいでしょう。
2016年に発表された研究でも、28度くらいに保たれているときが、一番ぐっすり眠れているという結果が出ています。
これは、夜寝るときは昼間よりも薄着になっていて、しかも安静にしているために体から出る代謝熱も低いため。
エアコンをつけっぱなしにするといっても、設定温度はやや高めで十分なのです。
熱中症と聞くと、「炎天下の屋外でかかるもの」と考えている人もいるかもしれません。
しかし、熱中症で死亡した症例うち9割もの人が室内で亡くなっています。
しかも、4割が睡眠中だということをご存知でしょうか。
「部屋の中だから大丈夫」は危険
室内での熱中症は、「部屋の中だから大丈夫」という誤った認識のもと、適切な暑さ対策をしていないことに起因するケースがとても多いのです。
例えば、炎天下に置かれている車をイメージしてみてください。
すごい温度になりますよね!
室内は状況によっては、熱がこもって屋外よりも気温が高くなる事があるということです。
近年は住宅における高齢者の熱中症が増加しています。
国立環境研究所によると、熱中症の症例のうち高齢者の5割以上は室内で起こっているという。
そして熱中症の脅威は、私たちが活動してない睡眠時にも起こってくるのです。
朝目覚めた時に感じる違和感は睡眠時熱中症のサインかも
熱中症で毎年多くの人が命を落としています。
しかもその4割は睡眠中の死亡例なのです。
その理由は寝汗による脱水にあります。
人間は睡眠中に300~500mlの汗をかくと言われています。
加えて睡眠中の6?7時間は水分を一切摂取していない事になります。
この事が脱水症状を引き起こす原因になるのです。
また湿度が70%以上の時や、パジャマの吸水性が悪いと熱がこもりさらに危険度は増します。
もしも朝、目覚めた時に微熱、頭痛、倦怠感、めまい、吐き気、食欲不振などがあれば、睡眠時熱中症を疑う必要があるため、睡眠環境を見直す必要があります。
睡眠中の熱中症を防ぐポイント3つ
【その1】就寝前にコップ1杯!お水を飲む習慣
睡眠中の脱水状態を防ぐために、寝る前に水をコップ1杯分飲むといいといわれています。
また、夜中に目が覚めたときや起床時にも水分補給しやすいように、ベッドサイドに水を置いておくのもいいですね。
ただ、水分補給としてビールなどのアルコールを飲むことは非常に危険です。
なぜならアルコールには利尿作用があり体から水分を奪ってしまうのです。
就寝時間直前の寝酒はひかえるようにしましょう。
【その2】エアコンの活用
暑い夏場は、「我慢せずに冷房を入れる」ことがとても重要です。
環境省も熱中症マニュアルで注意喚起をしています。
ただエアコンをつけっぱなしで寝ることで、身体全体が冷えてしまい逆に体調を崩す場合もあるのでエアコンのタイマー設定を活用することをおすすめします。
ベッドに入る前からエアコンで部屋を快適な温度にしてからタイマーをつけてベッドに入るのが理想的ですね。
【その3】パジャマは吸水性が高い
吸水性が低いパジャマや窮屈なパジャマは放熱の妨げとなり体内に熱がこもる原因となってしまいます。
吸汗・速乾に優れた素材や、ゆったりして通気性がよいパジャマを着用して寝るようにしましょう。
「熱中症」とは、気温や湿度の高い環境に長くいることで体温を調節する機能が狂ったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたりすることによって起こる健康障害の総称です。
熱中症は日射病と異なり、屋外だけでなく屋内で発症するケースが多く見られ、また睡眠中に発症することも珍しくありません。
睡眠中に発症する「夜間熱中症」
熱中症は命を落とすこともある大変危険な症状です。
2013年7月~8月に東京23区内で熱中症によって亡くなられた方のうち、40%以上の方が午後5時から午前5時の夜間に亡くなられています(東京都監察医務院発表)。
快適な環境で眠っていても私たちは睡眠中にコップ1~2杯の汗をかいていますが、室温や湿度が高い環境ではさらに多くの汗をかくことになります。
「夜間熱中症」は、睡眠中の発汗によって体内の水分とミネラルが多量に失われ、体が脱水状態になることが原因だと考えられています。
睡眠中の脱水状態は危険な夜間熱中症の発症リスクを高めるだけでなく、脱水状態によって睡眠の質が悪くなり、結果的に脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる重大な疾患の原因となる恐れもあります。
夜間熱中症を防ぐには
夜間熱中症を防ぐためには水分補給が何よりも大切です。
夏場は就寝前と起床時にコップ1~2杯の冷たすぎない水をお召し上がりください。
気温や湿度の高い夜は、寝苦しさを無理に我慢せずエアコンの冷房やドライを活用して寝室を快適に眠れる環境に保つことも大切です。
人が快適に眠るためには「室温26度以下、湿度50~60%」の環境が理想的だと言われていますので、エアコンを上手に活用して寝室の室温と湿度を快適な環境に整えましょう。
また寝具も通気性と吸湿性に優れた「夏向け素材」のものを使用しましょう。
健康的で快適な睡眠にとって大切な「睡眠中の体温調調節」を助けるために、睡眠中にかいた汗を素早く吸収・発散してくれる麻素材や綿素材などの寝具がおすすめです。
◇熱中症の予防・対策
いつでもどこでもだれでも条件次第で熱中症にかかる危険性がありますが、熱中症は正しい予防方法を知り、普段から気をつけることで防ぐことができます。
例えば、初夏や梅雨明け・夏休み明けなど、体が暑さに慣れていないのに気温が急上昇するときは特に危険です。
無理せず、徐々に体を慣らすようにしましょう。
対策1
シーズンを通して、暑さに負けない体づくりを続けよう
対策2
日々の生活の中で、暑さに対する工夫をしよう
対策3
特に注意が必要なシーンや場所で、暑さから身体を守るアクションを
対策1 シーズンを通して、暑さに負けない体づくりを続けよう
熱中症を予防するためには、暑さに負けない体作りが大切です。
気温が上がり始める初夏から、日常的に適度な運動をおこない、適切な食事、十分な睡眠をとるようにしましょう。
「水分を」こまめにとろう
のどがかわいていなくても、こまめに水分をとりましょう。
スポーツドリンクなどの塩分や糖分を含む飲料は水分の吸収がスムーズにでき、汗で失われた塩分の補給にもつながります。
「塩分を」ほどよく取ろう
過度に塩分をとる必要はありませんが、毎日の食事を通してほどよく塩分をとりましょう。
大量の汗をかくときは、特に塩分補給をしましょう。
ただし、かかりつけ医から水分や塩分の制限をされている場合は、よく相談の上、その指示に従いましょう。
「睡眠環境を」快適に保とう
通気性や吸水性の良い寝具をつかったり、エアコンや扇風機を適度に使って睡眠環境を整え、寝ている間の熱中症を防ぐと同時に、日々ぐっすりと眠ることで翌日の熱中症を予防しましょう。
「丈夫な体を」つくろう
バランスのよい食事やしっかりとした睡眠をとり、丈夫な体をつくりましょう。
体調管理をすることで、熱中症にかかりにくい体づくりをすることが大切です。
対策2 日々の生活の中で、暑さに対する工夫をしよう
暑さは日々の生活の中の工夫や心がけでやわらげることができます。
適度な空調で室内の温度を快適に保ったり、衣服を工夫することで、熱中症の危険を避けやすくなります。
また、日よけをして直射日光を避けましょう。
自分のいる環境の熱中症危険度を常に気にする習慣をつけることも重要です。
「気温と湿度を」いつも気にしよう
いま自分のいる環境の気温や湿度をいつも気にしましょう。
屋内の場合は、日差しを遮ったり風通しを良くすることで、気温や湿度が高くなるのを防ぎましょう。
「室内を」涼しくしよう
扇風機やエアコンで室温を適度に下げましょう。
過度の節電や「この程度の暑さなら大丈夫」とガマンしてはいけません。
「衣服を」工夫しよう
衣服を工夫して暑さを調整しましょう。
衣服は麻や綿など通気性のよい生地を選んだり、下着には吸水性や速乾性にすぐれた素材を選ぶとよいでしょう。
「日ざしを」よけよう
ぼうしをかぶったり、日傘をさすことで直射日光をよけましょう。
また、なるべく日かげを選んで歩いたり、日かげで活動したりするようにしましょう。
「冷却グッズを」身につけよう
冷却シートやスカーフ、氷枕などの冷却グッズを利用しましょう。
毎日の生活で使えるものから夏の寝苦しさをやわらげるようなものまで、さまざまなグッズがあります。
ちなみに、首元など太い血管が体の表面近くを通っているところを冷やすと、効率よく体を冷やすことができます。