バターはヨーロッパが発祥。
その歴史は古く、なんと紀元前から利用されていたという文献も残っているようです。
古来のバターは技術が未熟だったため、自然と発酵が進んでしまうことも。
そんな歴史があって、ヨーロッパのバターは「発酵バター」が主流となって広まったんですね。
一方、日本はバターをはじめ乳製品の歴史はまだまだ浅い。
4~6世紀ころに中国から入ってきたのが最初とされていますが、普及したのはもっと後。
13~14世紀頃と言われています。
その頃には技術も発達して、発酵させないバターが作られていました。
日本にはその「非発酵バター」が輸入され、そのまま定着して広まったようです。
もともとは技術不足から発酵バターが生まれ、技術の進歩とともに非発酵バターが誕生。
けれど、いま本来の製法でつくられた「発酵バター」の魅力が時代を超えて見直され、新たなブームとなっています。
「発酵バター」と「非発酵バター」は何が違う
「発酵バター」は原料となるクリームを乳酸菌によって半日以上発酵させてつくる
バターはクリームをかき混ぜて作ります。
「発酵バター」はその原料となるクリームを乳酸菌によって半日以上発酵させてつくられます。
この発酵という一手間を加える事によって、コクが深まり、特有の風味が増すのが特徴。
そのままパンに塗るのはもちろん、お菓子に入れるのもいいですね。
特に焼き菓子がオススメ!バターの香り、味、風味の違いが引き立ちます。
「発酵バター」で作られたお菓子
日本ではまだまだ新しい響きのある「発酵バター」。
実は、トラディショナルなバター本来の味だったんです。
お菓子やパンなど、手軽に楽しめる商品もたくさん発売されているので、楽しんでみてくださいね!
まず、多くの人が気になるであろうカロリーですが、バターと健康に良いとされているオリーブオイルやごま油を同量で比べると、「バターの方が低カロリー」なのです。
ちなみに、バター10gに含まれている「コレステロールは21mg、カロリーは74.5kcal」となっています。
コレステロールというと、悪者の印象がありますが、実際にはコレステロールは体内で作られており、細胞膜や各種ホルモンの材料となるため、「身体にとって必要不可欠なもの」です。
このために、2015年に発表された厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」から、コレステロールの目標値は削除されました。
削除されるまでは、「成人男性は1日に750ミリグラム、女性は600ミリグラムが上限だった」ということですので、仮にバターだけでこれだけのコレステロールを摂取しようとするならばほぼ「一箱分に相当」します。
このようなことから、バターのカロリーやコレステロールは、神経質になるほどのものではなく、「バターで太るということはほとんどない」のです。
それどころか、「バターには豊富な栄養素が含まれています」。
特に現代人が不足しがちだといわれている「ビタミンAやビタミンB」などが豊富です。
ビタミンAには様々な効能がありますが、「動脈硬化を予防改善し、癌の予防効果もあるのではないか」といわれています。
また、「肌や粘膜の健康を維持してくれます」ので、女性にとって嬉しい美肌効果もあります。
ビタミンDは「骨の健康を保ち、免疫力アップ効果や、こちらも癌や糖尿病を予防する力がある」とされています。
他にも「抗酸化力が強くアンチエイジングに効果的なビタミンE」、「血液因子やカルシウムの生成を助けてくれるビタミンK」なども含まれていますので、「身体全体のバランスを内側から整え、私たちを美しくそして健康にしてくれる」といえるでしょう。
すでに常識となりつつあるように、「発酵食品というのは、私たちの健康維持にとって有用なもの」が多くあります。
発酵バターは牛乳を乳酸菌で発酵させていますので、基本的にはヨーグルトと同じように、「腸内の善玉菌を増やしてくれます」。
前述のような、バターの栄養素に、さらに発酵食品としての力が加わるわけですから、まさに完璧といえるでしょう。
最近話題のダイエット方法として「バターコーヒーダイエット」というものがあります。
こちらは、文字通り、「コーヒーにバターを溶かしたものを朝食にする」というもの。
前述したようにバターには、多くの栄養素が含まれていますし、「良質な脂肪分によって不要な脂肪を燃やし、また血糖値も上がりにくいのです。
さらに、コーヒーに含まれているポリフェノールが腸内にある人を痩せさせる細菌を元気にする」というのです。
バターを「大さじ1~2杯、コーヒーに入れてよく溶かしてから飲む」ことで「腹持ちがよいだけでなく、栄養価が高く、カロリーが低い」という立派な朝食になるわけです。
なおかつ、腸内細菌が身体をやせ型へと導いてくれるために、「数十キロのダイエットに成功した人もいる」ようです。
基本的に無塩バターを使うことが多いようですが、腸内細菌の力をよりアップさせるためには、発酵バターを使うというのもオススメです。
見かけと違って、とても「優良な健康食品であるバター」。
その中でもよりパワフルな発酵バターをコーヒーに溶かしたり、色々な形で食生活に取り入れてみてはいかがですか。
発酵バターは原料の生クリームに乳酸菌を加えて発酵させ、撹拌してつくる発酵食品ですが、ヨーロッパでは昔からポピュラーなものです。
芳醇な香りと微かな酸味がクセになります。
日本では生クリームをそのまま撹拌してつくる非発酵バター(スイートクリームバター)が一般的です。
発酵バターは家庭でも、意外と簡単に手作りできます。
使うのはヨーグルトの乳酸菌。
発酵させるため少し時間はかかりますが、出来上がったバターは感動ものの味!
道具は熱湯消毒するなど清潔なものを使い、作ったバターは早めに使い切ること。
副産物のバターミルクもパンケーキやパン作りに使えば美味!
●発酵バターレシピ
【材料】
生クリーム(※):200ml
ヨーグルト:大さじ1
※ホイップクリームは不可。
【作り方】
1./生クリームにヨーグルトを加え、よく混ぜる。
パックの口をクリップなどで閉じる
2./40℃のオーブンなどで6時間発酵させ、冷蔵庫で3日間寝かせる。
生クリームが発酵して柔らかい固形になる
3./2をボウルに入れ、ハンドミキサーなどで撹拌する。
しばらくするとポロポロになってくる
5~10分ほどでバターの粒と水分(バターミルク)に分離する。
バターミルクの中にバターが
4./ザルでバターの粒を漉(こ)し取り、キッチンペーパーに包んで余分な水分を除く。
残りの水分はバターミルクなので捨てない!
バターミルクは、バター製造のために脂肪分が既に取り除かれていることにより、通常の牛乳と比べて脂肪やカロリーが低い。カリウム、ビタミンB12、カルシウムが豊富である。
バターミルクは、牛乳よりも消化がよく、スキムミルクよりも多くの乳酸を含んでいる。
消化がよいため、たんぱく質やカルシウムが体内に吸収されやすい。
牛乳1杯あたり、157kcal、脂肪分8.9gであるのに対して、バターミルクは1杯あたり、99kcalで、脂肪分2.2gである。
5./バターをまとめて、冷蔵庫で冷やす。