癌で手術となるととかく臓器を失いがち。
それでも飽き足りない日本の外科医は、進行期にかかわらずリンパ節までごっそり切るリンパ節郭清を盛んに行っています。実はこれが大問題で、まず癌治療の後遺症の最たる原因はリンパ節郭清にあります。
もっとも代表的なのはリンパ浮腫であり、むくみから体型が変わったり合併症の高熱、象皮症などいろいろな後遺症があります。
しかしこの後遺症さえ大きな問題ではないかもしれません。なぜリンパ節郭清をやるかといえば、建前としては臓器転移の予防ということになります。
一般医学では癌細胞が転移する時、まずは近くのリンパ管やリンパ節に転移すると考えられています。
ところがリンパ節郭清をしてもリンパ節に転移が見つからないケースは多い。たとえば子宮頸癌の場合6~30%、体癌では5~10%です。
リンパ管は全身に流れているので、リンパ節やリンパ管にある段階でリンパ節郭清は無意味なのでは、と考える人は鋭いです。
そうなっている段階で一般医学では全身に回っているという考えなので、抗ガン剤投与も行うことが多くなります。こうやってカモができていくわけですが、リンパ節郭清をしても転移を防げないという研究は数多くあります。ある乳癌の試験ではがっつり郭清するグループと、ほとんど郭清しないグループで、生存期間に差がなかったのです。
オランダで胃がんのリンパ節郭清に関して研究された時、時代遅れの日本ではリンパ節郭清がお家芸のため、国立がんセンター外科部長がオランダに技術指導に出向きました。しかしリンパ節郭清はやはり生存率を向上させず、合併症・後遺症を増やしただけになりました。
この部長は恥ずかしいことに、リンパ節郭清は勧められないという論文にちゃんと名を連ねています。ちなみにセンチネルリンパ節生検も無意味だということが分かっています。
*NPO法人 薬害研究センター 理事長、Tokyo DD Clinic 院長、NPO法人 薬害研究センター 理事長