あなたは癌の予防や改善でこんな間違い、かんちがいをしていませんか。
・癌は遺伝で決まる、私や家族 はガン家系だからいつか癌に必ずなると思っている
・癌は治らないと思っている
・癌で手術、放射線治療、化学療法(抗癌剤、ホルモン剤)だけで大丈夫と思っている
・癌で食事・生活習慣を変えても意味がないと思っている
・癌で食事・生活習慣が大切だとなんとなく聞いたことがあるけど、良く分からない
実は進行癌、末期癌でも治っている人は、なんと1000人以上います。
そしてその99%の人は食事・生活習慣を変えています。
進行癌、再発した癌でも進行しない、改善している人とは
・早期子宮癌(頸癌)で食事を改善しただけで手術をしなくて良くなった40代女性
・自分の乳癌と夫の進行前立腺癌を食事で治した60代女性
・自分の咽頭癌を食事などで治した60代男性
・リンパ節に再発した乳癌が1年以上治療せずに進行もしない50代女性
・肺癌で肺に水がたまっていたが、水が減って元気に暮らしている50代女性 などなど
染色体の損傷はガンのマーカーとなり得ますが、直接の原因ではありません。これを示す信憑性の高い証拠も存在し、整形外科医のGary Fettke医師は、これらの証拠について論評を発表しています。
自身もガンを患ったFettke医師は、栄養素がガンに与える影響、高脂肪(良質なもの)、低炭水化物(炭水化物から繊維質を差し引いた量)の食事の重要性を実感するに至ったのです。Fettke医師の他にも多くの専門家がガンの代謝モデルの研究を進めています。
ガンの代謝モデル
癌ゲノム・アトラス(The Cancer Genome Atlas)は、ガン細胞のゲノム配列の解析を目的に2006年に発足しました。当時では最大のプロジェクトであり、ヒトゲノム計画の1万倍に及ぶゲノム配列が分析されました。分析の結果は、当初の予測とは異なるものとなりました。
遺伝子の変異だけでは済まない何かがあることがわかったのです。ガン細胞には変異が見られるもの、そうでないものが散見されました。遺伝子の変異がないのにガン細胞化した細胞もありました。それでは、ガン化の原因は何なのでしょう。
かつては、細胞がガン化する原因は、核DNAの異常であると考えられていました。現在では、ミトコンドリアの損傷により核DNAに変異が発生し、ガンに発展すると考えられています。
さらに、科学者達はミトコンドリアの機能障害は事実上全ての病気の原因であり、ミトコンドリアの機能を改善することが健康や病気予防の要であると位置づけています。
Fettke医師は、ミトコンドリア内でのグルコースの代謝について考慮しています。この説を1920年代に世に伝えた最初の人物は、Otto Warburg医師です。
Warburg医師は、ガン細胞と健康な細胞ではエネルギー代謝に相違点があることを発見し、1931年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。結論から申しますと、ガン細胞は、代謝において健康な細胞のような代謝の柔軟性がありません。
ガン細胞の代謝は糖の分解に限られる
細胞は、ミトコンドリアでは好気的代謝により、細胞質基質では嫌気的代謝によりエネルギーを産生しています。嫌気的代謝では、大量の乳酸が発生するため身体に有害です。
Warburg医師は、酸素がある状態でもガン細胞は大量に乳酸を発生させることを発見し、この現象はワールブルグ効果と呼ばれます。この現象について考えた場合、ガンの栄養源とは何でしょうか。Warburg医師から、糖はガンの栄養となり、脂肪はガンを飢えさせることがわかります。
健康な細胞はグルコース、または、脂肪が分解されてできたケトン体をエネルギー源としますが、ガン細胞が代謝できるのはグルコースのみです。ガン細胞は代謝の柔軟性に欠けており、ケトンを代謝できません。栄養的ケトーシスがガンに効果的であるのはこのためです。
ガンは、ミトコンドリアの代謝異常による病気であると定義する方が正しいのかもしれません。遺伝でガンを発症する例はほとんどありません。その逆で、ガンを防ぐ遺伝子を受け継いでいます。突然変異が遺伝した場合はミトコンドリアの機能に障害が現れるためガンを発症しやすくなります。
ですが心配はいりません。食事や運動など、ライフスタイルを適切に維持しミトコンドリアの機能を整えることが、ガンの新たな対処法となります。
加工食品の多い食事はガンのもと
フリーラジカルの発生を促進するものは何でしょう。まず、炎症が挙げられます。加工食品の多い現代の食事は炎症につながりやすいです。
多価不飽和脂肪酸(PUFA)、トランス脂肪酸、あらゆる種類の人工甘味料野中でも特に加工フルクトース(高フルクトース・コーンシロップ)、精製穀物などは良くありません。人工の食品、添加物も炎症の原因です。
炭水化物の正味摂取量を減らすことで、炎症を抑えガンの成長を阻害することができる4つの効果につながります。
効果:
・血糖値を下げる
・mTOR値を下げる
・インスリン値を下げる
・脳下垂体での代謝、内分泌を促し細胞の成長や分裂に関わるホルモンである、インスリン様成長因子(IGF-1)の値を下げる。
乳ガンをはじめとするガンとIGF-1値の上昇の関連が指摘されている。
・高脂肪、低炭水化物の食事(栄養的ケトーシス)の効果が高い理由は、炎症を鎮めて落ち着かせるためです。
炎症がなくなれば、身体は治癒へ向かいます
ガンの増殖に必要な要件
ガン細胞の増殖にはエネルギー源としてグルコースが必要です。さらに細胞を作るためにタンパク質、脂肪酸、リン酸、アセテートが必要です。細胞を作る材料となる成分は血中から得ることはできません。そこでガン細胞は周辺の細胞を利用します。
ガン細胞が周囲の組織を浸食できる現象を逆ワールブルグ効果と呼びます。この現象は、酸素のフリーラジカルと水が作用し、過酸化水素水が発生することが元となっています。
転移するガンは、ワールブルグ効果と逆ワールブルグ効果によって起こるのです。このプロセスやガン細胞の形成と増殖に関する理解をさらに深めていただくには、ビデをご覧ください。Fettke医師も指摘していますが、こちらに紹介した内容を理解いただくと、次に示すような、新たなガン予防、治療の選択肢が考えられます。
・糖質、炭水化物(繊維質を含まない)を制限しガン細胞を飢えさせる。
・高度不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸を制限し、有害なフリーラジカルの発生を防ぎ、高密度 LDL粒子の損傷を防ぐ。
・タンパク質を制限(適量は、除脂肪体重1 kgに対してタンパク質1 g)して、mTOR経路への刺激を避ける。
・抗酸化物質を多く摂り(ホールフードやサプリメントを利用)、フリーラジカルによる損傷を防ぐ。
・健康に良い脂肪分を摂取し、健康な細胞に栄養を送り、ガン細胞を飢えさせる。
ガンの治療を成功させるための食事の重要性
まず対処が必要な点は、ミトコンドリアの代謝異常です。このためには、炭水化物(繊維を除く)の量を急激に減らし、良質な脂肪分を増やす必要があります。炭水化物を全て制限するということではありません。新鮮な、オーガニックの繊維分の多い野菜は必要です(炭水化物の正味量を少なく)。
野菜は一日に数百グラム摂ってもかまいません。食物繊維は短鎖脂肪酸に変わり、脂肪の燃焼を助け、マイクロバイオームの養分となります。
非繊維の炭水化物の、70-85%を健康に良い脂肪と置き換えることが可能です。さらに適量の良質なタンパク質も摂りましょう。過度のタンパク質はmTORに刺激を与えるためガンが成長する原因となります。食事は全てを解決します。これができなければ、他の治療の効果は出ません。
Fettke医師は、研究の結果、栄養的ケトーシス(脂肪分を多く、炭水化物の正味量を減らす食事)によって、化学療法などの従来のガン治療を受けている患者に病状の改善が見られたと述べています。
グルコースは、本質的に、 活性酸素を大量に発生させる「汚れた」エネルギー源であり、脂肪を燃焼した場合よりもフリーラジカルを多く発生させることも記憶にとどめていただきたい点です。脂肪を燃焼させるには、細胞が健康で正常な状態である必要があります。ガン細胞は脂肪を代謝することはできません。良質な脂肪分の多い食事がガンの対策として優れているのはこのためです。
エネルギー源がグルコースから脂肪に変われば、ガン細胞の生存は困難になります。ガン細胞のミトコンドリアには機能不全があり、酸素を代謝に利用できないためです。また、健康な細胞にとっては、酸化ダメージを抑え、ミトコンドリアの機能が高まる理想的なエネルギー源となります。総合すると、健康な細胞が増え、ガン細胞が飢えるという効果が得られるのです。
ミトコンドリアの健康とガン予防のための栄養
健康のためには、十分な量の炭水化物、脂肪、タンパク質が必要です。しかし、加工食品、工業型農業の出現により、これらの栄養素について注意が必要となりました。脂肪分には、健康に良いものと悪いものがあります。炭水化物、タンパク質についても同様です。食品の効能やリスクは、生育/飼育、加工方法によって決定します。
栄養的ケトーシスを成功させるためには、炭水化物の正味量、タンパク質の総摂取量の記録を取ることが重要です。炭水化物の正味量は、炭水化物のグラム総数から食物繊維の量を引いて求めます。その数字が炭水化物の正味量となります。健康、病気予防に最も良い効果を得るには、炭水化物の正味量を一日40-50 gに制限することをお勧めします。
タンパク質の必要量を食品に置き換える
タンパク質を多く含む食品には、肉、魚、卵、乳製品、豆、ナッツ類、種子類があります。タンパク質は、ブロッコリなどの野菜にも含まれています。タンパク質を摂りすぎているかどうかは除脂肪体重(100-体脂肪率をもとに計算)から必要な量を計算して確認しましょう。そして食べたものの記録を、数日間続けて取ってみてください。
そして、食品からどれだけの量のタンパク質を摂っているか計算します。除脂肪体重1 kgに対してタンパク質1 gが適量です。最適とされる値を大幅に超えるようであれば、それに応じて減量していけばいいのです。
赤身肉、豚肉、鶏肉、魚介類 : 1オンス(28 g)に対し6-9 g
理想的な肉類の摂取量は3オンス(85 g)程度(9オンスや12オンスのステーキはダメです)、タンパク質18-27 gを含む。
卵1個:6-8 g卵2個を使ったオムレツは12-16グラムのタンパク質を含む。
もしチーズを追加する場合は、それに関しても算出が必要(チーズのラベルを確認しましょう)
種子類やナッツ類 : 1/4カップあたり4-8 g
調理した豆類 : 1/2カップあたり平均7-8 g
調理した穀類 : 1カップあたり5-7 g
野菜類 : 1オンス(28 g)あたり1-2 g
健康に害となる脂肪について
脂肪について重要な点は、健康に良いものと悪いものを見分けることです。皆さんが口にする脂肪の多くは、非常に良くない脂肪分です。加工、瓶入りの植物油は避けましょう。劣化したオメガ-6脂肪酸が多く含まれています。(オリーブオイルにも注意が必要です。健康に良い油ですが、市販の製品の80%が酸化したオメガ-6脂肪酸を含む植物油との混合です。純オリーブオイルであることを示す第3者機関の保証のあるものを選びましょう。)
脂肪についての確認事項がもう一点あります。天然の飽和脂肪酸を避けないでください。
1、番茶
番茶に含まれる緑茶カテキン(EGCG)はラットでの癌予防効果が認められている。
癌になるマウスに緑茶カテキンを含む飲み水を与えると3分の1以下になる。
(埼玉県立がんセンター、藤木博太郎医師ら)
人間では番茶1日10杯程度の量である。
海外研究でも強い発癌物質を投与したマウスの発癌率が90%以上であったのが、水代わりに番茶を飲ませたグループは癌が42~44%と半分以下であった。
発癌物質投与後も番茶を飲ませ続けたマウスの発癌率は37~40%とさらに低かった。
(米国ラトガーズ大学、アラン・コーニー博士)
緑茶成分でラットの大腸癌を予防する効果もある。
お茶のポリフェノールを0.01%入れた飲料水をラットに飲ませると、発癌率が水だけのグループが77%だったのに対して、38%と半分まで減った。
(京都府立大学、山根博士ら)
1973年の厚生労働省人口動態統計で緑茶を多く飲む地域は胃がんが少ないことが分かった。
お茶の多く取れる静岡県は全国平均の80.8%、中川根町20.8と5分の1に激減していた。
(静岡県立大学、小国伊太郎博士)
お茶カテキンは発癌の過程のほとんどを抑える。
1、発癌物質に作用し発癌性をなくす
2、発癌物質と結合し細胞内に入れない
3、発癌物質による突然変異を防ぐ
4、突然変異を起こっても正常に戻す
5、発生から進展、進行まで各段階を抑える
緑茶の癌抑制効果は
・ラットの食道、大腸、胃、乳、小腸癌
・マウスの十二指腸、胃、大腸、肝臓、肺、皮膚癌に及んでいる。
2、ゴマ
ゴマには抗酸化作用があり、東洋医学でも臓器の調子を整え元気になると書かれている。
ラットの皮膚癌に対して、黒ゴマ培養抽出液を塗ることで癌が100%から40%まで抑えられている。
(『ゴマーその科学と機能性』)
3、のり
のりにも癌を抑える作用が報告されている。
発癌物質を注射されたグループで、のりを食べていないグループでは70%のラットに10個の大腸癌があったが、のりを食べていたグループでは20%に2個の大腸癌があっただけであった。3分の1~5分の1以下に抑えられていた。
生まれつき乳癌になりやすいマウスの餌にのりをまぜて実験してみると、餌にのりをまぜないマウスには80%乳癌ができていたのに対して、のりをまぜているマウスには30%にしか乳癌ができていなかった。8分の3に抑えられていた。
4、梅干し
梅干しには胃癌の原因になっているピロリ菌を抑えてくれる。
ピロリ菌がいると胃癌が5倍以上になると言われている。
(愛知ガンセンター研究所、稲田健一氏らの動物実験)
試験管のピロリ菌に濃度1%の梅肉エキスを加えると、加えない場合に比べて2.4%に激減していた。40分の1以下である。
5、大豆、みそ汁
大豆だけでもアメリカ国立癌研究所発表の癌予防効果の高い食品群で最上位に挙げられている。
大豆成分のイソフラボンが女性ホルモンに似ていて、前立腺癌のホルモン剤に似ていることから、前立腺癌の予防・改善効果が期待されている。
イソフラボンが女性ホルモンに似ていることから乳癌を悪化させる可能性が心配されたが、中国の乳癌になったあとの大豆の食べる量が再発や死亡率を下げることが複数の研究で分かった。
(2009年JAMA、2011年Cancer Epidemiol Biomarkers Prev.、2012年Am J Clin Nurt.)
さらにみそ汁には以下の癌抑制作用が認められている。
みそ汁を飲まない人に比べて、毎日みそ汁を飲む人は男性で33%癌が少なく、女性では32%癌が少ない。
(『大豆の凄い薬効』宙出版)
みそを食べていると肝臓癌が1/3に減る。脂肪酸エステルが発癌物質を無毒化する。
(広島大学原爆放射能医学研究所、伊藤教授)
具の野菜の多いみそ汁を食べている岩手県三陸町は胃癌で死亡する確率が6割程度となっている。
乳癌ではみそ汁が一日に一杯以下の人に比べて、二杯の人は発生率が26%少なく、3杯以上では40%も発生が少なかった。
(厚労省研究班の報告)
原爆の被害があった長崎では、原爆が落とされたところから1.8kmという近いところにあった聖フランシスコ病院ではわかめのみそ汁と玄米を食べていた従業員で原爆症が誰も出なかったという記載もある。
(秋月辰一郎医師著、『体質と食物』)
実際にマウスの実験で10日前からみそを食べさせていると、有害な放射性物質を体内に入れても3時間で半分を外に出していた、という研究がある。
(広島大学原爆放射能医学研究所、伊藤教授)
6、しいたけ
しいたけには以下の癌の抑制効果が認められている。
成分のレンチナンは癌の委縮、延命効果、リンパ球活性化に効果がある。
干ししいたけには43%の食物繊維が含まれていて、大腸癌を予防してくれる。
しいたけに含まれるβ(ベータ)グルカンは癌の抑制効果があり、体の免疫力を高める。
他のきのこ類のレイシやアガリクスなどが有名でサプリメントで売っているが、しいたけにも含まれる。
天日干しの干ししいたけにはビタミンDが多く含まれる。
アメリカでは癌で血液中のビタミンDが少ない人にはサプリメントのビタミンDを飲ませることもある。
癌予防のためにもビタミンDを食べ物から取っておいたほうが良い。
7、海藻(ひじきやわかめ、こんぶ、もずく)
海藻にも以下の癌抑制作用が認められている。
北里大学の山本一郎教授らの実験
腸の発癌物質を投与したラットに海藻の粉末・抽出物を混ぜると混ぜない場合に比べて30~70%も癌が少なかった。
三重大学の野田宏行教授らも似たような実験を行っている。
35%以上も癌を抑えた海藻が23種類あったと報告している。
昆布で有名な北海道の北海道大学理学部の報告
毎日昆布を食べる割合が33%と最も高かった静内町は大腸癌やポリープが11%だったのに対して、最も低い1.7%の浜中町では33%であった。
海藻にもきのこと同じβグルカンが多く含まれている。
βグルカンは免疫力を高める効果がある。
もずくの成分「フコイダン」は癌のサプリメントとして売られている。
もずくは沖縄が日本では有名だが、それよりもトンガ産のもずくが良いらしい。
これも免疫力を高める効果がある。
沖縄では知り合いが、スムージーに沖縄の薬草やモズクを混ぜることで骨にまで進行した前立腺癌をわずか数カ月で改善している実例がある。
8、りんごやレモン
リンゴやレモンの繊維で大腸癌が1/3までになる報告がある。
大腸癌になるラットにリンゴの繊維成分ペクチンを10%混ぜると癌の発生が43%、20%混ぜると1/3に激減する。
レモン繊維ペクチンを混ぜると70%に抑えられた。
(富山医科薬科大学、田沢助教授ら)
日本人の死因の1位である「がん」。日本人の平均寿命が延びるのと、がんが増えてきたこととは相関関係にあるため、なんとなく「年をとればかかるもの」と思いがちですが、「国民病」になったのは、実は1980年以降。1950年からわずか30年の間になんらかの変化があったことが想定され、その原因として「食生活の変化」が大きいと言われています。はたしてどこに問題があり、どのように食べ方を意識するべきなのでしょうか。
30年間で大きく変化した「日本人の食生活」と「がん」
いまや「がん」は日本人の2人に1人がかかる病気であり、3人に1人が死亡するという恐ろしい病気です。早期発見・早期治療で治る確率が高まり、不治の病のイメージはなくなってきたものの、治療に長くかかることもあり、身体的・精神的・金銭的負担も大きく、避けて通りたいところでしょう。
その原因として「喫煙」とともに、第一位にあげられているのが、「食生活」です。これまでの調査や研究のデータから「食生活」の影響が約30%、「喫煙」が約30%であることが明らかになっています。その「食生活」が戦後から急激に欧米化したこと、それが日本人のがん発生率の急上昇につながっているというわけです。
奇しくも欧米的な食生活が「がん」につながりやすいということが判明したのは、1970年代のアメリカです。心臓病に加えて急増しつつあった「がん」撲滅を目指して、予防政策がとられ、上院に「栄養問題特別委員会」を設置して、アメリカ国民の食生活を調査し、その結果が「上院リポート」にまとめられました。いわゆる「マクガバンレポート」であり、この中で、いわゆる「欧米食」の象徴である肉食をセーブし、季節の野菜や海草、魚介類を積極的に摂りながらカロリーを押さえることを推奨しています。さらにこれを受けてアメリカ国立がん研究所(NCI)は、がんと食事の関係を調べ、「デザイナーフーズ・プログラム」を発表しました。
このプログラムで米国での野菜消費量は飛躍的に増え、がんの発生率や死亡率も1990年代を境に少しずつ減っています。特に、食事と密接な関係のある大腸がんや生殖器系のがんにおいて顕著に効果が出たとされています。
一方、日本では逆に野菜を中心とした日本の伝統食から、肉や油の多い欧米食へと変化しました。それと足並みを揃えるかのように、がんも増えてきており、特に大腸がんや生殖器系では若年化が進んでいます。
そうした結果から鑑みると、がん予防のためには、細胞を傷つける糖化や酸化を防ぐフィトケミカルや、腸内環境を整える繊維質を意識して、野菜を中心にした「日本の伝統食」に回帰することが有効と言えるでしょう。
がん予防につながる「日本の伝統食」
1) 抗酸化物質が豊富な野菜をたっぷり
がん化を引き起こす細胞の変質は、活性酸素による酸化や高血糖による糖化などが大きく影響しています。それらを抑制する抗酸化・抗糖化物質を意識して摂りましょう。特に野菜に含まれるフィトケミカルは最有力物質です。
2)繊維質を摂って腸内環境マイクロバイオームを整える
大腸がん予防に効果的なのが、繊維質。体内から余分なもの、毒性のあるものを効率的に排出し、腸内環境内の細菌バランスを整える働きを持っています。特に腸は、日々発生するがん細胞を駆逐する免疫システムを司る重要な場所であり、それががん予防にも大きく紐づいているといえるでしょう。
3)油や糖質を摂りすぎず、肥満を避ける
もともと欧米食に比べて油分が少なく、ローカロリーといわれる日本食。しっかり野菜類を摂って、糖質であるご飯を食べ過ぎなければ、そうそう太ることはありません。これまでの研究結果から、肥満はがんの危険因子の一つことは明らか。つまり、その意味でも、伝統的な日本食はがん予防に適していると言えるでしょう。
◇免疫力を落とす深刻な「化学物質」のリスク
「がんを予防する食べ方」において、食材選びはもちろんですが、農薬や食品添加物などの化学物質をできるだけ体内に摂らないことも重要ポイントといえるでしょう。化学物質には体内に入るとフリーラジカル化して、体内を傷つけるものも少なくありません。たとえば、どんなに野菜が豊富でローカロリーといっても、食品添加物たっぷりの加工品は避けたいもの。
とはいえ、これだけ農薬が使われ、加工食品がで回る中では、どうしても避けられない傾向があり、飲み水や空気からフリーラジカルを取り込むことも少なからずあります。そうした体内に取り込んでしまった有害物質を排出するためにも、水分をしっかりとって、繊維質などのデトックス効果の高い成分を積極的にとることが大切です。