日本は火山国のため、土壌に含まれるミネラルの量はもともと少ないと言われています。
こういう理由もあり、日本の土地でうまれた水や食べ物にはミネラル分が少ないのです。
日本で採水したミネラルウォーターの成分表示を見ても海外のものに比べると圧倒的にミネラルが少ないですね。
日本人は飽食時代となった現代でさえ、ミネラル不足の人がとても多いように思えます。
日本食品標準成分表を見ると、野菜のミネラル量は年々減っています(ただしこれは抜き打ち検査)。
また、現代の食事は、手作りから加工度の高い食品へと移行しつつあるため、ミネラル摂取が不足するのも当然です。
昔の日本ではこのミネラル不足解消のために、海藻類、魚貝、自然塩を主な摂取源としてきました(内陸部では動物の骨を砕くことで、有機塩などを摂取しています)。
しかし、現代人は、海藻を食べない、魚貝も食べない、塩は精製塩がほとんどといった状況です。
これではミネラル不足になるのもしかたありません。
海藻類や魚貝類などの摂取の見直しをするのが一番いいのですが、海洋汚染の問題もあるため、今さらかもしれませんが、塩の重要性をここ日本ではもう一度見直した方がいいかもしれません。
中国では塩味のことを「鹹」(かん)と書きます。
「鹹」の「鹵」は塩という意味で、「咸」はすべてという意味のようです。つまり、「鹹」という字は、ミネラルをすべて含んだ塩という由来があります。
しかしながら、いま日本では塩化ナトリウム99%の塩が主流です。
約60種類ものミネラルを除去した高純度の塩化ナトリウムを塩と呼んでいます。
これは正確に言うと本来の塩ではありません。
これでは慢性的なミネラル不足にもなり、高純度な塩化ナトリウムにより高血圧になるのも当然です。
土壌や土地そのものにミネラル分が少なかった地域は、昔からあらゆる手段で摂取を試みました。
例えば北極圏に近いトナカイ遊牧民は住んでいる土地が岩塩の露出が少ないため、一般に捨てるはずのトナカイの蹄(ひづめ)は食べるし、骨も砕いて食べます(骨からは同時に脂も取ります)。
現代人は飽食の慣れにより麻痺しているのか、慢性的なミネラル不足となり、キレる、イライラする、うつになる、精神障害をおこすなどが後を絶ちません。
今一度、ミネラルというものを普段の食事から考え直していきたいものです。
飽食時代は食べ物のあり方だけでなく、栄養欠乏の自覚さえ麻痺させてしまうものです。
いつでもあらゆるものが入手しやすくなった時代なのですから、これらを最大限に利用し、栄養不足を解消して、上手に健康を維持していきたいものです。