人間には入口が3種類、出口が3種類あります。入口は固体、液体が口から液体や超微細な粉末が皮膚から、気体やミスト、微細な粉末が肺から吸収されます。出口は糞便が腸から、尿が腎臓から、汗が皮膚から排出されます。毛髪もミネラルが存在するので厳密にいえば排出といえるのかも知れませんが、一般的には腸、腎臓と膀胱、そして皮膚と考えます。
このうち、肺には肺胞というフィルターがあり、3μm以上の粉塵はカットされ、入らないような構造になっており、皮膚もバリヤーゾーンで通常の無機有機水溶液は遮断されます。口から物質が入る場合には胃にある胃酸で殺菌されて吸収されます。
次に出口ですが、今、大きな問題が生じつつあるのが、腎臓病です。じわじわと疾病者が増え、更に、回復の見込みのない慢性腎臓病を起こし、血液をクリーニングしなければ生きていけないまでになった状態、つまり、透析患者さんの数は約30万人に達せんとしているところです。
人間の体は本当に良く出来ています。一時(いっとき)も休まず、働いてくれます。脳も心臓も休んだら、死んでしまいます。出入り口も丈夫で精巧に出来ていますから、肺と腎臓のフィルターも通常では目詰まりすることもなく、破れもせず、掃除をすることもなく働きつづけています。私たちはその恩恵を感謝して、できる限り壊れないように気をつけて生活する必要があります。病気になって初めてその有難味を感じるのですが、その時すでに遅しというケースが多々あります。
肺癌や慢性腎臓病が代表的な現代病でしょう。
ここに取り上げられた慢性腎臓病は透析という腎臓の代わりをしてくれる器械がありますので、患者さんはすぐには死ななくなりました。それ故、患者も安心して腎臓病になったら、「少し不自由だけれど死に至らないから、いいや」と思っていらっしゃる方がいるのではないかと感じてしまいます。でも、透析は血液を体外に出すのですから、薬剤も使います。又、血液を作る時に必要なエリスロポエチンという物質が腎臓で作られるのですが、腎臓の機能が落ちているので、これが作られなくなっていきます。それ故、合成されたエリスロポエチンが投与されます。こうした作業が何年も続けば、腎臓は自分の仕事が透析器械で奪われていくものですから、「作業をしなくてもいいや」になっていくので、脳もそれを自然なことと受け止め、腎臓機能への指令が徐々に減っていくのではないかと思われます。
確かに、腎臓病は急性的な死亡は透析のおかげで減少していますが、この方法は病気を治しているのではなく、あくまでも血液のクリーニングなのです。
当然、食事制限があります。水分量の制限もあります。特に、アンモニアや尿素窒素、クレアチニンなどの窒素化合物が増えてきますので、タンパク質の制限が生じます。ということは、栄養状態が偏ってしまいます。アルブミンが減少し、A/Gが1以下になってきますと腹水が溜まり出しますので、注意が必要です。
更に、カリウム、リンが体から排出しにくくなるので、ミネラルの制限を言われます。生野菜や果物を食べないように、又、ミネラルのサプリメントを摂らないように言われます。しかし、何故、慢性腎臓病になったのかを考えてください。
作物が大きな原因です。農薬も怖いですが、化学肥料は私たちの体のミネラルバランスを変えてしまいます。窒素、カリウム、リン、マグネシウムなどのミネラルや元素が急激に増えるのです。遺伝子組み換えの種も良くありません。根本的に米も麦もトウモロコシも野菜も、果物も化学肥料で作られた作物は、この種のミネラルが圧倒的に多いのです。それ故、野生生物をしっかり食べていただきたいのです。
野生の植物のミネラルバランスはカルシウムが最も多く、次いで、珪素、カリウムとなっているのです。野生の食材、あるいはそれに近い方法で作られた農作物なら、化学肥料のバランスになっていなければ透析している人でも大丈夫です。それでも心配ならよく茹でることです。蒸したのでは窒素、リン、カリウムがあまり出ていきません。水と一緒に余分な化学肥料バランスが出て行ってくれればいいのです。
食品成分表として女子栄養大学が食品全体の栄養成分の分析結果をまとめています。それを見ると、今の作物がいかに化学肥料に毒されているのかが分かります。それと、作物を生のものと茹でたものとでミネラルバランスを調べた表がありますので、これを見れば、茹でればミネラルバランスがかなり野生植物のものに近づくかがわかります。
現代病は野生生物の欠如が原因であるので、野生をしっかりと摂取すれば現代病のほとんどは防げるはずです。ということは、現代病は人間が作ってしまっている病気なのです。だから、防ぐ方法はいくつもあります。自分たちの生活方法で誰にでもできるのです。又、治せるのです。ひどくなる前なら、生活方法を変えることで誰にも出来るのです。それを化学薬剤などという体の成分でも何でもないもので、「安易に治せるだろう」などと考えて、摂取しても治らないのは当然のことです。
それより、更に悪くなるのが通常です。
何故かと言えば、化学薬剤は体にとって異物であり、体を防御してくれている免疫力を落とすからです。医療側は「そんなはずはない」と反論するでしょうが、白血球分類で好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球などを測定して、その経過を時系列でみればすぐにわかってしまいます。だから、病院では免疫検査はやりませんし、やっていても説明はほとんどしないはずです。それは当然のことです。医薬品でこれらの数値が直ぐに反応するから、とても言えないか、あるいはそれすら知らないかのいずれかだからです。
又、ミネラルは慢性腎臓病にすべてダメということはないはずです。野生のミネラルバランスのサプリメントならば、体は喜んで受け入れてくれます。但し、合成の化学物質で作られたサプリメントはダメです。化学薬剤と同じことが起こってしまいます。
現代病にかかりたくなければ、又、罹患している人も治りたいと思うならば、理論に基づいて、しっかりと体の手入れをする必要があります。日本人ほど、元気な時は体のケアに金をかけたくない、でも、一度病気になったら、後先考えずに高額医療をして何とか治したいと行動する方が多いですね。そこに付け込んでいるのが医療ビジネスです。でも、それは早期発見、早くからの手当てですので、それで、化学薬剤漬けが早まって、発見前より症状がどんどん進んでしまうような例がゴロゴロ、まさに本末転倒ですね。