慢性前立腺炎と間質性膀胱炎は別の病気ですが、症状がほぼ同じで原因がほぼ同じであることから一つの疾患として説明させていただきます。
もちろん前立腺は男性にしか存在しませんので、慢性前立腺炎は男性にしか起こりません。
一方、間質性膀胱炎は女性に起こりやすい病気ですが男性にも起こります。
アメリカでは慢性前立腺炎を患っている方は50歳未満の男性では70万人、50歳以上の男性では100万人以上、間質性膀胱炎を患っている方は女性で800万人、男性で400万人いるとされています。
慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎の症状
症状は急性の膀胱炎もしくは急性前立腺炎とほぼ同じですが、これらの症状が数ヶ月続くのが特徴です。
トイレが近い。
トイレが我慢出来ない。
排尿時や排尿後に痛みがある。
下腹部や性器周辺が痛む、不快感がある。
血尿。
性交時の痛み、性交不全。
腰痛などです。
慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎の原因
一般的に慢性前立腺炎の原因は急性前立腺炎と同じように細菌による感染と考えられ、抗生物質が処方されるのが一般的な処置です。
しかし抗生物質による治療は一旦回復しますがすぐに同じ症状が再発して、永遠と抗生物質が処方されるケースが多く見られます。
そして抗生物質による治療は症状を徐々に悪化させるだけでなく、様々な悪影響をもたらします。
実際に慢性前立腺炎の原因が細菌による感染症なのは10%未満だと考えれます。
では慢性前立腺炎の原因は何なのか
殆どの原因は実は腸にあります。
それはリーキーガットです。
アメリカではリーキーガットという言葉は着実に広まりつつありますが、日本ではまだ馴染みのない言葉かもしれません。
単純に説明しますとアレルギー、食生活の乱れ、薬、化学物質、腸内細菌バランスの乱れ(抗生物質の乱用)などにより腸壁が傷つき、通常であれば体に吸収されてはならないものが吸収されそれらの物質が抗体反応を引き起こし、胃腸以外の場所で様々な症状(関節炎、リューマチ、頭痛、アトピーなど)を引き起こす疾患のことです。
このリーキーガットですが腸自体の症状はあまり無く、なんとなく胃腸に不快を感じる、胃腸が優れないぐらいのことが多くリーキーガットの自覚症状なない方が殆どです。
慢性前立腺炎の治療に使われる抗生物質は腸内細菌バランスを大いに乱し、慢性前立腺炎が更に悪化させる原因はここにあります。
間質性膀胱炎の殆どの原因も慢性前立腺炎同様にリーキーガットにあります。
慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎の診断
慢性前立腺炎の診断には前立腺の触診、触診直後の尿検査、間質性膀胱炎の場合にも触診、尿検査、膀胱鏡検査などが行われますが、リーキーガット、食品アレルギーの検査を追加する必要があります。
慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎の診断で忘れてはならないのが骨盤底筋の直腸指診です。
というのも骨盤底筋の過緊張は慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎と同様の症状を作り出してしまうからです。
骨盤底筋が過緊張を起こしている方に直腸指診を行うと燃えるような痛みがお尻に広がります。
慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎の治療方法
抗生物質は効果的な治療ではなく、大抵の場合症状を悪化させます。
慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎を治すにはリーキーガットの治療が不可欠です。
まず自分自身のアレルギー性食品を知り、それらの食品を食事から除去する必要があります。
そして鎮痛剤などの薬はできうる限り摂らないようにしてください。
食品アレルギーの検査は100%確実ではありませんのでアレルギー性の食品を除去しても症状が改善しな場合には除去・挑戦食を行います。
除去・挑戦食とはアレルギーの可能性のある食品を全て食事から除き、症状が改善する(今回の場合慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎の症状)のを一定期間待ちます。
その後、一日に食品を一種類ずつ足していき自分の症状を観察します。
症状が悪化しなければその食品は安全な食品です。
もし症状が悪化したらその食品はアレルギー性の食品となり、食事のリストから削除されます。
このよう時間をかけ、自分にとって安全な食品を見極ていくのが除去・挑戦食です。
荒れた腸、リーキーガットの治療に有効なハーブの一番に挙げられるのはアロエベラの果肉です。
アロエベラは炎症を抑え、胃腸粘膜の再生を促進する働き、荒れた胃腸を刺激物から守る働きもあります。
アロエベラ果肉もしくは100%ジュースを大さじ2-4杯を一日2回ほど摂ってください。
アロエベラの皮の部分には下剤的な効果がありますので、注意してください。
L-グルタミンは小腸の細胞の重要な栄養源で、傷ついた腸壁の修復に欠かせない栄養素です。
L-グルタミンを摂取することで腸の細胞を修復、再生を高める効果があります。
L-グルタミンは一回当たり2-3グラムを一日3回 空腹時に摂取してください。
ムチンという物質は粘液の主成分で胃腸内で作られます。
ムチンは胃酸、細菌、または有害物質から胃腸を守る働きがあります。
N-アセチル-グルコサミンはこのムチンを胃腸内で作り出すのに必要な栄養素です。
腸壁が荒れている方、リーキーガットの方にはN-アセチル-グルコサミンが減少傾向にあります。
またN-アセチル-グルコサミンは胃腸の粘液の分泌を高めることで胃腸を刺激物から守り、修復を早めます。N-アセチル-グルコサミンは一当たり700ミリグラムを一日2回摂ってください。
N-アセチル-グルコサミンは胃腸の粘膜だけでなく、前立腺、膀胱、尿路の炎症ダメージを修復する働きもあります。
研究ではN-アセチル-グルコサミンを6ヶ月継続摂取すると間質性膀胱炎の症状軽減に効果的でした。
また前立腺や膀胱の炎症が特にひどい場合には、ケルセチンやブロメラインが効果的です。
ケルセチン、ブロメラインともに1グラムずつ一日3回空腹時に摂っていただくと炎症を抑えるのに効果的です。
また炎症がひどく骨盤内がうっ血した様な状態の時には手技のリンパドレナージの治療を受けられると腫れが早く引きます。
慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎に有効なハーブ
ハーブはリーキーガットを治療している間の慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎の症状緩和に非常に効果の高い治療法です。
まず、Pedicularis bracteosa、このハーブはアメリカ西部の山岳部に自生し下腹部の痛みと骨盤周辺の筋肉の緊張を和らげるのに効果があります。ハーブチンキ1-3mlを一日に4回ほど摂ると効果的です。
次にEryngium yuccifoliumとChamerion angustifoliumです。
Eryngium yuccifoliumはアメリカ中西部から南部にかけて自生し、Chamerion angustifoliumはアメリカ北西部に自生するハーブで2つとも下腹部の炎症を軽減するのに効果的です。
Eryngium yuccifoliumはハーブチンキで1-2mlを一日3回、Chamerion angustifoliumハーブチンキで3-5mlを一日3回摂ると効果的です。
もうひとつ重要なハーブがFouquieria splendensです。
このハーブは骨盤周辺のリンパ腺の流れを促進するだけでなく、他のハーブが前立腺や膀胱に到達するのを助けることで、前述のハーブの効果を高めます。
ハーブチンキで5-10滴を一日3回他のハーブに追加するのが効果的な摂取方法です。
そ他に有効なハーブは以下のものがあります。
前述のハーブに追加して使用すると効果的なハーブです。
ヤロウ:骨盤内の炎症を軽減する。
セイヨウスイレン:抗炎症効果、リンパ腺の流れを促進する。
ダミアナ:骨盤内、生殖器の強壮作用、前立腺肥大症にも効果的です。
ノコギリヤシ:膀胱、尿道、前立腺への刺激、炎症を軽減することで排尿を改善します。前立腺肥大症にも効果出来です。
骨盤底筋の過緊張を治療する。
もし骨盤底筋が過緊張を起こしている場合にはこの筋肉の緊張を解きほぐす必要があります。
一般的に頻尿や尿漏れの治療に使われ、骨盤底筋を鍛えるケーグルエクササイズは骨盤底筋の過緊張を悪化させますので、ケーグルエクササイズは行わないでください。
腰湯、マグネシウムは骨盤底筋の緊張をほぐすのに有効です。
Pedicularis bracteosaのハーブチンキ1-3mlを一日に4回ほど摂るのも緊張をとるのに効果的です。
また手技によるクレニオセイクラル療法も骨盤のバランスを整えることで骨盤底筋の緊張をほぐすのに非常に有効な手段です。
慢性前立腺炎 / 間質性膀胱炎を長年患って今まで回復の見込みが見えてこない方は、今までとは違ったアプローチ、腸の健康状態を高めていくことで、ただ薬を処方されるだけの治療から早く抜けだしてください。