「何故、私たちは苦しむのですか」と釈迦に問えば、「それは悪因悪果。苦しみのタネをまいているからだよ」と教えます。
では、どんなことが苦しみのタネまきになるのでしょうか。
親切な釈迦は多くの苦しみのタネまきの中から、心と口と体の3つの面から10個を選び、10の悪として教えます。
1、心が作る苦しみのタネまきは「貪欲(とんよく)」と「瞋恚(しんい)」と「愚痴(ぐち)」の3つ。
①「貪欲」は底知れない欲の心
金が欲しい、認められたい、楽をしたい、美味しいものが食べたい、異性が欲しい ・・・ 欲の心は無限です。
欲を満たすために他人を騙したり傷つけたりします。
戦争や紛争さえも欲の心の産物と言われます。
欲の心が妨げられると出てくるのが瞋恚です。
②「瞋恚」は怒りの心。
あいつのせいで儲け損なった。
こいつのせいで恥をかかされた。
欲の心が妨げられると怒りの心が燃え上がり、冷静さを失います。
車の警笛一つが殺人事件になることさえあります。
そして、怒ってもどうにもならない相手には愚痴が湧いてきます。
③「愚痴」は妬みや恨みの心。
腹が立っても社長や上司を怒鳴り付けることはできませんから、怒りは妬みや恨みに変わります。
自分より優れた人や強い人を妬み恨みます。
他人の不幸は蜜の味とほくそえむ心もまた、愚痴と言われます。
私たちが苦しむのは、欲しいものが手に入らない時、腹が立って仕方がない時、相手を妬んだり恨んだりする時ですから、貪欲、瞋恚、愚痴が私たちの苦しみを生み出していることになります。
2、口が作る苦しみのタネきは「綺語」「両舌」「悪口」「妄語」の4つ。
④「綺語」は心にもないお世辞を言うこと。
お世辞を言って、相手に気に入られ、相手を自分の都合の良いように動かそうとします。
⑤「両舌」は二枚舌のこと。
仲の良い人の間を裂いて仲違いをさせることで、妬みの心が言わせます。
⑥「悪口」は非難や中傷のこと。
腹が立つと物事が針小棒大に感じられて、非難や中傷にも熱が入ります。
⑦「妄語」は嘘をつくこと。
正直に謝れば済むところを嘘をつき、嘘がばれないように更に大きな嘘をつく。
嘘の連鎖にはまると抜け出せません。
3、体が作る苦しみのタネまきは「殺生」「偸盗」「邪淫」の3つ。
⑧「殺生」は生き物を殺すこと。
⑨「偸盗」は他人の物を盗むこと。
⑩「邪婬」は邪な男女関係のこと。
以上、釈迦は苦しみのタネまきを10の悪として纏めてくれました。
しかし、私たちの口や体を動かすのは心です。
心で思わないことは言いませんし、心で思わないことはやりません。
そこで、釈迦は「自分の心の姿をよくみつめなさい」と説いて、特に「心」が大切であると教えています。