地球上の生物には真正細菌、古細菌、真核生物が存在します。
一般的に真正細菌を細菌と呼びます。
微生物の理解、微生物の定義は明確には有りませんが単細胞生物やカビの様な物も微生物と呼ばれます。
基本的には目で見る事が出来ない様な生物が微生物で写真はレーウエンフツクがスケッチした口腔内の細菌の写真です。
コッホは炭疽菌を発見し炭疽菌により炭素病が起こる事を発見しました。
顕微鏡が更に発達すると原核生物と真核生物の違いがわかって来ました。
原核生物には2種類有る事も分かって来ました。
その一つが細菌でもう一方が古細菌です。
そして細菌も古細菌も真核生物も共通の祖先から多様化しました。
細菌がバクテリアと呼ばれ古細菌がアーキアと呼ばれるのに対しヒトのそれは真核生物でユーカリアと呼ばれます。
細菌と古細菌の違いは遺伝情報の違いそして細胞壁を構成する分子の違いや細胞膜を構成するリン脂質の違いで古細菌のグリセロールはエーテル結合に対し細菌と真核生物のグリセロールはエステル結合の違いが有ります。
更に古細菌で使われる物はイソプレノイド炭化水素で細菌と真核生物では脂肪酸炭化水素で構成されています。
エーテル結合の方は高温などの特殊な環境に対応できます。
細菌や古細菌は多様性を持っています。
分かっている細菌や古細菌の数は動物の100万種以上に比べ非常に少なく僅か5.000種程度です。
この事は細菌が純粋培養できない事に起因していると思われ100個体の中で一つが純粋培養が出来ると言いますから50万種以上の古細菌や細菌が存在するものと考えられます。
細菌の特定は困難な物ですが最近ではリボソームRNAクローン解析が行われ初めて来ました。
DNAを取り出しrRNAをPCR法で増幅しrRNAの遺伝子を大腸菌に導入し塩基配列を決定し生物種を決定します。
独立栄養とは細菌や古細菌の中には環境中の無機的な物質からからエネルギーや栄養を取り出す事が出来光合成がその代表です。
光合成は真核生物の植物が行いますがそれを行うのは葉緑体です。
葉緑体は元々はチアノバクテリアに由来しチアノバクテリアが真核生物に入り込んだ物です。
独立栄養で生きているものは細菌や古細菌やそれ由来の物になります。
太陽光を利用する物の他に他には熱水噴出口や冷水湧出帯の硫化水素やメタンなどの無機物をエネルギー源として利用する細菌もいてそれらを化学合成独立栄養生物と言います。
更に農薬や流出原油を分解する様な細菌もいて環境中の様々な化学物質を利用しています。
一方温度に対しても様々に対応する細菌がいて100度以上の温度や低い温度を好む細菌や強酸性や高塩分濃度に対応する物のも存在します。
大腸菌の様な従属栄養では他の生物に寄生したり共生したりしますが代表例が結核菌で結核菌は肺で免疫細胞のマクロファージにより取り込まれリソソームがくっ付き分解されますが一部はリソソームの融合を妨害する事によりマクロファージの中で留まったり増殖したりします。
この様に多様な細菌とヒトは深く関わり共生しています。
口の中の細菌を殺してはいけません!などひと栄養医学の発言の根拠は生物科学に基づいた物です。
うがい薬でうがいをしない!消毒をしない!
抗生物質は飲まない! の根拠です。
野菜の栽培に失敗すると、人はすぐに土作りが出来てないからと考える。
僕は、このすべての原因を土作りと思ってしまう事が、無肥料栽培の難しさに繋がるのだと思っている。
人に土なんか作れない。
この根本的な事を忘れているからダメなのだ。土を作ってるのは、あくまでも草や虫や微生物であって、人は作られた土を利用しているにしか過ぎない。
土作りという発想は、引き算と足し算から始まる。
草を引き、虫を殺し、苦土石灰を足し、肥料を足す。
それを土作りと思い、ひたすら何が邪魔者なのか、何が足りないかを考える。
それこそが、自然の力で育とうとしている植物の成長の邪魔をしているという事なのである。
人の手で作物を育ててやるという驕りからくる発想でもある。
何をしなければならないのかは、とてもシンプルである。
そこに現れる者たちの役割を知る事。
その一点のみだと僕は考えている。
草を見ると、畑によって様々である事が分かる。
その差は地域差だけの話ではなく、その草が生えてくる理由がその畑によって違っているからだ。
背の高い草が生えれば、土が固い事を教えてくれ、背の低い草で覆われれば、土を守ろうとしている事が分かる。
マメ科が多ければ窒素が少ない事を教え、地下茎の草が多ければ土壌の酸度が狂ってる事を教えてくれる。
アブラムシが来れば、ミネラルが足りない事を教えてくれ、青虫が多ければ、土にリン酸が足りない事を教えてくれる。
オオニジュウヤホシテントウが多ければ風通しが悪い事を教えてくれ、ネキリムシが多ければ、風が強くて寄生蜂がいない事を教えてくれる。
これらは一例ではあるけど、こうやって自然はそこの環境をちゃんと教えてくれている。
あとは人間たちがそれをどう解釈し、何をしてしまったがために作物の成長を邪魔してしまったかを知る事だけである。
植物は、成長する事を諦めるのは当たり前の事である。
それは動物とは全く違う一面でもある。
彼らは成長を諦める事で、自分の役割を見つける。種を残す個体がいて、土に戻って次の植物が成長するための糧となる個体がいる。
それが役割というものである。
土を作っているのは植物であり、虫であり、微生物たちである。
この事を理解すると、無肥料栽培への道が拓かれる。
人は、そこに現れる現象を観察し、メッセージを汲み取り、少しだけ手を加えて、人の手で加速させてあげるだけなのである。