小麦の正体                        トンプソン 真理子


William Davis氏は、ウィスコンシン州に住む心臓外科医で、自身の医療経験から、2011年にその小麦の真実について書いた”Wheat Belly(小麦腹)”という本を出し、それはまたたくまに北米で130万部突破のベストセラーになりました。 

日本では、やっと去年に、白澤卓二氏(これもアンチ・エイジング関係の本をたくさん出しているお医者さんですね)が翻訳したもの『小麦は食べるな!』が出されました。

 

 

近年、アメリカではこれまでの人類史上に例を見ないほどの肥満、糖尿病、心臓病、その他慢性疾患に悩まされている人が増え続けています。 

もうそれは、国の存亡の危機、と言ってもいいほど・・・。 これは一体なぜでしょうか。

80年代後半、当時の認識は、人々が太る理由は、”高脂肪”にあるとしました。

ですから、出来るだけ肉などは食べずに”低脂肪”にして、その代わりに”健康的な”全粒粉パンを食べましょう!というキャンペーンが国を挙げて盛大に行われました。

それが、皮肉なことに、ちょうど時を同じくしてその頃から、肥満者、糖尿病が急激に右肩上がりで増え続けているのです。 

 

これは単なる偶然とは思えません。

アメリカ人は、レイジー(怠け者)だからだ、という人もいます。しかし、本当にそうでしょうか。

一部の実際にそういう人たちを除き、大半の善良な人は、”低脂肪”な食事を心がけ、”体にいい”全粒粉パンを毎日食べ、日々適度な運動もがんばってこなしています。

それでも、体重の増加が恐ろしいほど・・止まらない。

 

もしあなたが、スーパーで太りすぎで動けないために、電動車いすで買い物している人を見かけたら(実際、アメリカではよく見る光景です)――。

それは、彼女がひどい怠け者で、運動をしようともしないから、一日中テレビの前でポテトチップスばっかり食べてるから、とかではなく、

それは基本的に彼女のせいではない、問題はもっと本質的なところにあるのだ、と彼は言います。

 

では、それはさておき、まず小麦の歴史から見ていきましょう。

 

すべての小麦の祖先にあたるヒトツブコムギ(Einkorn)は紀元前3300年ごろ、元々野生だったものが栽培され、ヨーロッパで人気の穀物になりました。 

ヒトツブコムギは小麦の中でも最も単純な遺伝子情報を持ち、染色体はたった14本です。

初めてヒトツブコムギが栽培されて間もなく、フタツブコムギ(Emmer)という小麦の品種が中東に現れました。

これの染色体はもうちょっと複雑で、倍の28本です。

 

聖書の時代になる前のどこかで、染色体28本のフタツブコムギは野生種のタルホコムギと自然交配し、染色体42本の原初パンコムギとなりました。 

これが現代コムギに遺伝的に最も近い品種です。その後の何世紀もの間、パンコムギには変化はほとんどありません。

 

1960年代、世界的な人口爆発と食糧危機が深刻な問題となるにつれ、ロックフェラー財団出資のもと、『世界的飢餓の削減』という立派な目標を掲げて、国際トウモロコシ・小麦改良センター(IMWIC)で小麦の生産性をあげるための品種改良プログラムが開始されました。 

ここでは日本の農林10号という種の小麦が元に使われました。 

現在世界中に供給されている意図的に品種改良された小麦は、その大半がIMWICで開発されたこの品種の子孫です。

 

IMWICで研究していた遺伝子学者、ノーマン・ボーロ―グ博士は、そこで驚くほど高い生産性(従来の10倍の収穫量)の倭性小麦(高さがわずかに60cm,大人のひざ丈ぐらい)の開発を成功させます。 

この小麦の交配品種によって、ボーローグ博士は農業界で『グリーン革命の父』と呼ばれ、1970年にはノーベル平和賞を授与されました。

 

現在では、膨大な生産量を実現するため、世界中の小麦品種はほぼ全部倭性小麦に置き換えられ、倭性小麦と半倭性小麦を合わせると、世界中の全小麦の99%をしめているということです。 

逆に言えば、昔の小麦は、もう市場にはどこを探してもない、ということです。

そして実際、現代小麦と一昔前の小麦では、ゲノム的には人間とゴリラほども似通っていません。

彼が生み出した高生産性の小麦品種は、確かに世界の飢餓を救いました。

 

しかし、彼は讃えられた功績の陰で、一つ大きな罪を犯しました。

小麦は、遺伝子組み換え作物ではありません。 

言葉の上では、それは確かにそうです。 

しかし、遺伝子組み換えという『最先端技術』が入ってくる前の、もっと雑で、偶然的で、はるかに”悪質な” 遺伝子操作が何千回、何万回とされていて、遺伝子構造が大幅に変えられたのにもかかわらず、生み出された新しい品種は動物実験も人体への安全確認の試験も行われませんでした。

その理由は、小麦と小麦をいくら掛けあわせても、その子供は基本的に”小麦”であることに変わりはないじゃないか、という当時の楽観的考えから。

こうして、その遺伝子にガンマ光線を当てて突然変異をさせたり、多重乗り換え、戻し交配、胚の救出、その他ありとあらゆる交配や品種改良(実際は『改悪』)がなされました。

こうして出来上がったのが、【凶悪な】性質を持つ現在の小麦です。なんだかグレムリンの誕生みたいじゃないですか。

では、現代小麦はどのように凶悪なのでしょうか。

 

▶ 今の小麦が持つ『スーパー糖質』の恐ろしさ

現代のパンコムギの小麦粉は、平均でその重量の70%が炭水化物、10%がたんぱく質、15%が消化しにくい食物繊維、わずか残りが脂質です。(興味深いことに、古代小麦の方がたんぱく質の割合が高く、フタツブコムギの場合は28%がたんぱく質です)

 

そして小麦の含まれる複合糖質の75%はアミロペクチン、25%がアミロースです。そのうち、アミロペクチンにもA,B,Cと種類がありますが、その中で小麦に最も含有量が多く、一番問題視されているのが、アミロペクチンA-。

最も消化されやすい構造で、血糖値を劇的に押し上げます。

 

Davis氏曰く、全粒粉パンを二枚食べる方が、角砂糖16個分の入った炭酸飲料を一缶飲んだり、チョコレートのお菓子スニッカーズを一本食べたりするより、血糖値の上がり方はひどいと。

事実、精白パンのGIは69、全粒粉パンは72だったのに対し、砂糖は59でした。

 

ですから、”体にいい”と信じられている全粒粉パンを毎日食べているとどうなるか。

5~10年後にはりっぱなWheat Belly(小麦腹) の出来上がりです。

アメリカでは、腹部がせり出してベルトも見えないような、小麦腹の人が確かにいっぱい。

 

なぜアミロペクチンAが、体の他の部分でなく、腹部の奥深くに内臓脂肪を蓄えるのかはまだ分かっていません。

小麦腹はインスリン”抵抗性”にも結び付いているため、小麦腹が大きければ大きいほど、インスリンに対する”効き”が悪くなります。 

効きが悪いと、もっとインスリン量を要求するようになり、糖尿病を引き起こします。 

男性の場合は、小麦腹が大きいと、脂肪組織から女性ホルモンのエストロゲンの分泌が増えて、胸が膨らみます。(いわゆるお相撲さんの胸のような) 

また、小麦腹が大きければ炎症反応も多くなり、それはやがて恐ろしい心臓病やガンへとつながっていきます。

 

▶ グルテンというものについて

小麦に含まれる『グルテン』というたんぱく質、これこそが、小麦を小麦らしくしています。 

グルテンがあるから、パン屋さんやピザ屋さんは、生地を伸ばしたり、捏ねたり出来ますし、他の粉モノでは決して代替え出来ません。  

ちなみにグルテンは、古代コムギには含有量が少なく、遺伝子操作が大量に行われた現代コムギに最も含まれています。

グルテンは、グリアジンとグルテニンという二つのたんぱく質で構成されています。

そのうち、グルテニンは、このようにパン生地を伸ばしたり粘着性をもたらすものです。

 

一方でグリアジンは、胃の中でポリペプチド混合物に分解されます。 

このポリペプチドは、血液と脳とを隔てる血液脳関門というバリアーをやすやすと通過する特殊な性質を持っていることが分かりました。

脳に入り込んだ小麦ポリペプチドは、脳のモルヒネ受容体と結びつきます。 

これは、アヘンと結びつく受容体と同じものです。 

そうすると、脳が強烈な快感を覚えます。 

そして脳が、この快感が続くように、もっと食べろと指令します。

 

これらのことから何が分かるか、『小麦は、ドラッグと同様の依存症を引き起こす』

そしてその依存性ゆえ、『小麦は食欲増進剤である』

 

これが、多くの人が、小麦食品をやめられない、またついつい食べ過ぎてしまうゆえんです。

実際、小麦を断った人たちの一日カロリー摂取量は、そうでない人に比べて、400kcalも低くなったというデータがあります。

 

ところで、60年代のスーパーマーケットを見てみると、小麦が含まれている製品と言えば、せいぜいパン、マフィン、そしてケーキぐらいでした。 

それが、今この現在ではどうでしょう。スーパーを見渡しても、小麦の入っていない製品が・・・ほとんどないのです。

ドレッシング、スープ、冷凍食品、ソース、お菓子のキャンディに至るまで。 

これは、ただの偶然ではないだろうと、Davis氏は言います。 

誰か頭のいい科学者が、小麦が食欲増進剤であることを知っていて、売り上げを上げるためにあらゆるものに入れていったのだ、と考えるのが妥当である、と。

 

これでは、セリアック病(グルテンによって免疫反応が引き起こされ、小腸の炎症を起こして腹痛や下痢が続く病気)や小麦アレルギーの人たちは、さぞかし大変でしょう。

いやそうでなくても、我々正常な人間だって、勝手に食欲を増進させられているなんて、ひどい話です。

 

最後にDavis氏は、これは現代小麦が市場すべてを支配している以上、そのパンがたとえ有機栽培であれ、全粒粉であれ、発芽されているものであれ、この原料である現代小麦の生物学的構造がこうなっていることから、これらの害を逃れ得るものは一つもないのだ、と言います。

そういう意味では、そこらへんの精白パンを食べても、パン屋さんに売っているような高級全粒粉パンを買って食べても、同じことである、と。 (ビタミンや食物繊維が加わっていることは多少いいことには違いないが)

 

これは、多くの人、特に今まで健康に留意してきたつもりの人にとって、大変な悲報です。

 

また彼は、だからといって、今アメリカの食品業界で次々と売り出されている『グルテンフリー食品』に飛びつくのは、ナンセンスであると言います。

元々のグルテンフリー食品(肉とか野菜とか卵とか)だと全然いいのですが、無理やり作られた食品(グルテンフリークッキー、グルテンフリーパンケーキなど)だと、結局は材料に小麦粉以外の粉モノ(米粉、ココナッツ粉、大豆粉、片栗粉、タピオカ粉など)を使っているだけで、血糖値を上げることには変わりない。 

しかも、他の〇〇フリー食品の例にもれず、小麦粉を使えない分を他の変な添加物で補っていることが多い、と。 

私も確かにそう思います。

 

だから、結局彼は何が言いたいかというと、『小麦はあきらめろ』ということですね。 

しかし、小麦をあきらめるということは、多くの人にとって歯を麻酔剤なしで抜くのと同じぐらい、いや、ある人にとっては”死を宣告されるに等しいほど”実際辛い。

私の場合は、潔く諦めましたが、そういう人はどうしたらいいのでしょうか。

 

日本人の主食が米であるように、欧米人の主食である小麦ですが、それでも、彼の診療室に来る患者たちに食事から小麦を除去するように指導したところ、それを実行できた人ほとんどの患者に、急速な目に見える体重減少はもちろん、以下のような他の症状改善も副産物として得られました。

まず、

● 際限のない食欲の抑制、摂取カロリーの削減、食への執着・妄想がなくなる

● 血糖値の低下

● 関節炎、アレルギーなどの炎症がなくなる

● 血圧の低下

● HDL コレストロール値が上がり、LDL コレストロール値が下がる(心臓病につながる悪いコレストロール)

● 体内エネルギーが増加し、睡眠の質が良くなる。

● 胃酸の逆流がなくなる

● 下痢・軟便がなくなる      

 

これは、小麦に含まれる炎症を起こす物質、レクチン―が入ってこなくなり、レプチンなどの炎症を媒介するホルモンが出なくなるためと推測されます。

ぽっこり小麦腹の内臓脂肪による炎症は、肥満や心臓病やガンをもたらすとともに、体の各関節にも炎症を引き起こします。

(体重の負荷による単なるすり減り、とかではなく)

小麦による関節への攻撃は何年も続きますが、それに拍車をかけるもう一つの現象が糖化反応です。 

血糖値の急激な上がり下がりが続くと、血液や体組織のたんぱく質に糖化(=老化)が起こります。

関節の軟骨は、寿命が長くてしかも再生不可能なので、とりわけ糖化の影響を受けやすいのです。

 

これらをまとめると、

高血糖 + 炎症作用 + 糖化作用

   = 関節の骨や軟骨組織が破壊され、何年にもわたって、股関節や膝や手に痛みと腫れが生じる

 

また、穀物は、植物性食品の中では唯一の酸性食品です。

体内のpHが大きくずれることは酸性でもアルカリ性でも危険ですが、体はわずかにアルカリ性に傾いている状態を好みます。

 

ですから、pHが酸性に傾くと、体はバランスを取り戻すためにパニック反応を起こして、体内で骨のカルシウムを溶かしてまでして、それを埋め合わせようとします。 

正常なpHは体にとってあまりにも重要なため、pHバランスのためなら、骨の健康を犠牲にさえするのです。

 

その点、動物性食品(肉、チーズ、牛乳など)はどれも酸性ですが、最近の研究で、動物性食品は見かけほどpHバランスに害を与えないことが分かってきました。 

動物性タンパク質には、骨を強化する作用があり、インスリン”様”因子の刺激によって骨の成長や石灰化を促すのです。

一方、野菜と果物は主なアルカリ性食品です。 

野菜と果物をたっぷり食べると、動物食品の酸負荷を中和することができます。

 

話はまた戻りますが、日本では戦後、アメリカから大量に小麦を輸入するようになりました。 

小麦が余っているということで、無理やり日本に押し付けられたという背景があります。

現在では日本国内の小麦の全消費量の85%を輸入に頼り、そのうち6割をアメリカが占めている現実を考えると、これらのことは対岸の火事ではないでしょう。

 

あと、ここでは述べられてはいませんが、海外から日本に小麦を輸入する際には、ポストハーベスト問題、という避けては通れない問題があります。

日本では、収穫後の作物にポストハーベスト農薬を使用することは禁止されています。

米国内でも、消費者用には、毒性の強い農薬は使用が許されていません。

ポストハーベスト農薬散布は、アメリカから日本へ輸出する途中に行われる行為なのです。

 

目的は、一応輸出途中で虫やカビの害から作物を守るためですが、この場合の、残留農薬による人体への害は、輸入したいために無視されているとしか思えません。

日本国内では、人体に害があるために禁止されていることを、輸入作物に関しては例外という立場なのです。 

ここに私たちの命に関わる大きな矛盾があります。

 

このポストハーベスト用の有機リン系の農薬ですが、人体に入ると、めまい、頭痛、下痢、便秘、しびれなどの慢性症状を起こし、変異原性、催奇形性も広く認められています。

そして現在、輸入されている小麦はすべてに、このポストハーベスト農薬が散布されています。

国内産の小麦は、主にうどんなどの日本めん用に仕向けられています。

国内産の小麦粉はコストが高い為に、ラーメンに使用されるほとんどの中華麺が外国産の小麦粉を使用しているのが現状です。

 

これは、あるサイトの一文なのですが、この文章を読んであなたはどう感じますか。

『農薬や殺虫剤が直接付いている一番粉は色が悪いため、かん水で色を黄色に着色して、わかりにくくし、中華麺の加工用に回されます。』

(一番粉は小麦の一番外側から作られる粉)

 

上記の文章から、輸入小麦を使ったラーメンを、食べる時が一番農薬が体内に吸収されるのが判ります。

その次に危険なのは、学校給食用のパン用小麦粉、それについで市販の食パンの小麦粉の順で農薬が多く含まれています。

ちなみに、パン用で使われる小麦の自給率は1%未満です。

裏を返せば、パンに使われている小麦は、その99%が輸入小麦だということです。

 

ですから、結論として私が思うに、小麦はとにかく、食べない方がいい!

 

どうしても・・!という人は、自宅で、ふくらみが悪くてもグルテンの少なく、ポストハーベストの心配のない国産小麦粉を買ってきて、ホームベーカリーで焼きましょう。

 

ここまで、散々いろいろと脅かしてしまいました。 

もっと知りたい!という方は、『小麦はたべるな!』(日本文芸社)を是非読まれることをお勧めします。 

邦題はいささか過激ですが、これは、日本人にも必読の書だと私は思っています。

 








          たきがみ博士の想い

 

誰でも、自分の中に伝統がある。自分が経験したすべての過去の累積、それが”いま”のわたし。

過去とは思いだすこと、現在(いま)は過去の必然、そして、未来は想い、選択すること。

いまは、変えられない。

しかし、人には明日があり、未来がある。明日は、こうありたいと想いを持つことができる。

 

すてきな明日に向かって、”これからへの想い”を具体化するJourney、しっかり楽しみたいと思います。

そして、”いま、ここ”を丁寧に活きる。

みずからの人生の軌跡を、すてきな笑顔でみつめるために。

 

旬(ときめき)亭 亭主 たきがみ博士
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☆他人に期待すれば不満になり、

  自分を信頼すれば自信になる 

☆人間関係とは、他人を通して自分自身

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  自分らしさという魅力が生まれる 

☆最も空しい人生とは、

  すべてが思い通りになる人生である 

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