蒸し暑くなると、脇が汗ばむ季節です。
この時期は、店頭にたくさんの制汗剤が売られています。
そして、脇の臭いを消臭しようと、多くの人が制汗剤を使用していることでしょう。
制汗剤の多くは、デオドラントという薬剤が配合されます。
これには、汗の分泌を抑制する塩化アルミニウムが配合されることがあります。
塩化アルミニウムは、脇やその周りから経皮吸収されやすい物質の一つです。
ある研究では、4年間制汗剤を使用している女性の多くに高アルミニウム血症が認められたことが報告されています(Am J Med. 2004;117:956-959)。
制汗剤の使用をストップしたところ、その後、高アルミニウム血症はほとんどなくなったそうです。
塩化アルミニウムは、汗管内に一時的なプラグを形成して皮膚表面への汗の流れを止める作用があるため、デオドラントに配合されます。
ところが、いくつかの研究では、乳房近くの皮膚に残留した塩化アルミニウムは、皮膚から吸収され、そのあとエストロゲン様の内分泌かく乱作用を引き起こすことがわかっています(J Inorg Biochem. 2005 Sep;1912-9.)。
エストロゲン作用は乳がん細胞の増殖を促進してしまいます。
こうして、過剰なアルミニウムは、DNAの傷害やミトコンドリア機能を低下させ(TCA回路での阻害や電子伝達系の酵素の阻害など)、さらにエストロゲン様作用もあり、特に若い女性の使用においては乳がんとの相関も指摘されています(Eur J Cancer Prev. 2003;12:479-485)。
基本的にアルミニウムを吸収した場合、生体にはそのデトックス(排泄)機構がありますが、現代人がアルミニウムを曝露する機会はあまりにも多くなってしまったため(アルミ缶、調理器具、化粧品、制酸剤、イーストフード、ワクチン、添加物など)、各組織に蓄積してしまっています。
さらに、アルミニウムは胎盤や母乳を介して、胎児や乳幼児に移行しやすい成分でもあります。
幼児は大人のようにアルミニウムのデトックス機構が確立されていませんので、大きく悪影響を及ぼしてしまいます。
アルミニウムはそもそも肝臓に蓄積しやすい金属とされていましたが、胎児の場合、肝臓よりも脳の方に移行しやすいことが近年の研究でわかっています。
そのため、曝露した胎児は、神経毒性を引き起こし、成長の過程で、発達障害や多動性などの症状が見られます。
以上のように、制汗剤をはじめアルミニウムの過剰な曝露はとても危険です。
そもそも制汗剤を使用しなければならないほど、脇の体臭がきつい方は、まずその根本原因を正していくのが得策かと思われます。
アルミニウムを含んだ製品の安易な使用は避けた方がいいでしょう。