今になって思えば、なぜ「糖質制限」で「糖を悪者扱い」にしていた時の自分を恥じる。
どうすれば自分の体質をもとに戻せるかは「糖質」を処理能力以上に一食では摂らないようにすればいいだけで、何も「糖質」から逃げる必要などなかったのである。
体調不調や病気の原因の背景にある「ホルモン分泌異常」は、実は「エネルギー代謝の要」である「ピルビン酸→アセチルCoA」に至る代謝経路の障害から始まっていたのである。
この障害が起こった原因は「多価不飽和脂肪酸(プーファ)」が酸化して、それが代謝される過程で発生する「アルデヒド」によって「ピルビン酸脱水素酵素(PDH)」というたんぱく質酵素を変性させることによって起こっているとの仮説を採用している。
実際、サラダ油を始めとする「オメガ6系」の「プーファ」は、日常の調理油として用いられるだけでなく、様々な加工食品の中にも入っており、この50年余りの間に4割増加した「脂質摂取量」の大半を占めているといってよい。
皮下脂肪に含まれる「オメガ6系のプーファ」の比率は50年前の8%から24%に「3倍増」しているのだ。
野生のチンパンジーが8%のまま変わらないのと比較して、いかにその油を多く摂取してきたかが分かる。
こうして知らない間にブドウ糖からピルビン酸を経てアセチルCoAとなり「TCAサイクル」に入って行く経路の「パイプ」が細くなってしまったのだ。
細胞は「ブドウ糖」を完全燃焼させてこそ「脂肪酸」も完全燃焼することができたのだが、パイプが細くなったのを知らずに、糖質の多い食生活をしたため一時的にエネルギーやグリコーゲンになれなかったブドウ糖は乳酸になり、またそれでも余ったブドウ糖は中性脂肪となって、全身のあちこちに貯蔵されることになったのだ。
これを「細口瓶」に水を注ぐのに「大中小」の「漏斗」をつかった場合を想定してみよう。
水の量を「糖質量」として考えると瓶は「TCAサイクル」であり、漏斗の大きさは「ピルビン酸→アセチルCoAのパイプの太さ」と例えることができる。
水が外へ溢れないように入れるにはどうすればいいかを考えれば、それはまさに糖質の摂取の仕方をどうすればいいかの答えにもなるはずである。
そこで下の絵を見れば「漏斗」が小さければ「少しずつゆっくりと注ぐ」ことで「水」は「瓶」の中へこぼさずに入れることができる。
バケツが「ギャル曽根」とすれば「大きな漏斗」は健常人で「中の大きさの漏斗」は軽度の耐糖能異常者と例えることができる。
そして「一番小さな漏斗」は糖尿人と言えるのだ。
つまり漏斗が小さければ小さいほど「少しずつ分けてゆっくりと食べればブドウ糖を完全燃焼できる」ことが理解できるのである。
この際、推奨される「糖質」は以前にも述べた通り「果物」「ハチミツ」「ジャム」「ヨーグルト」など「単糖類・二糖類」など消化吸収が早いものの方が「血糖値」の動きを読みやすいため推奨されている。
「果糖」はそれ自体「PDH」を活性化するだけでなく「ATP」を節約して「TCAサイクル」の中に入ってエネルギーになれるので、一番望ましい「糖質」と言える。
これが「漏斗理論」で、あっけないほど「簡単」なものである。